パートナーに出会い、定住を決意。クロアチアにいながら日本の仕事をする田口さんの日常

日本とクロアチアを行き来しながらの「くらしと仕事」とは?

大手企業でのwebディレクション、旅行代理店のカスタマーサービスや企画の仕事を経て、クロアチアにたどり着いた田口桂さん。これまでのキャリアを活かし、webの仕事に精力的に取り組みながらも、クロアチアの街や自然の美しさに触れ、ご自身のライフスタイルについて見つめ直しているようです。

インタビュアー

しゃゆーん
「HELP YOU」「くらしと仕事」の立ち上げに携わる。2019年5月より編集長。「HELP YOU」では、年間100人以上の採用面談を対応し、400人強のリモートワークチームの組成・組織開発・人材育成を一手に担っていた。

ライター

鈴木せいら
札幌市出身。横浜国立大学大学院工学修士修了。2007年夏より、函館へ移住。制作会社でライティング・編集業務を行い、実用書・フリーペーパー等のコンテンツ制作を担当、2011年よりフリーランスに。現在、「HELP YOU」プロフェッショナルライター。理系の知識を活かしたサイエンスやアカデミー系の文章から暮らしにまつわるエッセイ、インタビューなど幅広く手がける。

ヨーロッパの一国・クロアチア定住を決心したわけ

田口さんは「HELP YOU」に応募したときからクロアチア共和国にいたそうですが、それはどうしてですか?

前職の旅行代理店での赴任先が、クロアチアだったからです。前の会社に転職した当初は、東京のオフィス勤務になる予定でしたが、転勤ですね。現在、クロアチアに暮らすようになって3年が経ちます。最初の1年は、その旅行代理店の社員として働いていました。会社を辞めてから日本に帰ることも考えましたが、その時期にクロアチア人のパートナーと出会い、この国の暮らしになじんできたこともあって。私もパートナーもちょうど自分の仕事やライフスタイルのあり方について、考え始めるタイミングだったのかも。そして今は、「クロアチアに定住しよう」と心に決めています。もともと共産国だったということもあり、医療や教育にかかる費用は安い。今のところ大きな病気をしたことはありませんが、医療技術や衛生面での心配もありません。

クロアチアは、どんな国ですか?

日本のように南北に長い国で、それぞれ雰囲気が違います。首都のザグレブは北部にあり、ヨーロッパらしい古い建物がきれいな街。南部は、暖かい海辺でユネスコの世界遺産に登録されている場所もあり、国の産業は観光がメイン。ジブリ映画の「魔女の宅急便」を彷彿とさせる、オレンジ色のレンガの家並みが並ぶドブロブニク旧市街や、エメラルドグリーンの湖と100以上の滝があるプリトヴィッツェ湖群国立公園など、美しい場所があります。

ヨーロッパの一国でEUに加盟しているものの、あまり経済的に豊かな国ではないので、未だにユーロの通貨使用が認められていない。在住の日本人はそれほど多くなく、大使館の公式発表では100人ほど。ですから、旅行代理店社員の時には、同僚と共に日本大使からディナーに招いていただいたこともあります。

日本では長年東京で暮らしていたので、不便を感じることもあります。郊外へ行けば大きなホームセンターもありますが、日本のように「あれがほしい」と思って買い物に行っても、手に入らない場合が。ですが、私は年に数回日本とクロアチアを行き来していて、クロアチアでもパートナーの仕事の都合で、首都ザグレブとクロアチア第2の都市スプリットの2ヶ所で生活しています。ですから、それぞれの街の良い部分を活かして、生活している感じかもしれませんね。

1ヶ所にとどまらない生活に合う仕事を探し、「HELP YOU」に出会う

オンラインアウトソーシング(在宅ワーカー)サービスの「HELP YOU」に登録した理由は何だったのでしょう。

実は、オンラインでできる仕事を探す際に日本の他社も調べたのですが、「海外在住でもOK」という会社は「HELP YOU」以外にありませんでした。ですから、募集を見つけてすぐにコンタクトを取って。Skypeで面談を受けて「海外にいても大丈夫ですよ」と言ってもらい、2016年5月から「HELP YOU」で仕事を始めました。日本へ戻ったり、都市間を移動したりすることを考えると、もしもクロアチアの企業に勤めたら、1~2カ月といった長期の休みをその都度取らなくてはいけない。それはなかなか難しいと思うので、フリーランスとして「HELP YOU」で仕事ができて良かったです。

 

「HELP YOU」では、どんな仕事をしていますか?

自社サイトの編集ディレクションの仕事をしていたことがあるので、その経験を活かしてクライアントのサイトディレクションや、ライティング業務などをしています。今は、産休に入るチームリーダーの代理を務めるため、リーダーとしてのディレクション業務を引き継ぎしながら取り組んでいるところです。「HELP YOU」のチーム体制は組織的で、同じスキルを持った人たちが分担して作業にあたっているイメージ。ひとりですべてをこなさなくてはいけない、というプレッシャーがない分、私はやりやすさを感じています。

 

一日のタイムスケジュールを教えてください。

平日の過ごし方は、だいたい次のとおりです。
8:00 起床
9:00 メッセージチェック 以降作業開始
12:00 ランチ
13:00 メッセージチェックをしながら作業
16:00 買い物&夕食の準備
19:00 必要に応じて作業を続けることも
23:00 就寝

日本との時差はマイナス8時間。あまり仕事が忙しくない時は、午前中に市場に行って、魚や野菜を買います。「仕事が立て込んでいるな」という日は、近所のスーパーで買い物を済ませてしまいます。週末は、基本的に休みを取るようにしています。とはいえ、納期がせまっているとそういうわけにはいかず、仕事をすることも。休日の過ごし方は、買い物に行ったり、友達と遊びに出かけたり。一緒に遊びに行くのは、中国や韓国出身の友達が多いですね。

仕事の在り方そのものが変容していく時代、常に柔軟でいたい

「HELP YOU」の仕事をしていく上で、身に付けたいスキルなど、目標はありますか?

「HELP YOU」の中では、クライアントのサイトをGoogle アナリティクスで解析し、その結果を反映させたコンテンツ運営を行っているチームもあります。私は自社サイトの制作を行っていましたが、クライアントのサイトを客観的に分析しコンサルティングを行ったことはないので、そこまでスキルを広げられたらいいなと思います。

 

現在の仕事にやりがいを感じていますか?

そうですね。webの仕事が好きです。一度、旅行代理店に勤めてみて分かりました。作業として似ている部分はあっても、本質的な違いを感じます。webディレクションの仕事は、自分たちでゴールを設定し、そこに到達したときの達成感があります。

 

将来的にも、webの仕事を続けていきたいと思いますか?

正直なところ、年齢を経ても同じ仕事をしているかどうかはわからないです。私が思う「ライフワーク」とは、命がけでその仕事に情熱を注ぐもの。今の仕事が好きですが、ライフワークとは言えないように思います。20年後に同じ仕事をしているか、と考えると想像がしにくい。ただ、かつては存在した職業がなくなっていく、仕事の在り方そのものが変容していく時代の流れを感じているので、常に「柔軟でいたい」と思います。

編集後記

日本とクロアチア、そしてクロアチアでも首都と郊外を往来するエネルギッシュな田口さん。素晴らしいキャリアを持ちながら、向上心やチャレンジ精神を忘れずにいることが、お話から感じられました。自然豊かな美しい街に暮らし、ライフスタイルが充実することで、仕事の面でもよりいっそう磨かれていくのではないでしょうか。

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