強みを持つことで手に入れた「私」を生かす自由な働き方

出版業界で25年におよぶ活躍の後、Web業界へ転身するなど、常に自身の興味のある方向へ進み、時代に合わせたスキルを身につけてきた山本さん。現在はロードバイクなどの趣味を楽しみながら、フリーランスとして2回目のキャリアを歩む一方で、ひとり旅のように自由な今の働き方が「好きだから」「自由に」というキーワードだけでは成り立たないことも実感しているといいます。輝き続ける山本さんが考える、フリーランスで成功する働き方とは。

ライター

小川舞子(おがわまいこ)
埼玉県出身、栃木県在住フリーランスライター、2児の母。夫に伴い5回の転居で広報・司会を中心に6回の転職を経験。2020年、育児との両立とこれまでの経験を総合的に生かすべくHELP YOUにジョイン。ライターとして記事執筆に励むと共に、居住地や時間に縛られないリモートワークを広める活動にも挑戦。栃⽊県移住情報ウェブサイトの公式YouTubeに出演中。

大好きな漫画にかかわる仕事を目指して編集者に

出版社でのアルバイトは、漫画の編集業務を間近で見ることができ、好きなことを自分の仕事として実現させるきっかけになったそうです。

HELP YOUにジョインする前のご経歴を教えてください。

学生時代の漫画編集アシスタント、出版社での雑誌・書籍の編集者および編集長、フリーランスの編集者・ライター、IT企業でのWebディレクター、ITコンサルなどを経て、今は2回目のフリーランスです。

さまざまなご経験をされてきたのですね!特に出版業界では25年のキャリア。編集者を目指したのは、いつ頃でしょうか?

中学から高校にかけて、漫画や小説の投稿をまとめる会報誌を作ったことがきっかけです。

高校最後の本を作った時に、悩みながらも、内容や読後感を考えて、掲載順を入れ替える編集作業をしていったら「1冊の本」としての質や面白さが一変したんです! 衝撃でした。この時に「編集ってすごい!」とその面白さに気付いたんです。

漫画や小説の投稿をまとめる会報誌!?漫画好きなのですか?

大好きです!漫画もアニメも小説も。とにかく本を読むのが大好きな子どもだったので、小学生の頃は、毎週図書館に通いました。

そんな中、小2の頃「ベルサイユのばら」に出会いました。クラスでも大流行し、ここから漫画やアニメ、歴史にも興味を持ち始めまして。ストーリーの背景や登場人物、作中のフランス語の単語など、今のように知りたいことをインターネットで調べることができなかったので、図書館などで徹底的に調べましたよ。

小学生の頃から「情報を自分で手に入れる」というスタイルが確立していたのですね。

そうですね。いろいろなことを知りたいという気持ちが強い子どもだったんです。でも、能動的に行動しないと「知りたいこと」を解決できない時代だったので、とにかく情報に飢えていました。そのおかげか、興味のアンテナを多方面に向けて、自ら行動を起こすところは今でも変わりません。

漫画好きで投稿誌の編集となると、今度は自分で作品を「作ろう!」という気持ちになりそうですね。

なりました(笑)文章を書き始めたきっかけは、小5の国語の授業で小説を書いたことです。高校時代には、大学ノートに何冊も小説を書きつぶしました。

その後は、小説家になるために、幅広い見識をつけよう、と大学の芸術学科へ進学して、美術を専攻しました。続く大学院では演劇学を専攻し、出版社でのアルバイトも始めました。

出版社ではどのようなアルバイトをしていたのでしょうか?

大手出版社の漫画編集部で、雑用から編集アシスタントまで経験しました。

アルバイトでしたが、とにかく大好きな漫画の近くにいられることが嬉しくて。編集部内での漫画家さんとの打ち合わせなど、すべてが「おもしろい!」と毎日が刺激的でした。

こうした経験から「編集をやりたい」という強い気持ちが生まれ、卒業後、正社員として別の出版社へ就職しました。実は、そこで担当した漫画家と結婚したんです。

人生の大きな転機でしたね。

はい。漫画家はフリーランスなので、フリーランスで生活すること、家族として支えることの大変さを、身に染みて感じました。

また結婚した頃は、世の中の流れと共に雑誌や漫画の制作もアナログからデジタルへと変化しつつある時期だったので、仕事の面でも転機だったと思います。

 

紙からWebへ。変化を楽しみ、時代のニーズに合わせることが働き続けるコツ

趣味のひとつ、サッカー観戦では、ドイツ代表チームを応援。時差のため早朝に行われたW杯でのPV観戦に参加したり、現地にも足を運ぶなど、趣味でもアグレッシブに!

ワープロからPC、インターネット、仕事のツールが大きく変わる中、苦労はありませんでしたか?

