「ニット」が目指すこれからの働き方とは?オープンカンパニーで説明【レポート後編】

「『わたし』らしい働きかたを探そう」を主題に、パラレルキャリアやリモートワークなど新しい働き方をする人たちにスポットを当てている当メディアくらしと仕事。運営者である株式会社ニットは、創業時からフルリモートでフルリモートでの事業運営を行っています。株式会社ニットの「現在」について解説した前編に続き、後編では「オープンカンパニー」のレポートを通し、フルリモート企業の視点から見える「働き方の未来」、そして目指している「未来を自分で選択できる社会」について説明します。

ライター

伊藤 尚
函館市在住。夫と未就学児な娘の3人家族。学生時代にイベントの企画・広報にはまり、新卒で公共施設管理財団の広報課に就職。結婚を機にコワーキングスペースに転職するも、フリーランスにあこがれ退職。2015年から「HELP YOU」に所属し、現在はディレクターを務めるほか、ライター、函館新聞社スタッフ記者などとして活動中。→執筆記事一覧

フルリモートの経営文化醸成~ニットが目指す世界とできること

新型コロナウイルスの感染者が初めて報告された2019年12月から丸2年。まだまだ経済は低迷しており、元の社会に戻るには今しばらくの時間が必要、という見方をする人も多いかと思います。そんな中、コロナ禍前からフルリモートで業務を進めていたニットの代表取締役社長・秋沢崇夫は何を考え、どこを目指しているのでしょうか。


ニットが考える働き方の未来とは

コロナ禍の影響で、望む望まないにかかわらず多くの会社がリモートワークを経験しました。結果として「リモートワークでも仕事はできる」ということに気が付いた会社も多いでしょう。

さらに「テレワークを実施して自身の生産性は上がったと思いますか?」という問いに、全体の約86%が上がったと答えています。結果、リモートワークの可否だけではなく、生産性や業務効率に目を向ける企業も出始めてきました。

日本企業で人手不足が慢性的かつ深刻な問題となっており、働き方改革に着手すらできていない企業が多くある、という現状があります。現在人間の寿命は100年と言われる中で、企業の寿命は25年。年功序列も崩壊しつつあります。結果として、働き手は会社選びや働き方を選んでいく、会社側は雇用形態を正社員だけに限らず外部人材も登用していくなど、柔軟な対応が求められるのではないでしょうか。これらを実現するためには、リモートワークが重要な鍵となります。


リモートワークの普及で「つながり」が薄い世界に?

リモートワークにはご存知の通りメリットもデメリットもあります。中でも、企業側から見ると、管理職の49.2%、つまり約2人に1人がマネジメント面に難しさを感じている(パーソルプロセス&テクノロジー株式会社調べ)そうです。

さらに、働く側からすると84%の人が会社と社員のつながりに課題を感じている、というデータも出ています。これは、「企業運営がオンラインに変化したスピードに対し、マネジメントと文化醸成ができていないからだ」と秋沢は言います。


フルリモート経営5年目社長が話す、リモートワークマネジメントのコツ

まず初めに秋沢が挙げたのは「顔が見えるチーム体制」です。リモートワーク=社員じゃなくてもOK=クラウドソーシングサービスなどを利用し外注に、と単純に進んでいくことは少ないかもしれませんが、連想したことはあるのではないでしょうか。一般的なクラウドソーシングサービスとニットの違いは、チームで仕事にあたっていること。それでいて、クライアントと話す際はビデオチャットでのミーティングなど「顔が見える間柄」を心がけています。逆に、働く人に対しては、チームで業務を進めていくため、ひとりぼっちで仕事をしているという孤独感を感じにくくなるような工夫を行っています。

さらに業務を「ワークシェアリング」し属人化を避け、1つの業務を複数人ができる状態にしておくことで、万一誰かに何かがあった時でも円滑に業務が進むようにしています。企業で対社員となると、「この業務は○○さんの担当だから」と任せきりになり、いざその人がいなくなると誰もその業務についてわからない、ということはありませんか?「ワークシェアリング」を始めたきっかけは子育てや介護で働ける時間が少ない人のフォローのためもあったのですが、結果として業務を共有していることがリスクヘッジとなっています。
この「ワークシェアリング」に欠かせないのが、情報の蓄積、可視化、共有です。しっかりとマニュアル化し、現状をチーム全員が見える場に共有しておくことで、何かあった時のフォローが容易となっています。


リモートワークには「テキストコミュニケーション」が必須!

