インナーブランディング葛藤記#07
-活き活きした組織の見分け方-

皆さん、はじめまして!株式会社ニットの西出です。インナーブランディング葛藤記では、2021年7月より組織活性・インナーブランディングを担当することになった西出が、日々仕事を進めていく中での葛藤を連載コラム形式で書いていく企画。インナーブランディングを知らない・全く異なる業務をされている方にも役立てる記事になればと思います。

第七回目は『活き活きした組織の見分け方』。組織に長く居れば居るほど、客観的にみてこの組織はどういった状態にあるか掴みにくいもの。今回は3つの観点から組織をみることで、組織が活き活きした状態かどうか把握できます。一方で、新しく飛び込んでみたいと思う組織が、どのような組織なのかを把握することにも役立つでしょう。よろしければ最後までお付き合いください。

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ライター

西出裕貴
株式会社ニットにてインナーブランディングを担当。幸福度診断を活用した組織活性や企業理念・ビジョン・バリューの浸透と体現に取り組む。また月額定住サービスADDressを活用しながら多拠点生活中。パラレルキャリアでも活動し、各種フェスやイベントのコンサルや立ち上げ・運営の他、街づくり案件に従事。→執筆記事一覧

①新しい「やりたい」の声があがるか

スライド1:新しい「やりたい」の声があがるか くらしと仕事

まず、活き活きとした組織か、よどんだ組織かの一番の見極めは、「やりたい」の声が上がっているかどうかだ。さらに言えば、メンバーから、チャレンジしたいこと・積極的にやりたいものを組織全体に発信できている状態かどうか。

組織が担う役割によっては、慎重になる部分や後ろ向きに考える傾向があるかもしれない。ただ、どんな場面においても、新しいチャレンジを声に出しても受け入れてくれる、支えてくれる、真摯に向き合ってくれる状態であれば、メンバーが一定数所属していて、流動的にメンバーが入れ替わる限り、常に新しい「やりたい」が組織に生まれる。

裏を返せば、組織で「やりたい」が生まれていない・不足している状態は、上記の状態が実現できていない可能性が高いだろう。

では実現できていない場合に、どのようにすれば「やりたい」が生み出せるか。まずはメンバーの「やりたい」が言える場を設けることから始まる。

1年の抱負など、大きなものである必要はない。今週やりたいこと・今日やりたいことなど、イメージしやすい状態にする。一方で「仕事」である必要もない。趣味やプライベートでも良い。

ポイントは、その「やりたいこと」を実現したら、メンバー自身が幸せに感じられる・嬉しい気持ちになれるものであればよい。「やりたい」を組織の中で声に出すことでの不安をなくすことから始めていく。

そして、組織を運営する立場にある経営層・人事の方は「やりたい」と話してくれた内容を、面白がる・受け入れたり賛同することに注力すると良い。あるいは他のメンバーの力が必要そうであれば、サポートする状態を作れると良いかもしれない。

②「やりたい」がカタチになっているか

スライド:「やりたい」がカタチになっているか くらしと仕事

次に、「やりたい」が組織で出てくるようになって重要となるのが、「やりたい」が実現できているかどうかだ。最初は「やりたい」を言葉にできるだけで、組織が活き活きとした状態になるが、カタチになっていなければ、すぐに失速していく。人は単に言いたいのではなく、実現していることで充実感に浸れるからだ。

だからといって、初めから大きなことをカタチにする必要もない。どれだけ小さくても良いので、まずは「やりたい」をカタチにすること。つまり、小さな成功体験を早く作ることがポイントとなる。この成功体験が、新たな「やりたい」を増やしていく起爆剤となる。

そして、小さな成功体験と同じくらい重要な事が、「やりたい」を言い出した人以上に、熱量を持って伴走・サポートをすることだ。この存在がいる限り、仮にやりたい事が実現できなかったとしても、組織に対する帰属意識は高くなり、今度は誰かのやりたい事を支えるメンバーとなる。

また、やりたい事がカタチとなった際、組織全体で発表・賞賛できる場所を設けておくことも大事だ。組織の中で各メンバーの立ち位置や受け入れられる場を作っていくことも、組織運営者の重要な任務と言える。メンバーが組織で活き活きと活躍できるようにするには、このアプローチがないと実現できない。

③「楽しい」「感謝」が言葉で飛び交っているか

スライド:「楽しい」「感謝」が言葉で飛び交っているか くらしと仕事

最後に、「やりたい」が飛び交ってカタチになっても、「やらなければならない」の義務感が強い状態や、個々が独立していて繋がりが乏しい組織であると、組織は不安定であり、持続的に活き活きした状態を作ることは極めて難しい。

そこで大事になる要素が、「楽しい」「感謝」が言葉で飛び交っているかだ。何事にも言えるかもしれないが、自分が心から楽しんでいるものへのキャッチアップと、誰かに命令されたり、必要に迫られたものへのキャッチアップでは、習得度が大きく異なる。

「楽しい」は正義かもしれない。人は楽しいものに関しては主体的に行動ができ、より極めようとする傾向がある。なので、まずは些細なことで良いので、何事にも楽しめる要素を見つけるところからはじめ、声に出して組織でシェアできる状態が理想だ。

一緒に働くメンバーが「楽しい」というものならば、他のメンバーが1歩踏み出す理由にもなるし、また、楽しそうにしている姿をみると感化されていくからだ。

そして「感謝」もポイントとなる。最初は自分が楽しむために始めたことでも、誰かに感謝されると、視点が変わる。感謝は利己から利他に視点が変わる魔法の言葉だ。相手のためを思って行う取り組みは、挫けそうな場面でも堪えて乗り越えようとする。

この「感謝」が常に組織の中で触れられる状態にあれば、活き活きとした状態を作るガソリンの役割を担う。持続性を高めるためにも「楽しい」「感謝」が感じられる組織を作ることが大事であり、活き活きした組織の証しと言えるだろう。

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インナーブランディング葛藤記#05-組織活性のしくじり3選!-

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まとめ

活き活きした組織の特徴は、「やりたい」が言えてカタチにでき、「楽しい」と「感謝」の言葉が飛び交っていることだ。また一部の組織メンバーだけが実現できている状態ではなく、組織に所属する誰もが成し遂げられる状態であり、お互い様で支え合いながら、喜びを分かち合える組織こそが、活き活きとした組織像と言えるだろう。

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