初心者ライターに伝えたい、記事作成が楽になる構成の作り方【勉強会レポート】
初心者でもとっつきやすいことから、ライターはフリーランスでも人気がある職業の一つです。しかし、最初はなかなか書くスピードが上がらず、1記事あたりの報酬を時給に換算すると、非常に安価になってしまうこともあります。そうしたフリーランスライターならではの悩みを解消するために、株式会社ニットでは、社内勉強会を開催しました。そこで取り上げられた、短時間でクオリティの高い記事を仕上げるコツをご紹介します。
目次
ライター
ライティングで構成を作るメリット
1本の記事を仕上げるのに、思った以上に時間がかかってしまった経験はありませんか? 書き進めるうちに記事の目的が見えなくなったり、文章のつじつまが合わなくなったりしてしまい、修正を繰り返すうちに深夜を回っていた……というケースもあるかもしれません。
そこで役立つのが「構成」です。ここでいう構成とは、記事を書き始める前に作成する骨子のことを指します。
まずは、構成を作ることでどんなメリットがあるのかを見ていきましょう。
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構成を作るメリット1:クライアントと意思疎通ができる
せっかく苦労して書いたのに、クライアントが求めていたものと違ったために全て書き直し。そんな事態はできるだけ避けたいですよね。
事前に構成を作成し、大まかな方向性をクライアントとすり合わせておけば、手戻りが発生するリスクを減らせます。
構成を作るメリット2:修正が減る
勢いよく書き始めたはいいものの、徐々に文章の趣旨がずれていってしまい、記事全体を通して何を伝えたいのかがわからなくなることもあるでしょう。特に、インタビューの場合は、話が前後したり、発散したりするケースもあるので、上から順に書いていくと文章が雑然としてしまいがちです。
あらかじめ構成を用意しておけば、常に頭の中が整理された状態で記事を書き進められるので、軌道修正の手間が省けます。
構成を作るメリット3:全体の工数がずれない
ライティングで構成を作るメリット1・2で述べたように、クライアントとの認識のずれによる手戻りや、軌道修正の手間がなくなるため、想定した工数と大きくずれることなく納品できます。
構成を作るメリット4:予定通り仕事を進められる
フリーランスライターの多くは複数の案件をかけ持ちしているため、一つの案件で工数が膨らむと、他の仕事のスケジュールにも影響が出てしまいます。
自身で見積もった工数通りに記事を仕上げられたら、予定が狂うことなく楽に仕事を進められます。
構成を作るメリット5:より多くの仕事を受注できる
構成を作るとライティングの効率が上がるので、時間に余裕ができ、より多くの仕事を請け負えるようになります。
また、大きな修正を必要としない高品質な記事を納品し続けることは、クライアントから「またこの人にお願いしたい」という評価を得るための要素の一つです。依頼が途切れない人気のフリーランスライターになるためにも、構成を作ることは有効な手段であるといえます。
構成を作るメリット6:実績・報酬を増やせる
より多くの案件を請け負うことで、ライターとしての実績を増やせるだけではなく、報酬アップも期待できます。コンスタントに高品質な記事を書けるライターは、クライアントに重宝されるからです。
クライアントから「高い報酬を払ってでもこの人にお願いしたい」思ってもらうためにも、ぜひこの後に紹介するノウハウを参考にしてみてください。
構成を作るメリット7:作業を分割できる
特に、指定文字数が多い記事の場合、何日かに分けて作業をすることもあるでしょう。その場合に、構成がない状態で書き進めると、一貫性のない文章になってしまうケースもあります。
事前に構成を作っておけば、骨子に沿って原稿を埋めるだけなので、作業を分割しても大筋から逸れることはありません。
そのため、例えばダブルワークや子育てをしている人も、すきま時間を活用して記事を書けます。
仕事のスピードが上がる構成の作り方
では、どのように構成を作ったら良いのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
構成の作り方1:型を選ぶ
文章の構成は大きく「起承転結型」と「PREP型」に分かれます。いずれも、よく耳にする言葉ではないでしょうか。
起承転結型は、以下の流れで構成される文章のことを指します。結論が最後にくるのが大きな特徴です。読者をストーリーに引き込む効果があることから、小説や映画などでよく使われています。
承:広がり
転:変化
結:結論
起:雨が降りました。
承:びしょ濡れになりました。
転:Aさんがハンカチを貸してくれました。
結:優しいAさんのことを好きになりました。
一方で、PREP型の文章は、最初と最後に結論が述べられているのが特徴です。物事を論理立てて説明する際に使われる型で、例えば論文やビジネス書の多くはこの構成で書かれています。
R:Reason(理由)
E:Example(具体例)
P:Point(結論)
P:Aさんのことが好きです。
R:なぜなら優しいからです。
E:例えば、以前、雨でびしょ濡れになった私にハンカチを貸してくれました。
P:だからAさんのことが好きです。
起承転結型かPREP型かを選ぶ一つの基準は「読者の興味関心がどこにあるか」です。
インタビュー記事を例に考えてみましょう。インタビュイー(取材対象者)が誰もが知る有名人や、有名企業のエース社員、異色の経歴を持つ人なら、起承転結型は有効であるといえます。読者はインタビュイー自身や、その人が持つストーリーに興味があるからです。
一方で、PREP型は、インタビュイー自身のことというより、その人が持つ知識や経験が情報として求められている場合に有効です。結論を先に述べることで、読者の関心を引くことができます。
