600人全員フルリモートワークの会社がオフ会をしたら情報量がすごかった【イベントレポート】

リモートワーク賛成派vs.反対派──。

この戦いが終わりを迎える日はくるのでしょうか。

2015年、リモートワークが今ほど市民権を得ていなかった時代から、メンバー全員フルリモートワークを実践しているのがオンラインアウトソーシング(※1)「HELP YOU」。私たちはリモートワークでも価値を生み出せることを誰よりも知っており、創業10周年にして支援企業900社という数字がそれを証明しています。

しかし「やっぱり対面でしか得られないものが確かにある」──筆者がそう感じざるを得なかったきっかけが、2025年10月18日にオフラインで開催された「HELP YOU 10周年記念イベント」でした。全国各地海外からメンバーやそのご家族、お客様をあわせて100名がひと所に集結しました。

当日の所感を通じて、改めてリモートワーク賛成・反対論争について考えていきます。

▶︎ フルリモートワーク歴10年、HELP YOUでの働き方を詳しく見る

※1 オンラインアウトソーシングとは在宅でインターネットを活用し、業務サポートを行うサービス。

ライター

三代知香
飛騨在住のフリー編集者。会社員時代はIT企業でマーケティングやPM、自社ブログの編集長を経験。メディアの立ち上げ経験を生かし、「くらしと仕事」のアクセス解析や新人育成を通して成果向上に取り組むほか、インタビューライターとして働き方や地方活性化をテーマとした記事を手がける。1児の母。→執筆記事一覧

全国各地から集結。顔見知りの仲間と「初対面」

筆者自身は、普段は岐阜県の山間部にある自宅でフリーランスとして働いています。イベント会場である東京都にたどり着くまでには、およそ5時間の道のりです。しかし、北海道から足を運ぶメンバーもいることを思えば、泣き言はいっていられません。

それでも、会場の受付に到着し、見覚えのある顔を見つけた瞬間に「来て良かった」と心から思いました。

やっと会えた!

感動が一気に押し寄せてきます。

「見覚えがある」といってもChatwork(※2)のアイコンや、オンライン会議で画面越しに見る程度で、ほとんど全員がリアルで会うのは初めて。初対面なのに互いをよく知っている──そんな不思議な感覚に包まれます。芸能人のライブや握手会に行って「本当にいたんだ!」と感動する気持ちに近いかもしれません。

その瞬間の喜びは、移動にかかったコストをはるかに上回るものでした。

※2 HELP YOUで主に使用されているチャットツール。

既知の情報でも、胸に響く。オフ会の真価

司会は広報・小澤美佳。オンラインファシリテーションで磨かれた軽快なトークが光ります。

 

最初に登壇したのは、我らが代表・秋沢崇夫。10年の歩みを振り返るムービーと共に、感謝の言葉、そしてこれからへの決意が語られました。

HELP YOU事業を提供する株式会社ニットの代表取締役社長・秋沢崇夫。

 

秋沢がバックパッカー時代に、パソコン一台で仕事を請け負った経験が創業の原点であること。
フルリモートで働くことが「宇宙人みたい」と笑われる時代に事業を立ち上げたこと。
そして今後はAIを活用しながら、より専門性と創造性を生かした事業展開を目指していくこと──。

実は、これらは以前から秋沢がオンラインで社内に発信してきた内容であり、その場にいた多くのメンバーにとっては既知の話でした。それでも、目の前で語られることで、一つひとつの言葉がより深く胸に響きました

なかでも、特に心を動かされた言葉があります。

「お客様の事業成長により深く貢献できるよう、踏み込んだ提案を重ねていきたい。切り出された業務をで支えるのではなく、で事業全体を支えられる存在へと進化していきたい」

次の事業フェーズに向けて、思いを共有できた瞬間

HELP YOU事業の基本的な思想は、オンラインでの業務サポートを通じて、お客様がコア業務に集中できる環境をつくることにあります。では、私たちの仕事がノンコア業務や周辺業務にとどまるかというと、必ずしもそうではありません

例えば、私が担当しているライティングの案件でも、単に「書く」だけでなく、お客様への取材を通じて企業のブランドづくりに関わるような提案を行うことがあります。

切り出された業務を「こなす」だけにとどまらず、そこに新たな価値を生み出すことができる──。日頃から抱いてきたそんな思いを共有できたような気がして、仕事へのモチベーションがぐっと高まりました。

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ドローンの演出で見えたテクノロジーへの「本気」

イベント当日、会場では撮影用の小型ドローンがたびたび参加者の間をぬうように飛び回っていました。

前述の通り、会社が最新技術──とりわけAIを積極的に取り入れ、事業の進化を目指していることは、すでに社内で共有されています。時代の流れを踏まえれば、会社がそのような方針を掲げるのは自然なことだと受け止めていました。

