2016年4月4日 更新

知っておきたい! パートタイマーのための法律「パートタイム労働法」

パートタイムで働きに出たい、と考えるとき、不安になってくるのが勤務先での待遇ではないでしょうか。良心的な雇用主に当たれば良いに越したことは無いのですが、もし、ブラック企業だったら・・・? 今回は、「パートタイム労働法」(2015年4月に改正)について、パートで働く人が知っておきたいことを解説します。

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パートタイム労働法って?

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パートタイム労働法のなりたち

パートタイマーは、たとえ仕事の内容が正社員と同じでも、賃金や福利厚生・教育訓練などの面で格差を付けられてしまう場合も少なくありません。また、いくら成果を出しても正社員になるチャンスがない、という状況もよく見られます。

こういった待遇面での不公平を改善するべく、2015年4月1日に改正パートタイム労働法が施行されました。

ちなみに、パートタイム労働法がはじめて制定されたのは、バブル崩壊後の1993年です。その後2007年に大改正され、今回の改正に至ります。

パートタイム労働法の中身は?


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対象となる「パートタイマー」とは

「パートタイム労働法」の対象になるパートタイマーをざっくりと説明すると、「同じ場所で働く正社員よりも、短い時間で働いている人」のことです。この条件にあてはまれば、パートの他に、アルバイト、嘱託、契約社員、臨時社員、準 社員といった呼び方の労働者も、この法律の対象となります。逆に、「パート」と呼ばれていても、フルタイムで働いている場合、考慮の対象にはなっていますが、含まれません。

パートタイム労働法のポイント(2015年4月改正後の内容)

「パートタイム労働法」で、明文化された事項について見ていきましょう。

1.労働条件の文書交付・説明義務

パートタイム労働法では、パートタイマーを雇い入れる際と契約を更新する際に、雇用主は次の4点を文書で明示する「努力義務」があります。

a「昇給の有無」

b「退職手当の有無」

c「賞与の有無」

d「相談窓口」

※これ以外に、賃金や労働時間、休日などの重要な労働条件については、書面で明示する「義務」があることが、労働基準法で定められています。

2.均等・均衡待遇の確保の促進

パートタイマーでも、以下の2つの条件に当てはまる場合、賃金の決定・福利厚生施設の利用(休憩室・更衣室など)・教育訓練の面で、正社員にくらべて差別的に扱うことが禁止されています。

2つの条件は以下のとおりです。

(1)職務の内容が正社員と同一

(2)人材活用の仕組みが正社員と同一の2点です。

簡単に言えば「正社員と実質同じことをやっている」という状態で、そのうえ、転勤や配置換えについても、正社員と同等の扱いとなっている場合です。

3.通常の労働者への転換の促進

新たに正社員を募集する場合には、パートタイマーにもそのことを知らせ、応募する機会を与える義務があります。

また、パートタイマーから正社員への登用の機会を設ける義務もあります。その基準を明確にしなければなりません。

4.苦情処理・紛争解決援助

1の「労働条件の文書交付・説明義務」で努力義務とされているもののひとつです。そのうえで、実際に相談窓口を設けることが義務づけられています。

苦情・紛争は、会社内で解決することが努力義務となっています。

無理である場合、労働基準監督署が介入することができます。

5.実効性の確保

1〜4で「義務」とされた事項に関して、雇用主がその義務を怠った場合には、罰金が課せられます。労働基準監督署への報告を拒否したり嘘の申告をした場合も同様です。

指導・勧告が入っても、それに従わないなどの悪質なケースでは企業の名前が公表されます。効性の確保

ここまで見てくるうちに「義務」と「努力義務」がたくさん出てきました。

「義務」は法的強制力があり、違反すると罰金が課せられます。これに対して「努力義務」には、そこまでの強制力がありません。したがって、即罰金とはなりません。 この点を曲解して「努力はしているんですけどね」と、開き直る雇用主がいるとします。しかし「5.実効性の確保」によって、行政(労働基準監督署など)の指導の対象になり、悪質であれば処罰されるのです。

また、「努力義務」であろうと、会社独自のルールを適用したものであろうと、すべてのことに説明責任があることが「1.労働条件の文書交付・説明義務」によって明確にされていることも押さえておきたい点です。

知っておきたい・労働基準法で定められている権利

労働時間・労働時間に応じた休憩時間・時間外労働の際の割増賃金・有給休暇・解雇などについて、「労働基準法」で定められたルールは、正社員のみに適用されるのではありません。すべての労働者が対象です。

例えば解雇について見てみると、雇用主の勝手で突然解雇することができない(無効)ことが定められています。解雇の理由が正当であっても、30日前に予告するか、30日分の賃金を支払わなくてはならない、これは正社員でもパートでも同じなのです。

困ったときはどうすれば良い?

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「4苦情処理・紛争解決援助」で見てきたように、会社は相談窓口を設ける義務がありますので、そちらに相談してみるのも良いでしょう。ただし、残念なことですが、労働基準法やパートタイム労働法といった法律を理解していない会社もあります。社内で解決が難しそうな場合には、外部の相談窓口を利用しましょう。

法テラス
労働基準監督署 総合労働相談コーナー

まとめ

いざ就職してみても、労働条件を文書で明確にしない、あるいはどのようにも取れる文章である、といった場合もあることでしょう。そんな時には「ま、いっか。あれこれ言うもの面倒だし・・・。」と流さずに、一旦持ち帰って周囲のひとに相談し、今後の対策を立てたほうが良いかと思います。

また、働いているうちに「何かおかしい」と感じることがあれば、冷静に状況を判断し、証拠を集め、相談窓口へ相談しましょう。

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