海外在住者、お母さん──多様性のあるオンラインチームで成果を出す鍵とは【HELP YOU Tips:広報編】

HELP YOUの広報チームでは、多様なバックグラウンドを持つメンバーがフルリモートで働いています。小さな子どもを持つお母さんや、パートナーの仕事の都合でカナダに住むメンバーなどなど。ただでさえ、オンラインだとメンバー間での連携が難しいなかで、どのようにコミュニケーションをとり、チームとしての生産性を高めているのかを聞きました。
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● メンバープロフィール

小澤美佳
オンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」を運営する株式会社ニットの社員。広報チームのリーダー。主に、メディアリレーションや、イベントの企画・ファシリテーション、チームのマネジメントなどを担当。株式会社リクルートで培った営業経験を生かし、「攻めの広報」をモットーに積極的な情報発信やメディアリレーションを行う。▶︎Twitternote

今西さき
フリーランス。広報チーム全体のサポートを担当。主に、プレスリリースの作成や、メディア向けの執筆対応、小澤の補佐などを担当。2歳の男の子を育児中。▶︎Twitter

阿久津莉沙子
フリーランス。主に、データ集計・分析や、調査業務、資料作成のディレクションなどを担当。パートナーの仕事の都合でカナダのバンクーバーに在住。


● HELP YOUとは?

HELP YOUは株式会社ニットが提供するオンラインアウトソーシングサービスです。2015年にサービスの提供を開始して以降、フルリモートでの運営を貫いています。現在、33の国や地域でくらす約400名のフリーランスが、HELP YOU事業を支えるメンバーとしてリモートで活躍中です。

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ライター

三代知香
飛騨在住のフリー編集者。会社員時代はIT企業でマーケティングやPM、自社ブログの編集長を経験。メディアの立ち上げ経験を生かし、「くらしと仕事」のアクセス解析や新人育成を通して成果向上に取り組むほか、インタビューライターとして働き方や地方活性化をテーマとした記事を手がける。1児の母。→執筆記事一覧

仕事と育児を両立する鍵は「ワークシェアリング」

今西さき。基本的には、お子さんが保育園にいる昼間の時間帯に働いている。

 

子どもがまだ小さいうちは、できるだけそばにいてあげたいと思う人も多いでしょう。そうした方々にとってリモートワークは選択肢の一つ。でも、育児と仕事の両立は難しい部分も多く、コツが必要です。

実際に2歳の男の子を育てながらリモートで働く今西さきは、いつもは子どもを保育園に預けているものの、熱が出た日には自宅で寄り添う必要があるため思うように業務を進めることが難しいといいます。

そこで意識しているポイントが2つあります。1つは、子どもが体調不良になる予兆を少しでも察知した段階で早めにチームへ共有し、リーダーと相談のうえタスクの優先順位を改めて整理すること。こうすることで、優先度の高い業務を前倒しで行ったり、自分で対応するのが難しい場合は他のチームメンバーへ引き継いだりできます。

もう1つは、普段からチームメンバー同士で助け合える雰囲気をつくることです。広報チームでは、ワークシェアリングの考え方を取り入れ、誰かが急に稼働できなくなっても他のメンバーがフォローできる体制をつくっています。

「一方的に助けてもらうだけでは、良いチームワークは生まれません。日頃から自分が率先してチームメンバーを助けることで、何かあった時に助けてもらえる関係を目指しています」。

他のメンバーに業務を引き継ぐうえで、日頃から相手の状況やタスクを把握しておくことも重要だと今西は話します。

また、「スピード重視」を掲げる広報チームで働くにあたって、仕事の進め方について悩むことがあったらすぐに相談することも心がけているそうです。

悩みながら時間をかけて自分なりに100点のアウトプットを出しても、それが相手の求めているものとは限りません。むしろ時間のロスにつながってしまいます。スピード感を持って仕事を進めるためには、まずは30点でも良いので早くアウトプットを見せて、チームで方向性を固めることが重要です。

時差の壁を乗り越えるための2つの「気遣い」

阿久津莉沙子。理系の大学院出身で、カナダ現地でその知識を生かして働くために英語を勉強中。

 

