
人事労務歴14年のプロから学ぶ「オンライン人事」の始め方
フリーランス1年生の私は、2024年6月にオンラインアウトソーシング(※1)「HELP YOU」にジョインし、ライターとして経験を重ねながら、現在さらなる案件獲得に向けて仕事の幅を広げている最中です。前職では、企画職・営業職の経歴が長く、いわゆる専門職のキャリアはありません。
そんな私が今注目しているのが、オンライン人事です。人事職に対し「会社の顔」というイメージが強く、正社員が担うものだと決めつけていましたが、フリーランスとして活躍する場もあると知り、興味を持ちました。しかし、どのような仕事があり、どのようにクライアントや求職者の方と関わるのか、具体的なイメージを描けません。
そこで今回、人事歴14年の元銀行員で、現在はHELP YOUでフリーランス人事労務として活躍中の田谷良人さんにインタビューをしました。実際の業務内容を掘り下げるとともに、人事職を担う上で意識しているポイントや仕事のやりがい、私のような未経験者にも人事は務まるのかを聞きました。
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目次
インタビュイー
ライター
早期定年退職を決意、2拠点生活の実現に向けて
──HELP YOUにジョインするまでの経緯を教えてください
大学を卒業後Uターンをして地元の地方銀行に就職し、36年間勤め続けてきました。さまざまな部署での経験を積むなかで、一番長く勤めた人事部には、通算して14年ほど在籍していたと思います。
人事部にはたくさんの職務がありますが、振り返ってみると、適材適所を割り当てる人事配置以外は経験したのではないでしょうか。例えば、新卒採用・中途採用の実施、賃金計算、就業規則の策定、福利厚生の管理、研修・能力開発の促進、人事制度および評価制度の運用などです。特に、給与計算や社会保険実務は、そのシステム開発を含め、最も長く経験した業務です。

地元福井県三国町から眺める海の夕日
50社から不採用通知!BPO会社に的を絞る
しかし、当時はコロナ禍でテレワークに移行した企業も、徐々に出社へと切り替え始め、リモートワークを条件に含む求人はあまり多くありませんでした。そのため、道のりはとても険しく、応募はするものの、50社ほどから不採用通知を受け取ったのです。今まで不採用通知を送る立場だったのですが、「やはり年齢を重ねてからでは難しいのか……」と世間の厳しさを感じました。
そんな折、何かのブログでHELP YOUのように多様な企業のバックオフィスをサポートする会社の存在を知りました。それまでは、各社と直接契約を結び人事業務を請け負う形を前提に求職活動を行っていましたが、BPO(※2)会社を介して案件を受注する形に切り替えたところ、仕事が決まりました。
現在では、HELP YOUを中心にクライアントの採用サポートや人事コンサルティングを担当しています。

自宅にてオンラインで仕事中
人事の在宅ワークって何?
──人事といえば「会社の顔」で社員が担うイメージが強いのですが、具体的にどのような業務がアウトソースされるのですか?
在宅人事ワーク①スカウトメールの配信
わりと募集が多い業務としては、求人サイトに登録された求職者のプロフィール情報をもとに、スカウトメールを配信する仕事があります。メールやチャットでのやり取りから、1次面接や採用に至るまでのサポートを行うのが主な仕事です。また、1次面接の面接官を担当することもあります。
事前にクライアント企業と採用したい人物像をすり合わせた上で、スカウトメールを送るのですが、求職者リストを確認してもらうと「その人ではない」と言われることもあります。そんなときは、検索条件を少しずつ変えながら、理想の人材に近づけるよう調整していきます。
在宅人事ワーク②記事執筆
新規採用に向けたホームページやオウンドメディアなどの記事執筆もあります。私が以前担当した例として、中途採用の募集に向けてクライアント企業の社員にインタビューを行って、記事を執筆しました。単発案件でしたが、ライティングのスキルも必要な業務でしたね。
一見、人事らしくない業務に思えるかもしれませんが、クライアントが求める人物像をターゲティングする点においては人事の経験が生かされます。フリーランスとして複数社の採用サポートを請け負う際には、各社の求める人材像は外さないことが大切です。ペルソナが固まっている企業の場合は認識を合わせ、固まっていない企業の場合はペルソナをつくるお手伝いをした上で、採用の実務を行っていきます。
在宅人事ワーク③評価シートの作成
人事評価も、大切な業務の一つです。特に、ベンチャー企業など、比較的新しい会社では、少人数で起業して、ある程度会社が大きくなってから評価制度を定めるところもあります。私も過去に、業績やプロセス、成果などから人事評価を行えるようなExcelシートを作成したことがあります。いわゆる人事コンサルの仕事とでもいうのでしょうか。
在宅人事ワーク④給与計算
最後は、労務の業務にも重なりますが、私が請け負っている中では最も多い案件です。具体的には、社員の勤怠情報をチェックした上で、規定に即して給与計算を行います。前職の銀行では、給与計算を行うシステムの開発や、社会保険・雇用保険などの手続きも行っていたので得意な分野です。給与計算は間違いが許されない仕事なので緊張感はありますが、労務に関わるさまざまな知識が身に付く、とてもやりがいのある仕事です。

