【退職者インタビュー】HELP YOUを卒業、未経験分野で起業家へ。元慎重派による挑戦のすすめ

あなたの得意分野は何ですか? 自分が得意とするフィールドの中で生きていると、安心感がありますよね。知識不足で恥をかくことも、怒られることも多くありません。

一方で、同じフィールドに留まり続けていると、そこから出ることにためらいを覚える人もいるでしょう。

オンラインアウトソーシング(※1)HELP YOU」で正社員として組織運営をリードする西出裕貴さんは、2024年3月末で退職し、起業家の道を歩み始めます。事業内容は、これまでに触れたことのない未経験分野とのこと。

社内で多くのメンバーに親しまれ、中心人物として活躍していた西出さんがなぜ未経験分野へ? 挑戦をためらうあなたへ向けたインタビュー記事です。

※1 オンラインアウトソーシングとは在宅でインターネットを活用し、業務サポートを行うサービス。

インタビュイー

西出裕貴さん
HELP YOUにてインナーブランディングを担当。ビジョン・バリュー・企業理念を浸透させる活動を通して、メンバーが生き生きと働ける組織づくりに取り組んできた。その一環として、HELP YOUが運営するメディア「くらしと仕事」では、新人メンバーがチャレンジできる土壌づくりに注力。このほか、各種フェス・イベントのコンサルティングや街づくり支援などの副業・複業を通して活躍の幅を広げてきた。プライベートでは、多拠点居住サービス「ADDress」を活用したノマドなくらしを実践中。

ライター

三代知香
飛騨在住のフリー編集者。2021年春に「くらしと仕事」の編集部にジョインし、多数のインタビュー記事を手がけるほか、アクセス解析をもとにした戦略立案や新人ライターの育成を担当。編集部の先輩である西出さんには、よく企画の相談に乗ってもらっていた。本メディアの主題である「自分らしい生き方」を誰よりも追求し、多くの読者に影響を与えてきた西出さんの意志を、HELP YOUの未来を担うメンバーへ継いでいくため筆をとる。

オープンな関係性だから受け入れられた退職

HELP YOU運営会社で代表取締役社長を務める秋沢崇夫さん(写真左)と西出さん(写真右)。5年の月日のなかで意見をぶつけ合い、共にHELP YOU事業を成長へと導いてきた。

──新たな門出、おめでとうございます! 社長からはどんな言葉がありましたか?

ひと言、「頑張れ」と。退職を温かく受け入れてもらえたことに感謝しかありません。

もともと、私がHELP YOUでの仕事とは別に事業を運営していることは周知の事実だったので、一緒に働く仲間からは「いつか(辞めると)言うと思っていた」という反応が多かったですね。

──副業・複業が認められ、活動状況をオープンに話せるHELP YOUらしい反応ですね。

そうですね。その社風のおかげで、副業で得たノウハウをHELP YOUでの仕事に生かし、良い循環を生むことができました。

ありがたいことに、私の退職を知り、個別にメッセージをくれる人もいて。埼玉に住むメンバーが「いつでも泊まりに来てください。西出さんなら家族全員、大歓迎です!」と言ってくれた時は嬉しかったですね。

西出さんが副業で手がけたイベントのワンシーン。ここで得たノウハウが、HELP YOUの全社イベントなどを企画する際にも役立ったという。

未知の世界へ飛び込む姿に惚れ込み起業

──西出さんといえば社内で知らない人はいない中心人物という印象。個人的には、卒業すると聞いた時は驚きました。退職後は具体的に何をされるのですか?

HELP YOUでは、コミュニティマネージャーとして組織活性化に取り組むなかで、多くの社内メンバーと接点を持つことができました。

今後は、以前から一緒に事業を運営してきた知人と、共同経営者というかたちで起業します。

環境破壊によるコーヒーの原料不足と、生産者や飲食業者の低賃金問題。その両方を解決へと導き、持続可能な社会を実現する新たな仕組みをつくります。

──コーヒー? 西出さんがこれまでにやってきたこととは全く異なる分野ですね。

確かに、組織活性のための仕組みづくりやイベント運営など、HELP YOUで私が積んできたキャリアとはかけ離れています。でも、今ほどメンバーが多くなかった時期からHELP YOUの事業運営に携わり、5年間で培ってきたアレンジ力があれば、どんな分野でも戦えるという自負はあります。HELP YOUにジョインした当初は20代でしたが、若手にも裁量を持たせてくれるHELP YOUの社風に育てられました。

年に1回開催される、社内外を巻き込む大型イベント「MEET UP」のワンシーン。西出さんが中心となり、仲間と共に企画から当日の運営までを手がけた。

──起業に踏みきった理由は?

