妻と夫は最良の友か永遠の敵か⁈夫婦のパートナーシップをより良くする本 3選+α
仕事に家事に育児に。次々とやってくる人生の喜怒哀楽を分かち合う存在である「夫婦」。二人三脚を組んでいるパートナーと、うまくいっていますか?それとも、もっとコミュニケーションを取って改善したいと思うでしょうか。今回は、夫婦のパートナーシップをテーマに選んだ本をご紹介します。
目次
人はここまでの先読みと気配りができる?「妻のトリセツ」
『妻のトリセツ 』(講談社+α新書)
単行本(ソフトカバー) – 2018/10/20
黒川 伊保子 (著)
「妻のトリセツ」、いまこちらの本が話題になっているそうです。夫婦は人生を二人三脚で歩むパートナーであるはずなのに、「どうしていつもこうなの?!足を引っ張ってるだけじゃん。むしろお荷物……」とストレスの源になってしまうのはなぜなのでしょうか(それに堪えきれず離婚した私が通りますよ)。
本書は、夫の立場になって「こういう時、本当は妻はこういう気持ちでいます。真向から受け止めてこう返しちゃダメ。ベストな対応は、こういうものです」といった、いかに難しい「妻」という生き物をうまく取り扱うべきかの、文字通りトリセツになっています。
内容は文句なく面白いですし、本質をズバリズバリと突いているのですけど……読み進むうちに、私は沈鬱な気持ちになってしまいました。
「妻って、そんなに難解な生き物なのかなあ。まるで怒らせたら最後、みたいな……。ここまでの細かい配慮、私だったら絶対ムリー」
そうです。読んでいるうちに、私はだんだん世の「夫」の立場に感情移入してしまったのです。「一生懸命やっているのに、ここまでしないとダメなのかー」がくーん、という感じ。
相手が友達でも恋人でも家族でも、本当に仲良くしたいと思ったら、自分の感情だけではなく相手の気持ちもよくよく考えて動くものなのではないでしょうか?相手が実は自分を腫物のように扱ってご機嫌をとっているだけだとしたら、それはしあわせでしょうか?……ケンカやもめごとは、起きないにこしたことはありませんけど、なんだか悲しくなってしまいます。
もしも「妻のトリセツ」というタイトルにひかれて本を手に取ったとしたら、その人(夫)は「どうしたらうちの妻ともっとうまく付き合っていけるんだろう?」「夫婦で仲良く生活していくためには?」と少なからず悩んでいるということですよね。そのこと自体が、思いやりに他ならないのでは?
「相手の気持ちをもっとわかりたい」その思いこそ、人間関係をより良いものにする第一歩である気がします。「世の中のダンナさま、その気持ちがあればきっと大丈夫。うまくいきますように!」とそっとエールを送りたいと思います。
家庭も仕事もがんばる妻と頼れるパパに成長した夫「共働家」
『ススメ⇒共働家(ともばたけ)』
単行本(ソフトカバー) – 2018/3/7
ぽに (著)
「ススメ⇒共働家(ともばたけ)」の本は、人気ブログから飛び出したものだそう。
著者であるぽにさんについてプロフィールを引用すると……
〔著者〕ぽに
夫婦共に技術職、お互いの実家は遠方の「完全核家族」という環境で、2歳と4歳の男の子を育児中のワーキングマザー。バタバタの家事・育児や、約50c㎡賃貸マンションをなんとか快適にすべく模索する日々、仕事の奮闘を綴ったブログ「ともばたけ」が人気を集める。週末は家族揃って思いっきり遊び、平日は仕事に家事に全力疾走。好奇心が赴くまま、興味のあることはとことんまで突き詰める根っからの研究者肌。占いでは「120歳まで生きる!」と告げられ、まだまだ続く人生プランを日々更新中。
(「ススメ⇒共働家(ともばたけ)」より)
どうでしょう。プロフィールを読んだだけでも、ぽにさん一家の楽しい空気が伝わってきますね。家事を時短させるためにミニマリストを目指していらっしゃるそうで、あえて家は狭くてOKとしたり、持ち物を少なくしたり(帰省する時のエピソードで、まさかの義理のお母さんから下着を借りるというライフハックは「真似できない……」と思いました)。
ぽにさんの家族の話からは、試行錯誤して徐々に自分たち夫婦、家族なりのやり方を築いていった様子がわかります。夫も当初は保守的で亭主関白寄りの考え方を持っていたようですが、ぽにさんが仕事に家庭にと奮闘するうち、自分のできることを増やしていってくれたそうです。それも、自発的に。休日に子どもと元気に遊んだり、ぽにさんが出張の時は子どもたちの面倒を見てくれたり……パートナーの姿を見て、自然に考え方や行動が変わるって、理想の流れですよね。
結婚当初。本人は1人暮らしを長年していたので、家のことはできると思い込んでおりました。が、うーん。できなくはない。でも、積極的にやりたがらない。「家事」という仕事を苦痛だと感じているようでした。
家事分担について、子供が産まれる前から夫婦で揉めておりました。
(中略)
結婚して8年になり、以前よりも旦那はグンと家事に寄り沿うようになりました。
(「ススメ⇒共働家(ともばたけ)」より)
ぽにさんのお宅では家事をすべて書き出して、それぞれの分担を決めてしまったんですね。家事分担表を見ると、夫婦の両方に〇がついているものもあり、ぽにさんの負担が大きいのはどうしても否めないのですが。妻が先回りして何でもやってしまわないこと、やってもらった家事の出来に文句を言わない、「ありがとう」を口ぐせのように言う。この3つのポイントで、夫の担当家事がだんだん増えていくのだとか……。マネしてみる価値は、ありそうですね。
