フリーランスビギナー講座【節税対策!青色申告3つのメリット】

フリーランス ビギナー講座【節税対策!青色申告3つのメリット】

「青色申告」は、フリーランスや個人事業主が簡単にできる節税対策です。それにもかかわらず、青色申告のメリットや青色申告の仕方について、よくわからないという人も案外多いのではないでしょうか。
このコラムでは、フリーランスにとって特に節税効果がある3つのメリットについて詳しく解説。また、青色申告するための具体的な手続きについても説明します。思っているよりずっと簡単なので、まだの人はこのコラムを読んで、ぜひチャレンジしてみてください。

※本コラムは、2023年10月時点の情報をもとに作成しています。

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ライター

fumico
会計事務所を退職後HELP YOUにジョイン。経理とライティングのエキスパートになりたいと日々勉強中。一人娘はすでに独立しており、夫婦二人暮らし。社会にもまれながら頑張る娘の姿に刺激を受け、「お母さんも負けてられへん!」と意気込むアラフィフ。→執筆記事一覧

青色申告とは

まず「青色申告」とは何なのか、概要を説明します。

「青色申告」とは、確定申告の申告方法の一つ。青色申告制度は、事業での日々の取引状況を適切に記帳し、所得金額を正しく申告する納税者に、所得金額の計算などについて一定の特典を付与する制度です。

国税庁のHPにある青色申告制度についての説明を簡単にまとめると

  • 事前に届出をすれば「青色申告」を選択できる
  • 青色申告を選択できるのは、事業所得※1)、不動産所得、山林所得がある人に限る
  • 青色申告を選択することで、特別控除が受けられたり、赤字を3年間繰り越すことができるなど、多くの利点がある

となります。
参考:№2070 青色申告制度|国税庁(参照2023-10-31)
※1)事業所得とは、農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業を営んでいる人の、その事業から生じる所得。フリーランスの在宅ワークもこれにあたります。

青色申告を選択しなければ、自動的に白色申告をすることになります。白色申告をするのに、届出は必要ありません。また、白色申告には所得税法上の有利な扱いはありません。

青色申告3つのメリット

青色申告にはたくさんのメリットがあります。その中でも、在宅ワークをするフリーランスにとって特に節税効果がある3つのメリットについてご紹介します。

それは、

  • 青色申告特別控除が利用できる
  • 赤字の繰越ができる
  • 少額減価償却資産の特例が受けられる

の3つです。

それぞれを詳しくみていきましょう。

青色申告特別控除

青色申告特別控除は、所得から最大65万円(もしくは55万円か10万円)を控除できる制度です。

たとえば、今年の事業所得が150万円だったとします。青色申告特別控除の65万円を利用できれば、150万円から65万円を差し引いた85万円が青色申告控除後の事業所得になります。そこからさらに個人の所得控除(基礎控除や配偶者控除など)分を差し引いて税金を計算するので、かなりの節税効果になるのです。

この「最大65万円(もしくは55万円か10万円)」という控除額は、下の表にある要件をどれだけクリアしているかで利用できる額が決まっています。


参考:No.2072 青色申告特別控除|国税庁(参照2023-10-31)

では、要件の内容について、詳しく説明します。

複式簿記とは

複式簿記とは、お金の出入りと財産の増減を一緒に記録できる帳簿のつけ方です。

といっても、具体的にどう帳簿をつければいいのか、よくわからない人が多いと思います。会計ソフトを使えば、取引を入力すると自動的に複式帳簿で帳簿をつけてくれます。ぜひ、会計ソフトの使用をおすすめしたいです。

フリーランスとして活躍していきたいのであれば、資産状況をちゃんと把握することも大切です。長期的に考えても、会計ソフトを利用して、自分の業績や資産状況を管理するようにしましょう。

青色申告特別控除を受けるために提出が必要な貸借対照表損益計算書も、会計ソフトを使えば簡単に作成できます。

電子申告の仕方

電子申告するかしないかで控除額に10万円の差があります。電子申告は簡単にできるので、まだやったことがない人はぜひ利用してみましょう。

従来、確定申告は紙で管理していて、税務署の窓口で提出するか、郵送で提出していました。今は、e-Tax※2)が始まり、オンラインで電子申告できるようになっています。
※2)e-Taxとは、国税庁が運営する国税に関する申告や納税ができるオンラインサービス。

やり方は簡単。国税庁のwebサイト「確定申告書等作成コーナー(無料)」で画面に沿って入力すれば、スマートフォン・パソコンを使って、自宅からe-Taxで電子申告することができます。

また、会計ソフトのサービスを使って、電子申告することも可能です。ただし、有料プランでなければ確定申告には対応していないものもあるので、直前になって慌てないように、プラン内容を確認しておきましょう。

赤字の繰越

個人は赤字の場合、確定申告する義務はありません。しかし、青色申告で赤字の申告をしておけば、3年間その赤字を繰り越すことができます。繰り越した赤字は、翌年以降の黒字と相殺できるので、節税対策として大変効果的です。

