子どもの夏休み、在宅ワークは無理? 4児の母に聞いた長期休暇の乗り越え方
今年も夏休みシーズンがやってきました。子育て世代の在宅ワーカーにとっては悩ましい季節でもあります。いつもなら子どもが小学校や保育園に行っている間に仕事ができますが、子どもが日中も家にいる夏休み中は全くはかどらないこともあるでしょう。
そこで今回は、小学生3人、未就学児1人の計4人を育てる在宅ワーカーの谷口晃子さんに、長期休暇中でも仕事と家庭を両立するコツを聞きました。コロナ禍でテレワークに切り替えたものの、子どもの休校・休園で仕事がなかなか進まず困っている親御さんも、ぜひ参考にしてみてください。
目次
ライター
子育て世代の多いHELP YOUだから支え合える
──お子さんが4人いらっしゃるんですよね。おいくつですか?
──HELP YOU(※)には多数のクライアント業務がありますが、谷口さんはどのような案件を担当していますか?
──シフト業務だとスポット業務と比べて時間の融通が利かないので、育児との両立が難しいのではないでしょうか?
しかし、私がHELP YOUで担当しているシフト業務は10人のチーム体制で行われており、急な欠員が出てもフォローし合える環境が整っています。もちろん、家庭の事情で急に休むときには、ご迷惑をおかけして申し訳ないという気持ちはありますが、チーム内に子育て中のお母さんが多く、理解がある方ばかりなのでありがたいですね。
HELP YOUだからこそ、子育て中でもシフト業務を選べたのかもしれません。
仕事中に話しかけられても「後で」と言わない
──夏休み期間中はお子さんが家にいることが多いので、在宅ワークだと、なかなか仕事がはかどらないという声も聞きます。その期間だけ、特別に業務量を調整していますか?──夏休みも平常運転とは意外です!
──とはいえ、仕事中にお子さんが話しかけてきたり、機嫌が悪くなったりすることもあるのではないでしょうか?
仕事をしながら相づちを打つときもありますが、働いた時間に対して報酬が発生するシフト業務を担当している以上、あまり手を止めることができません。そのため、重要な話題のときには、仕事が終わった後に時間を別途つくるようにしています。
その際に、単に「待ってね」「後でね」と断るのではなく、「今お仕事中だから、今日の◯時から話そうね」「今日は時間がないから、日曜日にゆっくり話そうね」など、具体的に約束することを意識しています。あくまでも我が子の場合ですが、いつになったらママと話せるのか、見通しを立てられると気持ちの整理がつくようです。
きちんと約束を守ってあげることで「ママはちゃんと自分と話す時間をつくってくれる」という安心感が子どもの中に生まれ、段々と待つことを覚えてくれました。「ママとの約束」が待っている間のお守りになるのでしょうね。
子どもに選択肢を与えることが納得感を生む
──仕事が時間内に終わらず、お子さんとの約束を守れないときはどのように穴埋めをしていますか?
例えば「夕食の後まで待って話す」か「日を改めて土日にゆっくり話す」かの2択を提示し、子ども自身に選んでもらうようにしています。こちらが一方的に約束を破棄したうえに代替案まで決めてしまうと、子どもとしても納得がいかないでしょう。選択権を子どもに渡すことで折り合いをつけています。
とはいえ、在宅ワークを始めた当初は「なんで今すぐ話せないの、なんで」と納得してくれないことも、もちろんありました(笑)。
──仕事の途中で話しかけられて集中力が切れてしまうこともあると思いますが、何か対策はありますか?
大前提として「ママの時間は自分(子ども)だけのものではない」と理解してもらえるよう常日頃から話し合いを重ねています。
また、在宅ワークの場合は、側から見ると家でパソコンを開いているだけなので、仕事をしているように映らない可能性があります。そのため、在宅ワークを始めた当初は「パソコンを開いているとき=仕事中」だと、きちんと言葉に出して伝えるようにしました。
大家族だからこそ一人ひとりとの時間を大切に
──夏休みということで、お子さん一人ひとりとはどのような時間を過ごしていますか?
