副業で人生が好転!? 2児の父に学ぶ、“お試し転職”という選択肢

年々、増加傾向にある転職希望者。コロナをきっかけに、働き方が大きく変化する中、キャリアの見直しをしたいと思っている方は多いのではないでしょうか?

今回、お話を伺った2児の父で、株式会社ニットに所属する幸若行洋さんも、コロナ禍で転職を決意した人の一人です。2年前に業務委託の副業としてニットでシステム開発の仕事を始め、今では社員に転向されています。従来とは異なり、副業を通じて“お試し転職”することで会社の雰囲気を十分に理解し、リスクを背負わずに転職を成功させました。

フルリモートワークのニットだからこそスムーズに始められた副業、本業とのバランスの取り方、ニットで働き始めたことで起きた生活の変化についてお聞きしました。

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ライター

富田敏裕
神奈川県、藤沢市出身。新卒で化粧品会社に就職後、10年間勤務したのち退職。2021年4月からケニアに家族で移住し、主夫として生活を始める。「柔軟な生き方や働き方を世の中に広める」ことを目指し、「HELP YOU」でライターとして活動中。

転職を視野に、本業を続けながら模索した新しい働き方

新たに挑戦したコワーキングスペースの仕事。多くの人との出会いが刺激的だったという

ニットで副業を始めた経緯を教えてください。

元々、長くウェブ業界で制作業務に従事していたのですが、結婚や子供の誕生を機に、将来的に地元である福岡へのUターンを考え、働く環境を見直すことにしました。色々と調べた結果、東京と福岡に拠点があり、コワーキングスペースなどを運営するベンチャー企業へ転職したのです。私はその会社で複数のコワーキングスペースをマネジメントしていたのですが、基本的に拠点に張り付きで、場所によっては通勤時間が往復3時間かかることから、継続的にキャリアを積んでいけるのか、次第に不安を持つようになりました。

そんな中、2人目の子供を妻が妊娠し、仕事の忙しさもピークを迎えた結果、とうとう体調を崩してしまったのです。実は前の会社でも子供が生まれるタイミングで多忙を極め、体調を崩した経験があり、よく「良いことと悪いことは同時に起こる」と言いますが、今振り返ると本当にそうだな…と実感しています(笑)。

体調を崩した時期に改めて将来のことをじっくり考えたのですが、転職を視野に、より自分に合った新しい働き方ができないかと思うようになりました。とはいえ前職の会社もベンチャー企業なので、一人抜けることの影響も気がかりで、なるべく迷惑をかけないようにと、まずは仕事を続けながらできることを探すことにしました。

新しい働き方を模索する中で考えたのは、自分がどんなときに集中できて、喜びを感じられるのか、ということ。これまでの人生を振り返ってみると、私の場合は業務改善や効率化によって人の役に立てたときに、そういった感情が生まれると気付くことができました。

それから、ツイッターで業務改善といった興味のある分野でキーワード検索をしてみると、偶然にも当時ニットで働いていた社員の方がヒットしたのです。さらに、ニットのことを調べてみると、会社のビジョンやフルリモートワークの働き方に強い関心が沸いたため、当時開発業務のポジションでの求人は出ていなかったのですが、思い切って会社の代表メールに問い合わせをしてみました。ダメもとでしたが、ちょうどニットの中で自社システムの開発プロジェクトが動いており、ウェブ業界にいたときの経験も活かせそうだったので、お互いに何度か面談を重ね、業務委託として副業でニットでの仕事を開始することができました。

その後、ニットの業務委託(副業)から正社員へと転向されています。どのような経緯があったのでしょうか?

理想の働き方を模索していたので、ニットの副業は私の中では“お試し転職”でもありました。もちろん、その当時、他の会社にも問い合わせていましたが、フルタイムの本業が忙しく積極的に転職活動する余力はなかったので、可能な範囲で活動していました。なので、フルリモートワークで出勤せずに働けるニットの副業は私にとって、とてもありがたい機会だったのです。

また、ニットが運営するオンラインアウトソーシングサービスの「HELP YOU」では様々な事情で働くことを断念した方を中心に、多様なメンバーがサービスを提供する一員としてジョインされています。そういった方々の様子を見ていても、社会的に意義のある会社だと感じていたので、私自身副業として働く中で段々とにニットへの想いが高まっていきました。

そして、携わっていたプロジェクトのメンバーとやりとりしたり、時に会社の事業会議にも参加させてもらったりと、限られた時間ではありましたが、会社の雰囲気をよく理解することができたのです。また、長く取り組んできたプロジェクトも途中で手放したくないと考え、しっかりと形にしてリリースしたいと思っていました。社員の方からも「幸若さんが入社してくれれば助かるよ!」と、ありがたいお話もいただけていたので、お互いに入社に対して良いイメージを持つことができたのだと思います。

今現在は、ニットでは正社員として仕事をし、さらに、副業として前職のコワーキングスペースにご入居いただいていた方の資料作成のサポートも行っています。なので、ちょうど本業の関りで行っていた仕事が副業になり、副業として働いていたニットの仕事が本業になったような状態ですね。

本業と副業のバランスで苦悩。経験者だからこそわかる注意すべきポイント!

ニットのシステム開発担当として、業務を下支えする幸若さん

副業としてニットに参加していた当時は、本業とバランスを取るのは大変ではなかったですか?

