フリーランス保険は必要?個人事業主が知っておきたい保障と備え方
「正社員を辞めたら、病気やケガをしたときはどうなる?」
「もし働けなくなったら、収入が止まってしまうのでは?」
独立を考え始めるとき、こうした不安を感じる人は少なくありません。
フリーランス(個人事業主)と正社員では、利用できる保障制度が異なるため、公的保障だけでは不足する部分を自分で備える必要があります。
しかし、ただやみくもに保険に入ればいいというわけではなく、大切なのは、自分がどのようなリスクを抱えているのかを知り、本当に必要な保障を見極めることです。
この記事では、フリーランスが知っておきたい保険や備え方について解説するとともに、保険だけに頼らないリスク対策についても紹介します。
目次
ライター
サムネイル制作者:今泉香織 (制作アイキャッチ一覧)
フリーランスはなぜ保険を考える必要があるの?

一方、フリーランスは正社員に比べて利用できる公的保障が限られており、病気やケガで働けなくなると、そのまま収入が途絶えてしまうリスクがあります。また、有給休暇のような制度もないため、休んだ分だけ収入に影響が出やすい働き方です。
そのような状況でも、家賃や通信費などの固定費や生活費は変わらず発生します。
そのため、万が一に備え、働けなくなった場合の収入減への対策を、自分自身で考えておく必要があります。
もちろん、だからといってすべてのフリーランスが保険に加入すべき、というわけではありません。ですが、「何も起こらない前提」で独立するのではなく、起こり得るリスクを理解した上で対策を考えておくことは、長く安心して働くための第一歩になります。
まずは、フリーランスにはどのようなリスクがあるのかを見ていきましょう。
フリーランスが備えておきたい5つのリスク
フリーランスが備えておきたいリスクには、次のようなものがあります。
健康リスク:病気やケガで働けなくなり、収入が減少する
収入リスク:契約終了や案件減少によって売上が不安定になる
業務リスク:納品ミスや情報漏えいなどによるトラブル
設備リスク:パソコンの故障や通信障害で仕事が止まる
将来のリスク:老後資金や家族への備えが不足する
「自分には関係ない」と思っていても、これらのリスクは「誰にでも起こり得るもの」です。
まずはどのようなリスクがあるかを知ることで、心構えや適切な準備をしておくことができるようになります。
こうしたリスクは保険だけに頼るのではなく、保険、公的保障、貯蓄、働き方の工夫を組み合わせながら、自分に合ったリスク対策を考えておくことがポイントです。
では次に、それぞれのリスクに対し、どのような保険で備えられるのかを見ていきましょう。
フリーランスが検討したい保険の種類

ここでは、フリーランスが検討したい主な保険の種類と、それぞれの特徴を紹介します。
フリーランスが検討したい保険一覧
| 保険・制度 | 特 徴 |
|---|---|
| 医療保険 | 病気やケガによる入院・手術に備える保険。医療費の自己負担分や、公的医療保険ではカバーされない費用などに備えられます。 |
| 就業不能保険 | 長期間働けない状態の収入減に備える保険。病気やケガで長く働けなくなるリスクに備えたい人向けです。 |
| 所得補償保険 | 一定期間働けない間の収入減に備える保険。病気やケガで働けなくなった直後の生活費を補いたい人向けです。 |
| 個人年金保険 | 老後の生活資金を計画的に準備するための保険。公的年金だけでは不足する資金を補う備えとして活用できます。 |
| 損害賠償責任保険 | 業務中のミスや情報漏えい、納品物による損害賠償などに備える保険。フリーランスとして仕事を請け負う場合、万が一のトラブルから身を守るための備えになります。 |
| フリーランス協会の保険・補償制度 | 賠償責任保険の自動付帯に加え、所得補償保険や弁護士費用保険などを利用できるフリーランスのための会員向け制度です。 |
就業不能保険と所得補償保険の違い
就業不能保険と所得補償保険は、どちらも病気やケガで働けなくなった場合の収入減に備える保険です。大きな違いは、保障期間や給付を受け取れる期間にあります。
フリーランスの多くが加入する国民健康保険には、原則として傷病手当金の制度がありません。そのため、フリーランスにとって、就業不能保険や所得補償保険は、働けない期間の生活費を支える心強い選択肢の一つです。
商品によって異なりますが、一般的に就業不能保険は60歳・65歳までなど長期間の保障を目的とした商品が多く、長く働けない状態に備えたい場合に向いています。一方、所得補償保険は1年や2年など一定期間の補償が中心で、働けなくなった直後の生活費を支える目的で利用されることが多い保険です。
また、給付開始までの期間にも違いがあります。就業不能保険は60日や180日など長めに設定されている商品が多いのに対し、所得補償保険は7日程度など短く設定されている商品もあります。
どちらが適しているかは、「長期間働けなくなるリスクに備えたいのか」「まずは一定期間の収入減をカバーしたいのか」など、自分の働き方や生活状況に合わせて検討することが大切です。
フリーランス協会の保険・補償制度
フリーランス協会の一般会員になると、業務中のトラブルに備える賠償責任保険が自動付帯されるほか、所得補償保険や弁護士費用保険なども利用できます。(※1)
保険商品を個別に契約するだけでなく、福利厚生サービスを含めた総合的なサポートを受けられるのが特徴です。
働き続けるための環境づくりを考えたい方は、こうした会員制度も選択肢の一つとして検討してみるのもよいでしょう。
(※1) 2026年9月時点の情報です。最新の制度内容や補償内容については、フリーランス協会の公式サイトをご確認ください。
保険を選ぶ前に確認したいポイント