まさに結婚した90年代後半のPCで仕事をする流れが見え始めてきた頃、実は、私はMOの中身を確認するのがやっとのスキルだったんです(笑)。これでは仕事にならない!と思い、夫がCG用に購入したMacを使用して、一緒にPhotoshopやDTPなどを勉強しました。

また、ツールに慣れるために、興味のあったサイト作成に挑戦しました。2000年から約15年間、時代の流れに合わせた個人サイトを運営し、CGIやCSSも独学で学びました。もともと、新しいものや興味のあるものを取り入れて視野が広がることに喜びを感じていたので、苦労というよりも変化が楽しかったです。ですから、子どもの頃と変わらず、積極的に情報のキャッチアップに努めました。

長く働いた紙媒体からWebの世界へ活躍の場を移されたそうですね。転身の理由は何だったのでしょうか?

40代後半の頃、勤めていた出版社が民事再生法適用になったため退職し、フリーランスとして、編集やライターをしていました。でも、最新の情報の得やすさや、生きた情報を手に入れるためには、個人ではなく会社という組織が必要だと感じるようになってきて。

ただ、今までのように雑誌で情報の最先端を作るにも、ターゲットとの年齢差がありますし、若い時のような勢いではなく、経験による保守的な気持ちが働くことにも気が付きました。自分に適した働き方は年齢に伴い変化していくんだ、と。

その時の私が生かせるのは、勢いのある企画を作るというより、クライアントの要望に合わせたコンテンツ作りだと思い、それができるなら出版業界にこだわる理由はないと考えたからです。

出版とは違う業界で働くことに、ためらいはありませんでしたか?

個人サイトを運営するほどWebに興味があり、HTMLを扱うのが大好きだったので、仕事のフィールドとしてWebを選びました。だから、ためらいや不安はありません。

WebライターとしてWebコンサル会社に入社しましたが、結果としてはディレクター、コンサル、デジタルマーケターとしてアクセス解析や改善提案なども経験しました。出版業界では見えにくかった読者の反応などが、ダイレクトに数字に表れるのも面白かったです。

「やりたいこと」を「できること」へと変えていきますね。

主にWebディレクターとして、クライアントにさまざまな提案をして実績を上げていったところ、新規開拓の営業職への異動を提示されました。

実績を評価されたことは嬉しかったですが、営業を希望していたわけではなかったので、とても悩みました。さらにそのタイミングで、母に介護が必要になったんです。

介護とポジションチェンジ、これもまた大きな転機ですね。

母の場合は、腰の手術に伴う介護だったのですが、有給休暇が保証される介護休業は3カ月間。これでは足りません。

異動の話もありましたし、いっそのこと退職してしまおうかなと迷っていた時に、思いきって休みを取り、趣味のロードバイクで遠出をしました。

9月だったので、風に揺れるコスモスを見ながらサイクリングをしていたら、

「私はこういうことがしたかったんじゃなかったかな?好きな時に好きなことをしながら、仕事をしていきたいんじゃなかったっけ?

すんなりと答えが浮かんだんです。今の私は、時間があっても気持ちにゆとりがなくなっている、仕事が楽しくなくなっていると気付きました。楽しく仕事できないのなら「やめよう」と決意し、HELP YOUへジョインしたというわけです。

 

子育ても介護も!リモートワークが叶えるキャリアを諦めない生き方

フリーランスかつリモートという働き方なら、確かに家族のための時間と仕事とのバランスもとりやすくなりますね。

HELP YOUでも多くの方が子育てと仕事を両立していらっしゃいますね。でも、同じ「両立」でも、介護と子育ては似ているようで、やはり別物だと思います。

介護は「親」が対象になることが多く、何かあった時にも親自身を頼るということができません。

これは、大きな違いだと思います。費用もわからないし、子どものように成長と共に手が離れるということもありません。

子育てと仕事の両立には、国や社会の目もしっかりと向いていて、制度の整備も進んでいるという印象があります。ネットを探せば、育児の体験談はたくさん見つかりますし、ある程度は年齢でパターン化もできます。

でも、介護は子育てよりもパターン化しにくくて、体験談があまり参考にならない。また、周囲に話を聞いてもらう機会も少なく、孤独や不安を感じがちだと思います。

その点、HELP YOUはフリーランスの集団でありながら、仕事外のコミュニティやチームワークを大切にするところもあるので、ひとりで活動する在宅ワークよりも孤独は感じにくいですね。

仕事をリモートにして介護と両立させる、当時はまだ事例が少なかったのでは?決断には勇気が要りそうですが。

母は妹夫婦と同居しており、介護の負担が私に重くのしかかるわけではなかったので、正直なところ、少し楽観的なところはありました。

ただ、離婚し、私一人で子供の教育費や家のローンも支払うという状況だったので、収入ゼロというわけにはいきません。だからフリーランスでやろうと腹をくくりました。でも、1回目のフリーランス時に比べたら、驚くほど在宅ワークの環境が進化していたので、仕事の面での不安はほとんどありませんでしたよ。

