地方移住成功のヒント! 地域とつながる空き家活用【鳥取移住体験談・前編】

地方移住成功のヒント! 地域とつながる空き家活用【鳥取移住体験談・前編】

リモートワークの普及により、住む場所にとらわれない働き方が広がるなか、地方への移住を選ぶ方が増えています。

しかし、新しい生活への期待を胸に移住する一方で、理想と現実のギャップに戸惑うケースも少なくないようです。
地方ならではの暮らし方やルールなどは、住んでみないと分からないものですよね。

HELP YOUの管理部門で正社員として働く吉井秀三さんは、結婚を機に鳥取県へ移住し、自宅でリモートワークを続けながら移住7年目を迎えました。

移住先にうまく馴染み、心地よく暮らし続ける秘けつとは何なのでしょうか?
吉井さんが、自身の体験談を交えながら語ってくれました。

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インタビュイー

吉井秀三さん
結婚を機に前職を退職して地方移住を始め、2017年にHELP YOUへジョイン。現在は管理部で、社内のリスク管理や業務システムの改善やセキュリティ向上に向けた取り組みを推進している。
パラレルワーカーとして地域貢献活動も行っており、空き家の活用イベントや鳥取のAI活用の講師としても活躍中。

ライター

岩下直人
千葉県船橋市出身。新卒でスポーツ用品メーカーに就職後、研究員として10年間勤務。退職と同時に家族4人で北海道下川町へ移住。役場職員として勤務していたが、子供と過ごす時間を増やしたいとの思いから再び退職し、HELP YOUにジョイン。現在はフリーランスのWEBライターとして活動しながら、さまざまな業務代行を請け負っている。→執筆記事一覧

空き家リノベーションで広がった地域の輪

自宅での家族団らんの様子。下に見えるウッドデッキもDIYで作ったものだそう。

──昨年にはなりますが、鳥取県「空き家利活用コンテスト2023」ベストDIY賞の受賞おめでとうございます! なぜコンテストに応募しようと思ったのでしょうか?

きっかけは、周りの方から「リノベーションが結構いい感じに仕上がってるから、出してみたら?」と声をかけてもらったことでした。

実は、こういった企画やイベントへの応募は意外と少ないんです。業者が手掛けたリノベーション事例はよく見かけますが、個人が空き家をセルフリノベーションしているケース、しかもそれが鳥取県内となると本当に数が限られているんですよね。

だからこそ、私たちの経験が広まれば、同じように空き家のセルフリノベーションに挑戦する人も増えるんじゃないかと思い、応募を決めました。

──そして、見事ベストDIY賞を受賞されたと。反響はいかがですか?

おかげさまで、鳥取県の空き家活用事例集(※)にも選んでいただき、複数のテレビ局から取材を受けることになりました。

テレビの影響もあって、「空き家のリノベーションをしたいんですが」と相談されることも増えてきました。

※空き家活用事例集:鳥取県では、空き家を改修して利活用している好事例を発掘するため「空き家利活用コンテスト」を開催。コンテストの入賞事例は事例集にまとめ、県のホームページで公開している。

──空き家活用の観点から、ワークスペースや民泊、ホームステイ先などさまざまな自宅の使い道を模索されていると伺いました。なぜ、そのような取り組みを始められたのでしょうか?

実は、このきっかけをくれたのは妻なんです。

彼女が「家を開放して、交流の場にしてみたらどう?」と提案してくれました。地方は、人口が少ない分、仕事の選択肢やさまざまな価値観に触れる機会も限られがちです。在宅で過ごしていると、どうしても視野が狭くなってしまうことがあります。

子どもには、さまざまな考え方に触れて成長してほしいと思っています。そこで自宅を民泊として開放すれば、多様な人々との出会いを通じて、新しい視点を得られるのではないかと考えたんです。

地域内でこの民泊の取り組みを共有したところ、ホームステイで1ヶ月半ほど滞在したいというフランスの方を紹介してもらいました。それ以降、素敵な出会いが広がって、ますます楽しみが増えています。

──フランス人ですか! それは新しい刺激が受けられそうですね。海外の方が訪れるケースも多いのでしょうか?

