子どもの夏休み、在宅ワークは無理? 4児の母に聞いた長期休暇の乗り越え方

今年も夏休みシーズンがやってきました。子育て世代の在宅ワーカーにとっては悩ましい季節でもあります。いつもなら子どもが小学校や保育園に行っている間に仕事ができますが、子どもが日中も家にいる夏休み中は全くはかどらないこともあるでしょう。

そこで今回は、小学生3人、未就学児1人の計4人を育てる在宅ワーカーの谷口晃子さんに、長期休暇中でも仕事と家庭を両立するコツを聞きました。コロナ禍でテレワークに切り替えたものの、子どもの休校・休園で仕事がなかなか進まず困っている親御さんも、ぜひ参考にしてみてください。

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ライター

三代知香
飛騨在住のフリー編集者。会社員時代はIT企業でマーケティングやPM、自社ブログの編集長を経験。メディアの立ち上げ経験を生かし、「くらしと仕事」のアクセス解析や新人育成を通して成果向上に取り組むほか、インタビューライターとして働き方や地方活性化をテーマとした記事を手がける。1児の母。→執筆記事一覧

子育て世代の多いHELP YOUだから支え合える

──お子さんが4人いらっしゃるんですよね。おいくつですか?

上から小学校6年生、4年生、1年生で、一番下の子は保育園の年少さんです。

──HELP YOU(※)には多数のクライアント業務がありますが、谷口さんはどのような案件を担当していますか?

メインの案件は2件で、うち1件は営業事務の仕事です。平日は毎日9時から16時までシフトが入っています。

※ HELP YOUでは、世界各国・全国各地から集まった約400人のリモートワーカーが、オンラインアウトソーシング事業を支えるメンバーとして活躍中です。詳しくはこちらのページをご参照ください。

──シフト業務だとスポット業務と比べて時間の融通が利かないので、育児との両立が難しいのではないでしょうか?

確かに、特に子どもが小さいうちは急な発熱などもあるので、稼働する時間帯が決まっているシフト業務と育児は相性が良くないかもしれません。実際に、HELP YOUへジョインする以前、オフィス出社を前提とした会社で働いていた頃は、子どもが熱を出して休むたびに「仕事に穴をあけてしまって申し訳ない」という気持ちでいっぱいでした。

しかし、私がHELP YOUで担当しているシフト業務は10人のチーム体制で行われており、急な欠員が出てもフォローし合える環境が整っています。もちろん、家庭の事情で急に休むときには、ご迷惑をおかけして申し訳ないという気持ちはありますが、チーム内に子育て中のお母さんが多く、理解がある方ばかりなのでありがたいですね。

HELP YOUだからこそ、子育て中でもシフト業務を選べたのかもしれません。

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仕事中に話しかけられても「後で」と言わない

谷口家では、上の子が下の子の宿題を見てあげるスタイル。

──夏休み期間中はお子さんが家にいることが多いので、在宅ワークだと、なかなか仕事がはかどらないという声も聞きます。その期間だけ、特別に業務量を調整していますか?

特に業務を減らすことはなく、通常と同じようにシフトを入れています。

──夏休みも平常運転とは意外です!

一番下の子についていうと、お盆の数日間は保育園も休園になりますが、それ以外の日はいつも通り登園します。小学生3人については家にいる時間が増えますが、兄妹で一緒に勉強をしたり、外で友だちと遊んだりと子どもだけで過ごしてくれるので、夏休みとはいえ普段とそこまで大きな差はないかな、と。

──とはいえ、仕事中にお子さんが話しかけてきたり、機嫌が悪くなったりすることもあるのではないでしょうか?

ありますね(笑)。夏休みに限らず、学校があるときも、帰宅した子どもたちが矢継ぎ早に話しかけてきます。「お帰り」と言ってあげたくて始めた在宅ワークですが、仕事場と生活スペースが分かれていないのがネックですよね。

仕事をしながら相づちを打つときもありますが、働いた時間に対して報酬が発生するシフト業務を担当している以上、あまり手を止めることができません。そのため、重要な話題のときには、仕事が終わった後に時間を別途つくるようにしています。

その際に、単に「待ってね」「後でね」と断るのではなく、「今お仕事中だから、今日の◯時から話そうね」「今日は時間がないから、日曜日にゆっくり話そうね」など、具体的に約束することを意識しています。あくまでも我が子の場合ですが、いつになったらママと話せるのか、見通しを立てられると気持ちの整理がつくようです。

きちんと約束を守ってあげることで「ママはちゃんと自分と話す時間をつくってくれる」という安心感が子どもの中に生まれ、段々と待つことを覚えてくれました。「ママとの約束」が待っている間のお守りになるのでしょうね。

子どもに選択肢を与えることが納得感を生む

──仕事が時間内に終わらず、お子さんとの約束を守れないときはどのように穴埋めをしていますか?

