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昨今では、「働き方改革」の影響もあり、フリーランスや、複業・副業、仕事の他にボランティアなどをするパラレルワーカーが増えるなど、働き方の多様化が進んでいます。企業側もこれを受け、副業を認めたりフリーランスとの仕事の契約を増やしたりと、新しい取り組みを始めるところも多くなってきました。しかし、いざフリーランスやパラレルワーカーを始めてみると、大きな仕事を依頼された時に、1人では手がまわらず、せっかくの案件を諦めてしまうという場合もあります。

そこで、株式会社エンファクトリーが運営する新しい働き方を支援するプラットフォーム「Teamlancer(チームランサー)」では、2017年11月に個人で活動するフリーランスやパラレルワーカーがチームを組み、メンバー募集・仕事受注・PRができる「チーム機能」と、手軽に仕事相談できる「ZAKKURI(ザックリ)機能」を追加し、さらなる新しい働き方を提案しました。

これを記念して、実際にパラレルワークやチームで活動を行う人たちをゲストに迎えたトークイベント、「フリーランスやパラレルワーカーは “個人の時代” から “チームの時代”へ。チームランサーMeetup Vol.1」が行われました。

第一部では、プラットフォーム事業やメディア業を展開するかたわら、ライフワークとして起業支援やアドバイス業も行う鳥井謙吾さんと、株式会社HARESの創業者であり、ランサーズ株式会社 オープンタレント推進室の社員でもある西村創一朗さんによる対談が行われました。

実際にパラレルワークをしているお2人からは、今後、複業を考える人たちへ向けて、フリーランスならではの苦労や、成功する人とそうでない人の違いなどが語られました。

 

鳥井 謙吾さん(イノベーションハック株式会社CEO、ファーストペンギン大学学長)

定時帰りのベンチャー経営者。プラットフォーム事業やメディア業を展開する傍ら、ライフワークとして起業の支援やアドバイス業も行う。2017年に入り、個人の時代からチームの時代に移行していることを感じ、オンライン大学「トリイくんのファーストペンギン大学」を設立。大学のビジョン【ひとりぼっちで挑戦させない社会を創る】の達成ため、高校生から経営者まで様々な人種が互いに助け合い、共に事業を創り出していく環境の提供に力を入れている。

西村 創一朗さん(株式会社HARES 代表取締役社長、ランサーズ株式会社社員)

1988年、神奈川県生まれ。首都大学東京法学系を卒業後、2011年に新卒で大手人材総合会社に入社。「二兎を追って二兎を得れるよのなかをつくる」をビジョンに掲げ、2015年に株式会社HARESを創業。現在はランサーズ株式会社でオープンタレント推進室で複業社員としても勤務。大学一年時に学生結婚し、19歳で父親になり、現在は小学校2年生の長男と5歳の次男、1歳の長女の三児の父。NPO法人ファザーリングジャパンにて最年少理事を務める。

 

「好き」を仕事にしなくてもいい。「できる」をやるうちに「好きな仕事」になることも

西村: 鳥井さんは、いつ独立をしたんですか?

鳥井:新卒で入社した会社を3年半で退社したのですが、その時はすぐに起業するつもりもなく、まったくのノープランでした。半年間はぼーっと過ごしていました。

西村:もともと独立志向はあったのでしょうか?

鳥井: ありました。ただし、起業するにしても、その前に会社員の経験も必要かなと思って入社したんです。当時、社内では、ベンチャー企業の立ち上げに関わる仕事をしていたので、自分が独立する時にこの経験はすごく役に立ちました。

西村:先ほど、「ノープランで会社を辞めた」とおっしゃっていましたが、独立はある意味、会社員からの「逃げ」でもあったのでしょうか?

鳥井:私は、人の下で働くことがとてもストレスで、組織で働くことは性格に合っていませんでした。物事を動かす時には、自分が常にトップでいたいという気持ちが強いんです。それでいてもたってもいられず、会社を辞めてしまいました。本当は、複業をしつつ、複業の収入がある程度上がったら独立するのが理想的ですけどね。

西村:起業してもすぐに成功したわけではなく、迷走して、失敗もしたそうですが、そこから転換したカギは何だったのでしょうか?

