事務のプロフェッショナルとして働きたい!令和における事務職のキャリアを築くコツとは?
ここ数年のテクノロジーの発展により、求められる仕事が大きく変わってきました。今後訪れるであろうAI時代においては事務職がなくなる可能性もいわれています。その中で事務職として生き残るには、自分にしかできないスキル・価値を見出すことが重要となってきます。この記事では今後も事務職として働き続ける方に向けて、もっと自由に事務職のプロフェッショナルとしてのキャリアを築くコツを紹介していきます。
目次
ライター
事務職はいづれなくなる!?AI時代における事務職のこれから
今後、単純作業が多い事務職はなくなるのではないかともいわれています。特に近年では一般職の人員削減を行った企業が増えており、ますます一般職の人員削減が行われるかもしれません。ここでは、一般職の人員削減を行った企業、これから行う企業の事例を紹介していきます。
一般職の人員削減を行った(行う)企業の事例
三菱UFJ銀行(三菱UFJフィナンシャルグループ)
2017年11月、三菱UFJフィナンシャルグループの三菱UFJ銀行は、2023年度までに全従業員の15%に相当する6,000名の人員を削減する声明を発表しました。その後2019年4月には銀行本部に在籍する約6,000名の社員を圧縮し、約3,000名の規模に縮小させる方針を表明しています。削減予定の3,000名の社員を銀行本部から不慣れな営業部門に異動させることはリストラの手法に近く、これにより一般職の人員削減を図っているとみなされてます。
参照)
「三菱東京UFJ銀行 大規模な人員削減計画を発表」
「三菱UFJ、本部人員を半減 営業などに異動 」
三井住友銀行(三井住友フィナンシャルグループ)
2017年5月、中期経営計画にて、店舗におけるIT活用による業務効率化策を発表し、その効果として約4,000名の再配置を表明しています。対象となる4,000名の社員については、新たな事業部門への配置転換をする方針です。
参照)
「三井住友銀、4,000人を再配置 本店に事務集約 相談型の店舗拡充」
みずほ銀行(みずほフィナンシャルグループ)
2017年11月、2026年度末までに約19,000名の人員削減・リストラ策を実行することを、構造改革案の一部として正式に表明しました。また、2018年4月には一般職を含めた新卒採用人数も半減させる方針を表明しました。
参照)
「みずほ、店舗2割削減へ 12%減益で1.9万人削減発表」
「みずほ、新卒700人に半減 19年採用、総合職27%減」
損保ジャパン日本興亜
2019年6月、2020年度末までに国内損害保険事業の従業員数を4,000名削減する声明を発表しました。また、親会社のSOMPOホールディングス傘下にある介護事業(生命保険事業)やセキュリティー事業など、今後より需要が見込めそうな事業に配置転換をする方針です。
参照)
富士通
2018年10月、2020年度をめどにグループ全体で5000名規模となる人事や総務、経理などの間接部門を成長分野であるIT(情報技術)サービス事業に配置転換する方針を表明しました。富士通の間接部門の人員は2万人弱となります。そのため、1/4の一般職が配置転換の対象となります。
参照)「富士通、配置転換5000人規模 ITサービス注力で 」
まとめ
一般職を中心に人員削減をしている企業の実例を紹介しました。上記の企業の他に、一般職だけに限らず全社的に人員削減を行っている企業もまだまだあります。特に企業に対して直接的な価値を生みづらい一般職を中心に、これからも人員削減を行う企業が出てくる可能性は否定できないでしょう。
これからも事務職として働き続けたい!いま必要とされる事務職のあり方
これからも事務職として働き続けるにはどうすればいいのでしょうか。事務のプロフェッショナルとして働き続けるためのポイントを紹介していきます。
