企業理念「働く」を通じて、みんなを幸せに くらしと仕事

インナーブランディング葛藤記#02
-企業理念/パーパスって向き合うべき?-

皆さん、はじめまして!株式会社ニットの西出です。インナーブランディング葛藤記では、2021年7月より組織活性・インナーブランディングを担当することになった西出が、日々仕事を進めていく中での葛藤を連載コラム形式で書いていく企画。インナーブランディングを知らない・全く異なる業務をされている方でも、自分の仕事を内省できるきっかけ記事になればと思います。第二回は「企業理念/パーパスって向き合うべき?」。皆さんが関わる会社でも企業理念やパーパス、ミッション、ビジョン、バリューを掲げているところが多いかと思います。人生の1/3の時間を占める労働。どうせ「働く」なら、楽しく、そして意義を感じながら働いた方が日々充実しそうですよね。一方で「向き合うべき」と決めつけると義務感があって窮屈かも。では、どう向き合うと良いのでしょうか?

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ライター

西出裕貴
株式会社ニットにてインナーブランディングを担当。幸福度診断を活用した組織活性や企業理念・ビジョン・バリューの浸透と体現に取り組む。また月額定住サービスADDressを活用しながら多拠点生活中。パラレルキャリアでも活動し、各種フェスやイベントのコンサルや立ち上げ・運営の他、街づくり案件に従事。→執筆記事一覧

企業理念やパーパス、ビジョン、ミッション、バリューの印象

会社にあるけど、正直とっつきにくい。。。

多くの会社が掲げている企業理念やパーパス、ビジョン、ミッション、バリュー。働くメンバーが、その言葉の背景まで理解し、日々の業務に活かしている会社もあれば、掲げてはいるものの、形骸化している会社など、所属する会社によって状況は大きく異なる。

しかし「その言葉が会社の経営と伴っていない」、あるいは「そもそもどんな言葉だったか」「どのような背景で決まったのか」を、働くメンバーと共有できていない会社の方が圧倒的多数ではないだろうか?

また、良い言葉を掲げてはいるものの、「どのように実現していくか道筋が見えない」「どう解釈したらよいかわからない」「心に響かない」「受験勉強の時のように暗記だけはした」という声もあり、正直なところ親しみがなく、とっつきにくい印象を持っている方が多いかもしれない。私もインナーブランディングや組織活性を担当するまで同じ印象だった。

企業理念やパーパス、ビジョン、ミッション、バリューとは?

今回、自分の業務と密接に関わるようになると思い、あらためて企業理念やパーパス、ビジョン、ミッション、バリューを検索してみた。いくつか解釈が別れるものの、下記のように記載されていた。

企業理念:
「企業理念」とは、会社の根幹となる考え方・価値観を意味する。「なぜ、その企業が存在しているのか」、「何を目的として経営を行うのか」、「どこに向かって企業活動を行っているのか」など、企業としての使命や思想、存在意義、在り方、さらには社員の行動規範となる文言が明文化されている。
 
パーパス:
「パーパス」とは、「何のためにこの会社があるのか」という、企業の最も根本的な存在意義や究極的な目的、全体の指針を指すこと。「自分たちは何のために存在しているのか、一体何ができるのか」というWhyに対する答え。
  
ビジョン:
「ビジョン」とは、目指す理想の姿を指す。使命を達成するためにはどういう組織の状態でなければいけないか、もしくは使命を実現した組織の将来像と言い換えても良い。
 
ミッション:
「ミッション」とは、その組織が存在する意義や目的を意味する。組織のメンバーがミッションを理解することで、各々がその実現に向けて自分は何を目標とすれば良いかを考えやすくなり、自分の仕事により専念できる。
 
バリュー:
「バリュー」とは、組織の価値観や価値基準を表す。ミッションやビジョンを実現するためにも、社員はこうした行動をする必要があるという基軸が定められている。


https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=2601
https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=2588#modal-search
https://www.hrpro.co.jp/series_detail.php?t_no=2713
より一部編集。

なんとなく意味はわかるものの、言葉だけだとそれぞれの関係性がわかりにくいので、図に表してみた。

企業理念・ビジョン・ミッション・バリューの関係性 くらしと仕事

とっつきにくいものを旅行で考えてみると・・・

図にしてみたことで大方の関係性は理解できたが、どうも親しみがあるとは言えない。このような時、何か身近なものに例えると理解しやすい。そこで、私自身がアドレスホッパーということもあり、旅行も大好きなので、グループ旅行に例えてみた。

