「キッザニア東京」で母親の復職相談も!キッザニア×リクルートジョブズによる女性向け就業支援イベント

“こどもが主役の街”「キッザニア東京」では、開業10周年を機に、母親の「働きたい」をサポートする「女性の就業支援カウンセリング」を来年3月まで、ほぼ毎月実施しています。12月のイベントに参加し、主催者やキャリアカウンセラーの方にインタビューした結果をお伝えします。

ジョブズリサーチセンターが実施した『主婦の就業に関する1万人調査』(2013年)によると、子育て中の女性は再就職に向けた不安度が高く、就業意向はあっても実際の仕事探しに踏み切れない人が過半数もいるそう。不安の主な理由は「ブランクの長さ」と「育児との両立不安」です。「キッザニア東京」で行われている「女性の就業支援カウンセリング」は、そんな不安を払拭する機会として、子どもを連れてやってきた母親たちに提供されています。

 

 

ライター

宮本ナガタ
20年以上エンターテインメントに関わる仕事をしてきました。読むのも書くのも大好きな、重度の活字中毒です。読みやすくて楽しい記事を目指します。

こどもが主役の街「キッザニア」で、母親向けのイベントを

 

開業10周年を迎えたキッザニア東京。平日にもかかわらず、場内は仕事体験を楽しむ子ども達であふれていました。こどものための施設であるキッザニア東京で、なぜ母親向けのイベントを開催することにしたのでしょうか。キッザニアの企画・運営を行うKCJ GROUP 株式会社の大森さんと、この企画を共営する株式会社リクルートジョブズの宇野さんにお話を伺いました。

何故キッザニアで、母親向けのイベントを開催することにしたのでしょうか?

大森: 「キッザニア」はこども向けの職業・社会体験施設ですが、こどもだけでなく様々な人の「働くこと」を応援したいと考えています。子育て中の女性の復職時期は、こどもが幼稚園もしくは小学校に通い始める時期が多く、「キッザニア東京」の来場者と重なります。そこで今回、仕事から遠ざかっていた母親が「働くこと」を考えるきっかけとなる「女性の就業支援カウンセリング」を実施することにしました。また、キッザニアのスーパーバイザー(スタッフ)は普段こどもと接する仕事ですが、母親向けの就業サポートという、彼らにとっても新しい挑戦となる良い機会だと思いました。

今回イベントを開催している平日の夕方に来られるのは、どんなお客様が多いですか?

大森: やはり親子連れがほとんどです。こども達の職業体験がおおよそ15-30分で、そのお手すき時間に、こちらのイベントにご参加いただけるようになっています。

10月から始まったこのイベントに関して、反響はいかがですか?

大森: いいですね。「働くということを考えるキッカケになった」とか「復職のモチベーションが上がった」などとおっしゃるお客様が多く、もっと認知されたらいいなと思っています。ブースの1つにある”iction!みらい家計シミュレーション”で、将来かかる教育費などの具体的な数字を見て「やっぱり働いたほうがいいな」と考えさせられたという方も多いです。

今後も続けられるご予定ですか?

大森: はい。毎月1回、来年3月まで行っていくことが決定しています。その後の継続も検討中です。

 

リクルートジョブズとKCJのコラボレーションが始まった経緯をお聞かせください

宇野: リクルートグループでは、昨年から「iction!(イクション)」という、「はたらく育児」を応援するプロジェクトを始めています。
キッザニアさんも、「働くこと」を考える機会を、こどもだけでなく母親まで広げたいと考えていらっしゃったこともあり、今回のコラボレーションが決まりました。

働くことを希望しつつも踏み出せない子育て中の女性に対して、キャリアカウンセリングはどの程度有効なのでしょうか?

