「ワーケーション」は本当に生産性が向上するのか?企業事例をまとめてみました

「ワーケーション(Workcation)」とは、仕事(work)と休暇(vacation)を組み合わせた造語です。2017年7月にJAL(日本航空株式会社)が、ワ―ケーション制度を取り入れたことが話題になりました。オフィスから遠く離れた地で、バケーションを楽しみながら、仕事をするという新しいワークスタイルとはどのようなものでしょうか。

ライター

くらしと仕事 編集部
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ワ―ケーションの普及が地方創生のカギ?!

企業による「ワ―ケーション制度」の導入には「長期休暇の取得を促進させる」という背景があります。日本の「年次有給休暇の取得率」は90年代後半より減少傾向にあります。また、付与された有給日数に対して消化できている日数はその半分ほど。

有給休暇はなんとなく取りづらい……そう思っているかたも少なくないでしょう。「自分のかわりに仕事をする人がいない」「繁忙期だから上司にいい顔をされない」「同僚が休んでいないから言いづらい」といった理由がよくあがります。しかし、休みなく働き続けるというのはどんなに仕事が好きなかたでも難しいですよね。そこで、社員のモチベーション向上、生産性向上が期待できる「ワ―ケーション」制度が注目されるようになりました。といっても、ワ―ケーションはなかなかハードルが高いと感じるかたもいらっしゃいますよね。

 

  • 仕事ができるスペースを確保できるのか心配
  • インターネット環境が整っていないと仕事ができない
  • そもそもリゾートへ旅行にいくお金がない……

 

と思ったかたに朗報です!日本国内でもリゾートと変わらないロケーションで「ワ―ケーション」を楽しめます。各自治体が積極的にワークスペースを提供して、企業誘致をしている事例も数多くあり、ワ―ケーションをきっかけとして、地域理解を深め、都心と地方での「モノ」「ヒト」「カネ」の流通を活性化を期待する声もあがっています。今回は日本国内でのワ―ケーションの企業導入事例を集めてみました!

 

企業の最新ワ―ケーション事例を集めてみました

プロフェッショナル&パラレルキャリア フリーランス協会主催@山口県萩市

フリーランス向けのワーケーション体験プログラム。地方企業のビジネスマッチングのほか、地元の高校生を交えたワークショップも開催されたそうです。地域に根差した江戸時代から続くかまぼこ屋さんや、不耕起栽培の農業ベンチャーなど、普段出会うことのない企業とのセッションによって新たなシナジーが生まれそうです。

 

株式会社CRAZY@茨城県稲敷市

1カ月のうちの1週間を茨城県のお試し住居で生活をする「デュアルライフ(二拠点生活)」を社員が実施。都心部を離れた自然で仕事をすることによって、ストレスフリーな仕事ができたり、ビジネスのヒントを得やすかったり。無理に「くらし」と「仕事」を切り分けるのではなく、あえてその境界線を曖昧にすることによって、仕事のオンオフの切り替えコストが軽減され、結果的に生産性が向上したという体験談が印象的です。

 

株式会社ソニックガーデン@島根県松江市

若手社員が総務省の行っている「おためしサテライトオフィス」プロジェクトに参加。仕事をしたあとは、シーカヤックなどのアクティビティを体験したり、地元の観光に足をのばしたり。プロジェクト参加後に社員の一人が島根県への移住の決心をしたのだとか。ワーケーションを体験することによって地域の魅力を身近に感じられた良い事例ですね。

 

地方自治体も積極的にワークスペースの提供を行っています

北海道下川町(北海道下川町環境未来都市推進課)

人口3400人の北海道下川町が、地域の特色を生かした企業誘致を行っています。「地方でのサテライトオフィス」を検討中の企業を現在も募集しているようです。森林資源や北海道ならではの気候を活かした新規事業を考えている企業や、自治体のビジネスパートナーを探している企業におすすめです。大手企業との提携実績もあるので事例としては大変参考になります。

 

和歌山

和歌山県の豊かな自然と食、観光資源はワーケーションのロケーションとしてぴったり。
定期的に親子で参加できる「親子ワーケーションセミナー」なども開催しています。南紀白浜で青い海を眺めながらのお仕事は贅沢ですね。ワークスペース提供のほか、親子で学べる・遊べる・楽しめるプログラムも用意されています。

 

ふるさとテレワーク

総務省では、自治体や企業などに対してリモートワークやサテライトオフィスの環境整備の費用を一部補助する事業を推進しています。

 

おためしサテライトオフィス

総務省が地方へのサテライトオフィスの設置を支援するプロジェクトです。自治体が企業誘致をしたいと思っていても、リモートワークやサテライトオフィスに関する企業ニーズの把握が足りなかったり、企業誘致にかかわるノウハウがなかったりするため、うまくいかないケースも。サテライトオフィスの設置モニター企業を募集中のようです。日本全国にモデル団体が点在しているので、「ワーケーション制度」を導入したい!と検討している企業のための参考情報がまとまっています。

まとめ

「くらし」と「仕事」を一体化させるワーケーションは、働く方のモチベーションを向上させるほかに、クリエイティブな業務に集中できる効果が期待できます。また、総務省による「ふるさとテレワーク」や「おためしサテライトオフィス」といった仕組みを利用して、フリーランスの方だけでなく、企業が人事・福利厚生制度として導入する事例も増えているようですね。今後、ワ―ケーションという新しい働き方は、社会へのさらなる広がりがもたらされるかもしれませんね。

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