まず企業理念やパーパスは、このグループ旅行の「目的」にあたる。例えば「楽園と感じられるほど、日々の仕事で疲れた身体を癒すための旅」などだ。

またビジョンを、この旅行で「実現したい理想の姿」と捉えてみると、「ストレスなく日常を忘れられて幸せを実感できる状態」。

そしてミッションは、企業理念・パーパスやビジョン実現のためにこのグループが果たす「役割・実行すること」なので、「その土地のモノを体験する」など。

最後にバリューは、このグループ旅行で大切にしたい「価値観」なので、「みんなの意見を踏まえる」「コンテンツは自由参加」などだろう。

企業理念やパーパス、ビジョン、ミッション、バリューは必要なのか?

このように考えると必要か否かの判断はしやすい。回答は「あるに越したことはない」「場合によっては必須」となるだろう。旅行の目的や価値観を持たなくても旅行はできるからだ。

一方で「何のための旅行か?」を定めなければ、グループ内で意思疎通をすることが難しくなる。今回のグループ旅行の目的が「ビジネスを成功させるためのもの」と置くか、「身体を癒すためのもの」と置くかで取りうるコンテンツや過ごし方は大きく変わる。そしてグループメンバーの数が多いほど、目的や理想像、役割や価値観をそろえないと調整も難しくなる。

企業理念やパーパス、ビジョン、ミッション、バリューで大切なこと

しかし、目的や価値観を単に言葉で掲げるだけでは不十分である。良い言葉を掲げてグループメンバー間でシェアできたからといって、このグループ旅行が「楽園と感じられるほど、日々の仕事で疲れた身体を癒すための旅」にはならないからだ。言葉に掲げる目的は、グループメンバーの認識を揃えたり、何かアクションを起こす時や、悩んだ際の判断基準の拠り所にするため。

企業活動においても同様のことが言える。確かに独創的な言葉で差別化を計ったり、目を惹くことはできるかもしれないが、実態を伴っていなければ空虚(机上の空論)でしかない。

小さくても良いから体現し続けること

では何が大事なのか。それは「小さくても良いから体現し続けること」。グループ旅行においても「楽園と感じられるほど、日々の仕事で疲れた身体を癒すための旅」を掲げたとして、グループメンバーが各々で掲げた目的が実感できること、体現できていることが最も重要なことである。どんなに小さなことでも良くて、1つの体現が廻りの行動を変えるし、「ここに所属して良かった」に繋がる。

一緒に行ったメンバーが日常を忘れるくらい没入してサウナを楽しんでいたり、美味しいご飯を食べて幸せそうな顔を見ると、直接体験していなくても幸せな気持ちになるし、自分も体験してみたいと考えるきっかけになる。

会社だけではない、メンバーと一緒に育んでいくもの

最も忘れてはならないことは、企業理念やパーパス、ビジョン・ミッション・バリューを掲げることがゴールではなく、スタート地点であること。そして会社だけが向き合えばよいものではなく、メンバーと共に育んでいくものということ。

世の中はこれまで以上に変化の激しい時代となっている。また、進歩していく中で気づきも多くある。一主体だけで物事をとらえるのではなく、全メンバーの観点で意見を出しあえて各々が自律し、時に連携しながら組織の掲げる世界観を実現できれば、当初掲げたビジョンをはるかに超える理想の世界を実現できるに違いない。

旅行も1人で黙々と調べてみるのも良いが、様々なメンバーが意見を持ち寄ったり一緒に取り組むことで、1人では決して経験することができなかった世界観を体験できるだろう。一方で組織が掲げるものに忠誠を誓う必要もなければ、全て賛同する必要もない。自分自身の価値観で賛同できる部分だけを踏まえて行動に起こすだけでも、日々の「働く」の価値観は大きく変化する。

まとめ

多くの会社で掲げている企業理念やパーパス、ビジョン・ミッション・バリュー。正直なところとっつきにくい印象がある一方で、身近なもので考えてみると重要性や意味を理解することができる。今回は「グループ旅行」を例に、それぞれどういった役割を担い、どのような状態が理想なのか。その向き合い方に焦点を置きました。人生の1/3の時間を占める労働。1人でも多くの方が「働く」を主体的に選択して楽しめる世界になれば幸いです。

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