そばに居る安心感!家族も自分も大切にできるリモートワーク

子育て、複業、そして今後の高齢社会の中で増えていく介護や家族のサポート。Aさんは、6年前に自身のケガと父親の通院サポートが重なり、通勤が困難に。初めてリモートワークにチャレンジしたそうです。ライフスタイルの変化に対応し、自分らしい働き方ができると注目を集めているリモートワーク。現在まで6年間、高齢家族のサポートと自身の通院を続けているAさんに、リモートワークと生活を両立するための工夫を聞きました。

ライター

小川舞子
埼玉県出身、栃木県在住フリーライター・MC、2児の母。夫に伴い5回の転居で広報・司会を中心に6回の転職を経て、ライター&MCのフリーランスへ。プロ司会者ならではの話を引き出すスキルを活かし、教育メディアや雑誌のインタビューライターとして、地域情報、子どもの教育、小・中・高校受験に関する取材記事を担当。→執筆記事一覧

常にスキルアップを目指してきた私がリモートワークを選択した理由

家族の存在を感じながら働くことができるのは、リモートワークのメリット

Aさんの担当業務は、WEBサイトの更新やレポート、データベース構築、HTMLを使用する入稿作業など、専門知識が必要な業務が多いと思います。HELP YOUにジョインする前の経歴を教えてください。

学生時代はプログラマーを目指して勉強していました。しかし、残念なことに、就職活動を始めた頃「女性のプログラマーは採用されにくいよ」と、助言を受けたんです。かなり悩みましたが、就職を最優先に考えて一般事務員を選びました。

でも働き始めると、プログラマーとして働く友人を「うらやましい」と感じる気持ちが高まるばかりで。せめてもとの思いで、マクロやHTMLの知識を駆使し業務を効率化するなど、勉強してきた内容を仕事に活用して一般事務プラスαの業務をすることで、仕事の達成感を高めるようにしていました。そのなかで事務員としての専門性も少しずつ深まったように思います。

自分なりに充実を求めてしていた努力でしたが、片道2時間の通勤など少しずつ無理をしていたことが徐々に体調に表れ、最初の会社を退職しました。その後は、通勤しやすい地域で仕事をし、最終的にはITベンチャー企業で働くことになりました。

ITベンチャー企業には、プログラマーとして就職されたのですか?

少人数の会社だったので、正確には事務作業と共にプログラマーとしての仕事も担当するという採用でした。ようやく念願のプログラマーの仕事ができると希望に胸を膨らませ、事務作業と並行して社内で行われるプログラマー業務の勉強会などにも参加し、できることはどんなことでもやりました。

私が入社した後、会社の規模拡大と共にISMS(情報セキュリティマネジメントシステム)という「組織の情報セキュリティを管理するための仕組み」をつくることが必要になりました。

結果、私がゼロから社内の情報セキュリティ管理体制を構築することに。専門書や講習で学びながら約8年間、この部署の事務局長を務めると同時に、サイトの更新作業や検証などの業務も担当しました。ただ、年月を経ていくうちに、社の方針が大きく変わり、賛同できかねるところも出てきたんです。増えていく退職者を見て、私も迷いを感じていました。それでも、心のどこかで入社当時の温かみのある会社に戻ることを期待していた気がします。

そんな悩みながらも働いていたところに、自身が半月板を損傷し、半年ほど松葉づえで通勤することになりました。そして同じタイミングで、父が脳幹梗塞で倒れ、家族のサポートが必要な状態に。職場を休むことも多くなってしまって……。
これをきっかけに、時間に融通の利く仕事を探してみようと思いきって退職し、同時にプログラマーとしてのスキルアップも再度お休みすることにしました。

勇気のいる決断でしたね。職探しは順調に進みましたか?

40代かつ時間に制約があるとなると、さすがに厳しかったです。

そんな中、フルリモートで働けるHELP YOUの募集に出会い、採用が決まりました。通勤が辛い時期だったので、家で仕事ができる点には大きな安心感がありましたね。一方で会社という組織の事務員経験しかない私には、フルリモートで働くスキルが足りないのでは?という漠然とした不安も感じました。

でも、これ以上に時間に融通が利く仕事はない!と勇気を出して、リモートワークの世界に飛び込んでみたんです。

フルリモートでも孤立しない!トラブルはチームで解決し、みんなが成長できる環境づくりを目指す

Web制作などでHTMLコードとブラウザ両表示をして、見え方を確認しながら作業できるツインモニター。他の作業でも広々と使えて便利だそうです。

リモートワークを始めてみて、感じたことを教えてください。

体調が万全ではなかったので、自分の体調や時間に合わせて仕事ができる点は、とてもありがたいと思いました。

ただ、内部でのチェックはあるにしても、自分の成果物がそのままクライアントへの納品物になるという点には、不安を感じていました。もちろん担当した仕事は責任を持って取り組みます。しかし、スキルに自信が持てない私には、自分の仕事のクオリティがそのままHELP YOUの評価につながると思うと言いようもなく怖かったのを覚えています。

