在宅ワークで活躍するプロが大切にする「目に見えないスキル」とは くらしと仕事

在宅ワークで活躍するプロが大切にする「目に見えないスキル」とは

先日行われたHELP YOU(※1)の表彰式で、中田早苗さんは「GoodPoint獲得賞」を受賞しました。3年前に獲得した「新人賞」に続く2度目の受賞です。

そこで今回は、中田さんの仕事の流儀についてインタビューを行い、「在宅ワークで活躍する秘けつ」について探ります。

中田さんによると、在宅ワークで活躍するために必要なのは、経歴や資格のような「目に見えるスキル」だけではありません。むしろ、その人の人柄や価値観といった「目に見えにくい」部分こそが、本質的な力になるのです。

では、本質的な力とはどういうものなのか──これから読み解いてみたいと思います。

※1 オンラインアウトソーシング「HELP YOU」とは、在宅でインターネットを活用し、業務サポートを行うサービス。


▶︎ 中田さんが活躍するHELP YOUの詳細はコチラ

インタビュイー

中田早苗さん
SE・プログラマーとしてキャリアをスタートさせる。行政一般事務、幼稚園教諭、保育士、学会運営、建築設計事務所の室長など、多彩なキャリアを積む。2022年、HELP YOUにジョインした後、新人賞とGood Point獲得賞を受賞。現在は、ディレクターをサポートしながら案件の進行を管理する「アドミン」としても活躍中。念願だったバカンスに家族で行けたことが最近の一大ニュース。

ライター

Kirin
ライター兼イラストレーター・絵本作家。サービス業界、保育業界で会社員を経験後、現在はいくつかの仕事を組み合わせながら「笑顔と収入」を大切にした働き方を実践中。→執筆記事一覧

家庭と仕事の両立を目指して、模索してきたキャリア

──中田さんは、これまでどんなお仕事をしてこられたんですか?

いろいろと経験しました。システムエンジニア(SE)やプログラマー、行政の一般事務を経て、その後は短大に入学。学び直したのち、幼稚園教諭や保育士として働きました。バラバラなキャリアに映るかもしれませんが、最優先事項は一貫しています。

それが「自宅からの距離」です。

──「自宅からの距離」を最優先事項にされた理由は何だったのでしょうか?

特に子育て中の方にとっては、共感できるものだと思います。例えば、子どもの発熱などで急に迎えに行かなければならないことってありますよね。だから職場は近い方がいい。それを最優先にしながら、その時々の状況に合わせて仕事を選んできた結果、たくさんの仕事を経験することになりました。その時ごとにベストな選択ができたという実感はなく、模索し続けていたからこそ転職していった、という感じですね。

──その後もキャリアは続くんですよね。

まずは学会の運営事務局ですね。何千人もの医師が集まる会議を取り仕切るんです。VIPを相手にするホテルスタッフのように神経を使う仕事でした。でも楽しかったですよ。それから建築設計事務所に入ってCADオペレーターをしました。はい、理由は家からもっと近いからです。CADの経験がなくても応募可能だった会社に入ったんですが、人がいないという理由で、数か月後には管理職になっていました。

──本当に多才といいますか、適応能力がもの凄く高いですよね。未経験の分野に挑戦することに不安はないんですか?

もちろん不安はゼロではありません。でも、転職を重ねたからこそ得られた「覚悟」のようなものがあって、未経験の世界でも、わからないことは勉強し、試行錯誤して、最終的には何とかするんだと思ってここまでやってきました。適応能力が高いと言っていただいたんですが、私としては、そうした「覚悟」の上で何とかやれてきたんだという感覚です。

──HELP YOUに応募された時も、同じようなお気持ちでしたか?

そうですね。HELP YOUにジョインした時も、専門分野があるといえる状況ではありませんでした。「何とかするしかないんだ!」と思ってこの仕事を始めました。その気持ちはずっと変わっていないです。今でも、這いつくばって、死にものぐるいで過ごすような日々があります(笑)。

猫に邪魔されながら仕事をする日々

──中田さんのお話をうかがって感じるのは、柔らかい印象の奥にある芯の強さなんです。今回も事前に資料を頂いていたんですが、それを読んで「あ、この人、本気なんだ」と思いました。資料から、中田さんの仕事に対する姿勢のようなものが伝わってきたんです。

アドミン(※2)の説明資料のことですよね。あれは、想定された作業時間の何倍もかけて作りました。

※2 アドミンとは、ディレクターと協力して進行管理をするポジションのHELP YOUでの呼称。中田さんは、アドミンを務めた経験から、新人ディレクターに向けてアドミンの仕事内容や役割についてレクチャーを担当したことがある。

二度の受賞経験者が考える「本当に仕事がデキる人」とは

──そのエネルギーがすごいですよね。そうした中田さんの仕事の流儀に、在宅ワーカーとして活躍するための秘けつがあるのではないかという気がするのですが。

私も在宅ワークを3年以上経験して、アドミンとして関わる案件も増えてきました。たくさんの方々と接してきたからこそわかることなんですが、HELP YOUで活躍する方って、もれなくといっていいほど、あるスキルを持っているんです。

──それ、ぜひ教えてください!