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しかし、目の前をドローンが飛び去り、秋沢の手のひらにスッと収まった瞬間──「本気」でテクノロジーを取り入れ、事業改革に向き合っているのだという実感が湧き上がりました。もちろん「本気」を疑っていたわけではありません。ただ、その熱量がこれまでとは全く違う形で伝わってきたのです。

手のひらに収まるドローン。操縦は、株式会社ドローンエンタテインメントの横田淳さんによるもの。

お客様の言葉で上がった仕事へのモチベーション

心に深く残ったのは、秋沢の言葉やドローンの演出だけではありません。

会場には、HELP YOUと長くお付き合いのあるお客様の姿もありました。なかでも、創業当初からご縁を頂いている企業様には、秋沢より感謝状が贈られました。

株式会社ガイアックス吉田様よりご挨拶。

 

その際にお客様がおっしゃった言葉が、今も胸に深く刻まれています。

「HELP YOUの方に何かを『やってもらおう』とは思っていない。HELP YOUの皆さんとは一緒に考え、一緒に取り組むパートナーである」

実は、こうした内容は、過去の事例インタビューの中でも語られていたものでした。

情報の壁を作っても同じチームではない、HELP YOUの方たちとはひとつのチームだという認識があるので、情報の格差が生まれないようにしています。エンドクライアントからこんなことを言われましたとか、そういう情報も全部お伝えしているのはそういう思いが根底にあるからです。

(中略)

チームであるという話と同じく、「対等である」ことは絶対的に意識しています。どちらが仕事をお願いしているからとか、私の中では全然ありません。助けてほしいという思いの方が強いので。

引用:HELP YOU BLOG「導入企業インタビュー『絶対に助けてもらえる安心感。HELP YOUのサポートも含めて、ひとつのチーム』」2025年11月閲覧

しかし、文字で読むのと、直接その声で聞くのとでは、心への響き方が大きく違います。

お客様にそう言っていただける関係を築いてきた担当メンバーへの敬意を抱くとともに、私自身も、この言葉を頂いた組織の一員として、恥じないサービスを提供したいと強く思いました。

目の前の同僚から感じた、10年の歴史

お客様と共に、創業時からHELP YOU事業を支え続けてきたメンバー3名にも感謝状が贈られました。

なんと、その3名全員が本メディア「くらしと仕事」編集部のメンバー。オンライン会議などで定期的に意見を交わす、顔なじみの仲間です。在籍歴が長いことはもちろん知っていましたが、壇上に立つ3人の姿を目にした時、これまで積み上げてきた年月と努力の重みを改めて感じました。

今、私たちが携わっている仕事も、その歩みの上に成り立っているのだと、自然と感謝の思いが込み上げてきました。

お子さんやOBも参加!「らしさ」に満ちた空間

そしてお待ちかね、フリーの歓談タイム。普段はオンラインで顔を合わせることが少ない分、積もる話は山ほどあります。

仕事の顔の、その先にある「親の顔」

色とりどりのフィンガーフードは、お子さんにも大人気でした!

 

メンバー同士だけでなく、お子さんと話す場面もありました。HELP YOUは完全在宅ワークという特性上、育児と仕事を両立しながら働くメンバーが多数います。日々のやり取りのなかで、お子さんの存在を自然に知ることも少なくありません。

それでも、私たちが日常的に接しているのはあくまで「仕事の顔」。母として、父としての表情を目の前で見た時、それぞれが大切なものを抱えながら仕事に向き合っていることが肌で伝わってきました。

HELP YOUで実現!家族も自分も大切にする働き方

会場の隅にはキッズスペースが設けられ、お子さんが楽しめるクイズ大会も行われました。

 

お子さん向けのクイズ大会は挙手制でしたが、大人向けはQRコードを読み取って回答するスタイル。

 

スピード勝負のクイズに、皆さま真剣な面持ち。クライアント企業様ご提供の豪華賞品がかかっているとあって、会場には熱気が漂いました。

歩む道が分かれても「選択」を応援し合う風土

写真右:2024年3月末に退職し、現在は起業家として活動する西出裕貴。かけているメガネは「コーヒーかす」を活用した事業の一環として開発されたものだそう。

 

参加者の中には、懐かしい顔ぶれもありました。以前このメディアでも紹介したOBの西出裕貴が、遠方から駆け付けてくれたのです。HELP YOU在籍当時からアドレスホッパーとして各地を移り住んでいた西出は、現在は長野県を拠点に活動しているとのこと。

再会を喜ぶ現役メンバーたち。西出が知人と共に立ち上げた新事業の話に耳を傾けるうちに、自然と笑顔が広がっていきます。その光景には、HELP YOUが掲げる「未来を自分で選択できる社会をつくる」というビジョンのもと、どんな選択もお互いに応援し合う風土が表れていました。

