【weekly 働き方改革ニュース】全国で360万人がテレワーク、課題も続々と

1週間のうちに起こった出来事やニュースの中から、仕事や働き方に関する話題をピックアップして紹介する「weekly 働き方改革ニュース」。新型コロナウイルス感染症拡大防止のためにテレワークが長期化するなか、様々な課題が指摘されるようになりました。

ライター

佐々木康弘
札幌市出身、函館市在住。大手旅行情報誌やニュースサイト、就活サイトなど多数の媒体と契約するフリーランスライター。店舗・商品・人物の取材記事やニュース・芸能記事作成、広告ライティングや企業紹介など幅広いジャンルで年間100万字以上を執筆するほか、校閲も行う。「HELP YOU」ではプロフェッショナルライターとして活動。

テレワーク長期化で見えてきた課題とは

新型コロナウイルス感染症の影響で世の中の動きがほぼストップしてしまい、話題もニュースもコロナばかり、という状況が続いています。今回は、テレワークの導入が拡大するなかで指摘されるようになった様々な課題について取り上げてみます。

 

ウェブ上やSNSでは「テレワーク」という言葉をよく目にするものの、実際どれくらいの人が今回の件でテレワークを行うようになったのかはなかなか見えてきませんでした。最近になって、参考になるデータが幾つか発表されました。

 

まず、テレワークマネジメント社が3月25日に発表した「新型コロナウイルス感染対策で在宅勤務を実施する企業120社一覧」。新型コロナウイルスの感染対策としてテレワークを行うと発表したり、報道されたりした企業120社が従業員数順にリスト化されています。トップ3は、NTTグループ、トヨタ自動車、パナソニックの順。4位以下もそうそうたる大企業が名を連ねており、従業員数の多い大手企業が積極的にテレワークに取り組んでいる様子が見て取れます。

 

では、実際にテレワークをしている人はどれくらいいるのでしょうか。パーソル総合研究所が今月上旬に全国の正社員2万人を対象に実施した緊急調査によれば、正社員のテレワーク(在宅勤務)実施率は13.2%で、そのうち現在の会社で初めてテレワークを実施した人は約半数の47.8%。国勢調査を基に簡易的に推計すると、全国で約360万人の正社員がテレワークを実施していることになります。割合こそ1割強で決して多くはありませんが、総数としては社会的な影響を与えるのに十分な数であるといえそうです。

 

テレワークを行う人が増えるにつれて、それに伴う課題もいろいろと浮き彫りになってきました。大手小町では、「20代の娘がテレワークになり、ダイニングテーブルを占領するのでストレスがたまる」という母親の悩みが紹介されました。同居する家族がいる場合、テレワークは双方とも気を遣う必要があるため、ストレスがたまりやすいといえます。そもそも仕事に適した机やいすが自宅になく、無理な体制で仕事をするため疲労がたまるとの声も。

 

学校や幼稚園などが休業になったこともあり、「子どもが家にいるなかでどのように仕事をするか」という問題に悩まされたワーママも相当いたようです。SNSではパソコンのキーボードやマウスの操作を妨害する猫たちの姿が「テレワーク最大の課題」としてネタ的に投稿されています。ペットの妨害もある程度なら癒しになりますが、集中力を妨げる要因にどう対処するかはテレワークの大きな課題です。

 

「同僚とコミュニケーションが取れないのがストレス」との声もあります。SNSでは「かえって快適」との声も見られますが、なかには自宅にこもって一人で仕事をするのがあまりにもつらく、なんだかんだ理由をつけて3日目には出社したという人もおり、個人差が大きいようです。

 

制度を確立しないうちにテレワークに踏み切った企業も少なくないため、電気代や燃料代など仕事中の光熱費が自分持ちになってしまうケースも少なくありません。本来なら会社で働いていた時間であることを考えると、余計にかかった分の光熱費は会社が支払うべきでは、との声が聞かれます。

 

意外とバカにならないのが、ランチの問題。もともと手作り弁当を持って出社していた人にとってはあまり問題ではありませんが、社食や近くの飲食店、テイクアウトの弁当などでお昼を済ませていた人にとっては、毎日自宅で何かしらの食事を用意しなくてはいけないのはなかなかの負担です。

 

ほかにも挙げれば課題はありますが、それらすべてを一気に解決しようとするのは現実的ではなく、できるところから改善策を導入したり、折り合いを付けていったりするほかありません。たとえば、テレワークに伴うコミュニケーション不足の問題は、ウェブ会議システムを常時接続することで劇的に改善できる、と言われています。今後もテレワークが定着していくなかで、現状に対応した新たなサービスがリリースされたり、制度が整備されていったりすることでしょう。

 

最後に、日経BPが3月17日に掲載した記事をご紹介します。この記事は「今回の新型コロナがきっかけとなって日本企業の大規模な働き方改革への大きな一歩になるかもしれません」と論じており、その根拠について「テレワーク化が進めば『実はこのプロセスはいらなかった』という組織の問題点や正しい方向性が見えてくる」から、と述べています。

 

これだけ経済に大きな打撃を与えたのでから、新型コロナウイルスもひとつくらいは人間社会の役に立って欲しいと願うばかりです。