企業として働く人の「幸せ」にどう向き合うか? 第2回、幸福度診断の結果と改善への取り組み

「『働く』を通じて、みんなを幸せに」。この企業理念の実現に向けて、株式会社ニットでは社内メンバーを対象に「幸福度診断」を実施しています。ニットで働くことを通じて一人ひとりが「幸せ」を実現できているかを定期的に振り返り、組織のかたちをアップデートしていくのが目的です。2021年9〜10月に第1回の診断を行い、同年12月に第2回を実施。前回からどのような変化があったかをご紹介します。
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ライター

三代知香
飛騨在住のフリー編集者。会社員時代はIT企業でマーケティングやPM、自社ブログの編集長を経験。メディアの立ち上げ経験を生かし、「くらしと仕事」のアクセス解析や新人育成を通して成果向上に取り組むほか、インタビューライターとして働き方や地方活性化をテーマとした記事を手がける。1児の母。→執筆記事一覧

幸福度診断とは?

幸福度診断(Well-Being-Circle)」とは、幸福学の第一人者である慶應義塾大学の前野隆司教授と株式会社はぴテックが共同で開発した診断方法です。経済学者のロバート・フランクよると「幸せ」は「地位財(長続きしない幸せ)」と「非地位財(長続きする幸せ)」に分類でき、同診断ではこの2つの幸せを細分化した11のカテゴリを軸に「幸福度」を計測します。

出典:前野隆司、PRESIDENT 2016年9月12日号「ビンボーでも幸せな人は、なぜ幸せなのか
幸福度診断における11のカテゴリ
  • Well-Being
  • やってみよう力
  • ありがとう力
  • なんとかなる力
  • ありのまま力
  • Big-Five性格傾向
  • 健康力
  • ストレスの低さ
  • 社会の幸せ力
  • 職場の幸せ力
  • 地位材
出典:株式会社はぴテック「幸福度診断 Well-Being Circle

第1回幸福度診断のサマリ

第2回の診断結果を見る前に、まずは第1回を振り返ってみましょう。

第1回の診断では、ニットメンバーの幸福度は一般平均を大きく上回りました。

11のカテゴリの中でも特に一般平均との差が大きかったのが「職場の幸せ力」。さらに細分化された項目ごとに見ていくと「職場オススメ度」「チャレンジの推奨」「安全安心な風土」「信頼関係のある職場」が高いことがわかりました。

一緒に働く仲間との信頼関係構築により、心理的安全性を保ちながら日々仕事に向き合っていることがこの結果から見てとれます。

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働く人の「幸せ」が企業の成長につながる。幸福度向上のために組織ができることとは?

 

ほぼ全てのカテゴリで前回を上回る結果に

第2回の診断では、第1回と比較して全体的に「幸福度」が上昇していることがわかりました。特に「幸せの4つの因子」とされる全てのカテゴリにおいて数値が伸びています。「幸せの4つの因子」とは、前野教授が分析した幸せを感じるための4つの心的要因のことです。

「幸せの4つの因子」における一般平均との差
  • なんとかなる因子(前向き、楽観) :一般平均+6.18ポイント▶︎+7.52ポイント
  • ありがとう因子(つながり、感謝) :一般平均+6.85ポイント▶︎+7.41ポイント
  • やってみよう因子(成長、自己実現):一般平均+7.08ポイント▶︎+7.21ポイント
  • ありのままに因子(自己肯定、マイペース):一般平均+3.86ポイント▶︎+5.34ポイント

詳細項目ごとに見ると、第1回の診断では一般平均を上回っているものの伸びしろがあると思われた「ポジティブ感情」や「ストレスの低さ」が大きく上昇する結果に。前者は7.70ポイント、後者は6.92ポイント、それぞれ数値を伸ばしました。総合値で見ると+1.10ポイントだったことから、他の項目と比較しても大きく上昇したことがわかります。