給与計算には間違えることができない緊張感がある
実務経験以上に求められる「業界の知識」
──人事の業務を在宅ワークで請け負うには、やはり実務経験がないと難しいのでしょうか
そんなことはありません。人事のスキルというのは特になく、どのような業界でも人事が「人と接する」仕事であることは変わりありません。対人スキルさえあれば専門スキルは必ずしも求められるわけではなく、むしろ、人事の実務経験以上にクライアントの業界知識が重要になるケースも多くあります。
例えば、スカウトメールの配信案件で考えてみましょう。最初にクライアント企業と求める人物像をすり合わせた上で、人材マッチングサービスに登録されている求職者の中で条件に合った人にスカウトメールを送ります。そして、相手も興味を持ってくれた場合、そこから何度かやり取りを重ねますね。そのときにクライアント企業の業界で働いてきた人の方が、応募者とより具体的な話ができると思いませんか?
未経験から人事に挑戦!求められる適性は?
──必ずしも実務経験が求められないのであれば、初心者から始めてみたいという方もいると思います。人事に向いている人とはどのような方でしょうか?
「人と会って話すのが好きな人」です。人事は、採用では求職者、企画系の業務では経営者と話をする機会が多く、いろんな方と知り合えることが魅力です。
さまざまな人から深い思いや考えを聞けるので、それを自分の参考にすることもできます。
以前、ある会社の面接を担当させていただいたとき、あえて会社の特徴をマイナスな表現で伝え、それでもこの会社に勤めたいかという意思を確認するような面接をしたことがあります。求職者の一人に、どんなにマイナスな伝え方をしても、一つひとつプラスに変えて切り返してきた人がいました。例えば「報酬は出来高制なので、時給制と比べると安定していませんよ」と伝えると、「継続して仕事があることの方が大切」や「内職することに比べると高いです」などと返してくれるのです。この方の思考のように「何事もプラス思考」は、とても面白いし参考にしたいと思っています。
──どんなときにやりがいを感じますか?
2つあります。1つは、自分が行った業務が、成果につながったときです。
先ほどご紹介したスカウトメールの配信では、たいていの場合は結果がわかります。採用されたか否かまで把握できることはほとんどありませんが、少なくとも返信があったのか、さらに1次面接までつながったのかは把握することができるので、クライアント企業の求める人材と私がスカウトメールを配信した人とがぴったりとマッチしたときには、会社に貢献できたと思うと嬉しいです。
もう1つは、クライアントでは想定されていなかった新たな観点を提案できたときです。
人事・労務では、「健全な懐疑心」と「あれ?と違和感を察知する力」が求められます。この数字はこれで正しいのだろうか? いつもと何かが違うな? という、ちょっとした変化に気が付いて、クライアントに提言できたときは、とても嬉しいものです。
私は、人事・労務をはじめとしたバックオフィスこそ、クリエイティブな仕事だと思っています。もちろん間違いが許されない業務ではありますが、すべてが単なる事務ではありません。
例えば、給与計算を一つ取ってみても、決して枠に当てはめれば良いわけではなく、社員が頑張った証を数字に置き換え、ひとつの給与明細という「作品」として形に表す創造的な仕事だと思っています。
人事になりたい!と思ったら?
──フリーランス人事として、HELP YOUで働くことのメリットを教えてください
まずは、どこにいても仕事ができます。実際、HELP YOUには日本に限らず世界中で仕事をしている人がいます。フリーランスで働いている方は「(仕事が)できる人」が多い印象です。
なかでも、HELP YOUではチームで仕事をすることが多く、「できる人」たちの仕事から刺激を受ける機会もたくさんあります。そのため、人事経験がなくても安心して取り組むことができるのではないでしょうか。このような方たちと仕事をすることは、今後人事としてのキャリアを重ねる上でも参考になると思います。

地方創生の仕事もしています!
もし「この仕事がやりたい!」と思う募集があったら、応募してみることをおススメします。そうしないと、いつまで経っても0(ゼロ)のままで、1(イチ)にならないのです。これは、人事職に限らずいえることだと思います。
私自身、HELP YOUでディレクター(担当案件の最終責任者)としても仕事をしていますが、仕事をお願いしたいのは、自己アピールをしてくれる人です。たとえその方が人事の仕事をしたことがなくても、「人事の経験はありませんが、その代わりこんなことができます」とアピールいただくことで、「この人、期待できそう」と思えるからです。
まとめ
田谷さんのお話にもありましたが、HELP YOUでは、チームで案件を担当するのが基本のスタイルです。そのため、さまざまなバックボーンを持つチームスタッフの成果物を見たり意見を聞いたりしながら、初めての職種でもチャレンジしやすい土壌が整っています。また、クライアント企業とスタッフの間に窓口としてディレクターが入るため、迷ったときにはディレクターと相談しながら、クオリティを上げていくこともできます。
在宅ワークで未経験から人事業務にチャレンジしたい。そんな方はHELP YOUから始めてみてはいかがでしょうか?
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