在宅フリーランス「はじめての確定申告」Q&A-何から始めればいい?これは経費?
会社員やパートから在宅フリーランスになったけれど「確定申告がよくわからない」「これは経費?」とモヤモヤしていませんか?
この記事では、在宅フリーランス1年目が知っておきたいお金の基本と、つまずきやすいポイントをQ&A形式でやさしく整理します。
※この記事は、2026年1月15日時点の情報をもとに作成しています。内容は一般的な仕組みの解説であり、特定の人の状況に対する税務判断を行うものではありません。実際の確定申告や経費の扱いについては、必ず国税庁の情報や税務署・税理士など専門家にご確認ください。
目次
ライター
現在はHELP YOUにジョインし、会計・経理の知識を活かして在宅ワークとライターをしています。→執筆記事一覧
在宅フリーランス1年目が知っておきたい「確定申告のきほん」
確定申告で必要なことは、主に次の3つです。
- 仕事で得た「収入(売上・報酬)」
- 仕事のために支払った「経費」
- 収入 − 経費で計算する「所得(=税金計算の土台)」
フリーランスは「いくら収入があったか」だけでなく「その収入を得るためにどれくらい経費がかかったか」までセットで考えるのが前提になります。
対象期間は、その年の1月1日〜12月31日の1年分で、その内容を翌年2月中旬〜3月中旬にまとめて申告します(正確な期間は毎年、国税庁の案内で確認してください)。
確定申告の全体像や流れについては、以下の記事で詳しく解説していますので、合わせて読んでみてください。
在宅フリーランスあるある「これは経費になる?」Q&A
フリーランスになって初めて確定申告をするとき、一番迷いやすいのが経費の判断基準です。
ここでは、在宅フリーランスがよくぶつかる経費まわりの疑問について、基本的な考え方をまとめていきます。
必要経費についての知識は下記の国税庁HPも参考にしてみてください。
No.2210 必要経費の知識
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2210.htm
Q. どこまでが経費として考えられるの?
「経費」は、税金の世界では「必要経費」と呼ばれます。
簡単に言うと「その収入や売上を得るために、必要だった支出かどうか」という視点で考えます。
ここで大事なのは「なんとなくみんな入れているから」ではなく、自分の仕事との結びつきを説明できるかどうかという点です。
在宅ワークで経費として検討しやすい支出例
典型的なものとしては、次のような支出が挙げられます。
- 仕事で使うパソコン・タブレット・周辺機器などの仕事用機材
- ソフトウェア・クラウドサービス・オンラインツールの利用料
- 打ち合わせや取材の交通費
- 仕事で使う本・講座・セミナー代
- コワーキングスペースの利用料
などです。
上記のものは、必ず経費にできると決まっているわけではありませんが、在宅で行う仕事との関係性を説明しやすく、経費の候補として挙げられることが多い項目です。
実際に経費として計上してよいかどうかは、個々の状況によって判断が分かれる場合があります。
在宅ワークの経費で迷いやすいもの
経費に入れていいのか迷いやすい支出として、次のようなものがよく挙げられます。
- 普段着としても、打ち合わせ用としても着る服(ビジネスカジュアル寄りの服)
- 子どもの送迎や買い物のための車移動と、仕事の打ち合わせの車移動の線引き(ガソリン代)
- 友人とお茶をするカフェ代と、取引先との打ち合わせで使うカフェ代の違い
ここでのポイントは「日常の支出」と「仕事に必要だった支出」を分けて考えるということです。
迷ったら、その支出が「仕事をしていなかったら発生していなかったか?」「仕事との関係を説明できるか?」という観点で考えてみてください。
Wi-Fi・スマホ・電気代…「家事按分(かじあんぶん)」の考え方
在宅フリーランスで必ずと言っていいほど出てくるのが「仕事とプライベートの両方で使っているもの」をどう経費として扱うか、という問題です。
代表的なものとしては、
- Wi-Fi(インターネット回線)
