元国税専門官が教える!会社員の確定申告準備 ~困ったときに役立つ豆知識~
「年末調整は終わったけど、医療費控除とかは自分で確定申告しなくちゃ…!でも、どんな書類が必要なんだろう?」──そう思ったことはないでしょうか。
副業収入、医療費控除など、実は年末調整で行えないものはたくさんあります。また年末調整の内容変更のため、個人で確定申告を行わなくてはならないケースも。
そこで今回は100人以上の確定申告を見てきた元国税専門官の私が、「確定申告に必要な主な書類」と「知っておくと便利な確定申告の豆知識」を紹介します。
※ この記事は2025年11月現在の制度を基準に書かれています。最新情報については、国税庁など公的機関の公式サイトでご確認ください。
目次
ライター
書類(収入編)
会社員の収入に関する書類というと、代表的なものは「給与所得の源泉徴収票」です。しかし、中には副業をしていて複数の源泉徴収票があったり、転職などの理由で退職金があったりする方もいらっしゃると思います。
そのようなものも収入に当たるため、金額に関わらず、もう一度書類を見直してみましょう!
給与所得の源泉徴収票
上に挙げた「給与所得の源泉徴収票」は年末頃に会社から発行される書類で、会社員が申告する際は必須の書類です。もし副業やボーナスの支払いなどで複数枚ある場合は、それらも全て揃えておきましょう!
退職所得の源泉徴収票
転職などをした際に「退職所得の源泉徴収票」が発行されているか、確認しましょう。
いわゆる退職金について書かれた書類であり、通常は会社で所定の手続きを行うことで源泉徴収をされて課税関係の手続きは終了しています(※1)。
しかし、医療費控除や寄付金控除などのために確定申告をする場合は退職所得を記載する必要があるため、その場合はこの書類も用意しておきましょう。
支払調書
給与所得の源泉徴収票以外で、代表的な収入の書類としてよく挙げられるのが「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と書かれた横長の書類です。
こちらも収入の書類の一つであり、他の収入と一緒に申告する必要があります。
その他、収入が分かるもの
「オンライン副業で収入があるけれど、そもそも支払調書などの書類が発行されていない…」
その場合は、①振込金額と②支払者(振込主)が分かるような振込履歴をスクリーンショットや画面印刷などで残しておきましょう! もし支払調書などの書類以外で①と②が分かるようなものがあれば、それも必ず保管しておいてくださいね。
ちなみに、税務署で行われる確定申告相談会場へ行く際は必ずこれらの収入も確認されます。もし忘れてしまうと収入金額(所得金額)という税額計算にとって肝心な部分が分からないため、「金額を調べて再度来場してください」と言われてしまう可能性も…!
時間を無駄にしないためにも、持っていく書類をリストアップして来場の前にもう一度確認すると良いかもしれません。
Q:最低限、覚えておいた方が良いことは?
A:①「○○の源泉徴収票」「○○の支払調書」と書かれた書類は必ず取っておく、②収入に関する書類は1か所にまとめておく、の2点に気を付けましょう!
書類(控除編)
会社員の場合、いくつかの控除は年末調整をすることで受けられます。しかし、下記の住宅借入金等特別控除の初年度申請や医療費控除などは、自分自身で税務署に書類を提出し、確定申告を行う必要があります(※2)。
また、年末調整で入れ忘れた社会保険料控除などを入れるために確定申告をしなければならないケースもあるため、収入に関する書類の他、控除に関する書類も揃えておきましょう。
住宅借入金等特別控除
実は「土地や家屋の契約書だけあれば良い!」というわけではありません。
家を買った方々全員に共通する提出書類はもちろん、その他にも住宅の区分に応じた書類などを別途提出する必要があります。この控除の提出書類は特に複雑なため、税務署への早めの相談がオススメです。
この記事では、共通して提出が求められる主な書類のみを挙げます。
- (特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(※3)
- 住宅取得資金に係る借入金の年末残高等証明書
- 登記事項証明書
- 工事請負契約書または売買契約書の写し
その他、地方自治体などから補助金を受けていたり、頭金などを親族から支払ってもらったりした(贈与を受けた)場合、こちらも別途書類が必要になります。
また、肝心の収入に関する書類を忘れないようご注意ください!
参考:国税庁 令和6年分確定申告特集「住宅ローン控除を受ける方へ」(2025年11月閲覧)
医療費控除
この控除を申請するためには「1年間の医療費をまとめた明細書」が必要になります。
こちらは「病院」や「治療を受けた人」ごとにまとめて記載することができるため、病院に通う回数が多い場合はExcelなどの表計算ソフトを使うとよりスムーズに作成することができます。
詳しくは下記の国税庁の明細書のテンプレートを参考にしてみてください。
また、もし健康保険組合から「医療費のお知らせ」などの通知書がある場合は、その書類でもOK! ただし、通知書に記載されていない医療費がある場合は、別途その医療費をまとめた明細書も作成する必要があります。
もちろん、どのような形で書類を提出するにせよ、医療機関から発行された領収書については自宅での保管を忘れずに!