事務職としてのキャリアを守るコツ
転職できるレベルに能力を高める
転職をすすめているわけではありませんが、いつでも転職できるような能力を備えておくことは重要です。一般職の場合は、共有できる情報は徹底的に共有し無駄を省くことで仕事を効率化・迅速化し、ミスをできるだけ減少させることで会社全体の売上実績にもつながる可能性があります。常に自分の仕事内容だけでなく、会社全体の利益を考えたうえで他部署との連携を図って仕事ができると、実績が可視化されやすいでしょう。また、マネジメントや人材採用などの経験、英語やエクセル・ワードなどのスキルも高めておくと、有利な転職につながると思われます。
正社員として働き続ける
ライフイベントなどの理由で正社員を辞め、社会復帰する際に非正規雇用として働くことは今後のキャリアを考慮するとオススメできません。特にまだ実績や経験、スキルがない状態で正社員を辞めると、転職が難しくなります。そのため、正社員として働き続け、ライフイベントの際には休暇をもらうといった方法のほうが不安要素も取り除けるため安心できます。女性の働き方に理解がある企業にいるかどうかがポイントとなってきます。
事務職として、自分にしかできない価値を見出すためのポイント
事務職としての仕事の境界線はひかない
事務職だからと、自分や上司が定めた業務しか行わないというのは自分の成長機会を逃すため、なるべく他の職種の人とも関われるようにしておくことが重要です。特に社内の人の業務をサポートするのが仕事ですから、職種の境界線をなくしてできることを増やしておくと自分にしかできない価値を見出すことにつながります。
仕事が頼みやすい雰囲気をつくる
自分の心を常にオープンにしておくと、周囲の人が話しかけやすい雰囲気になります。そうすると他の人は仕事が頼みやすくなりますから、自分のできる仕事を増やして自己成長につなげましょう。
より高度なスキルを身につけておく
エクセル・ワードを中心に扱う業務であればデータ分析まで行うことができる知識と判断力を磨くこと、相手に伝わる文章の書き方を身につけておくことなど、実践的に使える+αのスキルを身につけておくと良いでしょう。
AI時代でもなくなりにくい事務職の仕事とは
AI時代においてもなくなりにくい事務職の仕事はあるのでしょうか。顧客や他職種の人とのコミュニケーションに関わる業務は、なくなる可能性が低いのではないかと思われます。事務職にはどの企業にも共通する業務と会社独自の業務がありますが、いずれも社内で「RPA(Robotic Process Automation、ソフトウェアロボットによる業務自動化)人材」を育成する環境ができればコミュニケーションに関わらない単純作業のほとんどが自動化されるはずです。まだRPA人材を取り入れるコストが高いことや社内環境が時代の変化に追いついていないなどの要因から、早急に事務職の仕事がなくなることはありません。やがて到来するAI時代においては、今存在するほとんどの業務のうち、人間同士が関わる仕事しか残らないであろうと予想されます。
まとめ
AI時代でも必要とされるであろう事務職について可能性を探ってきました。まだ不確実なことも多いですが、全体的な社会の情勢を見ながら自分の市場価値を高めておく努力をすると、不安をやわらげることができます。人とのコミュニケーションによって築かれた人材としての価値は、これからますます重要視されることになるでしょう。
プロフェッショナルとして活躍しよう!ロールモデルとなる事務のプロをご紹介
これからの時代、事務職として働き続けるにはプロフェッショナルとして活躍する必要があります。そこで、ここではそのロールモデルとなる事務職のプロを紹介していき、その人たちに共通しているものとは?