リモートワークと介護の両立について、感じたことを教えてください。

親の介護をするということは、介護する側もある程度の年齢になっています。そうなると、退職した場合、再就職は難しい状況です。そんな時に、在宅で仕事ができる!というのは介護をする人にとって、大きな「希望」になると思っています。

育児や介護のために会社を辞めることになっても「リモートで働ける、収入がある」という自信と安心は、その後の生活を頑張りぬく支えになるのではないでしょうか。

以前、介護をしながらデジタル制作での漫画家アシスタントをされていた方から、「時間に制約があるから他の仕事はできないけど、家族が寝た後にリモートワークとして、アシスタントの仕事ができて助かる!」と言われたことがありました。本当にその通りだと思っています。

これから先、介護は多くの人が直面する問題です。できるだけ早いうちに「私はこれが得意」という分野を見つけ、いざとなった時に自分の腕一本で「仕事をする自信」をつけておくことをおすすめしたいですね。

 

自分の「強み」を見つけて「自分の価値を高める」ことがフリーランス成功のカギ

忙しい中でもファンである俳優のイベント参加や観劇の時間をしっかり確保。その瞬間は仕事からきっぱりと離れるため、リフレッシュできるそうです。

ご自身はもちろん、漫画家の元配偶者はじめ、出版業界でも多くのフリーランスの方々と仕事をして身近に見てきたからこそ、フリーランスという働き方について思うことは?

自分の時間を有効に使える、子育てや介護との両立ができるという魅力的なところが注目されがちですが、忘れてはいけないのは、「仕事がなくなるかもしれない」というリスクが常にあるということですね。

だから「継続して依頼をもらう」ために自分をどう高めていくか、自分の商品価値をどうしたら上げられるのかを考えていくことが大切です。

会社員ではないので、与えられた仕事をこなすのではなく、仕事は自ら取りに行く。自分の価値を作り、その価値を高めて伝えていくことが成功の秘訣ではないでしょうか。

もちろん、今の実力や実績では不安でアピールしづらいという場合もあると思いますが、強みは実績だけではありません。自分を諦めないで、上を目指せる「キャラクター」も大切だと思います。

キャラクターとは具体的には何でしょうか?

フリーランスは、信用で仕事をいただく部分が大きいので、納期、連絡、そしてコミュニケーション、この3点をきっちり守れることは、その人の信頼性を高めます。

実績や経験は大切ですが、この「信頼できる」というキャラクター性は、それらと同じくらい価値のある武器になると思います。

また、会社でもフリーランスでも、仕事をうまくやっていくためには「報告・連絡・相談」の三原則に加え、他の人のスキルを尊敬する気持ちが必要です。

専門誌の編集をしていた時に実感したのですが、自分は詳しくない内容の仕事であっても、必ずその分野のスペシャリストがいるものです。年齢や経歴を問わずその人の能力は尊敬すべきですし、その能力をチームで生かし、教えてもらうことで、仕事を成功させることができます。

誰にでも強みはどこかにあるはず。なので、それを見つけることが自分の「価値」につながるのだと思います。そのようにして自分の価値や存在感を高めて「仕事を続けていく」ことこそが、自信や強みになっていくのではないでしょうか。

これからの目標はありますか?

50代を迎え、通常なら定年が見えてくる年代ですが、私は体が動く限り、働き続けたいです。仕事で忙しいくらいの方が生活のリズムも整いやすく、仕事以外のこともやりたいというエネルギーが生まれてくるんです。

だから、年齢や生活環境だけを理由に仕事を辞めるのではなく、自分の未来は自分で決めて、好きなことをしながら好きなだけ働いていける、この働き方を大事にしていきたいです。

嬉しいことに、仕事を通じて視野が広がり、好奇心も刺激されるので、やりたいことも増えています。現在の趣味は、自転車やスポーツ観戦、観劇などですが、まだまだ増えるかもしれません(笑)。

編集後記

好奇心は情報収集のエネルギーになるんです、と話してくださった山本さん。
アナログからデジタルへ、紙からWebへ、大きな変化の時代を「面白そう」という好奇心のもと、楽しみながら対応してきた話が印象的でした。

自分の興味や関心に忠実に「知りたいから自分で調べる」、この攻めのスタイルで時代と共に求められるスキルを磨いてきたからこそ、自身の強みを確立でき、フリーランスのリモートワーカーとして光り輝くことができているのだと感じます。

育児や介護、病気治療など、さまざまな事情でキャリアの継続に悩む人も、リモートワークという新しい働き方に目を向けてみませんか。今の自分だからできることを見つけて、新たな人生の可能性を広げてみましょう。