カナダ在住の阿久津莉沙子は、パートナーの仕事の都合で日本国内の企業を退職し、海外へ移住。HELP YOUなら海外にいても日本語で仕事ができるという理由からジョインしました。

阿久津が住むバンクーバーと日本との時差は17時間あります。時差の壁を乗り越え、どのようにチームメンバーと連携しているのでしょうか。

日本在住メンバーと働くうえで意識しているのは、時間帯によって行う業務を分けることだと阿久津は説明します。

「稼働時間が他のメンバーと被る日本の午前中には、連携が必要な業務を優先して行うようにしています。一方で、ある程度自分だけで進められる資料作成や分析業務に関しては、日本の夜間に行うのがポイントです」。

チームメンバーとリアルタイムに会話ができるタイミングが限られているからこそ、時間を有効活用しているようです。

また、テキストでのやりとりを前提としたリモートワークにおいて、できるだけコミュニケーションコストを発生させないことも工夫している点だと話します。オフィス勤務なら、会話の中で不明な点があったらその場で聞き返すことができますが、リモートワークだとそうはいきません。何度もテキストのラリーが続いてしまうと非効率です。

そこで、阿久津はラリーの回数を抑えるために、わかりやすく相手に情報を伝えることを心がけています。「結論から書く」ことを徹底し、相手に文章を読む負担をかけないことも意識しているポイントの一つです。また、用件が「報告」なのか「相談」なのか、メッセージの趣旨を伝えることも大切にしています。

リモートワークに限らず言えることですが、相手の負担を増やさないための気遣いが、チームの生産性向上につながっています。

初めての海外生活。どこにいても不安を楽しさに変えていく

全員が「このチームでよかった!」と思えるために

リーダーの小澤。自身もリモートワークをしながらチームをマネジメントしている。

 

家庭環境も住む場所もバラバラの広報チーム。ただでさえ「リモートワークは、オフィス勤務と比べてマネジメントが難しい」と言われるなかで、リーダーの小澤美佳はどのようにチームをまとめ上げているのでしょうか?


フォローし合える関係がメンバーの安心につながる

ポイントの一つは、今西の話の中でも登場した「ワークシェアリング」です。小澤は「できるだけ一人で仕事をしない、ということが重要です。例えば、お子さんの急な発熱や自身の体調不良で稼働できないメンバーがいたら、他のメンバーが『それ、私がやっておくよ』とフォローできる関係が理想ですね」と説明しました。

ワークシェアリングの体制をつくるにあたって役立つのが「タスク表」です。広報チームでは、他の人に依頼したい内容をタスク表の各メンバー欄に記入する方式をとっています。チャットだと、過去のメッセージがどんどん埋もれていくので、相手が依頼自体を見逃す可能性があります。依頼側がタスク表に書き込む方式なら、対応漏れの心配がありません。

小澤がワークシェアリングの考え方を大切にする背景には、チームメンバー一人ひとりの働き方・生き方を尊重したいという思いがあります。HELP YOUには、海外在住者、お母さんの他にも、パラレルワーカーや、ノマドワーカーなど、さまざまな事情を持ったメンバーが集まっています。そんなHELP YOUをリードする小澤だからこそ、各メンバーの事情を踏まえ、3か月に1度の1on1ミーティングで業務内容について認識をすり合わせながらチームを運営しています。


モチベーションを上げる「褒め」のコツは「具体性」

週1で開催されているチーム定例にて。

 

また、リモートでもチームのモチベーションを維持するうえで小澤が大事にしているのが「褒める習慣」です。感情が伝わりにくいリモートワークだからこそ、チームメンバーに対して「良い」と思ったことは全力で表現するようにしています。実際に、広報チームのChatworkグループでは「素晴らしい!」「天才!」「本当にありがとう、助かる!」などのポジティブな言葉が飛び交っています。

「具体的に、たくさん褒めることを意識しています。同僚からは、たまに大袈裟だと言われるのですが(笑)。でも、褒められて嬉しくない人っていないですよね」と小澤は話します。

ただ褒めるだけではなく、何が、なぜ、どう良かったのか、より具体的な言葉でフィードバックをすることで、メンバーも自身の強みを認識しながら良い仕事を再現できます。また、褒める際には、第三者の言葉や定量データなど客観的な情報を織り交ぜることも大切にしている点の一つです。