社内イベントなどの取り組みに加え、前回の診断結果を受け個々人が内省をしたことで生じた変化ではないでしょうか。

また、第1回の診断で一般平均との差が最も大きかった「職場の幸せ力」カテゴリでは、さらなる上昇傾向が見られました。特に「職場のオススメ度」は一般平均との比較において+13.50ポイントから+15.11ポイントへと増加。職場に対して満足度の高い状態が続いています。第3回以降もこの高い数値をキープできるかが今後組織として問われるでしょう。

バリューの体現も「幸福度」上昇の鍵

ニットでは「幸福度診断」と合わせてバリューの体現に関するアンケート調査を行っています。ニットのバリューは「『働く』を通じて、みんなを幸せに」という企業理念に基づいており、働く人の「幸福度」と相関関係があると考えられるためです。

ニットを支える5つのバリュー
  • 当事者意識で行動しよう
  • 多様性を受け入れ、活かそう
  • いいやつであろう
  • 現象を数字で語り、前向きな価値を生み出そう
  • 継続的に成果を出そう

概ね前回と同じ結果でしたが「当事者意識で行動しよう」が上昇傾向にあり、自身について「体現できている」「どちらかというと体現できている」と答えた人の割合は85.3パーセントから87パーセントへと増えました。また、他メンバーについては95.7パーセントから97.2パーセントに増加。前回に引き続き、他者への評価の方が高い結果でした。

他人から「やらされている」とネガティブな感情を抱きながら働くのはストレスでしょう。当事者意識を持って仕事に取り組むことが、間接的に幸福度診断における「ポジティブ感情」や「ストレスの低さ」につながっているのかもしれません。

自社メディアを通して「幸福度」を高める

このような診断結果を踏まえ、ニットでは幸福度と相関が高いと考えられる4つの項目を中心に、よりメンバーの幸せを促すための取り組みを実施していきます。

幸福度との相関が高い4つの項目
  • 実績
  • 自己肯定力
  • 社会的地位
  • ポジティブ感情

現在実施している取り組みの一つとして、ニットが運営する当メディア「くらしと仕事」におけるメンバーインタビューが挙げられます。「くらしと仕事」では、社内メンバーの働き方・生き方、仕事に対する思いなどに焦点を当てたインタビュー記事を掲載中です。

インタビューを受けたメンバーにとって、自身について取り上げた記事は、新たな仕事のチャンスをつかむきっかけになり得ます。それが、さらなる実績を生み、結果として自己肯定感や社会的地位の向上につながるのではないでしょうか。

他のメンバーにとっても、記事を通して一緒に働く仲間の取り組みや仕事観を知ることで、ポジティブな感情が生まれることが期待できます。「こんなにすごい人が同じ職場にいるんだ!」という発見が自己肯定感を高めるケースもあるでしょう。

メンバー間における相互理解や共感、尊敬が、組織全体を通して「幸福度」を高めることにつながるのではないでしょうか。

バリューを組織に根付かせるために

同時に、「幸福度」の上昇に向けてバリューの体現を促す取り組みも実施中です。その一つに「バリューを考える会」があります。バリューに対する社長の思いを伝えるとともに、ディスカッションを実施することで、メンバーの理解を促し共通認識を生むのが目的です。

バリューを定めても形骸化してしまうケースは少なくありません。また、バリュー自体は短い言葉から成るため、人によって解釈の仕方はさまざまです。

丁寧な発信やディスカッションを通じて、バリューを組織に根付かせることで初めて、その効果が発揮されるのではないでしょうか。地道な取り組みがバリューの体現、ひいては「幸福度」の上昇につながると信じています。

まとめ

第2回の診断では、ほぼ全てのカテゴリにおいて第1回を上回る結果が出ました。特に、前回伸びしろがあると思われた「ポジティブ感情」や「ストレスの低さ」で数値の改善が見られたのは大きな前進であるといえます。ただ、企業としては回ごとの結果に一喜一憂するのではなく、数字の背景にある「理由」に真摯に向き合い、組織のかたちをアップデートしていく姿勢が重要です。一つの取り組みが数値の改善に大きく影響するケースは少ないかもしれませんが、地道な努力の積み重ねが相乗効果を生み、結果につながるのではないでしょうか。
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