これからワーキングマザーになる方はぜひご一読を「ワーキングカップルの人生戦略」
『2人が「最高のチーム」になる―― ワーキングカップルの人生戦略』
単行本(ソフトカバー) -2011/6/23
小室淑恵 (著), 駒崎弘樹 (著)
次にご紹介する本は、それぞれ共働き夫婦のかたわれとして仕事と家庭マネジメントにがんばっていらっしゃるお二人。ひとりは、株式会社ワーク・ライフバランス代表取締役の小室淑恵さん。もうひとりは、NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さん。本を読むまでは、てっきりご夫婦の共著かと思っていましたがそうではなく、お仕事で関わりがあり姉弟のようなお付き合いの関係性だそう。その方が話に広がりがあって、いいかもしれないな。後から思いました。
まずは結婚になかなか踏み切れないカップルに対し、女性側には「自分で自分を養う」心構えを提案し、男性側には「今は夫婦がパートナーとして共に支え合う時代。ひとりで妻子を養わなくては、とプレッシャーを背負う必要はない」とアドバイスしています。
それから、いざ結婚して二人三脚で走る生活がスタートしたら、共働きの良い先輩たちをお手本にするべし、家事の分担は遊び心のあるポイント表を作って楽しみながら実行する、などなど……。著者のおふたりの実体験から「この方法は良かった!」ということを勧めているので、信ぴょう性が高い印象。「試してみようかな」という気持ちになりますよね。
私がこの本の中でかなり参考になるのでは?と思ったのは、「第3章 妊娠・出産戦略」の部分です。妊婦講習に夫も参加して「妊婦体験」をしてみたら想像以上に体の大変さが実感できた話や、妊娠時期に準備をしておいた方がいいこと(情報源となる仲間づくり、パパを子育てモードにする、制度の概要を広めておく、引き継ぎスケジュールを共有)について。産前産後は予想外のことが多く出てきますから、知識を付け、備えておくというのは決して損にならないと思うのです。そういう意味では、これからワーキングマザーになるという方に読んでみてほしいな、と思います。もちろんケースバイケースで、「そうは言っても私(うち)には当てはまらない、真似するのは難しいな」ということもあるかもしれません。そうであっても、「ねえねえ、こういうおうちもあるらしいよ~」とパートナーに伝えて、ご自分なりに共働き夫婦のベストバランスを目指すきっかけにするのも、アリではないでしょうか?
夫にも妻にもやさしく諭すような語りかけ「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」
『なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか』
単行本 – 2017/3/31
高草木陽光 (著)
最後にご紹介する一冊は、「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」。私はタイトルだけ見た時に、冷静に男女双方をピシッと批判するクールな本をイメージしたのですけど、そうではありません。著者は2009年にNPO法人設立、夫婦問題に特化したカウンセラーとして活躍中なのだとか。夫婦にまつわるさまざまなテーマを相談事例から具体化して解説。必ず最後に、著者から「夫へ」「妻へ」それぞれへのアドバイスで締めくくっています。これがとても優しく公平さが伝わってきて、良いのです。例えば、こんなふうに。
[夫へ]妻の「相談があるの」には三つの種類があります
妻の相談は曖昧です。すでに答えが決まっている相談、本気で意見を聞きたい相談、とりあえず思いを吐き出したい相談。夫は妻の相談が「3種類のうちのどれにあたるのか」を瞬時に判断して、正しい返答を導きだすスキルが必要とされます。一つめに対しては「NOと言わない」。二つめは「アドバイス」や「提案」を三つめは「共感」あるのみです。[妻へ]夫はまだ人に相談する「時期」ではないと思っています
夫の様子がいつもと違うとき、妻は「悩みがあるなら話して」と、むりやり夫の口を開かせようとしてしまいがちです。夫が黙り込んでいるときは、まだ人に打ち明ける「時期」ではないと思っているということ。ですから、妻は近くで見守りながら、その時期が来るのを待ちましょう。「心配するより〝信頼〟せよ」と、心に言い聞かせてくださいね。
(「なぜ夫は何もしないのか なぜ妻は理由もなく怒るのか」より)
夫婦間のもめごとだけではないかもしれませんが、どちらか一方の味方をして「ハイ、悪いのはあなたです」と判決を下さすようなアドバイスは本質的ではないと思います。もちろん、事情を知るとどう考えても夫(妻)が悪いだろう!という事例もあるかもしれません。とはいえ、できれば片方を責めるのではなく、互いに譲りあう余地はないか考えさせる論調は自然と耳を傾けたくなります。
そして、偶然こちらの本の中にもコラムとして「夫の取扱説明書」が出てきました。「妻のトリセツ」の続編で「夫のトリセツ」が出ているそうなので、読み比べてみると面白いかも!
まとめ
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