男性の育休取得率UPへ!子育て世代をサポートする育児・介護休業法の改正ポイント

2021年に育児・介護休業法が改正され、2022年4月から段階的に改正法が施行されています。いよいよ2022年10月には、男性の育児休業取得の促進を目的に創設された「出産時育児休業制度」(産後パパ育休)と、男女共に対象となる「育児休業の分割取得」もスタートします。夫婦共働きが当たり前になりつつある現代において、女性はもちろん、男性の育児休業制度の環境整備は多くの人の関心事。子育て世代がメンバーの6割以上を占める株式会社ニットも、このたびの法改正に注目しています。男性も取得しやすくなった、と期待が高まっている新たな育児休業制度についてお伝えします。

ライター

小川舞子
埼玉県出身、栃木県在住フリーライター・MC、2児の母。夫に伴い5回の転居で広報・司会を中心に6回の転職を経て、2020年~ライター&MC業のフリーランスへ。MCスキルを活かし、思いを引き出すインタビュー記事の執筆をはじめ、居住地や時間に縛られないリモートワークを広める活動にも挑戦。栃⽊県移住情報ウェブサイトの公式YouTubeに出演中。

伸び悩む男性の育児休業取得率と育児・介護休業法改正の背景

近年、新興企業をはじめ、企業のトップや政治家の男性による育児休業の取得を伝えるニュースが増えています。確かに「令和3年度雇用均等基本調査」(厚生労働省、2022年7月発表)によると、2021年度の男性の育児休業取得率は、過去最高の13.97%。(※1)前年度比プラス5.2%と大きな上昇を見せた2020年度の12.65%から、さらに1.32%上昇しました。しかしながら、80%台を推移している女性の高い取得率との差はまだまだ大きく、政府が目標としている「2025年までに男性の育児休業取得率30%達成」にも、開きがあります。

出典:厚生労働省、「令和3年度雇用均等基本調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r03/07.pdf

 

また、同調査によると、男性が育児休業を取得する日数は、50%以上が2週間未満(「5日~2週間未満」26.5%、「5日未満」25.0%)にとどまっています。(※1)一方、女性の場合には、10ヶ月以上18ヶ月未満が約60%(「12ヶ月~18ヶ月未満」34.0%、「10ヶ月~12ヶ月未満」30%)(※1)。この数字を見る限りでは、育児・家事の大部分を女性が担う家庭が多いといえそうです。それに伴ってか、約50%の女性が第1子の出産後に退職しているのが実状です。(※2)

出典:厚生労働省、「令和3年度雇用均等基本調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r03/07.pdf

 

出典:仕事と生活の調和連携推進・評価部会、仕事と生活の調和関係省庁連携推進会議「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2019 」(内閣府)https://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/report-19/h_pdf/zentai.pdf

 

育児・介護休業法の目的である家庭と仕事の両立を出産後の女性が実現するには、夫・パートナー(男性)の協力が不可欠でしょう。実は、夫・パートナー(男性)が家事・育児をする時間が長いほど、出産後に女性が働き続ける割合と第2子の出生率が高くなるというデータ(※2)があります。つまり、男性が育児休業を取得することで日常的な育児・家事の分担が進みやすくなり、女性の就業継続率や少子化対策にも貢献することができるのです。

 

出典:仕事と生活の調和連携推進・評価部会、仕事と生活の調和関係省庁連携推進会議「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2019 」(内閣府)https://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/report-19/h_pdf/zentai.pdf

 

このようなメリットがありながらも、男性の育児休業取得率が10%台、かつ取得日数が短期間にとどまる背景には、男性の育児休業に対する社内外での認知度と理解度の低さがあります。

2021年1月公表の「男性の育児休業取得促進策等について」によると、これまで男性が育児休業制度を利用しなかった理由には、業務の都合や職場の雰囲気といったもの(※3)が挙げられています。取得率の向上には、業務ともある程度調整しやすい柔軟で利用しやすい制度や、育児休業を申出しやすい職場環境等の整備のような取り組みが必要(※3)だとしています。

「育児・介護休業法」は、少子高齢化が進む中で、育児や介護を行いながら働く人が家庭と仕事を両立しやすいように支援するためのものです。

今回の改正では、男性の育児休業取得を推進するための新制度の創設をはじめ、育児休業を取得しやすい社内環境の整備、企業による従業員への個別の周知や意向確認が義務化されました。とくに子どもの出生直後に取得できる新制度「産後パパ育休」育児休業の「分割取得」は、男性の取得を支援する項目として注目を集めています。

「育児休業」改正のポイント

2022年10月施行の新制度の目玉となるポイントは、2点。男性が取得できる新たな育児休業制度「産後パパ育休」の創設と、男女問わず対象となる「育児休業の分割取得」です。既に施行されている改正点も含め、注目したいポイントをみていきましょう。

注目の新制度!「産後パパ育休」

産後パパ育休は、子どもの出生後8週間以内に取得できる新設の育児休業制度です。(主に男性を対象)現行制度では「パパ休暇」として育児休業の一部に含まれていますが、産後パパ育休は、通常の育児休業とは別枠で利用可能な制度として創設されました。

 

出典:厚生労働省、「育児・介護休業法の改正について~男性の育児休業取得促進等」https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000851662.pdf

 

1回目の休業申し出の際に期間を明示する必要はありますが、最長4週間(28日間)の期間内であれば、2回に分割しての取得も可能です。今回の改正のポイントの1つである通常の育児休業の分割を併用すると、男性の場合、子どもが1歳になるまでに最大4回に分けて育児休業を取得できるようになりました。