鳥井:「フリーランスはものすごい実力を持っていないと、お金は稼げない」という漠然とした先入観を持っていたんです。仕事の分野はたくさんあるけれど、その中で上位5人くらいにならないと仕事はないと思っていました。自分には会社で学んだスキルしかなく、果たしてどこまで実力をつけたら稼げるのかと、ずっと悩んでいたんです。そこで、実際にフリーランスで働く人たちと会って話を聞くことにしました。そしたら、「自分でもできるんじゃないか?」と思えるようになったんです。そこから、まずはやってみようと色々始めることにしました。そこが転換期かなと思います。

西村:フリーランスといっても業種はざまざまありますが、いずれもスキルを売るための「自分の値付け」をすることが第一歩だと思うんです。鳥井さんは、まず何から始めましたか?

鳥井:会社で学んできたコンサルタントのノウハウを、個人へ教えることから始めました。実際、マーケティングとしては迷走していましたが、販売方法からブログの書き方まで、とにかく何でも教えていましたね。

西村:初めからうまくいくことは難しいですよね。とにかく何でもやってみて、それが売れたらどんどん伸ばしていけばいいし、売れなかったらまた新しいことへ挑戦していく。この繰り返しだと思うんですが、鳥井さんの中で一番ヒットしたものは何ですか?

鳥井:ウェブが苦手だという人たちへ、ネット販売やブログの構築などについて教える仕事ですかね。相手は個人事業主や小さな商店の経営者が多かったですが、皆さんが私に依頼してくれたのは、「IT企業出身」という肩書きが大きかったのではないでしょうか。ただし、あくまでこれはお金を稼ぐための仕事で、自分がやりたい仕事ではありませんでした。お金になることとやりたいことは、やっぱり違うとつくづく感じます。

西村:そこは割り切ることも大切だと。

鳥井:そうですね。「『好き』を仕事にしよう」というキャッチコピーがありますが、そもそも自分の「好き」を正確に判断することは難しいと思いませんか? 「好き」はあくまで主観ですから、自分がどう思うかで「好き」もどんどん変化しますよね。

西村: 「好きを仕事にする」なのか「仕事を好きになる」なのか、分からなくなることはよくありますね。

鳥井:結局、時が経つと曖昧になるものだと思うんです。仕事もやっているうちにできることが増えてきて、それまで嫌いだったものでも好きになることがあります。すると仕事が楽しくなってきますよね。こうなってくると、「仕事が好き」なのか「好きな仕事」なのかが分からなくなってくるんです。そう考えると、「好き」ってそこまで重要ではないのかな、と思うこともあります。

 

フリーランスで一番大切な「環境構築力」が高い人と低い人の違い

西村:鳥井さんには、現在、自分が本当にやりたい仕事はありますか?

鳥井:私がずっとやりたいと思っていることは、教育事業です。教育には、「環境」と「知識」の2つの軸があるのですが、現在運営しているオンラインサロンでは、「環境」を提供しています。また、私が代表を務めているイノベーションハック株式会社では、マーケティングサービスを提供していますが、こちらは「知識」にあたるものになります。この会社を運営していて感じるのは、重要な「知識」はウェブ上に落ちていないということ。メディア関連の仕事をやればやるほど、本当に価値がある情報ってなかなか落ちていないと感じます。

西村:究極の情報収集は、こうしたイベントなどの一次情報を得ることですよね。情報の内容が濃いし、真実味がある。

鳥井:ウェブで検索して出てきたものを見ていても、情報の質が低いと感じます。そこをどうにかひっくり返したいんですよね。私は、教育はインフラにするべきだと思っていて、どんな人でも無料でレベルの高い情報にアクセスできる世の中にしたいんです。まだまだ道のりは遠いですが、どんどん挑戦していきたいです。

西村:鳥井さんは、その足がかりとして、ファーストペンギン大学やオンラインサロンを運営していますよね。実際、ファーストペンギン大学には、パラレルワークをしていたり、フリーランスをしていたりとさまざまな人がいます。彼らを見ていて、成功する人と失敗する人の違いを感じることはありますか?