各メンバーについて特に褒めたい部分や、良いところを尋ねると、「たくさんありますよ」と前置きしつつ、小澤は次のように話しました。

「今西の良いところは『圧倒的な当事者意識』です。フリーランスという枠組みを越えて、会社目線や事業目線で考え、自律的に動いてくれるのでいつも助かっています。阿久津は、スキル面で卓越した部分が多くありますが、何より相手に対する『尊敬』や『気遣い』を感じるので、一緒に働いていて気持ちが良いですね。2人がいてくれたからこそ、今の広報チームがあると思っています」。

一方で、メンバーは広報チームで働くことに対してどのように感じているのでしょうか。

今西は「これでいいのかな、と悩んでいる時でも、小澤さんがポジティブな言葉で背中を押してくれるので助かっています」と話します。日頃から小澤のそうした姿勢を見ているからこそ、自分も相手に対して「良い」と思ったら心の中に留めず言葉で表すようになったそうです。

また、メンバー間で良い相乗効果が生まれていることも、広報チームで働く面白さだといいます。例えば、今西が短時間で執筆したプレスリリース原稿を、仕事が丁寧な阿久津がブラッシュアップし、分析した結果をもとに小澤が次の戦略を立てる。「それぞれの強みが生かされていると感じた時に『このメンバーで良かった』と思いますね」と語りました。

阿久津は、全員で一つの目標に向かい、達成できたら喜びを分かち合う雰囲気が広報チームの良いところだといいます。各々で仕事を進めがちなリモートワークでは、何かうまくいってもその喜びを共有する機会は少ないでしょう。だからこそ、広報チームが持つ「一体感」を特別に感じるのだとか。

目的意識の共有が大きな成果につながる

2021年11月には「テレワーク先駆者百選」の「総務大臣賞」を受賞。

 

広報チームでは、多様な事情や強みを持ったメンバー同士で連携をしながら、高い目標を追い続けています。良いチームワークが、多数メディアに取り上げてもらうことや、会社として多くの賞を受賞するなどの成果につながっています。

例えば、2021年10月には「オンライン忘年会運営のプロフェッショナル」としてNHKの「週刊まるわかりニュース」に出演。また、同年には、総務省が実施する「テレワーク先駆者百選」の「総務大臣賞」を始めとした数々の賞を受賞しました。

▶︎【TV出演】NHKの「週刊まるわかりニュース」にニットが出演しました。

▶︎株式会社ニット、総務省が実施する令和3年度「テレワーク先駆者百選」表彰式にて、「総務大臣賞」を受賞

▶︎株式会社ニット、令和3年度「ホワイト企業認定 ゴールド」を取得

▶︎株式会社ニット、令和3年度「WOMAN’s VALUE AWARD 優秀賞」を受賞

小澤は、オンラインチームで成果を出すうえでのポイントは3つあるといいます。1つ目は、それぞれの役割を全うすること。

2つ目は、目的と目標を見失わないことです。リソースが限られているなかで各々が最大限にパフォーマンスを発揮するには、「自分たちがどこへ向かって進んでいるのか」をチームとして意識することが重要だといいます。

目標を掲げて終わり、ではなく、達成できた場合、あるいは達成できなかった場合に、その理由にしっかりと向き合い、ネクストアクションにつなげることも重要です。

そして3つ目に大事にしているのは「楽しむ」こと。

「仕事はやっぱり楽しまないと。苦しいばかりでは、せっかくの強みやスキルも発揮できないでしょう。だからこそ、メンバー一人ひとりが『楽しい』と思えるチームづくりを目指していきます」。

海外在住者、お母さん──多様性のあるオンラインチームで成果を出す鍵とは【HELP YOU Tips:広報編】

まとめ

多様なバックグラウンドを持つメンバー同士で最大限のチームワークを発揮するには「ワークシェアリング」と「気遣い」が重要です。また、リモートワークでもモチベーション高く目標を追い続けるうえで、ポジティブなフィードバックは欠かせません。互いの強みを認め合い、生かし合うことが大きな成果につながります。メンバーの多様化や業務のオンライン化により、社内の連携がうまくいかないと悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。

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