日本文化にほれ込みポルトガルから移住!本業でキャリアアップをしながらリモートワークの可能性を探る

子どもの頃から日本のゲームやアニメが好きで、ホームステイをきっかけに日本への移住を果たしたモレイラ・アンドレさん。ゲーム業界への就職・キャリアアップ、国際結婚と着実に生活の基盤を固めてきましたが、母国にいる家族との時間も大切にしたい思いが膨らんできたそう。リモートワークへの挑戦が2カ国を自由に往来する生活への第一歩になれば、という思いを語ってもらいました。

ライター

鈴木せいら
札幌市出身。横浜国立大学大学院工学修士修了。2007年夏より、函館へ移住。制作会社でライティング・編集業務を行い、実用書・フリーペーパー等のコンテンツ制作を担当、2011年よりフリーランスに。現在、「HELP YOU」プロフェッショナルライター。理系の知識を活かしたサイエンスやアカデミー系の文章から暮らしにまつわるエッセイ、インタビューなど幅広く手がける。

日本文化と人の優しさに恋をして移住

モレイラさんが初めて日本にやってきたのは、どういうきっかけだったのですか?

今から9年前、2011年の夏に短期間のホリデーコースで日本にやってきました。その時はどんな感じの国なんだろう?と思って。来てみて、日本という国が好きになってしまいました。

日本のどんなところが気に入ってくださったのでしょう?

文化全体です。言語も、ポルトガルで日本のアニメを見て日本語を知り、気に入って勉強し始めました。それから神社やお寺も大好き。休日に出かけて、新しいところへ旅しながら御朱印集めをしています。

そして、日本に来て知り合った人たちの優しさですね。地域の人も親切でしたし、最初にお世話になったホストファミリーの方たちが本当の家族のように接してくれました。それでこの国が好きになっちゃって。他にも、他国に比べて治安が良かったり、景色がきれいだったり……いろんな面で恋をした感じ。

その後、再び日本を訪れたのはいつですか?

もっと長期間滞在して勉強をしたいと思い、翌年1年間日本語学校に通うために再び来日しました。日本語学校を卒業したら専門学校のコンピューターグラフィックスの学科に進み、卒業後は日本で会社に入り社会人になりました。

特にコンピューターグラフィックスの学科を選ばれた理由は?

ポルトガルの大学ではコンピューター工学、もう少しプログラミングに近い勉強をしたのですが、ゲームやソフトウェア開発にもっと全体的に関わりたくて、コンピューターグラフィックスに興味が出たんです。

ゲーム制作の技術に追いつきたくてコンピューターグラフィックスの世界に進み、ゲーム業界に入りました。子どもの頃から、ポケモン、ゼルダ、マリオ、ソニックとか日本のゲームが大好きだったんです。だから、その業界の一部になりたいな、という気持ちが強かったんですね。

ポルトガルでは、コンピューター工学やゲームの分野に携わる人が多いのですか?

携わる人自体は多いと思いますが、おそらくポルトガルに残らず海外に出て仕事をする人が多いと思います。ゲーム会社がポルトガルにあまりなくて、あったとしても小規模ではないかと思うので、ゲーム業界で活躍したいという夢を持つ人にとっては少しもの足りないかもしれません。ですから開発者としては優れたスキルを持つ人がいるけれど、大体アメリカなど海外に渡っていると思いますね。

ゲーム業界へと進み、キャリアアップを目指して転職に挑戦

モレイラさんのこれまでのキャリアについて教えていただけますか?

2015年に全般3DCGデザイナーとして日本の会社に就職しました。もっと良い労働環境を求めて1年後に転職、今度はゲーム業界に絞ってデザイナーの仕事に就きました。そして、つい最近のことですがキャリアアップを目指して、テクニカルアーティストの仕事に挑戦しようと転職活動をしました。

その転職は決まったのでしょうか?

はい、無事に決まりました。

おめでとうございます! テクニカルアーティストという職種は、どんなものなのですか?