寄付金控除
よくあるものが、ふるさと納税を行った際に各寄付先から発行される「寄付金受領証明書」です。
こちらはワンストップ特例制度(※4)を利用すれば、確定申告をしなくても済む場合があります。しかし、医療費控除などの他の控除申告をする場合などは、それらと一緒に確定申告が必要になるケースも。そのため、もし相談しに行く場合は念のために持参すると安心です。
また、他にも法律で定める条件を満たした認定NPO法人などへの寄付金が控除の対象となる場合があるため、こちらの確認も忘れずに!
その他、年末調整に入らなかった所得控除に関する書類
証明書が発行されるタイミングが合わなかったり、年末調整に入れ忘れたりした社会保険料などがある場合、それらの書類も必要になります。この場合、間違えて年末調整に入っている分を二重で計算に入れないようにご注意ください。
困ったときの相談先や注意点
確定申告のことで困ったら、税務署または税理士に相談するとトラブルを防ぎやすくなります。2026年に限ったことではありませんが、年が違えば法律や適用条件が違うことも珍しくないため、自己判断はかなり危険です。
なお、税務署にはいくつか部門がありますが、主に個人の申告は「個人課税部門」が担当しています。ただし、相続や贈与、土地の売却などがあった場合は「資産課税部門」も関わってくるため、そのような事情がある場合は早めに伝えましょう。
その他にも確定申告に関する注意ポイントをいくつかまとめました。
書類の整理に困ったら2種類に分ける
書類の整理は思った以上に大変です。給与の源泉徴収票ならまだしも、それ以外はさっぱり分からないということもあるかと思います。また、忙しくて整理している暇もないかもしれません。
その場合は無理に必要か否かを選別せず、「絶対に使うと分かっている書類」と「使うか分からない書類」の2種類に分けて保管しておきましょう。これだけでも多少は整理の時間が減ります。
後者についてはそのままにせず、税務署や税理士に内容を確認してもらい、最終的な判断をするようにしてくださいね。
ちなみに、申告内容が毎年ほぼ変わらないのであれば、過去の申告で使った書類を参考に整理するのもオススメです。
書類の年度と宛名に注意する
来年2026年の確定申告では「令和7年分(2025年)」の書類が必要になるため、別の年分の書類を使わないように注意しましょう。また、誤って自分の配偶者や親、子どもの書類を用いないために人物ごとに書類をファイル分けしておくと便利です。
必要かどうか迷った書類は、必ず専門家に確認してもらう
税務署などへ対面相談しに行く際、必要かどうか分からなかった書類も念のため持っていきましょう! というのも、申告内容によってはこの記事に挙げた書類以外のものが必要になったり、スタッフが内容を確認させてほしいと求めたりする場合があるからです。
「これ、いるのかな?」と思った書類はできるだけ持参し、申告に必要かどうか確認してもらってくださいね。
住民税については市役所へ相談を
税務署で行う確定申告では「所得税及び消費税」、つまり国税に関する税額計算を行います。そのため、地方税である「住民税(市県民税)」は各市町村が担当となるため、より詳細に知りたい場合は各市町村の担当窓口に相談しましょう。
確定申告時期の相談は国税庁LINEの事前予約がオススメ!
実は国税庁の公式LINEがあることをご存知でしょうか。この公式LINEでは、さまざまな機能が使えるのですが、中でも一押しの機能が「申告相談の申込(一部の税務署のみ)」。
確定申告時期になると、管轄の税務署が相談会場を開いている場合、会場での相談予約が可能です。土日祝日は埋まりやすいため、予約はお早めに!(※5)
なお、地域によっては1月くらいに税理士による合同相談会が開かれている場合もあります。 相談内容が多い場合などは、税務署だけでなくこちらもチェックしておくと良いかもしれません。
大事な書類はコピーして保管する
医療費の明細書や住宅借入金等特別控除の初年度書類など、書類の原本またはコピーの提出を求められる場合があります。自分の手元に置いておきたい書類がある場合は、保管用として書類を別途コピーしたり写真を撮ったりしておくと安心です。
ちなみに、写真を撮って保存したのに画像が荒くて肝心の文字や数字が読めなくなることもあるため、写真を撮る際はブレや画質に気を付けてくださいね。
意外と忘れやすいマイナンバーカードと銀行通帳
確定申告書には個人番号を記載する必要があるため、申告者本人のマイナンバーカードは必須です。また、扶養者がいる場合は、その扶養者の個人番号の記入を求められる場合もあるため、扶養者分も控えておきましょう。
銀行通帳については、通帳でなくても銀行口座の番号や支店名などが分かればOK。こちらは還付金(※6)の振込先や納税時の引落口座を求められた際に必要になってきます。
すでに口座の登録をしているケースなど、申告内容によっては不要な場合もありますが、念のため用意しておくと良いでしょう。
扶養者の誕生日は必ず控えておく
意外と忘れやすいのですが、実は扶養者を申告する際、その誕生年月日を記載する必要があります。親や子ども、親戚など「誕生日は覚えているけど、何年生まれだっけ…?」となってしまわないよう、「年」「月」「日」の3つをあらかじめ確認しておくと申告がよりスムーズに進みます。
まとめ
確定申告は1年に1度しか行いませんが、税額計算を正しく行うためにも非常に大切な手続き。書類不備で申告ができないという事態を防ぐためにも、もう一度書類を見直し、相談に行く際は必ず持っていきましょう!
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