鳥井:この質問、かなり悩みますね。ですが、普段はフリーランスやパラレルワーカーとして個人で活動する人たちが、チームを組んで仕事をするという形は、時代の流れを切り取っていると思います。ブロガーなど、いわゆるインフルエンサーと呼ばれる人たちは、1人で仕事をこなしているイメージですが、中にはチームを組んで協力し合っている場合もあるんです。私は、こうした個人がチームを組んで協力する力のことを「環境構築力」と呼んでいますが、この能力が高い人は、成果が出やすいと思います。それに、個人で働く人にとって、一番重要な能力ではないでしょうか。

西村:自分の名前をブランド化して、うまく仕事をしている人たちも、初めからインフルエンサーだったわけではありませんよね。自分の努力はもちろんですが、誰かが引っ張りあげてくれる環境も必要です。いかに面白いと思わせるか、役に立つと思わせるかは重要ですが、それをいかに大勢へ認識してもらえるかどうかというのは、また別のものですからね。ちなみに、環境構築力を高めるためには、どうすればいいのでしょうか。

鳥井:オンラインサロンを運営していると、その場ですぐに仲間を見つけて行動を起こす人がいますが、こういう人は環境構築力が高いですね。逆に、環境構築力がない人は、知識ばかり持って帰って、一人でやろうとします。インプットで終わってしまい、アウトプットをしません。仲間を作って、お互いに意見を出して、足りないことを補い合うことでアウトプットは何倍にもなるんです。

 

仕事がどんどん集まるフリーランスは「ギブ」の精神を持っている

西村:自分の強みと弱みを把握していて、それを他者へ伝えられる人は確かに強いですし、仲間も作りやすいですよね。しかし、そもそもフリーランスになった人は、こうした組織的な関わりが苦手だというタイプもいると思います。こうした人でも、環境構築力は得られるものでしょうか。

鳥井:フリーランスなどのスモールビジネスは、9割がコミュニケーション能力で成立していると思います。ただし、対面などのリアルが苦手でも、ネット上なら大丈夫というのであれば、まったく問題はありません。リアルでもネットでもコミュニケーションが苦手という人は、ちょっと難しいかもしれませんね。

西村:自分に合ったコミュニケーションスタイルが確立できれば大丈夫ということですね。私は、フリーランス活動を始めて1~2年でどんどん仕事が増えている人へ、「どうやって仕事を獲得しているの?」とよく聞くのですが、だいたいの人は、知人や友人の紹介だと答えるんです。そう考えると、他者との関係構築はかなり大事ですよね。 会社員はチームも環境もすべて会社が用意してくれるので、受け身で仕事をすることができますが、フリーランスはそれらを自分で作っていかないといけない。もし、それが苦手だと思うなら、会社員のほうが向いているかもしれません。

鳥井:そうですね。自分で環境を作ることは、思った以上にコミュニケーション能力が大切ですから。

西村:しかし、コミュニケーション能力は生まれ持ったものではなく、どれだけ経験をしてきたかに尽きると思うんです。経験を積んでいけば、コミュニケーションが苦手な人でもどんどん得意になってくる。ポイントは成功体験をたくさん重ねることではないでしょうか。

「Teamlancer」では、こうした協力するメンバーを集めて仕事をすることが可能になりましたが、チームを組んで仕事をしたいと思った時、コミュニケーション能力以外にも持っておきたいスキルはありますか?

鳥井:フリーランスで仕事がどんどん集まってくる人というのは、頼まれてもいないのに人へ教えたり、何かを与える精神が強いんですよ。この「ギブ精神」は、環境構築力とはまた別のスキルですが、大切なことだとおもいます。

西村:すでにやりたいことをやっている人がいれば、そこで自分ができることをする。最初は報酬にならないかもしれないが、「ギブ精神」によって信用が積み重ねられて、いずれ「あなたに任せたい」という人が出てくるということですね。

 

パラレルワーク・フリーランスのデメリットをメリットへ変える「チーム」という働き方

パラレルワークやフリーランスにとって、1人で仕事をこなすことは、自分の裁量で進められるなどのメリットであると同時に、大きな仕事は手を出しづらいというデメリットでもあります。このデメリットが解消されることで、パラレルワークを含めたフリーランサーには、よりいっそうの活躍の場が広がりそうです。もちろん、チームで働くためには、コミュニケーション能力などのスキルも必要になってきますが、普段は「個」で働きながら、大きな案件には集団で立ち向かうという働き方は、今後、注目されていくのではないでしょうか。

 

後編では、実際に「Teamlancer」のチーム機能によりチームを組んで仕事をしている人たちのライトニングトークを紹介します)