2017年9月9日 更新

日本人の「有給休暇消化率」が低いのはなぜ? よく働きよく休む社会の実現へ向けて

日本人の有給休暇の消化率が世界の中でも低い理由とは

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いよいよ新しい年度が始まりました。スタートダッシュを頑張りすぎて、既にお疲れ気味…という方もいらっしゃるのではないでしょうか? でも1ヶ月もすればゴールデンウイークですね。今回の大型連休は5月1日と2日を休めばなんと9連休に。お休みはまとめて取る、分けて取る、正直お休みはとりにくい! など、あなたの職場はどのような環境ですか? 

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日本人の「有給休暇消化率」が最下位に

「世界26ヶ国 有給休暇・国際比較調査2016」(世界最大級の総合旅行サイト・エクスペディア調べ)によると、日本の有給休暇消化率は50%と、調査を行った28ヶ国中最も低い結果となりました。

「有給休暇国際比較調査2016」 世界最大級の総合旅行...

「有給休暇国際比較調査2016」 世界最大級の総合旅行サイト・エクスペディア調べ

有給休暇の消化率が低いにも関わらず、「休みが足りない」と感じている人は全体の34%で、こちらの数値も最下位です。現状に満足しているのか、休むなんてとんでもないという考えなのか、どういった背景があるのでしょうか。

 

意外と知らない!? 自分の有給休暇は何日あるのか

そもそも有給休暇は何日あって、今月までに何日使ったのか、しっかり把握していますか?  調査によると、約半数の人が自分の有休支給日数を知らないという結果になっています。

「有給休暇国際比較調査2016」 世界最大級の総合旅行...

「有給休暇国際比較調査2016」 世界最大級の総合旅行サイト・エクスペディア調べ

また、「上司が有給を取ることに協力的か分からない」という人の割合が32%と、休暇の話題にすらならない現状が明らかになっています。

筆者も自分の休暇が何日あるのか把握したのは、育休から復帰した後です。 やはり子どもが小さいうちは体調を崩すので、自分が今月何日休んだのか、手帳に記入してにらめっこしていました。ちょっとでもあやしそうだなと思うと、最悪の場合翌日休んでも良いように準備はしておくのですが、仕事が済んでいたとしても、皆が出勤しているのに自分だけがその場にいないという状況自体にとても罪悪感がありました。

やむをえない事情でもない限り、有給を使い切るのは日本では珍しいことですので、日数の把握が曖昧になるのも当然ですね。

 

有給休暇取得につきまとう罪悪感

厚生労働省の調査によると、働く人の約3分の2が有給休暇取得に対してためらいを感じているようです。

「事業者の方へ」(厚生労働省 都道府県労働局 労働基準...

「事業者の方へ」(厚生労働省 都道府県労働局 労働基準監督署)より

ためらいを感じる理由としては「みんなに迷惑がかかると感じるから」が74.2%で圧倒的1位。周囲への迷惑を考慮してという日本人独特の横並びの意識が現れています。有給休暇を取得しやすい仕組みや、社内の雰囲気づくりによってそういったものが取り払われていけば休みやすくなっていくのかもしれません。

 

お休みはみんなで一緒に、が原則の日本

「有給休暇消化率」は低い日本ですが、週末や祝日といった「決められた休日」は、他の国と比較しても遜色ないか、むしろ多いというのが下のグラフです。というのも、日本は祝日がとても多い国だから。

「データブック 国際労働比較2016」(労働政策研究・...

「データブック 国際労働比較2016」(労働政策研究・研修機構)より

ただし、昨年発表された「過労死白書」によると、パートタイムを除く一般労働者の年間労働時間は、ゆるやかに減少しているものの、他国に比べるとまだまだ長い現状が明らかになっています。

「平成28年版過労死等防止対策白書」(厚生労働省)より

「平成28年版過労死等防止対策白書」(厚生労働省)より

また、有給休暇と労働時間との関係をみると、週労働時間が長いほど、有給休暇の取得率は低い傾向にあるのです。有給休暇を1日も取得していない人の割合としては正社員の約16%、週労働時間が60時間以上の労働者では27.7%という結果になりました。 心身の健康のことを考えれば、長時間働いている人の方が休暇を取得して然るべきなのに、なかなか休めない現状が浮き彫りとなっています。

これだけ労働時間が長いと、数日休暇があったとしても次の仕事までの「休憩」の域を出ず、寝だめや飲みに行ったらあっという間にまた出勤…なんてことも起こりえます。

長期休暇や自分の都合で休みをとることが難しくなっている一因としては、国主導のもとで祝日として休む制度が定着しているため、休みは皆一緒に与えられるものという受身の姿勢になっていることが挙げられるかもしれません。

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この記事では、「主体的に休む」ことで生産性をあげるというアドバイスがあります。

 

長期休暇の国フランス

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一方、長期休暇が当たり前の国といえばフランス。よく休むのは国民性のようなイメージですが、法律上で「連続12労働日を超える有給休暇を1年に1度以上与えなければならない。」と定められています。また、企業の側に有給を計画的に取らせる義務があるのです。 日本においても「有給休暇の計画的付与制度」として、有給休暇のうち5日を除いた残りの日数について、労使協定を結べば計画的に休暇取得日を割り振ることができる制度があります。導入している事業所は少ないものの、厚生労働省も推進しており、将来的に義務化される可能性もあるので今後の動向に注目したいところです。

有給休暇の消化率に影響を与えていると考えられるもうひとつの要因に、病気による休暇の考え方の違いがあります。フランスでは、病気で休んでも有給休暇が減らないのです。それなら、「いざという時のために取っておかなきゃ!」とは考えず、純粋にリフレッシュのための休暇が取りやすいですよね(病気で休んだ場合は、勤続期間などにもよりますが、一定期間は給与の90%、それ以降の決められた期間も給料の2/3などの収入が補償されます)。日本でも、独自の制度として有給休暇とは別の病気休暇を設け、有給休暇の積極的な取得を推進する会社が出てきています。

 

より休暇を楽しむ時代に

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上からの強制により、今後は日本でも年次有給休暇の取得が進むかもしれません。しかし、強制的であればあるほど、受け身の姿勢になってしまうのも事実です。忘れてはいけないのが、働く人自身が働く環境や休みについてもマネジメントしていこういという積極的なアプローチです。

緩急のついたライフスタイルを送ることで、視野を広げたり多様な人的ネットワークを構築したりすることも可能になるでしょう。その結果が仕事にも影響を及ぼし、周囲にも普及していくという正のスパイラルが広がれば、これまで以上に「よく働きよく休む」という休みをもっと楽しむことのできる時代がやってくるかもしれません。

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西谷 じゅり 西谷 じゅり