また、産後パパ育休の申出期限は、原則、休業の2週間前まで。そのため、「出産が予定日より早まりそう、遅くなった」といった事態にも対応しやすく、男性が柔軟に育児休業を取得しやすくなると考えられます。(企業が雇用環境を整備するなど一定の条件を満たした場合には、申出期限を1か月前までとすることができます)

とはいえ、業務の引継ぎが必要な場合には、2週間では期間が十分でないことも。産後パパ育休をはじめ、育児休業の取得を決めたら、自身が不在の間もスムーズに仕事がまわるよう、できる限りの準備をしておくことが大切ですね。

また、育児休業期間は原則として就業できませんが、産後パパ育休の場合には、従業員が合意した範囲で働くことも可能になっています。(就業日数や時間に上限があります)仕事を休むことへの不安や抵抗感から、育児休業の取得をためらってしまう、というこれまでの声にも考慮した新制度だといえるでしょう。

2回ずつの分割取得でスムーズにバトンタッチ

今回の法改正による注目ポイントの2つ目。男性も女性も育児休業の分割取得が可能になりました。

現行制度における男性の育児休業は、子どもの出生後8週間以内のパパ休暇1回と、通常の育児休業期間である子どもが1歳を迎える前日までの原則1回、合わせて2回です。原則として、通常の育児休業を分割して取得することは認められていません。

今回の改正により、2022年10月以降は下の図のように、育児休業を分割して2回まで取得できるようになります。

 

出典:厚生労働省、リーフレット「育児・介護休業法改正ポイントのご案内」https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000789715.pdf

 

また、保育所に入所できなかった場合などに必要な1歳以降の育児休業の延長についても、パパとママの交代取得がしやすくなりました。

現行制度では、1歳以降の育児休業の開始日を1歳と1歳半の時点に限定していますが、2022年10月以降は、開始日の限定がなくなり、図のようにパパ・ママそれぞれが都合をつけやすい時期に、交代で育児休業を取得することも可能に。職場復帰をしやすい環境を整えることで、育児休業取得率のアップが期待されています。

パートでも育児休業を取りやすく!取得要件の緩和

2022年4月の施行により、パートやアルバイトなどの非正規社員が育児休業を取得する要件も緩和されています。これまでの2つの要件のうち、「引き続き雇用された期間が1年以上」が撤廃され、「1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」のみとなりました。

これにより、非正規社員も、正社員同様に入社直後から育児休業を取得することができます。(「労使協定」の締結により、正社員・非正規社員問わず、勤続1年未満の者が育児休業の取得対象から除外される場合があります)

社会全体の意識改革で男性の育児休業取得を応援しよう

育児参加をしたいと前向きに育児休業の取得を希望する男性も、夫・パートナーに育児休業を取得してほしいと考える女性も、年々増えています。にもかかわらず、なかなか取得率が上がらないのは、男性は仕事、女性は家事育児を担うもの、という無意識の思い込みがいまだに残っているためではないでしょうか。

男性が育児のための制度を利用することを妨げようとする、いわゆる「パタニティハラスメント」(パタハラ)も増えています。「令和2年度 職場のハラスメントに関する実態調査」によると、過去5年間のうちにパタハラを経験した人は、26.2%でした。(※4)

内容としては「上司による、制度等の利用の請求や制度等の利用を阻害する言動」が53.4%(※4)で最も多くなっています。パタハラの行為者は、「上司(役員以外)」(66.4%)、「会社 の幹部(役員)」(34.4%)(※4)であり、残念ながら理解が進んでいない企業も一定数あることがわかります。結果として、育児休業取得の断念や、取得日数の短縮へとつながっているのでしょう。

今回の改正により、育児休業を取得しやすい雇用環境の整備のほか、育児休業等を理由とする不利益な取り扱いの禁止や、ハラスメントの防止も法定されました。

男性の育児休業取得を後押しする内容を盛り込んだ、新しい育児休業制度。もうすぐ子育てが始まる家庭はもちろん、子育てが始まったばかりの家庭でも適用できる項目があります。まずは現役子育て世代が積極的に利用し、男性が育児休業を取得することが当たり前の社会を目指していきたいですね。

▶︎仕事と育児を両立したい男性の方はこちら

<数値引用・参照資料>
※1 厚生労働省、「令和3年度雇用均等基本調査」https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r03/07.pdf(参照 2022-09-10)
※2 仕事と生活の調和連携推進・評価部会、仕事と生活の調和関係省庁連携推進会議、「仕事と生活の調和(ワーク・ライフ・バランス)レポート2019 」(内閣府)https://wwwa.cao.go.jp/wlb/government/top/hyouka/report-19/h_pdf/zentai.pdf
(参照 2022-09-10)
※3 労働政策審議会、「男性の育児休業取得促進策等について」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/000721930.pdf(参照 2022-09-10)
※4 東京海上日動リスクコンサルティング株式会社、「職場のハラスメントに関する実態調査 報告書」(厚生労働省)https://www.mhlw.go.jp/content/11910000/000775799.pdf(参照 2022-09-10)
・ 厚生労働省、「育児・介護休業法の改正について」https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000851662.pdf(参照 2022-09-10)

まとめ

改正された育児・介護休業法は、男性による育児休業取得を視野に入れ、子育て家庭における仕事と育児の両立をサポートするものになっています。

女性だけでなく男性にとっても、育児や家事を担いながら働くことで得られるメリットはたくさんあるはず。日々の子どもの成長を見守り、家族内でのコミュニケーションが増えることで一体感を高めることもできるでしょう。育児・家庭と仕事の両立をよりスムーズにするために、自分らしいワークスタイルを考えるきっかけにもなるのではないでしょうか。

ニットでは、ビジョンに掲げる「未来を自分で選択できる社会をつくる」ために、家庭を持つ男性がさらに働きやすくなる職場環境づくりに努めてまいります。

Link

おすすめリンク