たとえば、今年の事業所得が100万円の赤字になったとします。この赤字は確定申告する義務はありませんし、税金も発生しません。そして、翌年に150万円黒字が出たら、その150万円に税金が発生します。

しかし、今年の赤字100万円を青色申告すれば、翌年の税金をおさえることができます。赤字だから、今年の税金は申告しても0円です。そして、翌年の150万円の黒字は、繰り越しておいた赤字100万円と相殺できるので、税金が発生するのは差し引きした50万円に対してだけ。大きな節税になりますね。

少額減価償却資産の特例

通常、10万円以上の固定資産を購入したら、購入費用の全額をその年の経費にすることはできません。減価償却という処理をしなければならないので、国が決めた耐用年数※3)にしたがって、何年間かに分けて経費にする決まりがあります。
※3)対象の資産を使用できる「期間」のこと。国が法的に定めている。

それが、青色申告をすることで、30万円未満なら購入費の全額をその年の経費にできるのです。これが、少額減価償却資産の特例という制度です。

この制度を使う場合、確定申告書に「少額減価償却資産の取得価額に関する明細書」を添付する必要があります。

具体的には以下の2つの対応をすれば大丈夫です。

  • 確定申告するときに、「減価償却費の計算」という明細書を提出する。(国税庁の「確定申告書作成コーナー」で作成できます)
  • 明細書には、購入した金額や購入したものの名前などの必要事項のほか、摘要欄に「措法28の2※4)(明細は別途保管)」と記入する。
  • ※4)租税特別措置法第28条の2とは、中小事業者の少額減価償却資産の取得価額の必要経費算入の特例

なお、この特例には上限金額があり、1年間に購入した合計額が300万円に達するまでが対象です。開業したばかりなど事業年度が1年に満たない場合は、300万円を12で割り、事業活動した月数を掛けた金額が上限となります。

青色申告するために必要な事前の手続き

確定申告で青色申告をしよう、と思っていても、事前に申請しておかなければ、青色申告することはできません。

青色申告するには、提出期限までに青色申告承認申請書を提出することが必要です。

提出期限は、青色申告をしようとする年の3月15日までです。この青色申告承認申請書は毎年提出する必要はありません。一度提出すれば、それ以降もずっと適用されます。

今まで青色申告していなかった人が、令和5年分(令和5年1/1~12/31)の確定申告から青色申告したいなら、令和5年の3月15日までに申請書を提出しなければいけません。3月16日以降に申請書を提出した場合は、青色申告できるのは令和6年分からとなります。

新しく起業した場合は、起業から2か月以内に承認申請書を提出すれば起業した年の分から青色申告できます。

また、もうフリーランスとして活動しているけれど、開業届をまだ提出していないという人は、一緒に開業届も提出しましょう。

開業届を出さなくても罰則はありません。また、開業届を出さずに青色申告承認申請書だけ提出することも可能です。ただし、所得税法上、個人で事業を開始した場合には開業届を出す義務があるので、提出すべきものは提出しておく方が安心です。

青色申告できない人

青色申告ができるのは、特定の所得がある人だけです。具体的には、事業所得、不動産所得、山林所得の3つです。

ここで注意したいのが、会社員の副業です。会社員の副業は、雑所得となるケースがあります。雑所得だと、青色申告できません。

青色申告にはメリットも多いため、事業所得として申告したいところですが、勝手に事業所得にするか雑所得にするかを選べるわけではないのです。

  • 営利目的で継続的に事業を行っていること
  • 記帳、帳簿書類を保存していること

上記が事業所得として認められる線引きの基準にはなっていますが、営利性継続性などから社会通念的に認められるかどうかで、総合的に判断されます。

あまりに収入が少なかったり、毎年赤字が続く場合は雑所得とみなされます。不安があれば、税務署に相談するのが良いでしょう。

確定申告で提出する書類

さて、青色申告する場合、確定申告では、何を提出すればいいのでしょうか。

提出書類は以下の2つです。

  • 確定申告書
  • 青色申告決算書(一般用)

青色申告決算書は国税庁ホームページの「確定申告書作成コーナー」で直接入力することができます。また、会計ソフトを利用していれば、今までの取引結果から自動的に作成してくれるので簡単です。

ただ、自動で作成してくれるとはいっても、そこまでの取引を間違って入力していたら間違ったまま作成されてしまいます。ソフトにまかせきりにせず、おかしな数字がないかしっかり確認しましょう。

まとめ

青色申告には、節税できる大きなメリットがあることがわかりました。ただ、青色申告するためには事前の準備が必要です。一見、準備することが多いように感じるかもしれませんが、実際の手順は簡単です。会計ソフトを導入し青色申告承認申請書を期限までに提出すれば、あとは毎年電子申告するだけです。節税効果はバツグン!後回しにせず、ぜひチャレンジしてみましょう。

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