育休からの復職に在宅ワークを選択したワーキングマザー。悩みながらも新たなキャリア形成をめざす

産後の復職に「HELP YOU」を選択した石黒舞さん。現在はフロント・ディレクターとして複数の案件を受け持つポジションに。自分自身のスキル不足に悩むことも多かったという石黒さんのポジティブシンキング法に迫ります。

インタビュイー

石黒舞さん
2児の子育て中。高校卒業後、パートでインフォメーションセンターへ就職。勤続7年半でサブチーフ(正社員)まで昇格。その後、ネイリスト、営業サポートを経験。現在は子どものアレルギー治療に専念するため、完全在宅勤務で「HELP YOU」にて運営サポートとクライアント業務を務めている。

インタビュアー(ライター)

しゃゆーん
「HELP YOU」「くらしと仕事」の立ち上げに携わる。2019年5月より編集長。「HELP YOU」では、年間100人以上の採用面談を対応し、400人強のリモートワークチームの組成・組織開発・人材育成を一手に担っていた。

出産後の復職を断念 仕事への責任感が「在宅ワーク」を志すきっかけに

在宅ワークに興味をもったきっかけは何ですか?

元々は出産明けに育休を数カ月取得して前職の職場にそのまま復職予定でしたが、生まれた子どもにアレルギーが発覚したんですよね。なるべく子どものそばで治療に専念したいと思ったときに、フルタイムで出勤をしながら子どもを連れて通院をするのは難しいなと感じました。自分の体力を消耗するのはもちろんですが、会社の同僚に迷惑をかけたくない!という思いも強かったです。私は中途半端なことが嫌いで(笑)自分が引き受けた以上は仕事もきっちりこなしたい。特に「子ども」を言い訳にして、途中で仕事を投げ出すようなことは絶対にしたくなかったんです。だから、働く時間に融通がきく「在宅ワーク」にシフトしていこう、と思いました。

在宅ワークへの切り替え 不安定な仕事量や報酬に疲れ

「仕事も子育てもやるからにはしっかりやりたい!」という石黒さんの強い意志を感じるエピソードですね。どのように在宅ワークにシフトしたのでしょうか?

インターネット でみつけた「クラウドソーシング」のマッチングサイトにまずは登録してみました。簡単なデータ入力や、アンケート入力、求人原稿の作成など単発のお仕事をいくつか経験してみて、「これなら産後も仕事が続けられるかもしれない」という手ごたえを感じましたね(笑)

ただ、在宅ワークならではの壁にもぶち当たりました。ほとんどの仕事が単発で終わってしまうため、月の収入を安定させることが難しかったのです。加えて、自分がお仕事を探して取りに行かなくてはいけないので、いくつも登録サイトを掛け持ちしていました。クライアントや案件、納期などの管理作業も煩雑になります。なかには、もらっている報酬以上の品質を求められることもあり、時給に換算するととんでもなく割安でお仕事を引き受けていたことも……。そういった悩みを抱えたなか「働き続けられる在宅ワーク」を探しているうちに「HELP YOU」に出会いました(笑)

「HELP YOU」との出会い 他メンバーとのスキル差に愕然


石黒さんは「HELP YOU」で働き始めてもう1年半ということですが、実際に働き始めてどうでしたか?

WEBに関する知識は全くといっても過言ではないほど無いに等しかったのですが、応募する際には「できる!」という謎の自信に満ち溢れていました(笑)そして、すぐに「HELP YOU」に所属する先輩メンバーと比べて、自分のスキルが「全然足りていない!」ことに気がつきました。

印象深かったのは、恋愛相談に関するライティング業務です。10時間もかけて書いた原稿が、真っ赤になって返却されて(笑)……正直、何度も泣きました。

他にも、クライアントへの報連相の漏れといった初歩的なミスをしたこともありました。それでもめげずにやり続けた結果、「ちょっとずつ良くなっているよ」というフィードバックをもらえるようになり、任せられる仕事も増えてきて、そういった小さな積み重ねが自分の自信につながったと思います。

初めて任せられた案件が、東南アジアに拠点をもつバリバリの外資系企業で。英語が得意ではない自分がこの案件を持っていていいのか……と悩んでいたこともありました。「いつでも相談してくれていいよ」と当時のチームリーダーに後押しされ、「もうやるしかない……!」と腹をくくりましたね 。実際にクライアントさんと話してみると、イメージとは違って、とっても気さくなかたで、肩の荷がちょっと下りたのも思い出のひとつです(笑)


任せられた仕事は責任を持って完遂させる、という石黒さんのプロ魂を感じられるエピソードでしたね(笑)現在、石黒さんはクライアントとのコミュニケーション窓口を担当するディレクターというポジションについているそうですが、その転機は何でしたか?

