副業収入が本業の2倍に!10案件超を動かす、分野横断ディレクターの総合力

ちょっとしたリーダー経験はある。さらにいえば、管理職を経験したこともある。そろそろ独立したい、副業からでも何かを始めたい。

でも、会社の外に出て自分にできることって何だろう?

真面目に「総合職」をやってきたオールラウンダーほど、直面しがちな壁ではないでしょうか。

「得意分野がないのがコンプレックスだった」と話すSさんは、会社員として働く傍ら、オンラインアウトソーシング(※1)「HELP YOU」に所属するフリーランスのディレクターとしても活躍中です。HELP YOUでは、専門外の分野にも柔軟に対応し、幅広い領域にまたがる約13件の案件を並行してディレクション。トップクラスの売上実績を誇り、周囲から厚い信頼を寄せられています。

器用貧乏と悩むあなたへ。オールラウンダー型ディレクターが実践する、未経験分野にも挑めるチーム運用のコツと、フリーランスで稼ぐ秘けつをお届けします。

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※1 オンラインアウトソーシングとは在宅でインターネットを活用し、業務サポートを行うサービス。

インタビュイー

Sさん
キャリアやライフスタイルに関わるサービスを幅広く展開する大手企業に勤務。リモートワークができる環境を生かして、2021年にHELP YOUにジョイン。フリーランスディレクターとして活動を開始し、現在は会社員とフリーランスのダブルワーク中。本業(会社員)の2倍の収入を副業(業務委託)で得ている。

ライター

三代知香
飛騨在住のフリー編集者。会社員時代はIT企業でマーケティングやPM、自社ブログの編集長を経験。メディアの立ち上げ経験を生かし、「くらしと仕事」のアクセス解析や新人育成を通して成果向上に取り組むほか、インタビューライターとして働き方や地方活性化をテーマとした記事を手がける。1児の母。→執筆記事一覧

「得意」も「不得意」もない、文系総合職の悩み

──本業の会社では、どのようなお仕事を?

ジョブローテーションでたびたび役割が変わるのですが、直近は、採用メディアの制作デスクをしていました。コンテンツ制作の進行管理をするのが主な役割です。この春に異動し、また新たな仕事に挑戦しています。

──もともと制作畑の方なのですか?

いえ、新卒で入社したアパレル企業では法人営業でした。5年ほど勤めましたが、営業としての自身の適性に疑問を感じ、現職に転職して内勤としてのキャリアをスタートした経緯があります。

──さまざまな経験を積んだ今、ご自身ではどの分野が得意だと感じていますか?

実は、得意分野がなくて(笑)。それが、ずっとコンプレックスでした。強いて挙げるなら「採用全般」ですが、決して採用に特化しているわけではありません。

かといって不得意な分野があるわけでもなく、どんな仕事でもそつなくこなす自信はあります。ただ、「これが強みです」と胸を張って言える専門性がなく、履歴書に書ける武器がないことが悩みでした。

要領の良さが強みに。多分野にまたがるディレクター業

──まさに、オールラウンダーならではの悩みかもしれません。一方で、800社以上の業務コンサルティングやサポートを行うHELP YOUのディレクター(※2)には、営業事務、秘書、経理、人事・労務など、複数の分野にまたがる柔軟な対応力が求められていると感じます。

中には、得意分野を強みに活躍しているディレクターもいますが、幅広い領域での活躍を目指すには、おっしゃる通り、柔軟な対応力が求められます。例えば、経理の専門家でなくても、業務のおおまかな流れや押さえるべきポイントをパッと把握できる能力は、案件を進行するうえで役立ちます。

そうした対応力が役立っていることを実感し、4年目に入って「フリーランスでもこんなにやれるんだ!」と思えるようになりました。今では、かつてコンプレックスだった「専門分野がない自分」にも、自信を持てるようになっています。

実は、HELP YOUには当初、スタッフとして応募しました。まさか自分がディレクターとして案件を任され、ここまで多くのプロジェクトを担当することになるとは思ってもいませんでした。