【退職者インタビュー】HELP YOUを卒業、未経験分野で起業家へ。元慎重派による挑戦のすすめ

チームの垣根を越えられるのもオフ会の醍醐味

私にとって今回のイベントで得られた最大の収穫は、普段業務で接点のないメンバーと意見を交わせたことでした。案件ごとにチームで取り組むHELP YOUでは、担当案件のディレクター(※3)をはじめとするチームメンバーとの関わりはありますが、その一方でチーム外のメンバーと話す機会は多くありません。

趣味のオンラインコミュニティや、オンラインイベントを通じて横のつながりを育む機会はありますが、それでも一般の会社でいえば「他部署」のような関係性。今回のイベントをきっかけに、そうした距離を越えて自然と会話が生まれました。

※3 クライアントと実務を担うスタッフの間に立って進行管理を担うポジション。

なかでも印象的だったのは、以前オンライン全社会議で一度だけ話したことのあるディレクターが声をかけてくれたこと。そのメンバーは現在ライティングを勉強中とのことで、理由を尋ねると「ライティング案件を担当する際、自分も経験していた方がスタッフさんにお願いしやすいから」との答えが返ってきました。

立場が異なる仲間の視点や思いに触れられた、貴重な時間でした。

編集者として、読者の「生の声」に触れる機会も

本メディア「くらしと仕事」の運営をリードする採用チームの福嶋浩子(写真左)と、春日なごみ(写真右)。当日は、HELP YOUメンバーによる作品を販売する「HELP YOU MARCHE(ヘルプユー・マルシェ、以下マルシェ)」の売り子を担当していました。

 

本メディア「くらしと仕事」の読者は社内にも多くいます。私自身は関わる編集者の一人として、たくさんの感想や意見を直接受け取ることができました。なかには、今後のメディアのあり方についてハッとさせられるような意見も。

普段、読者の声を直接聞く機会はほとんどなく、反響を知る手段といえばWebのアクセスデータが中心です。だからこそ、今回のように「生の声」に触れられたことは、何よりも貴重な経験でした。

マルシェで販売された可愛い小物の数々。

 

マルシェは毎年オンラインで開催されていますが、今回はリアルならではの活気とにぎわいに包まれていました。

でもやっぱりオンラインにしかない価値もある!

会場の壁には、オンラインアウトソーシングについて寄せられたお客様の声と、日々オンラインで働くなかでHELP YOUメンバーが感じている思いが並びました。

 

ここまで、オフラインならではの良さを挙げてきましたが、もちろん我々の主戦場である「オンライン」にも、優れている点が数多くあります。

当日は、お客様とHELP YOUメンバーが登壇し、オンラインアウトソーシングやBPOに関するパネルディスカッションが行われました。

 

テーマは「アウトソーシング活用術とチームづくりのコツ」と「AI時代におけるBPOの在り方とテクノロジー共存のヒント」。

 

まず、HELP YOUには約600人のメンバーがいますが、今回のイベントに全員が参加できたわけではありません。もしこれがオンライン開催であれば、参加のハードルはぐっと下がり、海外在住メンバーにとっても参加しやすかったはずです。(実際、全社会議などはオンラインで行っています。)

地理的に参加しづらいメンバーが疎外感を覚えることなく、全員が同じ場を共有できる──そんな形を実現しやすいのは、やはりオンラインの強みでしょう。さらに、新型コロナウイルスやインフルエンザが流行する時期でも、感染拡大のリスクを気にせず安心して参加できる点も見逃せません。

そして何より、オンラインは疲れない

完全在宅ワークを続ける私がパンプスとストッキングを履いたのは、息子の入園式以来のこと。帰宅してそれらを脱ぎ捨てた瞬間、解放感と同時にどっと疲れが押し寄せてきました。(私が勝手に気合いを入れただけで、実際にはもっとカジュアルな服装のメンバーも多かったです。)

それでも──岐阜の山あいから出てきて、久々にストッキングに脚を締め付けられながらも「元は取れた」と思えるほどの大きな満足感がありました。

やはり、そんな「リアルの力」こそが、オフ会の魅力なのだと思います。

 

まとめ

最初の議論に立ち返りましょう。

リモートワーク賛成派 vs. 反対派──。

普段は迷わず「賛成派」に立つ私も、今回ばかりは反対派が唱える「対面の価値」を実感せざるを得ませんでした。

一つだけお伝えしておきたいのは、私たちHELP YOUは「フルリモートワークだけを推奨する集団」ではないということです。

私たちのビジョンは「未来を自分で選択できる社会をつくる」こと。リモートワークはその実現のための一つの手段にすぎません。

つまり、リモートワークか対面か、という二者択一ではなく、あくまでも「自分に合った働き方を自分で選べる」ことこそが私たちが本質的に目指している姿なのです。

▶︎ 未来を自分で選択しよう。HELP YOUにエントリー

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