チームメンバー30人強で取り組んだ大きなプロジェクトがあり、そこでサブリーダーに任命されたのが大きな転機でした。クライアントから求められる納品クオリティが高く、かつボリュームも多い。何より絶対に納期を遅らせられないというプレッシャーがすごかった。このプロジェクトを通して在宅ワークといいますか、リモートワークの難しさを感じましたね。

私はサブリーダーという立場でメンバーのマネージメントをしなくてはいけないのですが……。みんなが同じ時間に出勤して同じ作業時間を確保しているわけではないので、進捗管理がとても大変なんです。予定通り作業が進んでいないメンバーや、ケアレスミスが多いメンバー、そういったかたをリモートでサポートしなければいけない、というのは私にとっても挑戦でした。Skypeをつなぎっぱなしにして作業したり、進捗管理シートの記入方法を工夫したり、メンバーによって担当分野を変えたり……ありとあらゆる工夫をしましたね(笑)徹夜明けの朝も何度か経験もして(笑)無事にプロジェクトが成功したときは、充実した達成感を得られました。

自分と同じように悩む子育て世代へ まずは一歩踏み出してみて


当時の頑張りが評価されて今の石黒さんがある、ということですね。しかし、在宅ワークを目指すみなさんのなかには、尻込みをしてしまうかたもいらっしゃるかもしれませんね。

大丈夫です、私もそうでした(笑)

チームリーダー(現:マネージャー&ディレクター職)に抜擢された際には、「えっ!」と思わず驚いてしまったのを覚えています。周りのチームリーダーと比べて自分はあまりにも未熟ではないのか?自分がチームリーダーで果たして本当にいいのか?自分を支えてくれたチームリーダーと同じように自分もなれるのか?……あまりにも悩みが多すぎて、最終的にたどり着いた答えが「私は◎◎さんと同じようにはなれない!」でした(笑)「私には私の成長スピードがある。私の良さがある。だから、私らしいリーダーになろう。」と決心しました。スキル面でのフォローは難しいかもしれないけど、メンタル面のフォローは誰よりもできるようになろうと思いました。

私が一番大切にしたいのは「仕事を楽しむ」こと!何事も楽しめないと続けることが難しいですよね。だから、焦らずに自分ができる範囲から仕事を楽しむことから始めてほしいと思います。
悩んで自分で抱えてしまうくらいなら、相談してください!

自分のスキルやキャリアに不安がある場合はどうすればよいのでしょうか?

私は、自分が知らないことを調べることに、惜しげもなく時間を捧げます(笑)今まで自分が経験していないことは「知らないのが当たり前」という姿勢でいます。知らないことが恥ずかしい、できないことが恥ずかしい、と思っていると成長できません。自分がまだまだ未熟であることを素直に受け止めて、ここでも、「やるしかない!」と腹をくくりました (笑)スキルは数をこなせば自然と身についてくるものだと思います。むしろ、重要なのはリサーチ力。自分が何に困っているのか、何を知れば解決できるのか、どんなキーワードで調べれば関連する情報が出てくるのか、そういった情報を整理する力を身につける意識をします。これって実生活でも役に立ちますよね。「子どもに虹ってどうやってできるのか聞かれた!どうしよう?」「洗濯機から水が漏れている!応急処置したい!」といった場面とか(笑)

「HELP YOU」の採用試験には、パワーポイントやエクセルで資料を実際に作成する実務テストがあるのですが……先日、自分が取り組んだ実務テストを見直してみたんです(笑)無理をしながら頑張っていたなぁ、としみじみして。同時に、「ファイルの作り方や見せ方をもっと工夫できるな」とか「リサーチの項目をもっと絞り込めるな」といったように、以前とは違った視点で課題を眺めることができた自分に気がつきました。こうしたふとした瞬間に自分の成長を感じられるのも嬉しいですよね。継続することがきっと自分の力になる日が訪れます。悩んでじっとしているなら、まずは挑戦してみてください!意外とできてしまうものです(笑)

取材後記

在宅ワークは「子どもの生活習慣が肝!」とおっしゃっていた石黒さん。確かに、自分の予定に子どもの予定を合わせようとすると無理が生じ、お互いストレスがかかりますよね。オムツを替えながらミーティング、授乳をしながらミーティング、寝かしつけをしながらチャットチェック……時間を有効活用すればできることも広がります。在宅ワークだからといって「仕事が楽」なんてことはありません。むしろ、シビアに「成果」を求められる場面のほうが多い。日々悩みながらも進化し続けようとする石黒さんのインタビューに、勇気づけられるかたも多かったのではないでしょうか。「仕事をしたいけど……」と悩んでいるかたは、これをきっかけに「はじめの一歩」を踏み出してみてはいかがでしょうか。

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