働き方改革はテクノロジーと共に |【第1回】 RPA/AIとは何か?

「RPA/AI」の基礎知識について解説します。

ライター

佐々木康弘
札幌市出身、函館市在住。大手旅行情報誌やニュースサイト、就活サイトなど多数の媒体と契約するフリーランスライター。店舗・商品・人物の取材記事やニュース・芸能記事作成、広告ライティングや企業紹介など幅広いジャンルで年間100万字以上を執筆するほか、校閲も行う。「HELP YOU」ではプロフェッショナルライターとして活動。

RPA/AIの新技術が注目されている

RPA/AIとは何か?

RPAの定義

RPAとは、ロボティック・プロセス・オートメーションの略。人間が手で行っていた作業をロボットに置き換えることで生産性を向上させる技術のことをいいます。

 

RPAでいう「ロボット」とは、アームが動いて作業するような物理的なロボットではなく、パソコン上で動くソフトウェア。データの収集や入力、メールの送受信などの定型的な業務を人間の代わりにやってくれます。ロボットに代行させたい作業をパソコン上で実践すると、その操作を記憶して作業を代行する仕組みなので、複雑なシステムを組む必要もなければプログラミングの知識も不要。社内の各部署が現場レベルで運用できるため、いちいちIT部門にお伺いを立てる必要もありません。

 

AIの定義

今や身近な存在となったAI(Artificial Intelligence)は、膨大な量のデータをもとにコンピューターが自ら判断し、適切と思われる答えを導き出すシステム。「人工知能」の和訳でもよく知られています。AIは様々なシステムやデバイスに搭載されていますが、あくまでも「判断する」ことを得意としており、AIそのものが作業などを行う例は少ないとされます。

 

RPAとAIの違い

 

RPAは、あらかじめ人間が記憶させた作業をその通りに行います。たとえば、顧客が依頼した商品の型番に合わせてあらかじめ定められた価格を出し、フォーマットにしたがって見積書を作成する――といったようなことができます。

 

しかしながら、この場合「見積書を作成する」という作業をRPAに指示したのは人間です。一方、AIは自ら判断できます。このケースでいえば、「顧客から見積を依頼するメールが来たので、RPAに見積書を作らせよう」と判断し、実際にRPAに作業指示を出すことができます。つまり、RPAとAIでは「作業を代行するか、判断も代行するか」が大きく異なります。

 

RPAのうち、AIを搭載したものを特に「EPA」や「CA」と呼びます。単純作業のみを行うのが「RPA」、AIの搭載によって非定型業務も実行できるようになったのが「EPA」、自己学習能力によって人間に近い水準で判断を行うのが「CA」です。これを総称してRPAと呼ぶこともありますが、一般的にはRPAといえばAIを搭載しないRPAツールを指すことが多いようです。

 

導入の進め方

国内シェアNo.1を誇るRPAツール「WinActor」を提供するNTTデータは、RPAの導入に際して「PoC(評価・検証)、部分導入、全社導入という3段階」が必要だとしています。

RPAの主体となる現場を巻き込まず推進部門やIT部門だけでPoCを行った会社では、RPAを導入しても浸透しないケースが少なくないとのこと。また、PoCに際してはRPAツールの研修を受けることから始めることが重要だともしています。

「部分導入・全社導入」の段階を踏むのも重要。RPAを推進する企業のほとんどが、「RPAは小さく生んで大きく育てるべき」と口をそろえます。ごく一部の部門でごく一部の業務を代行させることから始めることで、社内でどの業務をRPAに代行させるべきか、どんな使い方ができるかを具体的にイメージすることができ、より効果的・効率的にRPAを活用することができるからです。

 

RPA/AIは何ができるのか?

