横浜から新潟へ、子育てしながら杜氏の夫を支える働き方とは

横浜で生まれ育ち、結婚・出産後もずっと都会で働いていた阿部さん。新潟の酒造の6代目として家業を継いだ杜氏のご主人と、家族が共に暮らす日々を手に入れるために新潟への移住を決意したそうです。移住後に正社員として就職された後、コロナ禍による仕事への影響と、働き方の見直しで辿りついたリモートワークへの想いを伺いました。

ライター

東海林希美
千葉県千葉市出身。2018年12月、神奈川県から山形県へ移住。大学卒業後、人事や総務として長く経験を積み、移住をきっかけにフリーランスの道へ。現在は「HELP YOU」のライターのほか、山形での暮らしの情報発信や、自治体のイベントで移住体験談の講演を行うなど幅広く活躍する。

家族が共に暮らせる環境を求め新潟への移住を決意

ご出身やご経歴を教えてください。

生まれも育ちも横浜です。大学卒業後は東京の通信・ケーブルテレビの会社に入社しました。最初は契約いただいたお客様のアフターサポートの部署に配属され、その後は営業事務として資料の作成や、様々な数値の集計、分析データの作成などを担当しました。最後の本社のバックオフィスは一番長かったですね。

2019年に夫の住む新潟へ移住することを決め退職しました。

ご主人とは東京と新潟で離れて生活されていたとのことですが、新潟へ移住されたきっかけは何だったんでしょう?

夫の実家が新潟の酒蔵だったのですが、元々夫も東京で会社員をしていたんです。結婚するかしないかぐらいのタイミングで夫が家業を継ぐことが決まりました。私は結婚後もそのまま東京で働き、家業を継いだ夫は春夏は東京、秋冬は新潟で過ごす季節単身赴任として生活していました。

しばらくして子どもを授かり、休職中は私が東京と新潟を行ったり来たりして過ごしていました。その後、無事に子どもが生まれ職場復帰したのですが、当たり前ですがそれまでのように自由に新潟に行くことは出来なくなってしまって…。

それで、家族がいつも一緒にいられる場所ということで、2019年10月に新潟へ移住することにしました。

地方へ移住することに不安はありませんでしたか?

私の母方の祖父母が長野県佐久市に住んでいて、幼い頃から夏も冬も休みになると遊びに行っていたので自然に囲まれた環境がとても身近だったんです。私も佐久市での自然あふれる暮らしが大好きだったので、新潟での暮らしについてそこまで不安はありませんでした。

実は、小学校の頃の夢は北海道の牧場で働く事だったんです(笑)
自然といえば北海道!という子供の発想からなんですけど、新潟での暮らしは近からず遠からず夢が叶った?ような生活だと感じています。

東京での暮らしとはすいぶんと違いますよね。

それはもちろん!やはり都会での暮らしとは違うな~というところもありますね。
例えば美容院ひとつでも東京ではたくさんの美容院がありますが、私の住んでいる地域だとネイルサロンは2店舗なんですね。都会に比べるとどうしても選択肢が少なくなってしまうことがあります。

あとはお買い物とか映画を観るとなると長岡が一番近いのですが、近いと言っても高速で30分程かかるので、気軽に長岡に行こうみたいな感じにはならないですね。

車の免許は持っていたのですが、ペーパードライバーで全く乗っていなかったんです。新潟では車は必須だと感じていたので、移住を決めてから二子玉川のスクールでペーパードライバー講習を受けてきました。

新潟といえば雪も多い地域かと思いますが苦労などありましたか?

長野でも雪は経験していたのですが、新潟だと冬は1階が雪に埋まって2階の窓から出入りするのかな?なんてちょっとワクワクして夫の両親にも聞いてみたのですが(笑)実際はそんなこともなく、あまり大変だとは思わなかったですね。

 

コロナ禍で働き方を見直し、正社員を辞めリモートワーカーの道へ

HELP YOUで働くようになるまでの経緯を教えてください。

引越し後、最初は新潟で正社員の仕事に就いたんです。ただ、ちょうどコロナ禍ということで働き始めてすぐにその仕事が半日勤務のような状況になってしまって…。お給料も減ってしまいましたし、元々地方の限られた求人の中から選んだ仕事だったので3か月ほどで辞めることにしました。

ちょうど世間ではテレワークが注目されていたのもあり「これだったら新潟でも自分の経験を活かしてやっていけるのでは?」と思って調べてみたんです。そこでHELP YOUを見つけて『未来を自分で選択できる社会をつくる』というビジョンや、移住や子育て中でも諦めずに活躍している方が多くいらっしゃるのに魅力を感じました!

また、テレワークは孤独になりがちなのかな?という不安もあったのですが、HELP YOUでは横のつながりがしっかりあるのが特徴として紹介されていて、こういったつながりがたくさんある環境でなら、東京にいた頃のように楽しい雰囲気で私も働いていけるんじゃないかと思って2020年11月に入会しました。

リモートワークでの仕事について心配だったことはありますか?