フランス人の方との一枚。さまざまな経歴を持った人と自宅で交流できるのも、民泊を運営しているからこそ得られる特権。

私の住む鹿野町には、リノベーションした小学校で演劇を行う「鳥の劇場」という団体があります。鹿野町は「鳥の劇場」のおかげで、アートに関わる方々が集まりやすい環境だと感じています。

そこにインターンシップでフランス人の学生さんが来られた際、私たちの自宅を受け入れ先として提供させてもらいました。

その方は料理やゲームが好きで、フランスのお菓子を一緒に作ったり、小学1年生の息子とゲームで遊んでくれたりと、楽しい時間を共に過ごしました。

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長く住み続けることで見えてきた、地域ならではの課題

生活感が残る空き家。傷んでいる箇所もありそのままでは住めないため、一つひとつ丁寧に「住める空き家」へとリノベーションしていく。

──自宅の空き家リノベーションと並行して、地域の方と空き家活用の会社を立ち上げたと伺いました。なぜ会社を立ち上げたのでしょうか?

実は今住んでいる町では、家を探している人に対して、住める状態の空き家が非常に少ないんです。

良い状態の物件が手頃な価格で見つかればいいのですが、現実はそう簡単ではありません。移住希望者は年間50人ほどいるのに対し、新しく賃貸として提供できる物件は、毎年わずか2〜3件程度しか増えていないんです。

私自身、今住んでいる家を見つけるのにとても苦労しました。そんな経験から、少しでも移住者の家探しが楽になればとの思いで、この会社を立ち上げました。空き家を購入するために必要なことを考えていたら、法人設立にたどり着いたんです。

──いわゆる外から来た「移住者」が会社を立ち上げて運営することは、ハードルも高く根気がいることだと思います。難しさを感じたことはありますか?

空き家活用の会社を運営するうえで、特に難しさを感じたことはありませんでした。それは、会社を立ち上げる前から空き家に関する地域イベントを手伝っていたことが大きいと思います。

会社は4名で運営しており、メンバーは地元鹿野町出身が2人、大阪出身が1人、そして私が鳥取県の別の地域出身です。今は全員が鹿野町に住んでいます。

メンバーそれぞれが、工務店やNPO法人など多様な経歴を持っているので、それぞれのコミュニティやスキルを活かしながら、うまく協力し合って進めることができています。

──なるほど!取り組みを始める前から地域の方々との関係性が出来上がっていたんですね。その関係を構築するうえで、何か工夫していたことはありますか?

なるべく簡単に済ませられることでも、できるだけ現地に足を運ぶようにしていました。例えば、イベントのビラ配り一つとっても、郵送した方がもちろん効率的ですが、人とのつながりを大切にしたいと思って、一件一件訪問するようにしていたんです。

また、一緒に車で移動している時でも、何気ない雑談の中から地域の課題が話題に上がったりすることがあります。そういう時間も大切にしていました。

今では当たり前になったオンライン会議も、当初は「難しそう」と考えすぎて、なかなか普及しませんでした。そんな時は、使い方を丁寧に説明して、お互いがコミュニケーションを取りやすい環境を整えることを心がけていました。

同じ目線に立って、置かれている状況を理解する

地域の方との話し合いの様子。課題点や改善点を共有し、解決の方向性をみんなで探っていく。

──関係を深めていく中で、きっとカルチャーギャップを感じるシーンもあったのではないかと思います。実際、そういう場面はありましたか?あれば、どのように向き合ってきましたか?

空き家の取り組みはスムーズに進んだものの、生活面ではいくつか疑問に思う点がありました。

ただ、移住したばかりの頃は状況がよく分からなかったので、特に目立った行動は起こさず、まずは様子を見ていました。自分が疑問に思うことも、その地域では昔から当たり前にやってきたことが多いですから、「それはおかしい!」と言ってしまうと、かえって反発を招いてしまうでしょう。

そこで、まずは自治会の役員などを経験して、地域の内部事情を理解することから始めました。そのうえで、何が課題なのか、どう改善すれば良いのかを少しずつ調べて、提案していくようにしました。

──そこまでできる人は少ないと思います。実際に、周りからの反応はいかがでしたか?