保険料や保障内容はもちろん、自分の働き方やライフステージに合っているかを確認することも欠かせません。
ここでは、保険選びで押さえておきたいポイントを紹介します。
まずは公的保障を確認する
国民健康保険の高額療養費制度、障害基礎年金など、公的保障で利用できる制度もあります。
まずは公的保障でカバーできる範囲を知ったうえで、不足分を民間保険で補う考え方がおすすめです。
保障内容が重複していないか
すでに加入している医療保険や生命保険、公的保障などと、内容が重複しているケースもあります。同じリスクに対して過剰に備えるのではなく、不足している部分を補うという視点で確認することも大切です。
無理なく続けられる保険料か
保険は長く続けることが前提です。保障内容が充実していても、保険料が家計の負担になってしまうと、途中で解約せざるを得ない場合があります。
毎月の収支や貯蓄とのバランスを考え、無理なく続けられる保険を選びましょう。
ライフステージに合わせて見直せるか
独立直後と、結婚や子育てを経た後では必要な保障は変わります。また、収入や仕事内容が変われば、備えるべきリスクも変化します。
一度加入したら終わりではなく、定期的に見直すことが大切です。
「保障を増やすこと」ではなく、「必要な保障を必要な分だけ持つこと」を意識すると、自分に合った保険を選びやすくなります。
保険だけじゃない!フリーランスができるリスク対策

災いはいつ降ってくるかわかりません。ときにはこんなふうに自滅することも(笑)キプロス島にて
保険はリスク対策の一つですが、それだけですべてに対応できるわけではありません。
長く働き続けるためには、日頃から複数の備えを組み合わせておくことも大切です。
生活防衛資金を準備しておく
病気や仕事の減少など、急な収入減に備えて生活費数か月分の貯蓄を確保しておくと安心です。給付金が支払われるまで時間がかかる場合もあるため、すぐに使える資金があることは大きな支えになります。
スキルアップを続ける
フリーランスにとって最大の資産は、自分自身のスキルです。新しい知識を学び続けたり、実績を積み重ねたりすることは、仕事の選択肢を広げ、長期的な収入の安定にもつながります。
休める仕組みをつくっておく
体調不良や家族の事情で急に休むことは誰にでもあります。日頃から業務を整理し、引き継ぎしやすい環境を整えたり、連絡体制を決めたりしておくことで、自分が不在でも仕事が止まりにくくなります。
「休めない働き方」ではなく、自分自身で「安心して休める働き方」を整備しておくことも、信頼されるフリーランスとして働き続けるための大切な「保険」であり「備え」です。
母から教わった「保険はお守り」という考え方

ひったくりともみあいになった結果、壊されたパソコン
アフリカでは空き巣や、ひったくり犯に棒で殴られる被害に遭い、仕事で使っていたパソコンを2度失いました。幸い、セキュリティ対策をしていたため情報漏えいなどの二次被害はありませんでしたが、入院やパソコンの買い替えなどで仕事を再開するまでに時間がかかり、一部の業務は他の人に依頼せざるを得ませんでした。
当時は保険に加入しておらず、「もし備えがあったら……」と強く感じた出来事の一つです。
そんな私に母がよく話してくれる言葉があります。
「保険はお守りと同じ。保険に入っていたけど何事もなかったから保険料を損した、と考えるのではなく、保険というお守りがあったからこそ何もなかった、と感謝しなさい。」
保険を買うのではなく、お守りを買う。
保険がないときに限ってトラブルが起こる自分を顧みると、妙に納得する言葉でした。
保険は使うためのものではなく、万が一のときに自分を支えてくれるもの。だからこそ、必要な人が必要な分だけ備えることが大切なのだと思います。
まとめ
必要な備えは人によって異なります。保険だけでなく、貯蓄や仕事の受け方、休める仕組みづくりなども含めて、自分にとって無理なく続けられる備え方を考えてみてください。
また、一人ですべてを抱え込まない働き方を選ぶことも、リスクを減らす方法の一つです。継続的な案件や、困ったときに相談できる環境は、フリーランスが安心して活躍するための支えになります。
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