- スマートフォン(以下、スマホ)代
- 家賃・光熱費など
があります。
こういった支出は「家事按分(かじあんぶん)」という考え方を使い、仕事で使った分だけを切り分けて経費にしていきます。
Q. Wi-Fiやスマホ代は、どうやって経費の割合を決めればいい?
Wi-Fiやスマホは、家族全員で使っていたり、動画視聴・ゲーム・SNSなどプライベートで利用したりしていることが多く、仕事だけに使っているとは言い切れないことがほとんどです。
そのため「仕事とプライベートの両方で使っている前提」で、実際の利用状況にもとづいて「仕事で使った分」を区分していくことが大切です。
国税庁の考え方でも、以下の記載がされています。
家事関連費のうち必要経費になるのは、取引の記録などに基づいて、業務遂行上直接必要であったことが明らかに区分できる場合のその区分できる金額に限られます。
参照先:国税庁「No.2210 必要経費の知識」
国税庁「〔家事関連費(第1号関係)〕」
https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shotoku/07/01.htm
理想的なのは、仕事用のスマホや回線を分けておき、仕事用の回線分だけ費用に入れる方法です。
ですが、費用や契約の都合で回線を分けるのが難しい場合もよくあるため、
- 仕事で使う時間とプライベートで使う時間を一定期間記録してみる
- スマホの「スクリーンタイム」やデータ利用量の内訳から、仕事アプリとその他の利用の割合を確認してみる
といった形で、実際の利用実態をふり返ったうえで割合を決めるようにします。
その上で、
1日のWi-Fi・スマホ利用のうち、仕事で使っている時間が全体の約半分と判断できる場合
→ 仕事50%・プライベート50%
平日はほとんど仕事で使っていて、休日は家族の利用が中心と判断できる場合
→ 仕事70%・プライベート30%
というように、自分の利用状況を説明できる形で割合を決め、それを毎月同じ基準で計上するイメージです。
「Wi-Fiは◯%までOK」「スマホは◯%までOK」という一律の決まりがあるわけではありません。
あとから税務署などに説明を求められたときに「この期間の利用記録をもとに、仕事用◯%・プライベート◯%と判断しました」ときちんと説明できるようにしておくことが大切です。
Q. 家賃・電気代・ガス代など、自宅兼仕事場の場合の経費は?
自宅をそのまま仕事場として使っている場合、家賃や光熱費も「家事按分(かじあんぶん)」の対象になります。
ポイントは、家全体のうち「仕事で使っている部分」をどの程度と考えるかです。
- 家賃の場合
「仕事部屋の面積 ÷ 家全体の面積」で仕事用の割合を出す考え方がよく使われます。
完全に仕事専用の部屋があるなら、その部屋の分だけを経費の候補にする、というイメージです。
なお、自宅が持ち家(住宅ローンあり・なしを含む)の場合は計算方法が複雑になるため、具体的な扱いは税務署や税理士など専門家に相談することをおすすめします。 - 電気代・ガス代などの光熱費の場合
Wi-Fiやスマホ代と同様に、日中の在宅時間や、パソコン・照明・エアコンを使っている時間などを踏まえて、仕事のために使用している割合を決めていきます。
ここでも「なんとなく半分くらい…」ではなく、
- 日中は◯時間仕事でこの部屋にいる
- 家族がいる時間帯はリビング中心で、仕事部屋の利用は少ない
といった前提を自分なりの言葉で整理し「こういう理由でこの割合にした」と説明できるようにメモを残しておくことが大切です。
「収入が少ないけど、確定申告は必要?」ラインの考え方
フリーランスになってすぐは収入が少なく「この程度の金額でも確定申告しないといけないの?」と戸惑う人は少なくありません。
ここでは「いくらから必要なのか」を数字で断言するのではなく、考え方の軸を整理していきます。
Q. フリーランスは「いくら稼いだら」確定申告が必要?
よくある疑問ですが、確定申告が必要かどうかは「収入がいくらか」ではなく「所得(収入 − 経費)がどれくらいか」で判断されます。
さらに、
- 他に給与所得などがあるかどうか
- 扶養に入っているかどうか
- 各種控除の状況
といった条件によっても「確定申告の義務がある/ない」のラインは変わってきます。
そのため「この金額以上なら必ず確定申告」「この金額以下なら絶対に不要」とは一概には言えません。
確定申告が必要かどうか迷った場合は、税務署や税理士など専門家に一度相談して確認するのがおすすめです。
Q. 確定申告の義務がなくても、あえて確定申告したほうがいいのはどんなとき?
「たぶん確定申告の義務はなさそうだけど、それでもやっておいたほうがいいケース」はいくつかあります。
1. 源泉徴収されている報酬があるとき
フリーランスの報酬の中には、あらかじめ源泉所得税が天引きされて振り込まれているものがあります。
この場合、確定申告をすることで、払いすぎていた税金が一部戻ってくる(還付される)可能性があります。
ただし、所得控除の金額が少ない場合や他の収入との組み合わせ、全体の所得金額によっては「思ったほど還付金が戻らない」「むしろ追加で納税になる」というパターンもありえます。
還付額や納税額をシミュレーションしたいときは、税務署や専門家などに相談をすると安心です。
2. 将来もフリーランスを続けたい/青色申告を視野に入れているとき
今後も在宅フリーランスを続けていくつもりなら、売上や経費をまとめて毎年きちんと確定申告をしておくこと自体が、仕事の「土台」や「信用づくり」につながります。
また、将来的に青色申告を利用したい場合、
- 事前に「青色申告承認申請書」を出す必要がある
- 決められた形で帳簿をつける必要がある
などの条件も出てきます。
いきなり完璧を目指さなくても、早めに「確定申告に慣れておく」ことで、あとから青色申告に切り替えるときもスムーズになります。
3. 収入証明が必要になりそうなとき(保育園・住宅ローン・賃貸など)
