世界12ヵ国を放浪、42歳で単身中国へ! アラフォーから始める挑戦のススメ
年齢を重ねると、どうにも新しいことを始めたり、異なる環境に飛び込んだりするのが億劫になるもの。人生の折り返し地点とも言える、40代を過ぎれば、なおさらのことです。
しかしながら、現在はHELP YOU(※)でディレクターとして活躍する藤田美枝さん(48)は、42歳の時、長く勤めた会社を思い切って退職。単身で中国に渡るという大胆な決断をしました。大学時代には世界12ヵ国をバックパック一つで訪れた経験もあるそうです。
一見するとリスクに思えるような環境に対し、持ち前の好奇心で飛び込み続けてきた藤田さん。なぜ失敗を恐れず挑戦を続けられたのか、その秘訣に迫りました。
※ HELP YOUでは、世界各国・全国各地から集まった約400人のリモートワーカーが、オンラインアウトソーシング事業を支えるメンバーとして活躍中です。
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目次
ライター
世界12ヵ国を旅して見つけた、頑張る理由
これまでのキャリアを簡単に教えてください。
大学卒業後は、茨城の中小企業に就職したのですが、数年働いた後に体調を崩し、地元の大分に帰郷しました。英語が好きだったので、次の職場に選んだのは英会話教室。主に学校運営と営業を担うマネージャーという立場でした。その会社は「3年いると魔女になれる…」と噂になるほどの激務で、出張や転勤が多く、朝起きたらどこの天井かわからない生活でしたね。
会社では人と同じことをしないので、ユニークな存在だったかもしれません。例えば、本部から宣伝広告の指示があった際、都市と同じセオリーで宣伝を行っても田舎では通用しないので、自分で内容を考えて展開することもありました。私の場合は、どこに入社しても大体半年ぐらい経つと、「あの人はもうほっておこう…」という領域に達するようで、ずいぶん奔放な働き方をしてきたと思います(笑)。
大学時代にはバックパッカーをされていたとか。自分の芯がしっかりしているのは、その時の経験から? なぜ始められたのでしょう?
勉強嫌いにもかかわらず、高校3年生の時に1年間必死に勉強して大学を受験し、合格後は糸が切れたように燃え尽きてしまったんです。どうしても大学の授業に興味が持てず、今いる環境から離れて、自分のサバイバル能力を試す気持ちで、世界各国を巡る旅を始めました。
いざ旅を始めてみると、最初は英語が喋れなくてとても苦労しましたね。単語はわかっても、それが文章として口から出てこないんです。とても悔しい思いをして、「もっとストレスなく喋れるようになりたい!」という目的ができたら、改めて英語を勉強する気になりました。誰に言われるでもなく、自分が直接英語の必要性を感じたことで、嫌いだった英語にのめり込むようになりましたね。
人間は、行動に対して意味を感じないと、苦痛に感じますよね。仕事も同じだと思います。その作業に意味や目的を感じられなかったら、続けられない。自分が行ったことに対して結果が出たら楽しいし、前向きに仕事ができる。それが私にとって仕事を続ける原動力になっています。
それとバックパッカーは、ツアーの旅行客とは異なり、身の回りのことをすべて自分で手配しないといけません。水を1本買うのに、現地の人と値段交渉でケンカすることもあり…。あえて厳しい環境に身を置いたことでパワフルさが身についた、と言えるかもしれませんね。
42歳で退職し、新天地を求め中国企業へ
40歳を過ぎてからは中国に渡り、現地企業で働き始めたとのことですが、経緯は?
英会話教室が激務で、心身共に限界を迎え退職したあとは、父がパーキンソン病を患ったこともあり、地元の大分にUターンしてIT企業に再就職したんです。父を看病する必要があったので、10年間介護と仕事を両立する日々を送りました。
そんな折に、知り合いの日本人から、中国の企業が新たに日本向けに健康食品の会社をつくるので手伝ってほしいと打診を受けたのです。父の看病もあったので、一旦は中国行きをお断りして、副業としてその事業の資金計画書を作るお手伝いをしていました。その後、父が亡くなったタイミングで、思い切って中国へ行く決断をしたわけです。
中国に渡った理由は色々とありましたが、その頃は同じ会社に長く勤める中で将来のビジョンが持てず、もっと自分に何かできるのでは?と思っていたんです。違う可能性が広がる世界に興味が湧き、2016年、42歳の時に単身中国へと渡りました。
見知らぬ環境でのお仕事は大変ではなかったですか?
最初の半年は吐くほど辛かったです…(笑)。考え方や方針の違いから一緒に働いていた日本人とそりが合わなくなり、中国語が十分に話せるわけでもないので孤立したような状況に苦しみました。でも、せっかく中国まで来たのだから、1年は続けようと目標を定め、それまでは必死で頑張りましたね。
その後、渡航からちょうど1年経ったときに、会社が健康食品事業から撤退することを決めました。結果的に一緒に働いていた日本人は帰国することを決断し、私も同じように帰るつもりでいたところ、現地の代表から「あなたには会社に残ってほしい」と言われたのです。中国の会社では戦力として認めてもらえなければ、すぐに役割から外されてしまいます。しかし、私は「ダメでもともと、チャンスがあるならやってみよう!」と思い直しました。
変化をチャンスと思うか、リスクと思うか
長く勤めた会社を辞めることも、単身中国へ渡り挑戦し続けることも、勇気のいる決断だったかと思います。なぜそのような決断ができたのでしょう?
