転勤妻×不妊治療 私が「正解探し」をやめるまで
転勤族の夫と4年半の遠距離生活を経て、ようやく同居スタート。何事にも「こうあるべき」と正解を求めてきた私ですが、遠距離婚、コロナ禍での夫の海外赴任、退職、不妊治療と両立できる仕事探しなど、いろいろな壁にぶつかり、現在は「今の自分」に合った選択をしたいと考えています。頭の硬い私が、HELP YOUでフリーランスとしてのキャリアをスタートするまでの経緯と、自らに起こった気持ちの変化について、ご紹介いたします。
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目次
ライター
転勤族の夫と4年半の遠距離生活を経て、現在は夫と娘の3人暮らし。フリーランスとして主に事務の代行に携わる。→執筆記事一覧
私の退職=老後は借金生活!?
「奥様が退職した場合、71歳で資産が枯渇し、以後収支は赤字となります。」
ファイナンシャルプランナーの方にこう告げられたのは、転勤族の夫と同居するために正社員の職を手放すかどうか悩んでいた結婚1年目・31歳の時でした。
私たち夫婦は、結婚前から遠距離生活で、結婚の際も「遠距離婚」を選択しました。夫の周囲には遠距離婚を選んでいるご夫婦が多かったことから、特に抵抗はありませんでした。しかし、片道5時間の距離で月に1回しか会えない生活がいつまで続くのか分かりません。もやもやした私は、客観的な判断材料が欲しいと考え、一人でファイナンシャルプランナーの方に相談することにしたのでした。「やっぱり辞めない方がいいよね…」。前述の試算結果を目の当たりにして、私は仕事を続けることにしました。
不妊かも?頭をよぎる不安と進まない治療
なお、試算のもととなったライフプランでは「子どもが2人いる」設定でした。遠距離婚でも妻も仕事を続け、育児と仕事を両立して頑張っているご夫婦はたくさんおられます。今になってみると、あらゆる点で考えが甘いとしか言えないのですが、その頃の私は漠然と、「自分もいつかそうなるもの、同じようにできるもの」と思っていました。しかし、結婚後1年以上経過しても、それが実現する気配は一向にありませんでした。
そのうち、「自分は不妊ではないか」と思い始め、いくつかの病院に検査に行きました。しかし、不妊治療専門ではなかったこともあり、本格的な治療を受けることのないまま、月日だけが過ぎていったのです。焦りが募るなか、不妊治療経験のある同僚に不妊治療専門クリニックを教えてもらい、ようやく治療のスタート地点に立つことができました。
しかし、遠距離婚の不妊治療は物理的に困難です。夫の仕事自体は応援したいと考えていた私には、自分が退職するか、夫が近くに転勤して来る奇跡を待つ、という選択肢しかありません。インターネットなどで自分に近いケースを探しても、「では自分はどうすべきなのか」と答えが出ないまま、悩み続ける日々が続きました。
コロナ禍で決まった夫の中国赴任と同居生活が始まるまで
そんななか、2020年2月に、夫から電話で「次の4月から中国で勤務することになった」と言われました。新型コロナウイルスの影が世界に広がりつつある時で、奇跡的な時期と場所です。本来なら頭を抱える人のほうが多そうですが、遠距離生活が約3年続き、悩み続けていた私の頭に浮かんだのは、「やっと辞める決心ができる」ということであり、むしろ心が晴れるような気さえしていました。すぐに会社に退職を申し出たところ、上司から配偶者の海外転勤に同行する休職制度の利用を勧めていただきました。
ここでも迷った結果、制度を利用することにしました。一旦退職の決心をしていたにも関わらず、コロナ禍で社会全体の先行きが見えなくなるなか、安定した正社員の職は、やはり手放す勇気が出ませんでした。
約9ヶ月遅れた夫の渡航と宙ぶらりんになった私
夫の隔離ホテルにて撮影。隔離生活は、合計で35日に及びました。
当時中国は水際対策が大変厳しく、最終的に夫の渡航が決まったのは翌年度の秋でした。その間私は、夫の手続きが進まないため、休職時期も決められず、会社も後任人事を進めることができない状態でした。自分では何もできないことが大変歯がゆく、会社に対しても申し訳ない、という気持ちが募る日々でした。
最終的に夫はその年の12月末に中国へ渡航し、私は人事異動に合わせて翌4月から休職することになりました。しかし、休職した後になって、実際には手続きが進む見込みが全くないことが判明しました。休職中で無給のうえに、会社の規程により他の仕事をすることもできません。夫に次にいつ会えるのか分からないまま、八方塞がりの状態になりました。幸い実家に帰っていたため、生活の心配はありませんでしたが、ただ家にいるだけの生活です。もはや不妊治療どころではなく、先の見通しが一切立たなくなってしまいました。
急遽決まった夫の帰国!そして始まった念願の同居生活
夫とはいつ会えるのか、私は一体どうしたらいいのか、と日々悩んでいましたが、3ヶ月が経った頃、夫の帰国が奇跡的に決定しました。夫からの連絡を受けた後は、実家の家族と一緒に号泣したのを覚えています。
そして2022年9月末、夫の帰国と同時に退職し、4年半の遠距離婚生活にも終わりを告げ、念願の同居生活がスタートしました。退職を惜しく感じることも正直ありますが、コロナ禍の遠距離婚の難しさや海外赴任のドタバタを経て得た今の穏やかな生活は、私にとっては本当に価値があるものだと感じています。
新天地で再開した不妊治療
引っ越してしばらくして、不妊治療を再開することにしましたが、新天地では病院探しから苦戦しました。土地勘がなく、友人もいないため、インターネットを頼りに、不妊治療専門クリニックの初診予約を取ることにしたのです。しかし、初診受付が月に一回しかなく、受付開始直後に予約が埋まってしまうため、複数のクリニックの初診予約には2・3ヶ月挑戦して、ようやく予約を取ることができました。