我が家の子どもの場合、2人きりだと驚くほど素直なんですよ。他の兄妹がいないからこそ、思っていることをスムーズに伝えられるのでしょうね。そのため、少なくとも週に1~2時間は2人でゆっくり過ごす時間をつくるようにしています。
夏休みも普段通りシフトを入れているので、特別かまってあげることはできないのですが、だからこそ土日や送り迎えの時間に子どもとゆっくり向き合うことを大切にしています。
子どもたちも家事に参加! お願いのコツは〇〇
──お子さん4人+両親の6人家族だと、一つひとつの家事が重労働でしょう。どのようにやりくりしていますか?
夏休み期間中は特に、子どもたちが家事を手伝ってくれるので助かっています。
家事を手伝ってもらっている背景には、何より子どもたちの自立を促したいという思いがあります。子どもは親の所有物ではなく、今はあくまでも巣立っていくための準備期間。子どもたちに生活力を身につけさせるためにも、炊事や洗濯、掃除をできる範囲から始め、ひと通り覚えてもらうことが重要だと考えています。
──家事に消極的なお子さんもいるかと思いますが、どのように行動を促していますか?
このときに重要なのは、できるだけ名指しでお願いしないことです。4人も子どもがいる状況で一人だけにお願いをすると「なんで自分だけ」という気持ちが生まれるでしょう。全員に向けて「誰かやってくれない? お願い」と言うことで、子どもたちの中に選択肢が生まれ、かえって動いてもらいやすくなるんです。
ストレスをためない秘訣は「全体像を見ること」
──お子さんに家事を任せることで親の負担が減るケースもありますが、うまく事が運ばないと、反対にストレスになってしまう場合も考えられます。ストレスをためないコツは何でしょう?
家事の細かな段取りにこだわっていた頃は、家庭内がギスギスしていたように思います。「これじゃダメだ」と悩んでいたときに、ママ友のアドバイスを受け、考えを改めたところ家庭がうまく回り始めました。
──他人のアドバイスを聞いて、すぐに意識を切り替えられるのはすごいですね!
それに、細かなこだわりを捨てた方が、結果的に私もハッピーなんですよ。ママが笑っていると、子どもたちもハッピー。子どもたちが笑顔だと、私も嬉しい。そのために、良いと思ったアドバイスは積極的に取り入れるようにしていますね。
子どもとの対話で乗り越えた、コロナ禍の休校
──ところで、谷口さんがHELP YOUに入会したのが2020年の2月で、その年の4月にコロナ禍で初めての緊急事態宣言が発令されましたよね。小学校や保育園は休校・休園になりましたか?──とはいえ、ご苦労されたのでは?
子どもに「静かにして」と言ってもなかなか難しいので、いつもはリビングで仕事をしているのですが、その時ばかりは自分自身を別室に隔離することで解決しました。物理的に仕事場と生活スペースを分けた方が、子どもたちにとっても「ママは仕事中」だとわかりやすいと思ったんです。
子どもの日中の過ごし方については、それぞれの希望を聞きながら少しずつ話し合って決めました。「ゲームをしたい」「YouTubeを観たい」など、各々やりたいことがあるので、それに対して私が「1時間だけならゲームをしてもいいよ」「勉強が終わったらYouTubeを観てもいいよ」などの条件を提示し、お互いに妥協できるポイントをすり合わせていくようなイメージですね。
──谷口さんのお話を伺っていると、話し合いをとても大事にしていると感じます。
近い存在なだけに、家族に対して「わかってくれるだろう」「言わなくても当たり前」と思ってしまいがちなのですが、通じ合うことは当たり前じゃないんですよ。コロナ禍で家族といる時間が増えて強くそう感じました。だからこそ、今後も子どもたちとの対話を大切にしていきたいですね。
谷口さんが在宅ワークをするHELP YOUについて
HELP YOUでは、世界各国・全国各地から集まった約400人のメンバーがフルリモートで活躍中です。2021年6月に実施したアンケートによると、メンバーの約65パーセントは子育て中、あるいは子育て経験者で、家族との時間を大切にしながら働いている人が多くいます。
谷口さんもその一人で、夏休み期間中も9時から16時までシフトを入れてバリバリ働きながら、育児も楽しんでいる様子が見てとれました。家族のあり方は千差万別ですが、もし参考にできそうな部分があれば、ぜひ谷口家流の家庭運営ノウハウを取り入れてみてください。
アイキャッチデザイン/今泉香織
Link