子どもと体験する「異文化の旅」【自由大学「未来をつくる子育て」講義レポート4】
自由大学の講義「未来をつくる子育て」の受講レポートです。第4回目は、DRYandPEACE、食の探偵団 主宰のサカイ優佳子さんが「生き方が変わる」旅の体験について教えてくださいました。
第4回目の講義は「子どもと旅する」というテーマです。この回では、子どもと一緒に行く旅行について考えました。ゲスト講師は、DRYandPEACE、食の探偵団 主宰のサカイ優佳子さんです。サカイさんからは、子連れでの旅の仕方や旅をする意味、専業主婦の頃や料理を仕事にするまでのことについて伺いました。
目次
ライター
子どもと旅に出る
小さい頃の思い出のパスポート
「子どもたちが小さい時のパスポートや昔の写真を見ると本当に懐かしくて、一緒に旅ができたことは私にとっての財産」とお子さんの歴代のパスポートを手に自己紹介をするサカイさん。出入国のスタンプや顔写真の変遷から思い出がよみがえるパスポートは、アルバムとはまた違った、思い出の品になって良いなと思いました。
子どもがいるからという思い込みをはずす
「今すぐにでも旅に行けますか?では、行けないと思っている理由はなんでしょう?」「何となく心配だなと思うことは?」とのゲスト講師の問いから講座が始まりました。次々と答える受講生にマシンガントークで固定概念を覆す返答をするサカイさん。
「子連れ旅で最低限持って行かないといけないものは?」との受講生からの質問にも「パスポートかな?!」とお茶目に言い切ります。笑い声に包まれて、楽しく授業が進みました。「どの国でもそれぞれ子育てをしているのだから、日本と同じ物って思わなければ、何かしらある、漏れるかもしれないけどオムツだってあるはずだし、お金を出せば日本製だって買えるかもしれない」「本当に旅に出たければ、いくらでも方法はある」との言葉に、受講生の皆さんも大きくうなずいていました。
1人旅との違いを楽しむ、子どもがいる楽しさ
「自分1人のときと、子連れのときと全然違うが、その違いを楽しむ。自分1人だとできたことができないこともあるが、その代わり自分1人だとできなかったことができることもある」とホームステイやキャンピングカーでの旅の楽しさを教えてくれました。「子どもがいると感覚が研ぎ澄まされて、さらにいろんなことを感じとれるようになりました」と、子連れ旅を経験した受講生からも同意の声が上がっていました。
子どもたちに必要な能力を養う機会に
「ネットでこれだけ知識や情報を取れる時代、子どもたちにとって何が一番必要な能力かなと考えたとき、『どこでも・誰とでも』というのが大事だなと思った」そうです。「まず、話すことができること、そして、ただ話すだけでなく、助けてって言えることがすごく大事」「自分ができることというのは限られている。そのとき、これはあの人に聞けがよいかな、誰に聞けばよいか分からないときは、こんな人知らない?こんなことできる人知らない?と助けを求めることができること」
「そのトレーニングが一番できるのは、旅だと思う」とサカイさんは言います。確かに、旅をすることで得られる経験はたくさんあり、思いもよらないことに出会ったり、決断をしないといけない場面も多く、コミュニケーション能力が鍛えられるので、子どもにとっても、いろいろ学べる良い機会だなと思いました。
専業主婦を経て、料理を仕事にするまで
初めての仕事は料理教室の開催
地域の幼稚園情報をガリ版刷りで出すという作業をサカイさんのお家に集まって行うことが多く、食事を出していたら喜ばれて、料理教室をやってほしいと頼まれるようになった、とサカイさん。「どんなに小さな赤ちゃん連れでも良いので、料理教室をします」と開催したのが初めての仕事で、お子さんが3歳の頃。今でこそ、いろんなおでかけ場所がありますが、「当時は『子どもを預けて何をしているの?』と悪く言われる時代で、皆行き場がなく、小さい子どもを持つ母親たちの集まる場所になって、1ヶ月に約100人も来ていた」そうです。
子育ての経験が糧に
「自ら望んで専業主婦になったわけではなく、地元に知り合いもおらず、身内も頼れなくて、密室育児だった。幸せであるはずの子育ての時期に辛い気持ちになって育児ノイローゼになりそうだった」というサカイさんですが、「子どもを育てると、好き放題にできないこと、我慢をしないといけないこと、待たないといけないことができてくる分、女性は芯が強くなる」「今なにもしてないなと思っても、自分の中に必ず何か蓄積されている」
と受講生を励ますようにおっしゃっていました。
夢を語ることの大切さ
ある母親の会のワークショップに参加したとき、いきなり『あなたの夢は?』と聞かれたサカイさん。子育てに忙しくて夢なんて考えてもいなかったけれど、自分でも全く思ってもいなかったのに、その場で「私は食で人を幸せにしたいです」と語ったのだそう。その後、その通りに料理が仕事になっていくので「夢を語るって本当に大事」とサカイさんは言います。
そのときできることをする、大事なことは発信すること
「ブログはまだなかったので、ホームページを立ち上げて『毎日のおかず』を文章で書いていた。そしたら、それを見た食品会社の人から、『ヨーロッパの食品情報を集めているので調べてくれませんか』という依頼があり、そのご縁から、のちに本を出すことになった」「どこから何が繋がるか分からないので、発信をしていくことは大事」と、少しずつ仕事が広がってきたコツを教えてくれました。
旅と仕事、日常へ良い影響をもたらす
海外でホームステイをした際など、その国の料理を一緒に作って、教えてもらうそうです。サカイさんの連載コラムのレシピには、外国の食材を使ったものがあったりして、旅での経験が相乗効果を生んでいることが分かります。
また、「昔は自分にすごくブレーキをかけていて、『夫や父親が言うことには従わないと』という価値観を持っていたけど、どんどんブレーキがなくなってきた。仕事をちょっとずつ広げていけたのも、私の中での先入観や思い込み、勝手に作っていた枠がひとつずつ外れていったからできたのかな」とサカイさんは振り返ります。旅に出て、予想を超えることに出会ったり、国によって違う常識にふれることで、価値観が広がったり、枠が外れたのかなという印象を受けました。
親子で共に成長する生き方へ
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