2016年10月9日 更新

働き続けるためには「くらし」を切り離して考えることはできない〜iction! FORUM 2016 基調講演より〜

女性が子育てもしながら働き続けていくためには、職場環境や仕事の内容だけでなく、プライベートな「くらし」の中でのストレスケアも重要になってくるようです。

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iction  FORUM 2016

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3月26日、「子育てしながら働きやすい世の中を、共に創る。」をテーマとした「iction! FORUM 2016」が開催されました。基調講演をされたリクルートワークス研究所所長の大久保幸夫さんのお話を紹介します。

『はたらく育児』3つの課題

「iction!」はリクルートグループの人材サービスに関わる5社とリクルートホールディングス、リクルートワークス研究所が共同で立ち上げたプロジェクトで、以下の3つの課題の解決に向けた取り組みを推進しています。

1.出産後、仕事を続けられない

 (1753)

2010年の内閣府の調査では、62%が妊娠・出産のタイミングで仕事を辞めています。そのことに納得しているのであればまだ良いのですが、41%の人は辞めたことを後悔しているそう(2014年リクルートワークス研究所調べ)。

では、なぜ辞めてしまったのか? 「働ける環境ではない」(41%)という職場の問題のほか、「産休、育休取得条件を満たしていなかった」(34%)という雇用形態の問題が見られます。妊娠時に正社員だった場合は52%が仕事を続けているのに対し、パートタイマーは18%しか続けていなかったのです。大久保さんによれば、パートタイマーの場合、「妊娠出産」が明示的な理由となって辞めるのではなく、そのタイミングで「契約満了」となって辞めているケースが多いのだそうです。

育児と仕事の両立によるストレスがのしかかる

リクルートワークス研究所が2015年に行った「働くマザーのストレス調査」によると、日常的なストレスについて、働く父親が感じているのはほとんどが仕事に関するものであるのに対し、働く母親はプライベートに関するものと仕事に関するもの、両方が入り混じっています。

デイリーハッスル(日常の苛立ち事)のストレス値 TOP15

デイリーハッスル(日常の苛立ち事)のストレス値 TOP15

リクルートワークス研究所「働くマザーのストレス調査」より

「子育てしながら働く」という条件は夫婦同じであるけれど、母親の方が家事や育児にまつわる様々なストレスを感じながら仕事もがんばる、という状況になりがちなのです。それゆえ、なんとか頑張ってきた人も2人目の出産の時に「もうこれ以上は無理」と辞めてしまう人が結構いるのだそうです。

再就職したいのにできない

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働いていない母親のうち、6割は仕事をしたいと考えているという調査結果があります(総務省「就業構造基本調査」2012年)。

でも、そのうち実際に仕事を探したのは15%のみ。「子どもの保育の手立てがない」「家事や育児が多忙で時間が作れない」といった理由から求職活動に踏み出せないでいるのです。また、仕事を探す行動に出たとしても、うまく就職できる人はごく一部です。

 

子育てしながら仕事を続けていくには、プライベートのストレスケアが重要

上で紹介した「日々のストレス」のランキングは、ストレスの大きさに注目したランキングですが、同じ「働くマザーのストレス調査」では、ストレスの経験割合のランキングも出しています。
デイリーハッスル(日常の苛立ち事)の日頃の経験割合 T...

デイリーハッスル(日常の苛立ち事)の日頃の経験割合 TOP15

リクルートワークス研究所「働くマザーのストレス調査」より

これを見ると、働く父親が日頃ストレスに感じているのはほとんど自分自身のことか仕事のことであるのに対し、働く母親は家事・育児、プライベートでの人付き合いに関することがほとんど。ひとつひとつのストレスは小さいものでも、多種多様に降り掛かってくる仕事以外のことを日々気にしながら仕事もがんばっているのがワーキングマザーの現状なのですね。

このような状況で母親が仕事を続けていくには、仕事の内容や職場環境が良くなるだけでは不十分で、プライベートな「くらし」をいかに快適にしていくか、工夫をしていく必要があることが分かります。

大久保さんによると、「働くマザーのストレス調査」の結果を発表したときに特に反響が大きかったのが、働く母親が「配偶者の性格や態度」に対するストレスを感じている割合が高いということでした。裏返してみれば、妻ががんばれるかどうかは夫との関係が大きなカギを握っているということです。

難しいのは、夫が妻を支えようという気持を十分に持っていたとしても、長時間労働が当たり前の職場ではなかなかそれを行動に移せないという点です。女性が働き続けていくためには、男性も含めて働き方を変える必要があり、そのためには国や企業がその方向に動いていかなければなりません。

大久保さんは、30年前に男女雇用機会均等法が施行される少し前に就職した世代です。その当時と比べれば、子育てをしながら働く環境は随分よくなったけれど、「もう一歩何とかすることが我々世代の責任。若い世代への最高のプレゼントになると思っている」と語り、講演を締めくくりました。その後に続いたパネルディスカッションでは、行政や企業の立場からも様々な取り組みや展望が語られ、社会が変わっていく兆しも感じられたイベントでした。

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