テクニカルアーティストは、クリエイティブ分野の仕事のひとつです。デザイナーは絵を描いたりアニメーションやモデルを作ったりしますが、技術がどんどん進化しているためその仕事が年々難しくなっています。例えば10年、20年前に作っていたゲームを今の時代に作ったら技術面ではおそらく商品にならないでしょう。高度化するクオリティを目指すために、デザイナーも新しい技術を身に付けていく必要がありますが、膨大すぎて同じペースで仕事をしていたら間に合いません。
その問題をサポートするためにテクニカルアーティストがいます。例えばアニメーションなどを作る作業の中で、ここをクリックしてあそこをクリックして……というような単調なタスクが多い。そういうタスクを効率化するためにテクニカルアーティストがいろんなツールを開発し、デザイナーが本来集中すべきクオリティにフォーカスできるようにします。また、デザイナーがやりたいことを理解した上で「ではこうした方が良いのでは?」といった提案もします。
これまで私が勤めていた会社ではキャリアアップが目指せない状態だったので、これからテクニカルアーティストとして成長しながら仕事ができる会社へ転職しました。

最新技術の情報を常に追っていくのは大変そうですが、楽しさもありますか?

楽しいですね。作業を効率化させるためのツールなど「誰かを助けるものを作る」ということになるんですけど、その結果困っていた人が「これがあって本当に助かったよ」と喜んでくれたらこちらもうれしくなります。このようなフィードバックが身近に感じられるので、そういう意味ではモチベーションも上がりますね。その喜びが最新情報を調べる苦労と差し引きゼロになるので、それが仕事として良いなと思います。

リモートワークでより自由度の高い働き方を

HELP YOUを知ったきっかけは?

私と妻は以前からリモートワークに興味がありよく話をしています。HELP YOUは妻が「面白そうな仕事があるよ」と、見つけて教えてくれました。それで応募しました。2019年12月からジョインしています。

HELP YOUではどんな業務をしていますか?

主に日本語と英語、ポルトガル語の翻訳業務です。他にデザインやデータ管理の仕事も担当することがあります。
翻訳は、実は昔から興味があって。日本に来てすぐの頃から、旅行サイトやオンライン翻訳サービスで翻訳活動を始めていました。翻訳についてはフリーランスのような形で、半分趣味でもあります。

HELP YOUでの仕事には楽しさを感じていますか?

楽しいですね!まず、コーディネーターやディレクター、そしてクライアントと様々な方たちとやり取りをするので、いろんな考え方や仕事のスタイルを身に付けるチャンスになります。HELP YOUはしっかりとした体制があるので、評価がスタッフに届きますし、何かあった時に相談できる人もいてくれます。私も翻訳業務を初めてほめられた時にはすごくうれしかったですね。フィードバックをいただいたり、それによる修正案などのやり取りがスムーズで、自分が必要とされている上に、頑張れば成長やキャリアアップの機会につながると感じています。

逆に、何か課題だと感じていることはありますか?

個人的な課題になりますが、HELP YOUの仕事にもっと時間を使いたいと思っています。フルタイムで別の仕事をしていると、許される時間はどうしても短くなってしまいます。その限られた時間の中でできるだけの努力をしていますが、それでも時間が足りないように感じて。そのため現状として受けている案件も多いとは言えません。自分なりに一つひとつ丁寧に対応して、着実に成長できるよう目指しています。将来的にはHELP YOUの仕事がもっと増えて余裕がありそうであれば、完全にフリーランスへ切り替えることもひとつの可能性として考えています。

HELP YOUでリモートワークを初めて体験されたそうですが、リモートワークのメリット・デメリットはどんなことがあると思いますか?