この後の説明では、PREP型をベースとした構成の作り方をご紹介します。
構成の作り方2:伝えたいメッセージを決める
型を選んだら、次に、記事全体を通して何を伝えたいかを考えてみましょう。
記事の目的によってメッセージの決め方はさまざまですが、読者にアクションを促すタイプの記事では、ベネフィットを主軸に考えると良いでしょう。例えば、製品のプロモーションや集客を目的とした記事がそれに該当します。
では、ここでいうベネフィットとはどういう意味でしょうか。メリットと似ていますが、メリットがモノ・コト自体が持つ<価値>を意味するのに対し、ベネフィットはその<価値>によってもたらされる<体験や変化>を指します。
M社で開発された高性能のパソコンを例に考えてみましょう。「M社のパソコンは処理が速い」がメリットです。それに対して「M社のパソコンのおかげで仕事がはかどる」がベネフィットであるといえます。
ベネフィットを結論(P)、メリットを理由(R)として、PREP型に当てはめたら以下のようになります。
R:なぜなら処理が速いからです。
E:パソコンを開いて3秒で立ち上がります。
P:M社のパソコンは、仕事を効率よく進めるのに欠かせません。
記事を書き始める前に、伝えたいメッセージ=ベネフィットを考えておくことで、文章の組み立てがぐっと楽になります。
また、ベネフィットを意識することは、タイトルや見出しを考えるうえでも役立ちます。読者にとって有益な情報が含まれていることを、わかりやすく示せるからです。
構成の作り方3:枠組みを作る
さて、いよいよ構成作りです。章ごとに伝えたいメッセージを決め、ざっくりとした内容を書き出してみましょう。
構成の作り方は、主に2パターンあります。
1つは、章ごとに異なるベネフィットを盛り込むパターン。
第1章:伝えたいこと1 ▶︎ 1についてのPREP
第2章:伝えたいこと2 ▶︎ 2についてのPREP
第3章:伝えたいこと3 ▶︎ 3についてのPREP
第4章:伝えたいこと4 ▶︎ 4についてのPREP
第5章:伝えたいこと5 ▶︎ 5についてのPREP
まとめ
もう1つは、記事全体を通して、1つのベネフィットを伝えるパターンです。
第1章:伝えたいこと1 ▶︎ P
第2章:伝えたいこと1 ▶︎ R
第3章:伝えたいこと1 ▶︎ R
第4章:伝えたいこと1 ▶︎ E
第5章:伝えたいこと1 ▶︎ E
まとめ ▶︎ P
上記はあくまでも一例なので、指定文字数と伝えたいメッセージの数に応じて、調整してみてください。
3,000字の記事を書く時の目安として、導入が200字、各章が500字、まとめが300字程度です。指定文字数に対して、1/4〜1/3の文章を書いておくと、文章化する際の心理的ハードルがぐっと下がります。
この記事で説明した内容のポイントは以下の3つです。
- 扱う内容に応じて、文章の型(起承転結型 or PREP型)を選ぶ
- 記事を通して伝えたいメッセージ=ベネフィットを考える
- 全体の枠組みを作り、章ごとに伝えたい内容をざっくり書き出す
「知らなかった!」「なるほど」と思うポイントがあったら、ぜひ次の原稿から試してみてください。
ニットならフリーランスでも学べる環境がある
勉強会に参加したフリーランスメンバーからは、以下のような声があがりました。
「構成を作ると余計に工数がかかると思っていましたが、逆だったんですね。次から実践しようと思います!」
「早速、教わった方法を取り入れてみて、以前より書き進めるのが楽になったと感じています」
「きちんとロジックを知ることで、自分のなかで理解が曖昧だった部分がクリアになりました」
各々の悩みや、普段つまずいていたポイントを解消する良い機会となったようです。
ニットは、2015年の創業以来メンバー全員がフルリモートで働く会社で、多くのフリーランスが在籍しています。フリーランスというと成長しづらい印象を持たれがちですが、ニットには、今回のような勉強会のほかにも、フリーランスライターとして成長できる機会があるんです。最後に、その取り組みの一部をご紹介します。
「くらしと仕事」プロジェクト
ニットのフリーランスメンバーは、普段は各々の専門領域でそのスキルを生かして仕事をしています。一方で、ニットが運営するメディア「くらしと仕事」編集部では、キャリアアップの機会を増やすために、経験年数を問わずライターを募りました。そのため、初心者〜中級者から、今回講師を務めた黒木のように900本以上の執筆経験がある者まで、さまざまなメンバーが集まっています。
初心者が経験者から一方的に教わるだけではなく、一人ひとりがプロフェッショナルとして互いの原稿を校正し、意見交換をすることで成長を目指しています。
ライタースタータールーム!
フリーランスライターは組織に縛られず自由な働き方ができる反面、何か悩みごとがあっても、なかなか相談できる相手がいません。そこで開設されたのが、フリーランスライターが集うコミュニティ「ライタースタータールーム!」です。
「ライタースタータールーム!」では、フリーランスライターならではの悩みを互いに共有し、解消につなげる取り組みがなされています。同時に、各々が執筆中の記事について、その効果を最大化するための相談も可能です。
週一で開催されているランチミーティングでは、以下のようなトピックが話題にあがりました。
- ライターとして働き続けるために必要なことは?
- ライティングの単価を上げていく方法とは?
- 他の人が書いた文章を校正する際のポイントは?
特に、フリーランスライターになったばかりの人にとっては、気になる内容ばかりですね。誰にでも相談できる内容ではないだけに、あるメンバーからは、ランチミーティングを通して「長期間、一人で抱え込んでいた悩みが解消された」という声もあがりました。
まとめ
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