現在は、約13件の継続案件を担当しているほか、スポット(単発)案件にも随時対応しています。デスクリサーチ、給与計算、データクレンジング(※3)・データ集計、購買関連の契約書・請求書処理、クリエイティブ制作、SNS運用、名刺のデータ化など、業務内容は多岐にわたります。これらのうち、クリエイティブ制作を除くほとんどは、HELP YOUのディレクター業務を通じて初めて経験した分野です。

※2 クライアントと実務担当スタッフをつなぎ、案件の最終責任者としてプロジェクト全体を管理する役割。
※3 データの誤字脱字や表記揺れなどを修正し、分析や処理に適した形に整える作業。

副業4年目で収入が急増。見えてきたフリーで稼ぐコツ

──きっと、ジョブローテーションが盛んな企業で養ってきたバランス感覚が、今の対応力にもつながっているのでしょうね。フリーランスとして手応えを感じたのは4年目とのことですが、収入はどのように伸びていったのでしょうか。

フリーランス1年目の報酬は本業の4分の1程度で、当時は「お小遣いになれば十分」と思って満足していました。

ただ、目の前の仕事に地道に取り組むうちに、少しずつ周囲との関係が築かれていき、結果的に4年目には報酬も大きく伸びました。今では本業の倍以上の収入になっています。

ありがたいことに、お客様やチームメンバーに恵まれている環境が、こうした結果につながっていると感じています。

──大きく伸びた要因は何でしょう?

収入が伸びた背景には、大手企業様の案件を担当するようになったことに加え、短納期のスポット案件にも積極的に取り組むようになったことがあります。

また、どのタイミングで案件を増やすか、自分なりの感覚がつかめてきたことも、安定収入につながった一因だと感じています。ディレクターの担当案件は、状況にもよりますが、挙手や意思表示によって決まる場合もあります。そのため、リソースに余裕があるタイミングでカスタマーサクセス(※4)に状況を伝えたり、営業担当に「対応可能です」と声をかけたりすることで、自分の仕事量をうまく調整できるようになりました。

こうした働き方ができるようになって、フリーランスとしての収入も安定し、手応えを感じています。

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※4 既存のクライアントの満足度を最大化する役割を担うポジション。

相棒と二人三脚で動かす、20人規模の「お祭り」チーム

──フルリモートワークとはいえ、本業との兼ね合いがある副業メンバーにとっては、短納期のスポット案件は手を出しづらいイメージがあります。

もちろん大変さもありますが、それ以上にやりがいがあり、とても楽しいんです! 一緒に仕事をする機会が多い仲間たちのあいだでは、短納期のスポット案件を「お祭り」と呼んでいて、直近では20人規模のチームで膨大な業務を一気に処理しました。

この楽しさがあるからこそ、頑張れるといっても過言ではありません。「この波を乗りこなしてやる」と、自然とガッツが湧いてくるんです。

──継続案件では、お客様との関係性がある分、要望を汲み取りながら業務を進めやすいイメージですが、短納期のスポット案件では、まずお客様の傾向をつかむところから始める大変さもあるのではないでしょうか。

納期が短い場合は、お客様と認識をすり合わせるミーティングが省略されることもあり、認識のズレが生じる可能性があります。そのため、最初から一気に業務を進めるのではなく、まずはこちらの理解をもとにテスト的に業務を行い、納品サンプルを提出します。お客様からご了承を得た段階で、直近のケースでは20人規模のチームに展開し、一気に業務を進めました。

──数十人規模のチームをどのように取りまとめるのでしょう。

いつも一緒に組んでいるアドミン(後述参照)のNさんというメンバーがいて、その方と相談しながら業務の進め方を組み立てていきます。

▼ Nさんのインタビュー記事

専門分野がなくても活躍は可能? 最高報酬を獲得した新人フリーランスの働き方

 

20人体制で案件に取り組む場合、4〜5チームに分け、それぞれに業務達成の目標を設定します。進行中に何かネックとなるポイントがあれば、まずはチーム内で解決。難しい場合は、私やNさんがフォローに入ります。

スタッフの皆さんにとっても大変な業務ですが、「報酬にもつながるし、経験値にもなるから、ぜひ一緒にやってみてほしい」とお伝えし、やってみたいと思ってくれた方にお願いするようにしています。

お世話になったメンバーには、報酬で還元!

