フルリモートの会社でマルシェを開催──Chatだけでイベントは盛り上がるのか?

5・6月に、株式会社ニットで「knit MARCHE」を開催しました。ニットには、複業をしているメンバーも多く、なかには自分のお店を持っている人もいます。そこで、メンバーの新たな一面を知ると同時に、互いの取り組みを応援する目的で、ニット内に限定したオンラインのマルシェを開きました。イベントの詳細とその反響をご紹介します。

ライター

三代知香(みよちか)
飛騨のフリーライター・編集。慶應義塾大学文学部を卒業後、2014年にIT企業に就職。セキュリティ製品のマーケティングや、ビジネスアプリのPMを経験し、2018年にライターの道へ。オウンドメディアの立ち上げ・運営の主担当として、サイト設計やデータ解析も経験。企業や人の「思い」に焦点を当てたインタビュー記事や、IT系のハウツー記事を手がける。

マルシェで誰かの「得意」がわかる

ニット内で限定公開されたknit MARCHE専用サイト。

 

knit MARCHEは5月24日〜5月26日、6月7日〜6月13日の2回に分けて、計10日間行われました。

knit MARCHEが開催された背景には、創業以来ニットが大切にしてきたワークスタイルがあります。ニットで働くメンバーは全員フルリモート勤務で、フリーランスメンバーも多く在籍しています。ニットでバリバリ働く人がいる一方で、他に本業を持っている人もおり、そのバックグラウンドはさまざまです。また、趣味の延長でものづくりをしていたり、ECサイトを運営していたりと、マルチに活躍しているメンバーも多くいます。

せっかく多種多様なメンバーが集まっているのに、互いの取り組みを知らないままではもったいない。そんな思いから「誰かの『得意!』に出会える場」をテーマにknit MARCHEを開催しました。

▶︎ ニットでフリーランスとして働く

Chatで盛り上がるオンラインイベント

ニットのメンバーは、海外や地方に住んでいる人も多くいるため、物理的に集まることはなかなかできません。そこで、knit MARCHE専用サイトを開設し、メンバー限定で公開。各々が好きな時にアクセスし、オンラインで買い物を楽しみました。

「オンラインだと盛り上がりに欠けるのでは?」と思う人もいるかもしれません。しかし、実際には画面越しでも伝わってくる盛況感がありました。その理由は2つあります。

1つは、ニットのコミュニケーションスタイルです。ニットでは、日常の基本的なやりとりをビジネスチャット「Chatwork」で行います。Chatworkには、メンバー全員が参加するグループがあり、そこでは仕事に直接関係のない会話が飛び交うことも。

今回、運営の告知や出店者の挨拶は、全てそのグループで行われました。コメントには、50を超えるリアクションが付くこともあり、イベントに対するメンバーの関心の高さが伺えました。

もう1つは、knit MARCHEと並行して開催したknit PICNICという企画です。購入した食品を使って各々でピクニックを行い、その様子を写真に収めてChatworkグループでシェア。これをきっかけに新しい会話が生まれ、コミュニケーションが活性化されました。

▶︎ ニットでフリーランスとして働く

お米からアクセサリーまで。多様な6つのお店

今回出店したレストラン「ENCUEIL(アンクィール)」のスパークリングワインと料理。

 

では、どんなお店が出店されたのでしょうか。一つずつ見ていきましょう。


女子の心をくすぐるハンドメイド雑貨「Chou Chou Ailes」

お子さんと一緒にアクセサリーを購入したメンバーもいました。

 

Chou Chou Ailesでは、ニットの川下尚美が手がけるアクセサリーや小物が出品されました。

お出かけにつけていきたくなるガーリーなアイテムがずらり。

 

テーマは、ずばり「かわいい」。レジンやガラスドームなど清涼感あふれるアクセサリーや、羊毛フェルトでできた温かみのあるアイテムなど、見ているだけでときめきを感じさせてくれる品々が並びました。

ピアスの部品をイヤリングに変更するなど、オーダーメイドにも対応していました。

 