メリットには通勤が不要であること、仕事をする場所を自由に選べること、勤務する会社の行事に時間を費やさなくても良いこと、自分で時間管理ができること、育児や家族との時間など家庭事情に合わせて柔軟に対応できること、全体的にストレスが減ることが挙げられると思います。

一方で、デメリットも無視することはできません。仕事のための環境を自分で整えなくてはいけないこと、コミュニケーションの問題が発生する可能性があること、オン・オフの境目をしっかり決める必要があること、孤独感が出てくる危惧があること。デメリットの解消は大切なことだと思います。特に、コミュニケーションの問題。オンラインでのコミュニケーションに対して「文書やビデオ会議だから伝わらないことが多い」という人がいます。確かにジェスチャーや体の表現、その場の雰囲気など使える要素が限られてしまう面があります。ですが、「話が通じない」というのは個人的に大きな間違いだと思います。5年間社会人をやっていて思ったのは、直接人と関わっても通じない時もある、ということ。残念ながらそういうケースでは、通じない相手には手段はどうあれ通じません。ではどうすれば通じるんだろう?と日々問いかけていく必要はあると思います。リモートに向いている人もいれば、向いていない人もいるというのが私の考えですね。

自然と触れ合う暮らしを求めて湘南へ。理想の仕事とくらしを探し続ける

モレイラさんは、日本人のパートナーとご結婚されていらっしゃいますね。最近お引越しをされたそうですが?

もともと住んでいたのは都内だったのですけど、都内から離れたくて(笑) 私たち夫婦は自然の豊かな落ち着いた場所が大好きで。電車のアクセスなどいろいろ調べて神奈川の奥にある町に移りました。ここなら都内から電車1本で行けますし、始発駅に近いので座って行くことができます。ポルトガルに帰るという時でも、羽田や成田まで行きやすい。ここに1年半ほど賃貸で試しに住んでみて、すぐに気に入り、賃貸で住んでいたところの近くではありますがより自然の中にある家を見つけて移住しました。将来的に子育てをするにも良い環境だと思っています。

モレイラさんの転職先は都内ではないのですか?

神奈川県内です。妻はまだ都内まで通勤していますが。仕事の求人を見ると、まだまだ都内に集中していると思います。神奈川県で探しても圧倒的に少ないというのがあります。リモートにたどり着くことができれば、それこそ場所を選ばずに自分たちの生活、子育てをしたいという環境でできるようになるのかなと。リモートワークにはやはりメリットが多いので、これからも増えるでしょうね。

それでは、仕事も暮らしも徐々にご自分の理想の形に近づけていっているのですね。将来的に、「こうしたい」と考えていることはありますか?

フルリモートで仕事をして、いつでも自分の家族がいるポルトガルと妻の家族がいる日本を自由に行き来できるようになりたいです。「どこに居るかを選ぶ」というのは、国際結婚の大きな課題ですね。リモートワークが当たり前の世界になればこの課題は解決できると思います。オフィスへの出社に縛られていると、フレキシブルに動くことができません。これまでは、ポルトガルに帰っても滞在できるのはせいぜい1~2週間程度。私が日本にやってきた時は冒険のような気持ちが強くて、社会人になってからのことをそこまで具体的に考えていませんでした。ですが、家族もだんだん年を取ってきています。最近5歳になったとても可愛い姪がいて、その子とももっと一緒に過ごしたい。ポルトガルの家族との時間がとても足りないという気持ちがあります。理想を言えば、1年ごとに日本とポルトガルを行き来できるようになれば嬉しいですね。そうすれば妻にもポルトガルの文化や暮らしをより深く体験してもらうことができますし、生活がもっと充実するという確信があります。その理想にたどり着くため、日々その答えを探しています。

まとめ

日本文化にほれ込み、移住を決めたというモレイラさん。ゲーム業界への就職、国際結婚と日本での生活基盤が固まる一方で、母国ポルトガルの家族や生活への恋しさも年々大きくなっていったようです。仕事でハイレベルなスキルを身に付けることとリモートワークでの業務を広げていくことの両方を目指しながら、いつかは日本とポルトガルを自由に行き来できるように準備をしているというお話でした。理想とする生活が明確に描けているモレイラさんなら、それを実現させていくことができるはずだと思いました。