でも、Chatwork(HELP YOU内で使用する連絡ツール)上やオンライン面談などで横の繋がりができてくると、メンバーが励ましてくれたり、自分でもミス防止専用のチェックツールを作ったりして、少しずつ不安を取り除いて働けるようになりました。

実はHELP YOUで働きはじめてから、今度は母が倒れ、心臓の手術と治療をすることになったんです。ですから、フレキシブルに働ける点には助けられましたし、母が倒れた時も私は家に居たので、すぐに救急車で病院に行くことができました。あの時には本当にリモートワークで良かったと思いましたね。

必要な時に動けるのは、確かにリモートワークの大きなメリットですね。ほかに、ご自身に合っていると感じていることはありますか?

多くの業界やクライアントの仕事を担当できること、また、ひとりでは経験できない数のエラーや不具合を知り、対処法を見つけることにおもしろさを感じます。

チーム内で不明点についての相談がメンバーから出てきたり、「手順通りに作業してもエラーが出てしまう」という問題があったりします。

チームリーダーを任されている場合、「どんなエラーだろう?」と直接の担当業務でなくても積極的に確認し、理由や解決法を調べて伝えるようにしています。問題が解決するのはもちろん嬉しいですし、この過程を通じて、私の知識も深められる喜びが大きいです。

また、クライアントごとにチームがあるので、多くのスタッフとのコミュニケーションをとっています。トラブル時も助け合い、個人では得られない、多くの知識と経験を重ねることができるんです。だから、仲間のトラブルは成長のチャンスだと思って一緒に取り組んでいます。

スタッフが不明点をためらわずに報告できるチームを目指しているのですね。では、チームでのリモートワークで感じる、長所と短所を教えてください。

個人作業のイメージが強いリモートワークですが、HELP YOUの場合は、チーム制です。困った時には相談できる安心感、そして、質問などについても、リーダーに限らず誰が答えても良いという温かい雰囲気があるんです。だから、いろいろなことに挑戦しやすいですし、何より孤立しないところは良いと思います。

ただ、チーム制とはいえ、コミュニケーションはテキストが中心です。相手の顔も声もわからないので、意見を伝えた時の温度感がつかみにくいという場合もありますね。ですから、できる限り誤解を与えないよう、わかりやすい言葉で伝えるよう気をつけますし、相手を理解する努力をしています。

コミュニケーションのほかに、仕事をする際に意識していることはありますか?

トラブルやミスの多くは、少しのスキルの差や間違えやすい部分への配慮が欠けたことが原因です。そのため、マニュアルやフローを作る場合には誰もが分かりやすくてミスをしにくい、そして、できるだけ簡単なシステム作りを意識しています。自分のため、チームのため、何よりクライアントのために、ミスを減らすためのツールを作りたい!と常に思います。

所属チーム内で「わからない、できない」と指摘がある時は、良いものをつくる「チャンス」なんです。今のマニュアルでは対応しきれていないということですから、もっと分かりやすくするにはどうすればいいか?と日々考えています。

また、チームで仕事をする、サポートをする、という時には、情報や手順を自分が知っていれば良い、自分の担当業務はするけれど他の業務は知りません、という考え方では成り立ちません。仕事と仕事をつなぐ役目を意識するようにしています。

仕事・家族のサポート・自分のケア 3つが成り立つ生活スタイル

母親の体調や精神状態が不安定な時には、ノートPCを使用して隣に座り仕事をすることも。

リモートワークスタート時から、ご両親の通院サポートとの両立を続けていらっしゃいますね。時間管理はどのようにしているのでしょうか?

時間指定の業務がある場合を除き、午前中に母から頼まれる家の用事を済ませ、午後から夜にかけてを勤務時間にしています。現在、私自身も肩関節周囲炎のリハビリに毎週通っているため、母の毎週の定期診察とともに、当日は業務を調整しています。

また、母は通院に加えて定期検診で宿泊することもあるのですが、家を離れる時には、ノートPCやスマホで業務の進捗などを確認して対応します。

リモートワークは、期日を守れば働く時間や場所は自由という業務が多いので、どこにいても仕事ができる利便性があります。また、チーム制のおかげで、もしもの時には交代できる人がいるという安心感が、これまで続けてこられた理由だと思います。

場所にとらわれないということは、ご自宅に居る時にも仕事スペース以外の場所で働くこともあるのでしょうか?

ありますよ。母は私との会話を楽しみにしているようなので、母が不安定な時などは、会話できる距離にノートPCを持ち込み仕事をします。支障がなければ夜間に仕事をし、できるだけ母と話す時間を作るようにはしていますね。

Aさんの働き方について、ご家族はどのように感じていらっしゃるのでしょうか?