在宅ワークって「経理」や「プログラミング」「デザイン」のように、目に見える具体的なスキルがないと活躍しにくいと思われがちですよね。確かにそうしたスキルが求められる案件もたくさんあるのですが、本質はそこではありません。

「一緒に働くメンバーと『同じ目標を共有できること』」が大切なスキルです。一つの案件に対し、チームで取り組むスタイルが基本のHELP YOUでは、特にそうしたスキルが必要とされます。

──「同じ目標を共有する」とは、どういうことですか?

仕事には必ずゴールがありますよね。まず、お客様の課題解決という目標があって、それを達成するために、誰が何をしなければならないかというチームとしての目標があります。いわば「全体の目標」です。

一方、チームのメンバーにはそれぞれの立場と、各々の「個人の目標」があります。例えば、拘束時間を抑えながら効率よく報酬を得たいといったもので、そうした目標があること自体は自然です。

問題なのは、「個人の目標」が優先され過ぎるあまり「全体の目標」に影響が出かねないような場合です。例えば、同じ時間をかけて1件の仕事を完ぺきに処理する人と、不完全な形で3件処理する人がいるとします。処理した件数に応じて報酬が決まる場合には、不完全でも3件処理した人の方が「個人的には得」ですよね。でも「全体の目標」からすると、当然マイナスです。仕事として完成していないし、不完全なものをやり直す時間が余計にかかってしまいます。

逆に「同じ目標を共有」している人と仕事をしていると、その仕事ぶりに感銘を受けてしまいます。その人は、自分の担当範囲を全体の一部として認識しています。だから、自分の仕上げた仕事が次の工程ですぐに使えるような状態になっているか、全体の目標に沿ったものになっているかをチェックしながら仕事を進めていきます。これは一言でいえば、「気配り」や「配慮」ができるということですが、もっと突き詰めると「同じ目標を共有できている」ということなんです。

私たちが働いているのは、報酬を得るという「個人の目標」のためですよね。でも「個人の目標」が達成されるためには、「全体の目標」が達成され、お客様に継続して選んでいただくということが大前提なんです。まず「全体の目標」があって、それに合わせて「個人の目標」がある。この感覚がないと、質の高い仕事はできませんし、チームとしての動きもできなくなってしまいます。

──受賞後のコメントでも、「群れではなくチームを目指したい」とおっしゃっていました。

そうですね。メンバーが「個人の目標」ばかりを追っているのが群れです。チームは「全体の目標」をまず考えます。全体の中にはクライアントも入るし、一緒に仕事をするスタッフも入ります。そういうことが自然にできる人たちが多ければ、集団はいいチームになります。

逆に、誰かが「個人の目標」ばかりを追っていると、他のメンバーもそういう姿勢をとるようになることがあります。そうなると、集団がただの群れになってしまうんです。だから、「目標への認識にズレがあるな」と感じるメンバーがいたら、「全体の目標」を共有できるようなコミュニケーションをとることを心がけています。

そして、もう一つ大切だと思うのがプロ意識です。プロは報酬をもらいます。報酬をもらうということは、成果を約束することだと考えています。

仕事のプロが口にしない2つの言葉とは?

──もう少し詳しく教えてください。

プロである限り、言ってはいけない言葉があると思います。それが「できない」と「わからない」です。なぜなら、「できない」「わからない」という前に、やるべきことはたくさんあるからです。できなければまず勉強します。わからなければ調べます。それでもだめなときは、状況をきっちり説明したうえで、実行可能な案を出す。どんな時でも、約束を果たすため、ベストを尽くすのが私の考えるプロです。

──それは、自分への厳しさから生まれる発想というより……

そうです。相手の立場に立つからこそ、生まれてくる発想です。困り事の解消を期待して、HELP YOUのお客様は私たちに依頼をしてくださいます。その視点に立つとき、まず思うのは「どうすれば相手の困り事を解決できるか」ということです。「できない」「わからない」とは真逆の思考ですよね。

確かに、困難な壁にぶつかることはあります。その時、自分軸で発想するか、相手の軸を中心において発想するかで、行動は大きく違ってくるのではないでしょうか。

──「同じ目標を共有すること」「目標や約束のためにベストを尽くすこと」。中田さんが大切にされている2つのマインドについてお聞きしました。それは、別々に存在しているというよりも、「共感して、それに反応する」という同じ一つの心遣いから生まれてくるように感じました。

いい表現ですね。私は過去に、保育士や幼稚園教諭、学会運営事務局での医師の接遇、それに建築設計事務所での管理職を経験してきました。確かに、いつも考えてきたのは「相手のために何をするか」ということだったと思います。