川下は小さい頃からものづくりが好きで、編み物や洋裁もできるそうです。子どもの幼稚園でハンドメイド好きのママ友に出会ったのをきっかけに、アクセサリーや小物を販売する活動を始めました。

爽やかなレジンのイヤリング。夏にぴったりですね。

 

地元で自分らしい働き方をするには?リモートワークジャーニー@釧路参加レポート


新潟の小さな酒蔵「阿部酒造」

阿部酒造」は代々続く老舗の酒蔵で、現在の責任者で6代目です。

 

阿部酒造は、ニットで働く阿部智美のパートナーが運営している酒蔵です。阿部自身も日本酒好きで、嫁いでからより一層、日本酒への愛が増したといいます。

出品されたのは、新潟県柏崎市の豊かな自然から造られたこだわりの地酒。なかでも「スターシリーズ」は日本酒が苦手な人でも飲みやすく、根強いファンがいるそうです。深い味わいとやわらかな飲み口を両立した新しいタイプの日本酒は、イタリアンなどとの相性もばっちり。阿部酒造との出会いをきっかけに、日本酒の魅力に取り憑かれる人もきっと多いことでしょう。


新潟のおいしいお米とお味噌「たけなお商店」

たけなお商店」のECサイトトップ。

 

たけなお商店は、ニットのディレクターを務める小田寛之が運営するECサイトです。新潟県上越市の竹直という村で作られたコシヒカリと無添加のお味噌を扱っています。

新潟のきれいな水で作られたお米は、小さなお子さんにも大人気。お子さんがいるメンバーからは「ふりかけなどがかかっていない白ごはんだと、なかなか箸が進まない息子が、パクパクと食べてくれた」という声もありました。

お米は、もともと農家の人々が自分たちで食べるために作ったものだそうです。

 

お味噌は、竹直の農家で原材料から作られているのが特徴です。お味噌屋さんのなかには、原材料を仕入れて製造しているところも多いですが、たけなお商店のお味噌は自家栽培した大豆や米(糀)から作られています。

今回、たけなお商店のお味噌を使って「お味噌おにぎり」や「お味噌ソース」を作ったメンバーもいました。

この写真を提供してくれたメンバーが今回購入したのはお味噌のみでしたが「今ある分がなくなったら、たけなお商店さんのお米もぜひ買ってみたい」とのことでした。

 

地方移住って実際どう? 3児の父に聞いた、理想の生活のつくり方


フレンチ×和食の隠れ家レストラン「ENCUEIL(アンクィール)」

ウエディングレストランとしても高い人気を誇っています。

 

アンクィールは、神戸北野にあるフレンチ×和食のアニバーサリーレストランです。最近、世の中の需要に応え、レストランメニューの店頭販売を始めました。

今回は、ニットでフリーランスライターとして活躍する黒木の紹介で出店が決まりました。黒木がプライベートでレストランを利用したのをきっかけにオーナーと懇意になり、以来、飲み仲間として親しくしているそうです。

メンバーのご家族が撮影したそうです。写真からおいしさが伝わってきますね。

 

knit MARCHEには、サーモンのマリネやフォアグラの味噌漬け、神戸牛の赤ワイン煮込み、シチリアワインなどを出品。食卓に高級感を添える品々が並びました。「お肉がやわらかくてホロホロ」「ワインが飲みやすい」と大好評でした。

社長秘書で個人事業主。自由な働き方の答えがパラレルワークだった


米粉のスノーボールとヴィーガンお菓子「まるこ」

店主はもともと和食の料理人でしたが、自分のやりたいことに向き合った結果、お菓子作りの道を選んだのだとか。

 

まるこは、knit MARCHEの発起人である阿久津春菜の友人が運営しているお店です。アレルギーのある人も安心して食べられるよう小麦粉・卵・乳製品・白砂糖を使わず、同時に味にもこだわったお菓子を作っています。

今回、看板商品である米粉のスノーボールのほか、マフィンやブラウニーなどを出品しました。マフィンのなかには、阿久津の親戚が育てたニンジンが使われているものもあるそうです。