宇野: 女性の場合、人と話すことで自分の考えがまとまることも多いので、カウンセリングは有効な手段だと思います。復職は、学生時代の就職活動と違って、明確なスケジュールも必勝法もありません。子どもの年齢やご家庭の事情、取り巻く環境もそれぞれ異なるので、「いつから働き始めるのか」「どんな働き方をするのか」「どう両立するのか」などを、全て自分で考えて決めて行動しなければいけないことが大半です。途中で悩んで動けなくなってしまうケースも多いので、カウンセリングを受けることで、自分の考え方がまとまったり、モヤモヤが解消されたりする良いキッカケになればと思います。

もっと多くの相談の機会があれば、具体的に動き出せる人が増えると思いますか?

宇野: そう思います。どうやって仕事を探したらよいのか、誰に相談したらよいのかも分からないという声を非常に多くの方から頂きます。普段の生活において、旦那さんやママ友と仕事について真面目に話す機会は、実はあまりないのが現状。ですので、少しでも多くの方へ相談できる機会を提供できたらと思います。実際にお話してみると、ブランクが5-10年ある場合、まずは仕事感覚を取り戻すところからという方が多いです。「具体的に私に何ができるのかしら?」というところから、「家事・育児の両立はどうしたらいいのかしら?」とか、「仕事中心の生活はできないけど大丈夫かしら?」などなど。お話しすることで、まずは漠然とした不安を具体的に言葉にして、そこから解決策を一緒に考えていけたら、と思います。

ブランクや家事育児との両立が不安な主婦が動き出すきっかけとしては、何が大きいと感じますか?

宇野: 働くことをワガコトとして感じられるかどうかが大きいと思います。そのためにも、「将来必要になるお金」を簡単にシミュレーションできるツールを開発しました。人が働く最大の理由は、収入を得るためです。教育費や家の購入、親の介護など、この先何があるかは分からないですし、特にまだお子様が小さいと家事や育児で忙しいので、考える余裕もないのが実情です。今回のイベントでご提供している「iction!みらい家計シミュレーション」は、収入や支出、家族の状況や先々のライフプランに合わせて、先々どれくらいお金がかかるのかを具体的に試算できるので、そこをきっかけに「いつから、月収どれぐらい働く」という働き方の具体化につながればと思います。

 

楽しくてためになる3つのブース

「女性の就業支援カウンセリング」は、3つのブースに分かれていました。それぞれの所要時間は、10?20分なので、ちょうど子どもが仕事体験をしている時間と合いますね。

性格などから自分の向いている職業が分かる適職診断

「予定していたことが急に変更になることはあまり好まない」「自分自身の行動や発言に対して、後で考えて反省してしまうことがある」、など、簡単な質問に答えることで、性格に適した仕事を診断するコーナーです。こちらはまず「“仕事をする”ということも、選択肢のひとつとして考えてもらえたら」という気軽なコーナーで、「仕事をするなんて、まだ全然考えられないけど……」という参加者も多くいらっしゃいました。筆者も体験させていただきましたが、「なるほど!」という結果に。自分では思ってもいなかった仕事が適職と言われて、驚いている方もいらっしゃいましたよ。

ライフプランや将来のこどもの教育費を見据えたiction!みらい家計シミュレーション

ライフプランや将来のこどもの教育費など、先々の家計を具体的にシミュレーションします。ライフプランに合わせて、いつからどれくらい働くとよいかを見える化できます。具体的な金額がわからなくても大丈夫。住まいは賃貸かな、子どもは何人くらいかな、車は買うかな、介護はするかな……、など「心の予定」を入力していくだけです。子どもの教育にかかる費用を公立・私立別の平均データで参照できたり、習い事にかかる費用も「あまりかけない」「人並みにかける」「とことんかける」など、イメージから平均データを導き出し、算出することができます。スタッフが優しく丁寧に質問してくれますので、話も弾みます。

シミュレーション結果として、貯蓄額の推移、年ごとの収支状況がグラフで表示されます。その年ごとに、ご自身も含めた家族の年齢が表示され、具体的なライフイベントについても確認することができます。

計算された結果は、入力値を変えることで何度も再計算することが可能です。現在働いていなくても、○年後に働き始めるとしたら……、と仮定してシミュレーションできます。数字やグラフで見せられると「こんなにお金がかかるのか」とか「この時期はお金がかかるから、その前に貯蓄を」などがわかり、人生設計の手助けになるんだなと改めて感心しました。