その後、不妊治療に取り組んでいますが、老後の借金生活を宣告された時よりも、治療がうまくいかない時のほうが、ダメージが大きいと感じます。自分の身体が信じられなくなり、なんとも言えない気持ちになる日々です。年齢も30代半ばを過ぎましたが、これまで思うように取り組めなかった分、医療の力を借りて、後悔のないように頑張りたいと思っています。
仕事探しもスタート!しかし・・・
妊活にはストレスが大敵とはいうものの、私の場合、ずっと家にいるのも逆にストレスに感じていました。また、一部保険適用になったとはいえ、治療費も相当なものです。退職後に職業訓練に通ったこともあり、「もう一度仕事をしたい」という気持ちが湧いてきました。そこで、仕事内容を重視していくつかの会社に応募しました。
アルバイトで応募した1社の面接に進むことができましたが、面接の最後に、面接官の方から「何か伝えておくことはありますか?」という質問がありました。不妊治療のことが頭をよぎりましたが、「不妊治療をしていることを伝えたらおそらく不採用になるだろう」と考えてしまい、言い出すことができませんでした。後日、無事に内定をいただくことができましたが、実は私の認識よりも勤務日数が多く、勤務時間も長いことが判明したのです。
不妊治療では、病院から「ではまた2日後に来てください」と言われたり、朝病院に入って会計が終わるのは午後2時を回っていたり、なんてこともあります。治療内容によっては、副作用で体調が悪くなる可能性もあります。具体的に考えると、通院との両立が難しい勤務条件でした。面接で治療のことを伝えられなかったこともあり、悩んだ結果、ご迷惑をかけないためにも内定を辞退することとしました。
HELP YOUとの出会い
不妊治療と両立できる仕事探しについて悩んでいる時に、「くらしと仕事」のある記事に出会いました。
他の記事も見ていくうちに、HELP YOUでは転勤族に海外在住者、子育て中の方やパラレルワーカーなど、さまざまな状況の方が活躍されていることが分かりました。HELP YOUであれば、不妊治療に限らず、今後どんな状況になっても働けるかもしれないと感じました。
しかし、スタッフ職は業務委託契約であり、「フリーランス」となります。私にとっては、フリーランスとは、自分で稼げるスキルを持った凄腕のクリエイターやエンジニアがなるものであり、何だか自分とは別世界のものに思え、一歩を踏み出せずにいました。
・不妊治療さえなければ、やりたい仕事ができるのに…
・結果が出るか分からないのに、続けていていいのか。
・もしこのまま治療がうまくいかなかったら、私には何も残らない。
・子どもがいないのだから、普通に今までと同じようにフルタイムで働くべきではないか。
悶々と自問自答し、求人サイトとにらめっこする日々が続きました。
考えを変えた親友との再会
そんななか、転機となったのは、大学時代からの親友との再会でした。親友は、結婚後こつこつ勉強を続けて資格を取得した努力家でもあり、その時の自分に合った働き方を柔軟に選んでいる女性です。現在はHELP YOUとは異なりますが、子どものお迎えの合間にリモートワークをしているとのことでした。
「すごく高い収入にはならないけどね」と優しく笑う彼女を見て、自分が「こうあるべき」という姿に縛られていたことに気がつきました。彼女が最優先にしたいものは、子どもとの時間であり、それに合う仕事を選んでいます。いろいろと悩んでいましたが、私が今一番優先したい生活に合う働き方を選び、まずはやってみれば良いのではないか、という想いが湧いてきました。そして、友人と会った数日後に、HELP YOUに応募しました。
ジョインして起きた気持ちの変化
天気のいい日は近所の海岸へサイクリングに行くのが日課です。
HELP YOUでは、いろいろなお仕事のなかから、自分にできそうな仕事や、やってみたい仕事を選んで挙手することができます。自分の生活に自然と馴染むかたちで仕事が始められるのが、とても良いと感じています。最近は、単発のお仕事だけではなく、継続でも稼働時間の制限が少ない案件に挙手し始めました。そして、実はこの記事はHELP YOU内のライターステップアップ企画に参加して書いているものです。このように、未経験でも新しい分野に挑戦できるチャンスがあるのもうれしい点です。
また、転勤族だからこそ、「地域の人とのつながりも持ちたい」という想いがあり、運動不足解消のためにも、時短パートも始めようとしています。仕事内容にこだわり過ぎなければ、決して多くはありませんが不妊治療と両立しやすそうな求人があることに気づくことができました。
HELP YOU一本の生活を目指すのも良い選択だと思いますが、今の私は複数のお仕事でそれぞれにないものを補完し、相互作用でスキルアップしていく好循環を期待しています。退職と引っ越しで失ったものもありますが、今後新しく得られる人との出会いや経験にワクワクする気持ちも湧いてきました。自分の状況を前向きに捉えられるようになったのは、HELP YOUで多様な働き方・生き方を選択している方を目の当たりにし、「自分基準で選択して良いのだ」と実感できたことが大きいのです。
まとめ
優柔不断な私は、常に「正解」を探し、回り道をしていたように感じます。さまざまな経験を経て、これからは自分の変化を認め、背伸びしすぎず、「今の自分」に合った生き方・働き方を選んでいきたい、と思っています。
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