 

メリット

非IT部門でも使える

前述のとおり、RPAはプログラミングが必要なツールではないため、業務を担当する現場レベルで使いこなすことができます。非IT部門においては、ITによる業務効率化をいちいちIT部門に要請する必要がなくなり、IT部門も各部署からの多様な要求から開放されます。

 

生産性の向上

RPAによる単純作業の作業効率は人間の3倍ともいわれ、しかも人間の3倍の時間(24時間)働き続けることができます。今までやむを得ず人力で行っていた単純作業を自動化することにより、よりクリエイティブな業務に人間のリソースを割く余裕が生まれます。

 

人材不足の解消

今後も労働人口が減少し続けるなかで、人材の確保は企業にとって頭の痛い問題です。人間でなくてもかまわない定型作業をRPAに任せれば、今までと同じ人数で今までよりも多くの仕事ができるようになります。

 

ミスの解消

単純作業ではヒューマンエラーが起こりがちですが、RPAは記憶した作業をひたすら正確に再現してくれます。ミスを修正する時間のロスや、ミスによって起こり得る金銭的な損害を未然に防ぐことができます。

 

活用事例

住宅販売・A社

【RPAを導入したおもな業務】

  • ウェブサイト閲覧者から送信された資料請求希望のリスト化
  • 取引先からメール送信されたデータのダウンロードと整理
  • 社用車のドライブレコーダーが送信した運行データのダウンロードと集計

【注目ポイント】

従来1000台の運転者が手作業で行ってきた運行データの送信と帳票にまとめる作業をRPAで自動化したことにより、年間1万4000時間の余力が生まれた。

コンサルティング業・B社

【RPAを導入したおもな業務】

  • ウェブから申し込んだ顧客情報の登録作業
  • セミナーに申し込みした顧客情報の登録作業

【注目ポイント】

人力では1件当たり3~5分かかっていた作業がRPAにより30秒~1分半に短縮。大きなセミナーでは何千人もの顧客情報を社員総出で連日残業して入力していたが、RPA導入で残業がほぼなくなった。

 

生命保険・C社

【RPAを導入したおもな業務】

  • 契約情報を社内システムへ登録する作業
  • 公的機関からの照会に基づいて契約者の保険加入状況を確認する作業

【注目ポイント】

四半期決算前、特定商品の満期などで年間を通して業務量が大きく変動するため、不定期の残業が多かったが、RPA導入により年間で約5万時間が効率化された。

 

RPAツールにはどんなものがあるか

 

多くの会社から様々なRPAツールが提供されています。そのいくつかをご紹介します。

BizRobo!

国内No.1のRPA事業実績を持つRPAテクノロジーズが提供。オンラインで使い方が学べるサービスがあるので簡単にロボットを作ることができる。PC端末にソフトをインストールせず、Webサーバー1台で複数のロボットを運用できる。

 

WinActor

NTTグループのNTTアドバンステクノロジが開発した国産RPAツール。その信頼感や充実したサポート体制から、国内シェアトップとされる。環境構築がいらず、PC1台から導入できる一方で、サーバーでの一括管理も可能。

 

NEC Software Robot Solution

NECが提供する国産RPAツール。高度な画像認識機能によって画面上に表示された画像や値を識別し、人間が行っていた多様な操作を自動化する。マネージャ機能を利用することで、複数ロボットの管理も可能。

 

UiPath

米大手リサーチ会社が開発し、世界2700社、日本国内900社の導入実績がある。拡張性が高く、ほかではカバーできない複雑な手順も自動化できる。画面の配置が変化した場合も、画面構成要素を保存して自動的に画像を調整し、エラーを回避する。

 

Blue Prism

RPA業界の草分けである英・Blue Prism社が開発した「RPAの元祖」的ツール。中央サーバーでロボットを一括管理する方式で、セキュリティの強さで知られることから、金融機関や医療機関などでの導入実績が多い。

 

Automation Anywhere Enterprise

米Automation Anywhere社が開発し、アメリカではRPAツールシェアNo.1を誇る。自動化できるシステムの幅が広く、手動で起動させる以外にもメール監視・プロセス監視・サービス監視など様々な起動バリエーションを持つ

 

SynchRpid

ソフトバンクが開発したRPAツール。OCR(文字の画像認識)による手書き書類のデータ入力、メールの内容に応じた書類の自動作成、Pepperとの連動など、様々なソリューションとの連携が可能。