そうですね。最初は時間のペース配分がちゃんとできるのか、また自分のスキル以上のことを求められたりするのか心配もありましたが、実際は仕事の種類やレベルもたくさんあるので、自分ができると思えるもの、やりたい仕事を選ぶことができました。内部で共有されているスキルシートに自分の得意な業務などを入力しておけば、マッチする業務へお声がけいただくこともできるので、仕事探しから選ぶまでの調整がしやすいのがすごくいいな、と思っています。

実際に働いてみた感想は?

パソコンとWi-Fi環境さえあれば移動も含めて仕事ができるので、横浜の実家に子どもを連れて気軽に帰省ができるのはとても自分に合ってるなって思います。

あとは、今までずっと月給っていう感覚で働いてきたので、業務委託として働く上で、ひとつの作業にどれだけ時間をかけるのか、という生産性は意識しなければならないと感じましたね。ただ、プレッシャーというよりはモチベーションにつながっていると感じています。

 

つながりを大切にしている環境だからこそ自分らしく楽しく働ける

リモートワークを始めて何か嬉しい経験はされましたか?

仕事ではないのですが、特に嬉しかったのは12月に開催されたオンライン忘年会の利き酒イベントの企画に参加したことです。

私が持っているSAKE DIPLOMA(ソムリエ協会が認定する日本酒の資格)を活かし、夫にも酒造として協力してもらうイベントをやりませんかと声をかけていただきました。最初は私が皆さんへお酒の話をするなんてできるかなぁと思っていたのですが、やってみたらとても楽しくて!参加いただいた方から嬉しい言葉をかけてもらったり、イベント後もお酒の注文をいただいたりしました。

私も参加させてもらいましたが、とても楽しかったです!

ありがとうございます!
改めてHELP YOUの横のつながりを実感しましたし、やっぱりみんなが見てくれて声をかけてくれるって凄く嬉しいなと思いました。

逆にこれは大変だったという経験は?

新しい仕事の立ち上げでディレクターさんとお客様との打ち合わせに同席したことがあったのですが、打合せが始まると事前に聞いていた依頼内容とちょっと違うと言われてしまって…。作業内容が変わっても大丈夫かその場で聞かれたのですが、お客様もいる状況で返事には戸惑いましたね。お客様の要望で急に業務の方針が変わったことはすごくびっくりしました。

その時はどうされたのですか?

まずは自分なりにやってみました。

やってみたら結構おもしろいなと思ったのですが、自分ひとりでは少し不安もあったのでディレクターさんに対応人数を増やしてもらえるよう相談をして、2名体制で進めることになりました。

 

家族の応援の中で新たに生まれた目標とは

現在の働き方についてご家族はどんな反応ですか?

今はテレワークやリモートワークがすごく有名になったので、イメージしやすいみたいです。夫も「素晴らしい仕事ができてよかったね!」と言ってくれています。酒造の店舗がすぐそこにあるのですが、時々お義母さんがいらしたのに気付かない時もあるんですけど「もしかしてお仕事中だった?ごめんね」と家族みんな理解して応援してくれてます。

他には、先日HELP YOUの韓国好きの人が集まるコミュニティでオンライン飲み会に参加しました!日曜日の夜だったんですけど、夫も「参加しなよ!」と背中を押してくれて、最近は誰かと集まっておしゃべりする機会が無かったのですごく楽しかったです。

新潟での暮らしはいかがですか?

やっぱり自然とか海の幸があるところがいいなって思いますね。あとはどこを見ても土地が広いんです。家も余裕のある間取りでのびのび子育てができるので、そういうのは田舎ならではのいいところだと思います

移住することが決まった時は、友達や周りの人には「すごいね」と驚かれたんですけど、私にとっては新潟に行くこと自体はそんなに高いハードルではなかったんです。「結婚した人が新潟に行くから共に行く」みたいな感覚で、私が昔から田舎や自然が大好きだったことと、都会じゃないと生きていけないっていう感じではなかったので、何だかすんなり受け入れられました。

今後の目標があったら教えてください。

実は夫がHELP YOUの働き方にとても興味を持ってくれているんです。酒造りは秋から冬にかけての仕込みの時期以外は比較的手が空いているので、そういった時間を活かせるのではないかと思っているようで。夫と共に働く杜氏のチームメンバーには若手も多いので、家族のいる人や、これから家庭を持つ人がリモートワークを取り入れることで、もっと生活を豊かにすることができるのではないかと…。

なので、経験者として周りにリモートワークという働き方の輪を広げていきたいと思っています。地域で座談会などを開催できたらリモートワークの働き方を発信したり、自治体の中でリモートワーク活用のロールモデルになれたら嬉しいです。

編集後記

田舎でののびのびとした生活は、幼い頃の「北海道の牧場で働く夢」が叶ったようだと話してくれた阿部さん。新潟への移住で「家族がいつも一緒の暮らし」を手に入れ、コロナ禍の混乱の中で働き方を見直し「場所にとらわれずに自分がやりたい仕事を楽しい雰囲気でやりたい」という希望を叶えられました。今ではオンラインイベントやコミュニティを楽しみながら、リモートワークでも人とのつながりを大切にできるんだと実感されています。いつか自分の経験をロールモデルとして地域に広げていきたいと夢を語る阿部さんの笑顔はとても素敵でした。