HELP YOUにジョイン後、初めてとった長期休暇。チーム制のありがたさを感じたという中田さん

「目に見えるスキル」以上に「目に見えないスキル」を大切に

──何だかつながってきました。中田さんが今回受賞された賞は、一緒に仕事をするメンバーからの信頼の証ともいえます。お話ししてくださったチーム意識やプロ意識って、すべて信頼を生み出す力ですよね。

HELP YOUで活躍されている方々を見ていると、例外なくそうしたマインドを持っていて、私自身もそうありたいと思っています。もちろん専門的なスキルはフリーランスにとって武器になりますが、それはあくまでも二次的なもの。仕事に向かう姿勢の方が本質で、それがベースにあるからこそ、専門スキルが生きてくるのではないでしょうか。

私たちがキャリアについて語る時、「どんな分野に精通しているか」「どんな技術を獲得してきたか」に焦点が当たることが多いのではないでしょうか。そういうことも大切です。しかし、それは仕事への姿勢がベースにあってこそ。だから、これまでの仕事の場面でも、他の場面でも、「どんな考え方で生きてきたか」「どんな人間関係を築こうとしてきたか」という点の方が重要です。こう考えると、キャリアや専門性がないことは必ずしもハンディキャップにならないと思うんです。

例えば、会社での経歴は浅くても、子育ての中で子どもや家族の気持ちを理解しようとしてきた経験が役に立つこともありますし、学生時代、キャプテンとしてチームをまとめた経験が生きて活躍している方もいます。これも職歴だけがスキルを証明するものではないという一つの事例ですよね。

──なるほど。履歴書に書きやすい「目に見えるスキル」とは別に「目に見えないスキル」があるんですね。

確かに、そういう風に考えると分かりやすいですね。

──3年前に新人賞を受賞された時、当時のインタビューで「専門分野はない」とおっしゃっています。今回のインタビューでも、やはり「目に見えないスキル」を中心にお話しくださいました。

そうですね。あの時は「自分の専門分野をつくっていきたい!」と思っていました。そうして、専門的な知識やスキルを習得するための勉強は、ずっと続けてきました。

けれど、ここ3年の間で専門分野よりも「さらに大事なこと」があると気付いたんです。それは今日お話ししたように「誰かと目標を共有して、その目標のためにベストを尽くすこと」。それを大切にしてきたからこそ、今の自分があるんだと思います。確かに「専門性をひたすら磨いてきた」というわけではないですね。

──専門分野を持たずに在宅ワークを始めて、二度の賞を受賞された。中田さんのお仕事ぶりは「専門分野がなくても活躍できる」ことの力強い証明になると思うのですが。

そうですね。「専門分野がなくても活躍できる」というと、少し語弊があるかもしれません。「専門分野でなくても、活かせる力がある」ということではないでしょうか。

おっしゃるとおり、HELP YOUに応募した当時、私には専門分野と呼べるものがありませんでした。それでも、たくさんのチャンスを与えていただき、その期待に応えようとする毎日を送ることができています。今日お話ししたような「チーム意識」「プロ意識」といった姿勢を評価していただいたのではないかなと思っています。

──アドミンとして関わられた案件で、他のメンバーから評価コメントが寄せられていますよね。今日のお話から、とても納得できるコメントです!

ありがとうございます。これまで一緒に仕事をしてくださった皆様には感謝しかありません。アドミンというポジションは、プレッシャーを感じる場面もたくさんありますが、こうした声があるからがんばれます。
中田さんにこれまで寄せられた評価コメント(抜粋)
「全体像の細かいところまで常に把握してくださる」
「煩雑な業務も楽しんで仕事することを教わりました」
「今ひとつまとまりに欠けていた案件が連携できるようになった」
──最後に、HELP YOUへの応募を考えている方にメッセージをお願いします。

もし専門分野がないことを理由に応募をためらっている方がいらっしゃったら、「自分が活かせる力」について考えてみてはいかがでしょうか。職場でもその他の場面でも、誰かとの関わりの中で大切にしてきた価値観や考え方に自分の強みが隠されているかもしれません。

面白いことに、スキルを持っている人ほど自信がなさそうにする場面があるんです。なぜかというと、ちゃんと相手のことを考えているから「本当に相手の要望をくみ取れているだろうか」「相手の要望どおりの成果が出せているだろうか」と考えてしまうんですよね。だから「応募してみたいけど、自信が持てない」という人こそ、可能性を秘めているのかもしれないんです。

まとめ

「在宅ワークで活躍するために必要なスキルは、資格や専門性だけではない」ということが、中田さんへのインタビューで明らかになりました。「専門分野はない」と公言している中田さんご自身が賞を受賞されたことは、まさにそれを証明しているように思います。

中田さんが大切にする「スキル」とは、目標を共有する視点、成果に責任を持つプロ意識でした。これらは目に見えるスキルではありませんが、信頼を生み、継続的に仕事を依頼される基盤となります。子育てや人との関わりから自然と育まれるような「目に見えないスキル」こそが、在宅ワークを長く続けていくうえでの大きな武器になるのかもしれません。

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