手書きのメッセージからは温かみが感じられます。

 

「おいしくて何個でもいけそう」「グルテンフリーとは思えないほどおいしい」など、Chatworkには賞賛の声があふれていました。

ヘルシーなお菓子は運動不足になりがちなリモートワーカーのおやつにもぴったりですね。

 

道なき道を切り拓く!フルリモートで人と人をつなぐ新しい仕事へのチャレンジ


ピクニック中の気分が上がる「PICNIC BGM」

ピクニックのほか、仕事や家事をしている時にもぴったりのプレイリスト。

 

PICNIC BGMは、企画運営の西出が作成したミュージックプレイリストです。今回、Apple Musicのほか、Spotifyでも無料で配信されました。Spotifyとは、音楽配信サービスのことで、世界中の人とプレイリストを共有できるのが大きな特徴です。

自宅でピクニックをしたメンバーが、当日の様子をレポートしてくれました。

 

世界中にいるニットのメンバー同士は、普段は画面越しでしか接する機会がありません。そこで、西出は一つのコンテンツを通じて「つながり」を感じたいという思いから、プレイリストを作ったそうです。

定額住み放題サービスADDressで多拠点生活!新しいくらしと仕事のカタチ

「この会社が好き」と思えるイベントづくりを

最後に、本企画の発起人の一人である阿久津に、イベントの裏側と今後の展望について聞きました。

knit MARCHEを開催したのは、ある雑談がきっかけでした。普段はフルリモート勤務ですが、ある時ニットのオフィスを訪れた際に、たまたま正面に座った方とおしゃべりをしていたら盛り上がってしまって。会話をしているうちに昨年開催したMEET UP(全社パーティー)の話になりました。

コンテンツの一つとして、今回出店した阿部酒造さん主催で利酒企画を行ったんです。それがとても盛り上がったので、また何か別の形で取り上げられないかと思いました。ニットでは、阿部酒造さんのほかにも、お店を運営している方や、さまざまな取り組みをしている方がいるので、それをシェアできる場をつくれないかな、と。

ある日の会議で、他のメンバーにその思いを伝えたら、運営の西出裕貴さん主導でknit MARCHEとknit PICNICを開催することになりました。

最初は、テキストコミュニケーションとコンテンツの共有だけでイベントが盛り上がるか不安でした。イベントを告知した時点では、そこまでの手応えはまだ感じられなかったんですよね。でも、出店者の方が一人ずつテキストで挨拶をした時に、お店や商品説明だけではなく、出店にまつわるストーリーや思いを語ってくれました。そこから徐々に盛り上がっていった印象です。

当初は、5月に3日間だけ開催する予定でした。でも、購入した人がCharworkで感想をシェアしているのを見て、そこからさらなる盛り上がりが生まれるのではないかと考え、6月の再オープンに踏み切りました。結果的に大盛況だったので、このイベントを開催して本当に良かったです。

まだ検討段階ではありますが、今後、さらに発展したバージョンのknit MARCHE開催を考えています。例えば、外部の関係者の方を呼んだり、年末のMEET UPのコンテンツと掛け合わせたり、規模を拡大して開催できないか検討中です。

私自身は、コーディネーターという仕事をしていて、ニットの働く環境をより良いものにすることを目指しています。knit MARCHEやknit PICNICもその活動の一環です。ニットのメンバーが、イベントを通して「この会社が好き」「この会社にいて良かった」と思ってくれたら嬉しいですね。

▶︎ ニットでフリーランスとして働く

まとめ

knit MARCHEとknit PICNICは、各々が好きな時にコンテンツへアクセスする形式で、オフラインイベントのようなリアルタイム性はありません。しかし、テキストを通じて思いや感想をシェアすることで、コミュニケーションが活性化され、メンバー同士が新たな一面を知る貴重な機会となりました。リモートワークだと人間関係が希薄化すると言われていますが、ニットでは、今回のような取り組みを通じて互いを知り、信頼関係を築いています。今後も、フルリモートでも人と人との「つながり」を感じることができる組織づくりを目指します。