──アドミンとディレクターの役割にはどのような違いがあるのでしょうか?

チームによりますが、私の担当案件ではアドミンは業務整理と進捗管理を担い、ディレクターはクライアント対応や工数管理、スタッフのアサインを担います。

──アドミンが一般的な意味でのディレクターに近い役割を担い、Sさんはプロデューサー的な立ち位置で動いているイメージですね。HELP YOUでは、案件ごとにスタッフ募集をかけるのが基本ですが、Nさんとは複数の案件にまたがって一緒に働いているのですか?

そうですね。データ集計関連の案件ではNさんを含めた3名、リサーチ関連の案件では10名のリサーチチームによく声をかけています。前者の3名のうちNさんを除く2名は、データ処理が抜群に速いメンバーと、コミュニケーション能力に優れた万能型のメンバーです。

普段から支えてもらっているメンバーには、報酬というかたちで還元したいという思いがあります。案件の内容やリソースの状況にもよりますが、基本的にはその13名にお願いしています。ただ案件を振るのではなく、仕事のクオリティと労力に見合った報酬になるよう調整も欠かせません。

自分の仕事観を知ることが、仲間探しの第一歩

──概念としての「Sさんチーム」があるのですね。ディレクターになりたての頃は、どのように信頼できるメンバーを見つけていったのでしょうか?

まずは案件の数をこなし、そのなかで仕事のスタイルが合う方を少しずつ見つけていきました。そのためにも「自分と相性が良いのはどんなスタイルの方か」「自分と一緒に働きやすいと感じてくれるのはどんな方か」を把握しておくのが大切だと感じています。

──Sさんが信頼を寄せている方々には、どんな共通点がありますか?

よくご一緒しているメンバーには、私自身の仕事観と重なる部分がいくつかあります。

  • 6割ほどの説明で要点をつかみ、必要な部分は自ら調べて動く
  • 納期に余裕がある場合は、前倒しでの対応も視野に入れて進める
  • 業務全体を見渡し、「自分ごと」として責任感を持って取り組む
  • コスト意識を持ち、集中して業務に取り組む
  • 自身の得意分野に関する相談にも前向きに対応

どの方も、役割にとどまらずチーム全体の流れを見ながら動いており、日々心強い存在です。

未経験分野にもプロと挑む!連携のカギは尊敬と素直さ

HELP YOU内では「どんなに難しい案件でもためらいなく引き受け、見事な手腕で軌道に乗せる」と評判のSさん。

 

──反対に、新しいメンバーに声をかけるのはどのようなケースですか?

普段一緒に働いているメンバーや私自身が対応できない、専門性の高い業務を担当する場合です。例えば、HTMLのコーディングなど、専門的な知識やスキルが求められる場合は、全体に一斉募集をかけるのではなく、実務経験のある方に個別で依頼するようにしています。案件に必要なスキルとスタッフのスキルがマッチしているかを見極めるのも、ディレクターとして欠かせない視点です。

──専門外の分野をディレクションするうえで、意識しているポイントは何ですか?

まず、お客様が「いつまでに、何を実現したいのか」を正確に把握することを大切にしています。要件整理納期調整はディレクターに求められる中心的な役割です。

そのうえで、専門性を持つスタッフに対して「知識不足で的外れなことを言ってしまうかもしれませんが……」と自分の理解度を素直にお伝えし、調べた参考情報をもとに実現方法や進め方を相談しながら進めています。

私自身は実務を直接担えるスキルを持ち合わせているわけではなく、専門性を持つスタッフには本当に頭が下がる思いです。先ほど触れた13名を含め、専門家ではない私に対しても真摯に対応してくれるメンバーばかりで、自然に尊敬感謝の気持ちが生まれます。

メンバーの「時間」を守る、ディレクターの立ち回り

──専門外の分野であっても、クライアントとのやり取りはSさんご自身が担うのですか?