副業としてニットで仕事をしていた当時は、月20時間以内の稼働を目安に働くということで合意していました。初めての経験でかつ、本業も週5のフルタイム勤務だったので、基本的に稼働できるのは土日。あとは本業でもコロナ禍で週に多くて2回ほどリモートワークができる日もあったので、浮いた通勤時間を副業に充てるようにしていました。期せずして、コロナの影響でリモートワークが少しできるようになったのが大きかったです。それでも、タイミングによってはニットの仕事に思うような工数を割けず、ご迷惑おかけすることもありました。元々、時間管理が苦手なタイプで、限られた時間の中で成果物を出していくことに難しさを感じていましたね…。

幸若さんが考える本業と副業のバランスをとるための工夫や注意点はありますでしょうか?

副業の内容にもよると思いますが、時間をどれくらい確保できるか可能な限り現実的に見極めることが大事です。自分の場合は、大体これぐらい時間を取れるだろうなと想定していても、家庭の事情で予想していた工数が取れなかった時もありました。子供が病気をしてしまったとか、なるべくイレギュラーな事態も考慮して、稼働時間を握った方が自分を苦しめないと思います。

また、本業の稼働状況や家庭の状況なども、依頼元との関係性を考慮しつつ、オープンにできるところはしていました。「本業がフルタイム勤務なので、フレキシブルな対応・臨時対応は難しい」、「朝夕は子供の送迎があるので対応が難しい」などです。

そのほか、慣れないうちや自分の環境に不安要素があるうちは、受ける仕事のボリュームを可能な限り小さくして受けたほうが、結果的に自分の首もしめないし、依頼元に迷惑をかける可能性も最小限に抑えられるのではと思います。

あとは、家庭がある場合は、家族から理解を得ることが何より大事です。家事を分担されている場合、副業によってその時間分の負荷がパートナーにかかってしまう可能性もあります。私も、土日のどちらかに仕事をしないといけない場合は、他の時間で埋め合わせができるよう努力していました。

出勤が当たり前の世界から、フルリモートワークに移行。起きた変化とは?

リモートワークであっても、仲間と交流できる場があるので、孤独を感じないという

フルリモートワークのニットで働き始めて起きた生活の変化や心境の変化はありましたか?

フルリモートワークをすることで、家族との時間が増え、今までにない新しい生活スタイルを知ることができました。前職時代は子供の保育園へのお迎えは、時短勤務の妻が行っていたのですが、近くの保育園に入れたこともあり、現在は私が送り迎え両方を行っています。送り迎えのタイミングが仕事の開始・終了時間なので、うまくオンオフの切り替えができて一石二鳥ですね。

あとは、前職でコワーキングスペースの管理を行っていたときは、日々とても多くの人と出会っていました。それはそれで刺激的な毎日でしたが、今は自分が落ち着ける環境で、自分のペースで働けることに幸せを感じています。

一緒に働く仲間の印象を教えてください。

ニットに在籍するメンバーの方は、日本だけでなく世界各地からフルリモートで働いています。また、資料作成、ライティング、デザインなど案件に応じて様々なスキルを皆さんお持ちです。多様性はニットのバリューでもありますが、まさに働き方とスキルセット、2つの意味で多様性を存分に発揮していると思います。あとはフルリモートワークだからこそ、「お子さんを始めとした家族との時間を大切にしながら働いている」、「自分がやりたいことを実現できている」という印象がありますね。

日々の生活に「余白」を。自分のペースを大事にすること

ニットで働き始めたことで、より上手に家事分担ができるようになった幸若さんとご家族

パートナーとはどのように家事分担をされていますか?

私は料理が苦手なので、その分妻には負担をかけていますが…掃除は私のメインの役割です。いらないものを断捨離したり、整理整頓したり、部屋のレイアウト変更も好きで、私が行っています。ニットで働き始めてからは、私が子供のお迎えもできるようになったので、より上手に分担ができるようになったかな、と思いますね。

幸若さんが理想の働き方を実現する上で、大切にしたい価値観とは何でしょうか?

過去には、仕事が忙しくて余裕がなくなり、私自身体調を崩すこともあったので、「余裕、余白」という言葉を意識するようにしています。それは仕事だけではなく、普段の生活でも大事にしたい価値観ですね。自分に余裕がないと子供とも全力で遊んであげられないですから。

私はこれまで、色々な業務を経験してきましたが、常に自分や仲間がより便利に、働きやすくなるよう、意識的に業務改善や効率化の提案を行ってきました。なので、今後も仕組みを改善したり、新たに構築して少しでも一緒に働く仲間の余白時間を生み出すことができたらと思っています。

まとめ

幸若さんが転職を志したのは、前職での極端な忙しさから体調を崩したことがキッカケでした。しかしながら、そこから一歩踏み出し、お試し転職として副業を始めたことで、結果的に自身にとって理想の働き方に出会うことができました。フルリモートワークで、これまで以上に2児の父として家族との時間を大切にでき、副業を通じて人生が好転していきました。まさに逆境をチャンスに変えた、といえるでしょう。

今、自分のキャリアに悩んでいたり、新たなチャレンジをしてみたい!と思う方には、きっと幸若さんのたどった転職までの軌跡が参考になると思います。ぜひ、一歩踏み出してはいかがでしょうか?

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アイキャッチデザイン/今泉香織

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