働き方改革が本格的に進んでいく2017年、ワーキングマザーを取り巻く環境はどう変わる?
「自分の人生を自分で選ぶ。人生をゆたかにする。」という理念のもと、女性活躍推進のコンサルティングを行う株式会社bouquet 取締役の髙橋玲衣です。新年を迎えるにあたり、「同一労働同一賃金」と「残業削減」の動きがワーキングマザーに与える影響について考えてみます。
みなさん、新年明けましておめでとうございます。年末年始はどの様に過ごされましたか? 働くお母さんは、仕事が休みだとしても、ゆっくり静かに休んだり自分自身と向き合う時間などなかなか取れないものですが、大切な節目には、少し先の未来のことなども考える時間を持ちたいものです。そのきっかけになれたら良いな、という想いとともに、2017年、子育てしながら働く女性たちを取り巻く環境にどのような変化が起こり得るのか? 未来予想をご提供したいと思います。
目次
ライター
変化を呼ぶ「働き方改革」。ポイントは「同一労働同一賃金」と「ワークライフバランス改善」
2017年、「働き方改革」で新たな変化が生まれる一年になるでしょう。この「働き方改革」という言葉、昨年の後半くらいから耳にする頻度は高まっている印象ですが、その具体的な中身はどのように理解していますか?まずは「働き方改革」を簡単に整理してみたいと思います。「働き方改革」の目的は「働く人がより良い将来の展望を持てるようになること」です。ポイントは以下の2つ。
1.同一労働同一賃金を実現し、正規と非正規の労働者の格差を埋めることで中間層の厚みを増す
2.ワークライフバランスの改善で女性・高齢者が仕事に付きやすくする
上記の実現に向けて、働き方改革実現会議(首相主導の会議体、民間からも有識者が参加)で具体的な実行計画がまとめられ、今年早々のタイミングから国会に関連法案が提出されていく予定です。そう、法の「圧」がじわじわと企業に……、です(これは「女性活躍推進法」と同じ流れ。詳しくは前回のコラムをご覧ください)。
では、この「働き方改革」がワーキングマザーにどのような影響をもたらすのか?上記2つのポイントを軸に考えてみます。
「同一労働同一賃金」はあなたの働き方の選択肢を増やす
1つ目のポイント「同一労働同一賃金の実現」で起きることは、期待を込めて思い切って言ってしまうと、働き方の自由度のひろがりです。
“非正規雇用の賃金アップ”の文脈で語られている言葉なので、「働き方の自由」からはちょっと遠い印象かもしれませんが。でも「同一労働同一賃金」の意味するところは「属性や契約形態に関わらず、同じ仕事に対しては同じ対価を支払おう」です。裏を返せば、“私にできる仕事”が明確になっていれば、契約形態や働き方をフラットに前向きに選び取っていけるようになる、実はそんな未来に繋がる動きなのです。
働き方の選択肢は正社員か非正規社員かだけでなく、フリーランスという働き方を選択する人も年々増えています。女性で起業する方の人数がここ数年どんどん増加しているというデータもあります。そんな中、国としても、働き方に中立な社会保障制度や税制を、働き方改革のテーマのひとつとして扱っています。
この流れを踏まえ、ワーキングマザーの皆さんに是非向き合って欲しいのは、「自分にできる仕事とは何か?」です。子育てしながら働く中で、しばらくはこのままでいいかな、子育て中心でゆっくりと……というペースチェンジは「全然あり!」です。でも仕事を続けているのであれば、ただ漠然と仕事をするよりは「私には○○ができます」を、少しずつでも増やしていけたら良いと思いませんか? 急にできることは増えませんから、それこそ、意識して過ごす日々の中で自身の中に経験と学びをしっかり積み上げていくことができたらいいですよね。
いつの日か仕事ギアを再度入れようと思ったタイミングで、ひろがる選択肢を前に、自信を持って前向きに選び取れる自分であるために……。
残業時間削減は、ワーキングマザーにとって追い風に!
2つ目のポイント「ワークライフバランスの改善」は、ワーキングマザー活躍推進の取り組みです! 皆さんのテーマなのです!(←声高)残業できないから手にできなかったチャンス、諦めざるをえなかったことはありませんか?実は、定時に帰れるならフルタイム勤務に復帰してもう少し頑張りたい、お給料もアップさせたい。でも、フルタイム復帰と残業はセットだから……と、残業回避の保険として時短勤務を選択していたりしませんか?
長時間労働が是正されれば、「残業できる人」と「残業できない人」の間の壁がなくなります。
さらに、この動きは女性だけでなく男性の長時間労働も是正するわけですから、男性も育児&家事参加しやすくなる訳で(育児家事参加の動機づけは、皆さんが頑張る前提ですが、、、)、ワーキングマザーには良いことづくしです。残業時間削減については、強まる国の動きを受け、まずは1st stepとしてルールや仕組み面のアプローチからスタートしている企業が多い印象です。例えば皆さんの職場で、残業時間が厳格に制限、管理されるようになっていませんか? 労働時間削減を目的とした仕組みが導入されていませんか?
2nd stepに進んでいる企業は、「風土」や「コミュニケーション」の変革にも着手しています。
あたりまえの話です。長時間労働はルールの話ではなく、組織文化や風土の話であり、ビジネススタイルの話です。「はい、残業辞めましょう! ルール変えます!」で、ガラッと変えられるものではありません。
「家に持ち帰るだけだからかえって迷惑」「見せかけだけの残業削減で現場にしわ寄せが」という悲鳴が上がって課題が浮き彫りになり、単なるルール変更から本質的なアプローチへと近づいていくという流れです。それは例えば、マネジメントのあり方、仕事の分け方与え方、業務プロセスの組み立て方、仕事の成果の測り方の話かもしれません。
「1stと2ndのstepの順番が違う?」と感じるとしたら、全くその通りです。でも、現実はそうなっていないケースが多いということなので、「本質とちょっと違う」「それでは解決しない」と感じるルールや仕組みであっても、一旦向き合うことも大事だと考えます。その結果見えたことを会社にフィードバックしていくことによって、次の段階に進めるからです。
なので、そこは当事者として是非向き合ってみませんか?というのが、皆さんへのアドバイスであり、お願いです。
働きやすく成果を出しやすい環境とは? あなた自身が考えてみましょう
働き方改革の動きは、突き詰めていくとワーキングマザーの戦力化という壁をどう乗り越えていくか?に行き着くと思っています。「ワーキングマザーにとって働きやすく、成果を出しやすい会社は、誰にとっても働きやすく成果を出しやすい会社」です。働き方改革を追い風に、会社に、職場に、上司に、意思を持って前向きに向き合ってみてはどうでしょう?
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