話をすると、相手もきちんと聞き入れてくれましたね。

会話した方の多くが物事を論理的に考えるタイプだったことが大きかったと思います。もし、感情的に判断するタイプの方だったら、うまくいかなかったかもしれません。

「昔からこのやり方でやってきたから、それに従うべきだ」と考える方もいますよね。そういう方が相手だと、話を進めるのは難しい部分もあると想像します。

でも、相手が提案に対して理解を示してくれる方であれば、会話の余地は十分あります。お互いに話し合いを重ねていけば、たいていのことは何とかなるものです。

共通の課題を感じている人が1人、2人と増えていけば、物事が進みやすくなるんだなと感じています。

──そのような取り組みを続けてきて、周囲の変化を感じることはありますか?

オンラインで簡単につながれるようになって、以前よりも生活がしやすくなりました。

地方で子育てをしていると、会議のために車で移動するのが結構大変なんですよね。でも、オンライン会議が当たり前になったおかげで、その負担がだいぶ減りました。

市町村の方々も、以前は少し遠い存在に感じていましたが、今ではSNSでつながっているので、距離感がぐっと縮まりました。気軽に雑談ベースで相談できる人が近くにいるのは、本当に助かります。

地方暮らしでは、便利なツールの恩恵を受ける機会が多いと感じるので、上手に活用している方々が意外と多いのかもしれません。私が直接知らないだけで、使いこなしている人はたくさんいるんでしょうね。

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課題をピンチと捉えるか、チャンスと捉えるか

空き家から運び出され、山積みとなった家財道具。課題が大きければ大きいほど、その分良くなるための伸びしろも大きい。吉井さんはそうやって前向きな思考へと変えていくそう。

──吉井さんのお話しを聞いていると、課題解決を楽しんでいるようにも感じます。ご自身ではどうですか?

前提として、仕事の話をするのが好きですね。町の人との何気ない雑談でも、ついつい仕事の話題になることが多いです。

そこで何か課題が出てくると、「どうしてうまくいかないんだろう?」とつい気になってしまいます。混沌とした状態や、よく分からない問題を整理して、きれいに整えるのが好きなんです。

高校時代に情報処理を専攻していたので、プログラミング的な思考が身についていることも一因かもしれません。社会人になってからもスタートアップ系のIT企業にいた経験があるので、「大抵のことは何とかなる、解決できる」と前向きに考えられるようになっています。

──課題を前向きに捉えられるのは大きいですね!
大変なプロジェクトに直面したとき、ピンチだと感じるか、それともチャンスだと思うかで、大きな違いが生まれると思います。

私の場合、空き家活用や地域課題に取り組むときでも、楽しみながら「もっと良くできるチャンスがある」と前向きに捉えています。

もちろん、話を受けた直後や最初の数日は「嫌だな」と感じることもあります。でも、そこからうまく気持ちを切り替えられるんですよね。

解決策を考えていくうちに、状況を「伸びしろしかない」と思えるようになって、自然と前向きになれます。「これがダメなら次はこうしてみよう」と解決策を思考していると、他の人から見たら大変に思えることでも、自分にとっては楽しく感じられるようになるんです。

後編へ続く▼

地方移住で地域と向き合いながら自分らしく暮らすコツ【鳥取移住体験談・後編】

まとめ

吉井さんは、空き家リノベーションを通じて暮らしを豊かにしつつ、その地域ならではの課題に対して真剣に向き合ってきました。

地域で長く暮らしてきた方の価値観を尊重しながら、その地域をより良くしようという気持ちで向き合うことが、地域課題解決のために大切な姿勢だと、吉井さんのお話を聞いて感じました。

同じ土地で暮らすからこそ、理解できる状況や感情があるでしょう。まずは移住先の暮らしを理解したいと思う気持ちが、地方移住を成功させるための第一歩かもしれません。


HELP YOUでは、吉井さんのように地方へ移住し、その地域で暮らしを豊かにしながら仕事をしている多くの仲間たちがいます。

あなたも住みたい場所で、理想の暮らしを叶えませんか?

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