「逆算思考」と「積み上げ思考」の組み合わせでスケジュール管理スキルを上げよう
理想の働き方に近づくためのスケジュール管理のコツについて、会社員兼ブロガーのはせおやさいさんのアドバイスです。
会社の制度が整ったり、周囲の理解が高まるのを待つのではなく、自分から働きやすい環境を作っていくためのヒントをお届けする「私ができる働き方改革」シリーズ。今回は、会社員兼ブロガーとしてより良いワークとライフのあり方やそのコツについて発信されている、はせおやさいさんに寄稿いただきました。
目次
自分の働き方の理想とそのための時間のコントロールの仕方をイメージする
こんにちは、はせおやさいです。普段はサイボウズ式ブロガーズ・コラムや自分のブログで意見を発信していますが、今回は「私から始める働き方改革」というテーマで書かせていただきます。
さて、第3次安倍内閣が打ち出した『働き方改革』。長時間労働の是正や、多様な働き方を実現させようという動きが活発な昨今、残業禁止やワーク・ライフ・バランス、リモートワークなど様々な働き方が話題ではありますが、自分の働く環境で実感するには、まだもう少し時間がかかりそう、という印象ではないでしょうか。
個人的な経験として、従業員5人以下の零細企業から2,000人を越す上場企業の正社員、フリーランス、リモートワークと、いろいろな働き方を実践してきましたが、大切なのは、「自分がどう働きたいか」「それに向けて時間をどうコントロールするか」をイメージすることではないかと思います。
長時間労働をいとわないのであればそれでも構いませんし、定時でキチッと帰り私生活を充実させるのもまたよし。いずれの場合も、「自分がどう働きたいか」をイメージして、その理想を実現させつつ、きちんと会社にも利益を返すこと。
そのためにはひとりひとりの生産性を上げていくことが、もっとも着手しやすく、実現しやすいことではないだろうか、ということで、今回は『自分ひとりから始められる生産性向上』について書いてみようと思います。
すべては『逆算思考』から始まる
『生産性向上』と一口に言うものの様々な方法がありますよね。今回は、生産性向上のひとつである「スケジュールを遅滞させず進行する」能力について。そして、ここで取り上げたいのは、仕事を進める際の考え方として、『積み上げ思考』と『逆算思考』というものがあることです。
『積み上げ思考』とはその言葉の通り、今あるタスクやTODOにかかる時間見込みを元に作業時間を積み上げて、スケジュールを組んでいくもの。『逆算思考』とは、予めゴールを設定し、与えられた時間の中でどう想定されうるタスクを潰していくか、を考える方法で、1つ1つのタスクの「使える時間」の見通しを立て、それを実現させるにはどうするかを考える手法です。
この『逆算思考』では「与えられた時間をやりくりする」というスキルが磨かれ、「与えられたスケジュールでは間に合わない」という問題も、早めに発見しやすくなるメリットがあります。
『柔軟な積み上げ思考』はハプニングに強い
一方で、『積み上げ思考』の良さは「現状のまま進んだ未来を計算しやすい」という点があります。以前、わたしは『逆算思考』のみを使い、与えられたタスクを遂行していく方法をとっていましたが、これだけだと突発的な仕事(トラブルや上司からの差し込み仕事など)に振り回されやすい。なので、おすすめは、この2つの思考方法を組み合わせること。
たとえば、ある仕事の締め切りが2週間後だったとして、逆算思考で各タスクの作業時間を割り振り、いざスタートしてみると、どうも時間が足りない。思わぬメールに30分も取られたり、チームメンバーが倒れてしまったり、どうしても理想のスケジュールからずれてしまう場合があります。そうなったらすぐに『積み上げ思考』で「かかりそうな作業時間」を再度洗い出し、逆算思考で立てた「理想のスケジュール」とのギャップを明らかにしていきます。
そのギャップをどうやって埋めるかは、残された時間の中でもう一度やりくりしてもよいですし、堅実にスケジュールの延長を提案してもいいでしょう。もちろんスケジュールの延長が難しい場合も多々あるとは思います。ただ、提案するための証左として、明文化された「現状かかりそうな時間の見積もり」があれば、延長の提案も通りやすくなるのではないでしょうか。
逆算思考で組んだスケジュールは一見、理想的なものに見えますが、突発的なトラブルやハプニングに弱い、という弱点があります。逆算思考のスケジュールはあくまで「マイルストーン(中間目標点)」を作るためのものと考え、進行しながら常に積み上げ思考でスケジュールを微調整していく。ゴールから組み立てる逆算思考と、現状から見込みを立てる積み上げ思考の併用で、今まで「なんとなく」進めていた業務の内訳がクリアになるかもしれません。
様々な方法を試してみよう
今回はゴールを達成するスケジュール管理について書きました。このような「 締切に向かって自分の持ち時間をどうやりくりするか」という考え方は、明日からでも、自分ひとりでもすぐ始められるもののひとつではないでしょうか。
逆算思考で理想のスケジュールを立てたあと「実はもっと時間がかかるタスクだった」と仕事の実際とのギャップを埋めることで「自分の業務遂行能力のスピード」が明確になり、その次のスケジュールがより精度の高いものになる。この能力を磨くことで「タスクに必要な時間見込みを立てる」精度が高くなり、より大きなプロジェクトやチームをマネジメントするスキルの土台が身につくのではと思います。
まずは自分の「働きたい姿」を想像し、生産能力を上げていくことで会社に利益を返し、必要な人材になる。今回のように「スケジュールを精緻に組む」という能力は「自分の時間をコントロールし、自分のやりたいように働く」ために有効なスキルだと思います。
わたし個人としては、日中の業務時間内で仕事の濃度を上げ、定時でキチッと帰るスタイルを目指していますが、スケジュール管理のテクニックについては、様々なスタイルの人に必ず役に立つ方法ではないかと思います。ぜひ、意識してみてください。
今日はそんな感じです。
チャオ!
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