はい、私にとって、クライアント対応はディレクターの存在価値を発揮できる最も重要な役割の一つです。スタッフの中には、クライアントとの直接のやり取りに苦手意識があったり、負担に感じたりする方も少なくありません。だからこそ、実務に専念してもらえるよう、その部分は私が引き受けるようにしています。

もちろんスタッフから申し出があれば、クライアント対応をお願いするケースもありますが、基本的には私が対応します。仮にクライアントとのコミュニケーションに専門家の知識が必要とされる場合には、事前に内容を共有し、「自分の知識が不足している部分はフォローをお願いしたい」というポイントを明確に伝えたうえで同席をお願いすると思います。

専門家が専門性を発揮しやすいよう、業務に集中できる環境を整えることはディレクターの使命です。

HELP YOUには、時間単価で働いているメンバーも多くいます。そのため、クライアント対応に限らず、報酬に直結しない準備や調整といった業務は、ディレクターが積極的に引き受けるようにしています。

例えば、スタッフが業務に着手しようとしたときに、ドキュメントのアクセス権限が付与されていなかったり、必要な情報が共有されていなかったりすれば、それが相手のスケジュールに影響を及ぼしかねません。準備段階から丁寧に整えておく姿勢は、相手の時間を尊重するうえでも欠かせないと考えています。

顧客を知り、仲間を知る。積み重なる知識と信頼

──一緒に働くメンバーの「時間」を大切にする姿勢が信頼につながっているのですね。納品物のチェックはどのように進めるのでしょう?

HTMLの例を挙げると、たとえコーディングの知識がなくても、お客様が何を求めているのかを正確に把握し、その意向をスタッフにフィードバックして反映していくのがディレクターの担うべき仕事です。お客様の意向を深く理解しようと努めるなかで、自然と自分自身の知識も蓄積され、それがまた別の案件で生きることも少なくありません。

また、アウトプットが求めていたものと異なっていた場合には、自分の伝え方に課題があったのではと振り返るようにしています。どう伝えれば意図が正確に伝わるのかを試行錯誤するなかで、依頼の仕方についてのノウハウも少しずつ蓄積されていきます。

こうして得られた知識と、依頼の仕方に関する学びの積み重ねが、結果的に私の報酬が上がった理由の一つです。

──最後に、これからフリーランスディレクターを目指す方や、新人ディレクターに向けて、メッセージをお願いします。

ディレクターに求められるのは、全てを自分でこなすことではなく、関わる人たちの力を引き出しながらチームとして成果を出すことです。そのためには、オープンマインドや、わからないことを素直に認める姿勢が欠かせません。取り繕って自分を良く見せたり、知ったかぶりをしたりしても、その違和感は相手にすぐ伝わってしまうものです。

知識や経験の有無にかかわらず、幅広く活躍したいと願うディレクターこそ、自身の役割に責任を持ちながら、仲間の力を信頼し、リスペクトをもって関わることが大切です。

報酬は、そうした姿勢を続けた先に、きっとついてくるものだと信じています。

まとめ

Sさんは、短納期のスポット案件も前向きに楽しみながら、相性の良いメンバーに安心して任せることで、多くの案件を同時に動かしています。専門外の内容であっても、必要に応じて周囲にサポートを依頼し、進行の責任を手放すことはありません。

「仕事の質や労力を、報酬に還元したい」「時間単価で働く人の時間を守りたい」というコスト感覚も、信頼を支える土台の一つです。

得意分野がないことを悩むより、不得意もない器用さをどう生かすか。器用貧乏と感じている人こそ、Sさんのような働き方にヒントがあるかもしれません。

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アイキャッチデザイン/今泉香織

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