一番の理由は、共同経営者であるYの存在です。

これからつくる新たな仕組みは、ブロックチェーン(※2)の考え方をベースにしています。Yは高卒で、大学で情報学を専門に学んだわけではありません。勉強家で知識豊富ですが、ブロックチェーンの専門家と比べると足りない部分もあるでしょう。

それにもかかわらず、多方面にアンテナを張って有識者を巻き込み、どんどん事業を推し進めていくんです。その視野の広さバイタリティに惚れ込みました。

※2 「ブロックチェーン技術とは情報通信ネットワーク上にある端末同士を直接接続して、取引記録を暗号技術を用いて分散的に処理・記録するデータベースの一種であり、『ビットコイン』等の仮想通貨に用いられている基盤技術」(引用:総務省HP「平成30年版 情報通信白書 ブロックチェーンの概要」閲覧日:2024年3月22日)

──アドレスホッパーとして全国を転々とする西出さんのバイタリティも相当では?

私はまだまだで、Yの隣にいて自分にできることは何だろうと悩むほどです。もちろん、Yが切り拓いた道を整備するという役割はありますが、それだけに終始せず、自ら道を開拓してYをあっと言わせたいですね。

HELP YOUでは、世界各国・全国各地から集まった500人のメンバー全員がフルリモートワークで活躍中。その環境を生かし、西出さんは日本中を旅しながら働くアドレスホッパーとしての生き方を実践している。

──未経験からの挑戦が始まるんですね。5年間在籍したHELP YOUという、自分のフィールドから出るのは怖くないですか?

はい。やるからには全力で取り組みますが、全力を出しきってダメなら、別の可能性を探ればいいんです。未経験の分野に踏み込む第一歩って、それくらい軽く捉えてもいいと思うんですよね。

もともと慎重な性格なのですが、学生時代に大規模な音楽フェスを開催した経験を機にふっきれました。

▼ 詳細なエピソードはこちら

33都府県90拠点に滞在、アドレスホッパーが選択する理想のくらし

人に挑戦を促す前に、まずは自分から

──西出さんは、HELP YOUでもさまざまな「未経験」に挑戦してきましたよね。自社メディア「くらしと仕事」では、マネジメント的な立場でありながら、新人メンバーと共に未経験からライティングに挑戦する姿が印象的でした。どんな経緯があったのですか?

「くらしと仕事」では「ステップアップ企画」と称して、ライティング未経験のフリーランスメンバーも受け入れていますよね。専門スキルを持つ人が専門分野で仕事を請け負う、フリーランス本来のあり方と異なる企画で、私にとっては一つの挑戦でした。

企画を立ち上げた当初こそ盛り上がりましたが、次第に参加するライターさんが減ってきて。まず、記事を1本書き上げるハードルが高く、それを乗り越えた人も、2本目を書くのは腰が重いようでした。

そこで、まずは自分で記事を書いてみることにしたんです。人に「書いてみよう」「挑戦してみよう」と言うだけではなく、自ら挑戦することで見えるものがあるのではないかと。

「誰か書いてくれないかな」と、餌がくるのを口を開けて待っていても、何も変わりません。餌が欲しいなら、描く理想があるのなら、自分でつかみとるしかないのです。

──未経験で記事を1本書き上げた感想はいかがでしたか?

記事を書く過程で、思考が整理されることに気が付きました。これは、私が思うライティングの面白さの一つです。継続的に執筆し、結果的に約1年で9本の記事を書き上げることができました。

▼ 西出さんが執筆した記事

インナーブランディング葛藤記#01-自分の役目って何だろう?-

──コミュニティマネージャーとしての他業務もあるなかで、9本も書ききったのはすごいですね。

書き続けた経験が、ライターさんと同じ目線に立ってコミュニケーションをとることに役立ちました。

私は、本職のライターではありません。しかし、業務上、新人ライターさんの執筆をサポートしたり、原稿を見てフィードバックをしたりするシーンがあります。私が相手の立場なら、「じゃあ自分がやってみろ」って言いたくなると思うんですよね。

ただし「自分も書く」というのは、あくまでも相手の目線に立つための手段です。本質的には、業務経験の有無にかかわらず、他者に寄り添い、自分の意見を押し付けない姿勢が大切だと考えています。

──西出さんのやわらかいコミュニケーションには、いちライターとしていつも救われていました。同時に、応援の言葉に度々励まされていたのですが、どんなことを意識していますか?