子どもの時から、迷っているうちに事態が悪化することが結構あったので、意識的に深く考えずに決断するようにしてきました。だからこそ失敗するときは大きな地雷を踏むこともあるわけですが…(笑)。今私は48歳ですが、これまでさまざまな失敗をしてきました。でも、大抵のことは失敗しても、何とかなるんですよね。命や犯罪に関わることでなければ、一か八かでやってみよう!と心掛けています。人生は一回ですから、余力を残しておきたくないんです。
40歳を超えると、何かを始めようとしても、なかなか行動できなかったり、失敗を怖がったりする方も多いと思います。
私は、自分の力を発揮できるステージが目の前に広がっているなら、挑戦しないともったいないと考えます。意外と人生のさまざまな場面で、私たちにはチャンスが転がっているけれど、それをチャンスと思うか、リスクと思うのかという違いがあるのではないでしょうか。例えば、私は知人から中国企業への転職を打診された時にチャンスだと感じましたが、ただのリスクだと捉える人もいると思います。つまり、見方の違いがその人の生き方に大きな影響を与えるということです。
そして、一つ挑戦したら、それがまた次の挑戦を生んでくれる、とも思います。一つ山を登るから、違う景色が広がり、また新たな山(チャンス)に恵まれる。最初の一歩を踏み出す舞台は誰にでも与えられているはずなんです。それでも、ちゅうちょされている方は、責任感がとても強いのか、あるいは自分のことを過小評価しすぎているのかもしれません。でも小さくていいからまずは一歩踏み出すことで、見える景色が変わってくるはずです。
それにやってダメなら、やめれば良いじゃない、とも思いますね。もちろん、挑戦することだけが正解ではありません。自分が心地よいから挑戦するんです。心地よくないなら挑戦しなくて良い。でも一握りの期待があるなら、年齢は関係なく誰であっても一歩踏み出してみてほしい、と伝えたいですね。
一緒に働く仲間を明るく照らす存在でありたい
現在はHELP YOUでディレクターとして働いています。ジョインのキッカケは?
中国企業で唯一の日本人として、さまざまな仕事に取り組んでいたのですが、コロナ禍をきっかけに会社から一時帰国してはどうかと勧められ、私も日本で一人暮らす母のそばで過ごしたいと思うようになったのです。そこで、地元へのUターンを検討すると同時に、フルリモートでできる仕事を探し始めました。その時に、Webで検索して見つけたのがHELP YOUです。会社の概要を見て、ここなら中国の企業に籍を残しつつ、母の面倒も見ながら自由に働けそうだ!というポジティブな印象を持ちましたね。
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HELP YOUで働き始めて良かったことは?
まずは出社がないので、ミーティングがない日はノーメイクで乗り切れることですね…(笑)。あとは始業時間を自分で決められることもありがたいなぁと思っています。
ディレクターは、メンバーがクライアント様の仕事を円滑に進められるよう調整するのが役目です。メンバーが行う仕事も、基本的に納期は決まっていますし、急な依頼がない限りスケジュールにも余裕があります。1時間仕事をして、その後違うことをする、という進め方もできます。自分の生活スタイルに合わせて柔軟に働けるという意味では、40代以上の女性でプライベートも大事にしつつ、すき間時間に働きたいと思う方にも向いている、と思いますね。
最後に、メンバーを束ねるディレクターとして働くうえで、大事にしていることを教えてください。
これまでに培ったマネジメント経験を踏まえ、心掛けていることが2つあります。1つはその人が持っている力を最大限発揮してもらえるよう、安心して働ける環境をつくることです。もう1つは何か問題が発生した場合に、いち早く陣頭指揮をとって、リカバリーできるよう調整することですね。
これらは英会話教室で働いていた時代に、尊敬する上司に教わりました。やはり自分が安心して働ける環境でないと、実力を発揮できないし、仕事をしていて苦痛になってしまいますよね。だからこそメンバーが気軽に質問できるような、コミュニケーションの取りやすさを大切にしています。
また、仮に失敗したら潔く謝罪しすぐに立ち上がることで、相手が持つ印象も変わる、というのが持論です。どれだけ準備を重ねても人間ですから失敗することはあります。だから、いかに早く対策を立てて、リカバリーできるかが大事なんです。
HELP YOUで働くメンバーには真面目な方が多いです。失敗したときに「どうしてそんなことしたの?」なんて責め立てても逆効果になるだけなので、「北風と太陽」でいう、太陽のように明るく照らすのがディレクターとしての私の役割だと思っています。
まとめ
藤田さんはこうも語ります。「一人で急に崖から飛び降りる必要はない。まずは緩やかな坂を一緒に降りるところから始めてみては?」と。今、自分のキャリアに悩んでいる方や、新たな環境でもう一度働き始めてみたいと思う方は、まずは自分なりの一歩踏み出してはいかがでしょうか?
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アイキャッチデザイン/今泉香織
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