また、フルリモートで業務を進めていく場合、意志疎通の方法はチャットを含むテキストコミュニケーションの割合がとても大きくなります。そのため、テキストコミュニケーションについても認識を揃えています。

社内で講座も定期的に開催し、より良い意思疎通ができるよう、日々ブラッシュアップしています。


ニットが目指す組織風土の「これから」

近年は、「経営課題、経営数字、制度設計プロセスの透明化をかなり意識している」と秋沢。確かに7月9日の全社キックオフ以降、私のような業務委託スタッフに対しても数字についての説明が増えたというのは実感しています。さらに、各種プロセスが共有されることで、現場からの意見を言いやすくなってきています。実際の数字が出てくると、努力すべき点、改善すべき点もはっきりしてきますよね。

また、「見える化」のために行っていることの代表例として「プロジェクトへの手上げ制」があります。実は、ニットと呼称している400人のメンバーは、大きく2つに分けることができ
・株式会社ニットの事業統括メンバー
・株式会社ニットが運営するオンラインアウトソーシングサービス「HELP YOU」のメンバー
がいるのですが、新規の制度開発や業務運営システムなどについて自らの意思で「プロジェクト」に参画することができます。


仕事仲間と「仕事じゃない話」と「仕事じゃないこと」をする意味

ここまでずっと、仕事・業務を中心とした「働き方」を中心に紹介してきました。しかし、オフィスで働いている人たちは勤務時間の100%を業務に使っているわけではありません。隣同士の席でふとしたタイミングに雑談したり、ランチなどの休憩時間にコミュニケーションをとったりしますよね。ニットでは、リモートワークでも同様に「仕事じゃない」コミュニケーションの場を用意しています。


季節ごとにオンラインイベント!普段話したことのない人とつながる機会に

普段話したことのない人と仲良くなるきっかけにもなる社内イベント。飲み会、となると好き嫌いもありますが、実は入社式や表彰式もオンラインでできてしまいます。

Zoomのバーチャル背景などを使用し一工夫できるのはオンラインならでは。また、夏休みや冬休みなど子どもたちの長期休暇にあわせて、子ども向けのイベントも開催しています。

ちなみに、間もなく忘年会シーズン。去年はオンライン忘年会が話題になりましたが、ニット(正確には前身の合同会社レインボー)では2017年からオンライン忘年会をしています。私も、以前幹事をしてレポートを書きました。

100人参加!一風変わった「オンライン忘年会」に参加者が殺到したワケ

自由参加にすることで余計なプレッシャーもないですし、お酌をする必要もないので気軽に参加できます。


ゆるくつながる「コミュニティ」で趣味の話を

さらに、仕事と全く関係のない話をする前提で作られている「コミュニティ」という仕組みがあります。これは、ニットの誰でも自由に立ち上げることができる、趣味の話だけをするチャットルームのようなところです。完全に自由参加のため、現在ある42のコミュニティのうち、自分の興味があるものにだけ参加できるのが魅力。大きく分けて、勉強や情報交換のためのものと趣味のものがあります。

勉強や情報交換のためのコミュニティには、「SNS情報」を交換するコミュニティや「ライター養成」を目的とした励まし合いながらスキルアップを目指すコミュニティ、スキルごとに同業者で情報交換をできるコミュニティなどがあります。リモートワークをしていると、意識的に行わなければ新しい情報が入ってきにくくなりますし、キャリアやスキルアップの機会も限られてくるので、貴重な交流の場となっています。

趣味のコミュニティとしてはペットやアイドル、漫画やアニメなど、好きなことについて語り合うコミュニティが話題ごとに存在します。本当に全く仕事とは関係ありません。

【座談会レポート】孤独感の軽減やモチベーション向上をもたらすオンラインコミュニティとは

そして、年に1度、毎年12月に、学園祭のような形で有志や各コミュニティ、クライアント様まで混ざったイベントが開かれます。それが「MEET UP」です。
<日本最大級のオンライン忘年会>12時間16コンテンツを一気見レポート!
今年も12月16日、17日に開催を予定しています。大好評だった利き酒企画もパワーアップして帰ってくるとか…?ニットで働く人と話してみたい!と思った方はぜひ、お気軽に訪れてみてください。

400人全員フルリモートのニット、大規模なオンライン忘年会「MEET UP」を実施決定

ちなみに、イベントやコミュニティのおかげで、リモートワークでの孤独感の軽減が感じられる、という声が多く上がっています。ウェルカムパーティー(入社式)については、なんと満足度100%。「多くの方々に温かく迎えていただき、支えていただけているということが実感できました。」という声も聞こえてきました。

現在のニットのメンバー定着率は98%で、お客様の継続率は97%。そして4期連続で増収しています。「(今日お話ししたことは)一つひとつを見ると『なんだそういうことか』と感じることもあるかもしれないが、これらを一貫して継続していくことで企業風土の醸成、マネジメントの負担軽減につながっているのではと考えている」と秋沢。ニットは引き続きフルリモート経営で「働きがい」「経済成長」両方に邁進していくとのことです。

まとめ

フルリモートワークで働くのは難しい、と思われがち。私は前身の頃から含め既にニットで丸6年働いていますが、リモートワークが快適すぎて出勤を伴うオフィスワークに戻ることは考えられません。そしてだんだん「昔より働きやすくなった」「工夫されているところが増えた」と感じています。また、今回のオープンカンパニーを通し、ニットの会社としての工夫も知ることができました。
きっとこれからももっと働きやすくなっていくと思うので、興味がある方はぜひ今年のMEET UPにお越しくださいませ!

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