そのような場合には、約束の時間に間に合わないとわかった時点で子どもに謝り、次に「今こういう状況だから約束を守るのが難しい」と理由を説明したうえでリスケの提案をします。そのときに大事にしているのは、子どもに選択肢を与えることです。

例えば「夕食の後まで待って話す」か「日を改めて土日にゆっくり話す」かの2択を提示し、子ども自身に選んでもらうようにしています。こちらが一方的に約束を破棄したうえに代替案まで決めてしまうと、子どもとしても納得がいかないでしょう。選択権を子どもに渡すことで折り合いをつけています。

とはいえ、在宅ワークを始めた当初は「なんで今すぐ話せないの、なんで」と納得してくれないことも、もちろんありました(笑)。

──仕事の途中で話しかけられて集中力が切れてしまうこともあると思いますが、何か対策はありますか?

そのような状況をできるだけつくらないために、まずは家族からの理解を得ることではないでしょうか。

大前提として「ママの時間は自分(子ども)だけのものではない」と理解してもらえるよう常日頃から話し合いを重ねています。

また、在宅ワークの場合は、側から見ると家でパソコンを開いているだけなので、仕事をしているように映らない可能性があります。そのため、在宅ワークを始めた当初は「パソコンを開いているとき=仕事中」だと、きちんと言葉に出して伝えるようにしました。

大家族だからこそ一人ひとりとの時間を大切に

──夏休みということで、お子さん一人ひとりとはどのような時間を過ごしていますか?

長男は野球の習い事に週2で通っているので、送り迎えの時間に会話をしています。長女と次女については、カフェや本屋さんなど、それぞれが行きたい場所へ土日に出かけるようにしていますね。三女とは、保育園のお迎え後によく買い出しをするので、そのときに2人の時間を過ごしています。

我が家の子どもの場合、2人きりだと驚くほど素直なんですよ。他の兄妹がいないからこそ、思っていることをスムーズに伝えられるのでしょうね。そのため、少なくとも週に1~2時間は2人でゆっくり過ごす時間をつくるようにしています。

夏休みも普段通りシフトを入れているので、特別かまってあげることはできないのですが、だからこそ土日や送り迎えの時間に子どもとゆっくり向き合うことを大切にしています。

子どもたちも家事に参加! お願いのコツは〇〇

──お子さん4人+両親の6人家族だと、一つひとつの家事が重労働でしょう。どのようにやりくりしていますか?

日中は家事に時間を割けない分、朝と夜の時間を使ってうまくやりくりをするようにしています。朝5時半に起きて、朝ごはんの用意や三女の登園準備をしつつ、夜ごはんの下ごしらえも済ませるのが日課です。

夏休み期間中は特に、子どもたちが家事を手伝ってくれるので助かっています。

家事を手伝ってもらっている背景には、何より子どもたちの自立を促したいという思いがあります。子どもは親の所有物ではなく、今はあくまでも巣立っていくための準備期間。子どもたちに生活力を身につけさせるためにも、炊事や洗濯、掃除をできる範囲から始め、ひと通り覚えてもらうことが重要だと考えています。

──家事に消極的なお子さんもいるかと思いますが、どのように行動を促していますか?

お願いの仕方を工夫するようにしています。子どもの性格にもよると思いますが、谷口家では「今その家事をやるメリット」を説明したうえで、子どもの返事を待たずに「(引き受けてくれて)ありがとう!」と先にお礼を言ってしまうと大抵の場合は動いてくれますね。

このときに重要なのは、できるだけ名指しでお願いしないことです。4人も子どもがいる状況で一人だけにお願いをすると「なんで自分だけ」という気持ちが生まれるでしょう。全員に向けて「誰かやってくれない? お願い」と言うことで、子どもたちの中に選択肢が生まれ、かえって動いてもらいやすくなるんです。

ストレスをためない秘訣は「全体像を見ること」

──お子さんに家事を任せることで親の負担が減るケースもありますが、うまく事が運ばないと、反対にストレスになってしまう場合も考えられます。ストレスをためないコツは何でしょう?