はじめた頃は「何の仕事をしているのかわからない、ちゃんと働いているのか?」という不安はあったようです。続けていくうちに、家でPCを使って仕事をしているということは理解してくれました。

ただ、私の体調やフリーランスという立場の長期的な見通しについては、心配しているようですね。

私は料理、母は細かな掃除や作業が得意ではありません。でも、母が料理をしてくれるおかげで、私は食事の用意をすることなく仕事ができます。一方で私は仕事の合間に掃除をしたり、外出が苦手な母の手を取って遠くの病院に連れていったりと、お互いに支え合って生活しているという気持ちを、母も私も感じています。

ご自身のケアや息抜きはできていますか?

繁忙期には難しいですが、それなりにできています。

息抜きも主にPCでしていて、興味のあることのリサーチをしたり、スキルアップのための勉強をしたり……。また、オンラインゲームが好きなので、ゲーム仲間が集まるイベントに参加するのも楽しみです。

デスク周りには、仕事中の癒しになるように、大好きなスヌーピーのグッズを置いています。見るだけで心が和むので、これも気分転換のひとつですね

実は20年来のKinkiKidsファンなのですが、もう何年もライブに足を運べていません。でも、歌を聴いたりライブビデオを見たりするだけでも気分は上がります。

家でする気分転換ばかりですが、私にとってはどれも幸せな時間です。

仕事をしやすい環境を追求しているワークスペース。愛用のスヌーピーグッズも。手首の負担を軽減するエルゴノミクスマウスの効果で、手首の痛みは少しずつ改善されているそうです。

等身大だから両立できる!自分も家族も大切にしながら働くポイント

介護など家族のサポートをする場合に、リモートワークがキャリア継続の助けになることがわかりました。今後、Aさんのような方は増えると思いますが、キャリアとの両立について心構えを教えてください。

何でも自分でやろうとしないことです。利用できる介護サービスや手伝える人が複数いるなら、頼りながらで良いと思っています。

それは、家族の場合は情のようなものによる、サポートする側の過度の我慢や無理が生じるからです。私自身も「これだけやっているのに」「少しは感謝してほしい」という独りよがりな気持ちが生まれたことは、一度ではありません。実際にサポートをしてみて、「無理をしない」ことが大切だと骨身に沁みました。

今は、働く時間と場所の自由があるという安心感から心の余裕が生まれていると思います。だから、イレギュラーな事態やちょっとしたわがままにも、心が荒れることなく対応できているのかなと。

家族だからこそ本音で感じたことを伝えて、お互いに我慢をし過ぎないようにする……当たり前のことですが、無理なことは「できない」と伝えていかないと、長続きさせるのは難しいのではないでしょうか。

お話をうかがうと、確かに「無理をしない」でも「相手に誠実に」という気持ちが強いからこそ、うまくいっているように感じます。現在の生活を続けながら、これから挑戦したいことや目標を教えてください。

本音は、忙しい時期が続いているので、思いきりゲームをしたいです(笑)

でも、仕事の目標は、やはり「プログラマー」として、自信を持って「できます」と言えるようになることですね。プログラミングの世界は、どんどん変化していくのでキャッチアップが大変ですが、最先端のスキルを身に付ける勉強は楽しく、やりがいがあります。

また、2020年にHELPYOU内で、PCやドライブ内のデータ整理をするレクチャーを行いました。このように「情報セキュリティ管理士」の資格や私の知識を生かして、セキュリティに関する講座を定期的に開けたら良いなと思います。

プライベートでは、コロナ禍でオンライン開催のイベントが増えたので、KinkiKidsの応援も楽しみたいです。年始に初めてオンラインライブに参加しましたが、同じ時間をみんなで共有していることを感じ、気分がとても高揚しました。久しぶりに騒ぎたい!歌いたい!という気持ちが湧いて、ものすごく元気とやる気が生まれましたね。

仕事もプライベートも等身大で納得できているからこそ、具体的に「やりたいこと」が見つかるのですね。今の生活スタイルには、満足されていますか?

仕事は生活に欠かせないものですし、親のサポートも今や生活の一部です。家で仕事をしたいと昔から思っていたので、今の私は、自分のスキルでやりたいと願っていたことが叶っているとは思いますね。

今の働き方にたどり着くまでにまわり道をしましたが、リモートワークは私に適していると思うので、これからもスキルを高めて報酬アップを目指します。そして、母とゆっくりマイペースで暮らしていきたいですね。

まとめ

お話の中では何度も「ミスをしない」「効率良く」という言葉を使っていたAさん。ご家族のサポートと両立するためにも「迅速で確実な仕事」を強く意識していることを感じました。高いスキルと正確な仕事によって多くの案件を担当しながらも、向上心と謙虚さを備えて取り組む誠実な姿勢が、厚い信頼を集めるのだと思います。

また、ご家族のサポートについても「自分が」ではなく「お互いに」支え合っているという意識があり、程よい距離感を保ったあたたかな母娘の関係が見えました。

今後、家族のサポートや介護に直面してキャリア継続に迷ったら、チームで働くリモートワークを視野にいれてみませんか。家族のそばで働く安心感、オンラインで助け合える仲間の存在、いずれもあなたの求める働き方の支えになることでしょう。

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