「HELP YOU」 在宅ワーカー 生田目さん
オンラインアウトソーシング(在宅ワーカー)サービス「HELP YOU」の在宅ワーカーとして、自宅で子どもを見ながら仕事をする生田目さん。クライアント企業のFacebook用記事作成を中心にSNS運用のサポートをされています。また、GoogleアナリティクスについてWebスクールで学んだり、PowerPointの使い方を改めて勉強し直したりと、子育てと両立しながら着実にスキルアップを図り、事務のプロフェッショナルとして活躍されています。生田目さんのように子育てをしながら充実した仕事ができる環境に身をおくことで、場所・時間にとらわれない事務職のプロとしてキャリアを築いている点はとても参考になると思います。
参照)「自分のスキルを伸ばしながら、働くママの子育て環境をより良いものに」
「HELP YOU」 パラレルワーカー 浦野さん
2018年2月より「HELP YOU」のチームマネージャーとして30人強のメンバーを取りまとめている浦野さん。現在「HELP YOU」のほかにも、国際交流コーディネーター、アーティストマネージャー、オンラインアウトソーシング(在宅ワーカー)など5つの仕事を掛け持ちされています。業界も業種も異なる仕事を同時並行的に行うことで、自分のコミュニティもスキル・キャリアを拡張でき、他者には代えがたいスキルを持ち合わせたプロフェッショナルとして活躍されています。どんな失敗の経験でもポジティブにとらえなおし、次へのステップ・アップとして生かすことを繰り返してきたからこそ、今の働き方が実現されているのだとか。幅広い業務経験をしつつスキルを磨いていくキャリアの築き方は、不確実性の高いこれからの事務職のあり方を模索するうえで参考になるのではないでしょうか。
参照)「6足の草鞋を履くパラレルワーカー!ハードワークからの脱出の先にあった理想の働き方」
「株式会社ニット」 平島さん
2015年8月に「HELP YOU」アシスタントとして業務委託契約から業務を開始し、2016年2月にチームリーダーに抜擢され、その1年半後には「HELP YOU」の運営会社である株式会社ニットの正社員になった平島さん。プロフェッショナルとして、相手が求めている期待以上の成果を出し、同時に仕事を楽しむことを常に意識しているからこそ、わずか2年で正社員に登用されることができたようです。また、蓄積されたデータベースの情報量が多ければ多いほど、自分自身のアウトプットに還元されていくという考えから、失敗の経験も含めて次への成長につながっているということを実体験を踏まえながら話されています。平島さんのように常に入ってくる情報を「自分ごと」化して取り入れる姿勢を持ち続けることがプロフェッショナルへの道につながると思われます。
参照)「販売職から事務系へのキャリアチェンジ!わずか2年で正社員登用の理由とは?」
「フリーランスの事務のお姉さん」 森さん
問い合わせ窓口対応や議事録作成、資料集めなど、経理を中心とした事務職のフリーランスとして活躍されている森さん。既存の職種や働き方の中に自分を収めるのではなく、自由な発想と自立心、そして「本質を知りたい」という探究心によって、フリーランスで事務職をするという働き方を生み出しています。そんな森さんも最初は事務職の会社員として働いていましたが、自らビジネス交流会などに参加し、そこで知りあった方と契約、クライアントがまた他の方を紹介してくれるという方法で依頼を増やしていきました。今では自分を大事にしてくれるクライアントと仕事をすることで、効率よく働くことができているとも話されています。会社ではなく、個人の力で事務職のプロフェッショナルになるには、スキルや経験ももちろん重要ですが、クライアントとの信頼関係を深く築くことが必要だと思われます。
参照)「フリーランスの事務のお姉さん」森智野さんに聞く、幸せに稼げる働き方」
「株式会社ビーボ」 田中さん
結婚のタイミングで退職し、出産を経て株式会社ビーボに再就職を果たした田中さん。自分が目標を達成するためのチームを作るべく、前職の上司をリファラル採用で経理に迎え入れ、4人体制に部署を増員。経理部門の体制づくりをされています。また子育て中の時短勤務でありながら、効率を高めることで会社のMVPを受賞するなど、事務職のプロフェッショナルとして活躍されています。様々な角度から物事をみることで仕事や家庭での課題を乗り越えてきた田中さんの前向きな姿勢は、これからのキャリアを築くうえで欠かせないマインドといえるでしょう。
参照)「産後の再就職で責任ある仕事に挑戦 チーム田中で共働きと育児を両立!」
まとめ
事務職のプロに共通するポイントとしては、常に自分のできることを増やすために様々な情報を「自分ごと」化して仕事に生かしていること、自分の市場価値を客観視しつつもライフスタイルに合わせて仕事を楽しんでいることが挙げられます。これは事務職に限った話ではなく、自分の行っている業務以外にも様々な経験、知識を蓄えておくことで他者には代えがたいブランディングが確立できるようです。
おわりに
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