ありがとうございます。相手を「応援する」というよりは、「認める」「受け入れる」という感覚に近い気がします。いくら言葉を飾っても、たいてい見透かされてしまうでしょう。

お世辞を言わない。心にもないことを言わない。ただ「認める」姿勢が、相手にとって「応援」と映ることもあるのかもしれません。

仲間が教えてくれた「寄り添う」ことの意味

同じチームの仲間たちと。メンバー全員コミュニケーション能力が高く、元来不器用な西出さんの師匠的な存在だそう。

──西出さんの他者に寄り添うコミュニケーションは生まれつきですか?

いやいや(笑)。HELP YOUにジョインしたばかりの頃は、相手の立場を度外視して正論をぶつける、なんてこともありましたよ。

でも、一緒に働く仲間の影響で徐々に考え方が変わり、相手と自分の意見が食い違うシーンでも「確かに、相手の立場だったらそう考えるのが自然だよな」と受け入れ、傾聴したうえで提案できるようになりました。

特に、同じチームのAさんは相手に寄り添うコミュニケーションに長けていて。私から全社メンバーへ向けたメッセージを発信する際には、チームメンバー全員で文章を校正するのですが、Aさんの言葉選びは絶妙で学ぶところが多かったです。

──仲間の存在があっての、今の西出さんなのですね。仲間からかけられた言葉の中で、印象に残っているものはありますか?

嫌われないのは無理だよ」という言葉を今でも覚えています。

数年前、新しく社内認定制度を設けました。特定分野で高いスキルを持つメンバーが認定を受け、より適正な報酬を受けとれるようにする趣旨の制度です。

一方で、それにより報酬が下がるメンバーもいました。こちらの思惑が何であれ、相手の立場からすると不満に思うのは当然です。

どうにか嫌われないことばかりを考えていましたが、どんなに言葉を選んでも、結論ありきでは「相手を説得するための」「納得させるための」コミュニケーションにしかならないんですよね。

そんな時に、同僚のUさんが先ほどの言葉をかけてくれたんです。嫌われないことは諦めよう。誠意を持って接し、数年後、あの時あの判断をして良かったね、と思えたらそれでいい、と。

相手に寄り添う。でも、相手を理解することと、相手に同調することは違う

この教訓は、HELP YOUの仲間たちと過ごすなかで得た大きな財産です。

──仲間の影響とはいえ、変わることを選んだのは西出さんご自身です。変われた理由は何ですか?

プライドが高いので(笑)。そのままの自分でいたら、状況は変わらない。自分を貫き通すことへの執着心より、状況を変えられない自分を不甲斐なく思うプライドの方が大きかったんです。

チャレンジはあなたの一生を縛るものじゃない

嬉しいときも辛いときも、いつも仲間がそばにいた。

──最後に、これから挑戦する仲間たちへエールをお願いします。

既存メンバーはもちろんのこと、これからHELP YOUにジョインして新たな挑戦を始めようと考えている方も含め、仲間たちに伝えたいことがあります。

それは、チャレンジは一度始めたら一生続けなければならないものではないということです。

これは私の尊敬する人が言っていたことなのですが、まずは2か月、集中してやってみることをおすすめします。それで「何か違うな」と感じたら方向転換していいんです。

挑戦してみて、やっぱりやめるのは失敗ではありません。失敗だと思っていたことが、数年経ち、巡り巡って誰かの役に立つこともあります。

重く考えすぎず、まずは一歩踏み出してみましょう。

最後に

「くらしと仕事」の「ステップアップ企画」に参加する新人ライターの中には、50代のメンバーもいます。

想像してみてください。自分の身に置き換えたときに、長くキャリアを積んだ年齢で未経験分野に挑戦できますか? あなたの仕事をチェックするのは、もしかしたら年下かもしれない。

それでも挑戦できるのは、新人ライター自身のバイタリティに加え、HELP YOUメンバー全員でつくり上げてきた「挑戦する風土」があるからです。

その過程で自ら挑戦する姿を見せ、他者の挑戦を支えてきた西出さん。そんな西出さんの旅立ちを私たちは応援するとともに、チャレンジ精神あふれる新たな仲間のジョインをお待ちしております。

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アイキャッチデザイン/今泉香織

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