在宅フリーランスにとって、確定申告書は「収入証明」としても重要な役割を持ちます。
- 保育園・幼稚園の利用申請
- 住宅ローンやカードローンの審査
- 賃貸物件の契約
など「収入を証明できる書類を提出してください」と言われる場面で、確定申告書の控えが必要になることがよくあります。
フリーランスとしての信用を積み上げる意味でも「義務かどうかギリギリ……」という年でも、あえて確定申告をしておくという選択肢は十分あります。
その他よくある質問
今まで解説した内容以外にも、初めての確定申告では細かいところでいろいろと疑問が出てきます。
ここでは、在宅フリーランスがよく気にしがちなポイントをいくつかまとめます。
Q. レシートや請求書ってどれくらいの期間残しておけばいい?
税金の世界では、帳簿や領収書などを一定期間保存しておく義務があります。
細かい年数は申告の種類や書類によって異なりますが、目安としては「7年間は捨てずに、年ごとにひとまとめにして保管しておく」と考えておくと安心です。
少なくとも「今年分の確定申告が終わったから全部捨てる」というのは避けましょう。
Q. 帳簿って、難しいソフトがないとつけられない?
いいえ、必ずしも会計ソフトを使用しなくても構いません。
大切なことは、最終的に正しく帳簿を作り、正確な申告につなげることです。
特に、在宅フリーランス1年目や白色申告では、
- エクセル
- Googleスプレッドシート
などのツールで記録、集計を行い、様子を見ることも選択肢の一つです。
最近の会計ソフト・アプリでは、扱いやすいものも増えてきたので、確定申告の進め方が分かってきてから、自分に合った会計ソフトを探すという方法もあります。
帳簿の第一歩として、日頃から「いつ」「いくら」「何のために」「お金が入った/出た」がわかるように、お金の出入りを記録しておくことがスタートになります。
ここから、確定申告の前までに帳簿として必要な形に整えていくイメージです。
そのうえで、次のようなステップでレベルアップしていくと安心です。
- 売上と経費を分けて集計してみる
- 「通信費」「旅費交通費」「広告宣伝費」など、よく使いそうな科目に分けてみる
- わからない科目は、国税庁サイトや「収支内訳書」の科目名を参考にして調べてみる
- 会計ソフトを使う場合は、ソフトが提案してくれる科目も参考にしつつ入力する
■白色申告用 収支内訳書PDF
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/yoshiki/01/shinkokusho/pdf/r03/07.pdf
科目について「これで合っているか不安」「どう振り分ければいいかわからない」と感じたときは、そのまま自己判断で済ませず、税務署の相談窓口や税理士など専門家に確認するのがおすすめです。
最初から完璧を目指す必要はありませんが「なんとなくでつけておしまい」ではなく
「自分で調べる」「ツールを活用する」「わからないところは専門家に聞く」という姿勢で、正しい帳簿・正しい申告に近づけていくことが大切です。
Q. 税金はどうやって納めるの?
確定申告をして所得税などが発生した場合、税金の納め方にはいくつか方法があります。
代表的なものは次の通りです。
- 金融機関や税務署の窓口で納付書を使って払う方法
- インターネットバンキングなどを使った振込・ダイレクト納付(e-Taxで開始手続きが必要)
- 口座からの振替納税(事前に届出書の提出が必要)
- クレジットカード納付(国税庁のサイトで手続きが必要)
- コンビニ納付(国税庁のサイトで手続きが必要)
- スマホアプリ納付(納付金額に上限あり。手続きが必要)
その年の制度、自分が利用している銀行やサービスによって変わることがあるので、国税庁サイトや「確定申告書等作成コーナー」の案内に従って確認しておきましょう。
参考:国税庁HP 税金の納付
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/qa/10.htm
困った・迷ったときの相談先と、情報との付き合い方
確定申告の情報はブログやSNSにも多いですが、古い制度のままのものや、特定のケースだけに当てはまる話も混ざっています。
基本は国税庁サイトなど公的な情報を軸にし、個人の発信は「こういう例もある」という体験談として読むくらいの距離感がおすすめです。
Q. 無料で相談できるところってある?
「自分の場合はどうなるの?」と不安になったら、まず税務署の相談窓口や、自治体・商工会などの無料相談会を利用する方法があります。
年末から年明けにかけて、確定申告に関する一斉説明会が実施されていますので、ぜひ参加してみてください。
窓口相談の場合は事前予約制のことが多いので、予約方法と相談可能な内容を確認し、聞きたいことをメモにしてから出かけるとスムーズです。
WEB情報を読むときに気を付けたいポイント
WEB記事やSNSは「いつ時点の情報か」「出典が示されているか」をまずチェックしましょう。
「あなたの場合はこうです」と断定している内容は、前提条件が自分と違う可能性もあるので要注意です。
制度改正の多い分野だからこそ「最新の公式情報で最終チェックする」という一手間を忘れないようにしておきたいところです。
最後に、この記事は在宅フリーランス1年目の人が全体像をつかむためのガイドです。
ここで得たイメージをもとに、自分の数字を当てはめてみたり、専門家に相談したりしながら、少しずつ「わからない」を減らしていきましょう。
まとめ
収入が少ないときの申告の考え方、どこまでを経費の候補にできるか、Wi-Fiや家賃など家事按分の基本、レシート保存や納付方法、相談先までひと通り触れています。
細かい数字や最終判断は人それぞれ異なるため、この記事で全体像をつかんだうえで、必ず国税庁などの公式情報や税務署・税理士に確認しながら進めていきましょう。
Link