物事の細部ではなく、全体像を見ることです。もともと、あらかじめ自分が決めた手順の通りに物事が進まないとストレスがたまるタイプの人間だったのですが、小学校のママ友からもらったアドバイスをきっかけに意識が変わりました。起きてから寝るまでの1日全体を見渡したときに、途中経過はさておき、大まかにでも家庭が回っていたらいいのかな、と思えるようになったんです。

家事の細かな段取りにこだわっていた頃は、家庭内がギスギスしていたように思います。「これじゃダメだ」と悩んでいたときに、ママ友のアドバイスを受け、考えを改めたところ家庭がうまく回り始めました。

──他人のアドバイスを聞いて、すぐに意識を切り替えられるのはすごいですね!

子どものやる気の芽を摘みたくないという思いが強く、それゆえに自分自身の考え方を矯正できたのかな、と。せっかく子どもが家事をやる気になっているのに、私がプロセスの細部にまでこだわってイライラしていたら、モチベーションが下がってしまいますよね。そのような記憶って、意外と成人した後も残るもので、私のせいで家事が嫌いな大人になってしまう可能性もあります。

それに、細かなこだわりを捨てた方が、結果的に私もハッピーなんですよ。ママが笑っていると、子どもたちもハッピー。子どもたちが笑顔だと、私も嬉しい。そのために、良いと思ったアドバイスは積極的に取り入れるようにしていますね。

子どもとの対話で乗り越えた、コロナ禍の休校

パジャマ姿で誕生日会。2歳を過ぎると子どもだけで寝るのが谷口家流。

──ところで、谷口さんがHELP YOUに入会したのが2020年の2月で、その年の4月にコロナ禍で初めての緊急事態宣言が発令されましたよね。小学校や保育園は休校・休園になりましたか?

はい、春先から小学校が休校になり、暑い時期まで続いたと記憶しています。当時、まだ入会したばかりだったこともあり、そこまで仕事を入れていなかったので何とかなりました。

──とはいえ、ご苦労されたのでは?

はい、大変でした(笑)。ただでさえ、10年間ずっと専業主婦で就業ブランクがあったうえに、慣れない在宅ワークをしている横で、子どもたちが遊んだり喧嘩したり……。

子どもに「静かにして」と言ってもなかなか難しいので、いつもはリビングで仕事をしているのですが、その時ばかりは自分自身を別室に隔離することで解決しました。物理的に仕事場と生活スペースを分けた方が、子どもたちにとっても「ママは仕事中」だとわかりやすいと思ったんです。

子どもの日中の過ごし方については、それぞれの希望を聞きながら少しずつ話し合って決めました。「ゲームをしたい」「YouTubeを観たい」など、各々やりたいことがあるので、それに対して私が「1時間だけならゲームをしてもいいよ」「勉強が終わったらYouTubeを観てもいいよ」などの条件を提示し、お互いに妥協できるポイントをすり合わせていくようなイメージですね。

突然の休園・休校!元気な子どもと在宅ワーク体験談【座談会レポート】

──谷口さんのお話を伺っていると、話し合いをとても大事にしていると感じます。

他者に決められて動くのって、子どもにとってすごく嫌なことだと思うんです。実際に、話し合いのプロセスを省いてしまって関係がこじれた経験もあるので……。

近い存在なだけに、家族に対して「わかってくれるだろう」「言わなくても当たり前」と思ってしまいがちなのですが、通じ合うことは当たり前じゃないんですよ。コロナ禍で家族といる時間が増えて強くそう感じました。だからこそ、今後も子どもたちとの対話を大切にしていきたいですね。

専業主婦歴10年、4児の母がリモートワークで復職。仕事と育児を両立する方法とは

谷口さんが在宅ワークをするHELP YOUについて

HELP YOUでは、世界各国・全国各地から集まった約400人のメンバーがフルリモートで活躍中です。2021年6月に実施したアンケートによると、メンバーの約65パーセントは子育て中、あるいは子育て経験者で、家族との時間を大切にしながら働いている人が多くいます。

谷口さんもその一人で、夏休み期間中も9時から16時までシフトを入れてバリバリ働きながら、育児も楽しんでいる様子が見てとれました。家族のあり方は千差万別ですが、もし参考にできそうな部分があれば、ぜひ谷口家流の家庭運営ノウハウを取り入れてみてください。

アイキャッチデザイン/今泉香織

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