こちらのiction!みらい家計シミュレーションは、2016年12月7日に正式版も公開され、誰でも無料でオンラインで体験できます。

キャリアカウンセラーによる相談ブース

キャリアコンサルタントの資格を持った担当者が、今後のキャリアプランや仕事の探し方、復職に向けた様々なお悩みの相談にのってくれるコーナー。キャリアカウンセラーの中川さんにお話を伺いました。

こちらでは、主にどんなことを聞かれますか?

中川: 仕事を中断されている方から復職についてのご相談、時短などで限定的に働いている方がフルタイムに戻ることのご相談、また、仕事を中断されている方からは「そもそも仕事を中断したことが今後マイナスになるのか?」といったことを相談されることが多いです。

仕事を中断することは、実際マイナスになってしまうのでしょうか?

中川: 働いた経験があっても、子どもがいるのといないのでは働く環境が全く変わります。中断すること自体がマイナスになるとはいいませんが、以前とは環境が全く違う中で、どれだけご自身で環境を整えられるか、というチャレンジが確実にあると思っています。採用する企業側としては、あまりにもブランクが長いと「PC含め様々なスキルを身に付けられるのか」といった不安を抱えるようですが、これはお互いコミュニケーションを通じて自分が何ができるのか伝えることで、解消していけるかなとは思います。

以前と比べて、子どもがいるママも復職しやすい状況になってきているんでしょうか?

中川: 全体でどうかを語るのは難しく、職種にもよります。離職している専業主婦の方がイメージしやすい仕事として、一番は一般事務なんですけど、一般事務はもともと希望者の多い人気職種な上、派遣で働く人も多く就く仕事で、またフルタイムで働くことを求められやすい職種になります。なので「一般事務で」と固定してしまうと、なかなか厳しくなります。

逆に自分の働き方から、職業を選んでいく方がうまくいきますか

中川: そうですね。そういったやり方もありますよ、とアドバイスしています。また、適職診断を受けられてから来られる方で、「事務をやってきたのに、事務には向かないと言われた」とか「向いていると言われた領域で、具体的にやれる職種が思い浮かばない」といった方もいらっしゃいます。たくさんの職種があるので、簡単に「向かない」「やったことないからできない」と決めつけずに、柔軟に考えてもらえたらなと思います。

そもそもキャリアカウンセリングは、「あなたにはこういう仕事がいいだろうから、これに応募しなさい」などと一方的に言われる、というものではありません。いろいろお話を伺い、その中でご自身が「どうしたいのか」をはっきりさせて、じゃあ実際に「どうしたら出来るのか」一緒に考えていくものなんです。解決しなければならない課題があれば「これを調べてみましょうか」などアドバイスをします。漠然とした希望や不安を明確にして整理するものなんです。

キャリアカウンセリングってそういうものなんですね!

中川: 今までのキャリアや資格などを並べて提出して診断を待つ……みたいな、怖いものと思われがちですが、そんなことはありません。安心して、こういった機会にどんどん気軽に相談しに来ていただきたいですね。

 

仕事しようかな、と思ったら、気軽に相談してみよう

今回取材をしてみるまで、キッザニアで行われる母親向けの「就業支援」にどれだけ効果あるのか、実は疑問をもっていました。ですが、参加してみてその意味がわかりました。それは、働くことが気になりつつも具体的な行動に出るのが難しい母親たちがたくさんいること、支援企業はそのことをよく理解しているということです。だからキッザニアのような場所で気軽に考える時間を提供しているのですね。来年3月まで開催されるとのこと。対応してくれるスタッフの皆さんも感じが良くて、押し付けがましいことなど一切なく、親切に、しかし熱心にお話を聞いてくれました。復職や仕事のことで悩みがあるなら、一度足を運ぶことをお勧めします。「案ずるより産むが易し」だな、と実感されることでしょう。

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