2017年4月18日 更新

女性のモチベーションの源、チャンスを切り開く条件とは?

『LEAN IN TOKYO 2017 スペシャルイベント』で見えてきた女性活躍の条件

643 view

国も企業も「女性活躍」を進めようと躍起になる一方、当の女性達からは「そこまで頑張りたくない」、「“仕事も家庭も”という価値観を押し付けないで」といった声が聞こえてきます。活躍したくないわけではないのです。持てる力を発揮して認められたい、職場の人やお客様に喜んでもらいたい――、働くことを選んだなら、誰にもそういう気持ちはあるはずです。それでも「女性活躍」に反発がある背景には、「これだけやっているのに、もっと活躍しろというのか」という満たされない気持ちや、「家事や育児をしながら仕事も男性並みになんて、無理」、「安定した仕事に就けない状態で、活躍の土俵に立てない」といったあきらめの気持ちが見えます。

そんな風にモヤモヤしている女性たち、彼女らをどう扱っていいか分からない男性たちにとって、たくさんのヒントが提供される場がありました。今年3月に開催された『LEAN IN TOKYO 2017 スペシャルイベント』です。多数のスピーカーのお話の中から、「女性のモチベーションの源」、「チャンスを切り開くために必要なこと」を教えてくれる言葉をご紹介します。

 

Facebook COOシェリル・サンドバーグさんの呼びかけで世界中に広がるコミュニティ

「Lean In Tokyo」共同設立者の鈴木伶奈さん...

「Lean In Tokyo」共同設立者の鈴木伶奈さん、中野聡子さん、高尾美江さん

「Lean In Tokyo」は、FacebookのCOO シェリル・サンドバーグさんが、著書『LEAN IN』の最後に書いた「『リーン・イン・コミュニティ』に参加し、対話を続け、助け合おう」というメッセージに呼応して結成された、東京で活動する団体です。(書籍『LEAN IN』に関しては、こちらでご紹介しています。年末年始に読みたい「自分を変える」本10選

「リーン・イン・コミュニティ」には、現時点で世界154カ国に3万もの小さな活動グループ(サークル)が属しているそうです。日本に限らず世界中に、LEAN INに共感する人々がいることがわかります。

Lean in Tokyoが開いた今回のイベントでは、各界で活躍する女性たちの講演の他、会場の参加者同士での対話の時間も取られ、仲間づくりや一歩踏み出すきっかけを掴む場が提供されました。

『LEAN IN TOKYO 2017 スペシャルイベント』ゲストスピーカー(プログラム順)

・スペシャルスピーチ

 ボッシュ株式会社 取締役副社長 森川典子氏

・ビデオメッセージ

 インターナショナルスクール・オブ・アジア軽井沢 代表理事小林りん氏

・パネルディスカッション

 リクルートホールディングス ソーシャルエンタープライズ室室長 伊藤綾氏

 日本たばこ産業株式会社 多様化推進室室長 金山和香氏

 株式会社チェンジウェーブ代表取締役 佐々木裕子氏

 アクセンチュア株式会社マネジングディレクター 秦純子氏

 ジャーナリスト 治部れんげ氏(ファシリテーター)

・スペシャルスピーチ

 株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役 小室淑恵氏

 

男性とは違う、女性のモチベーションの源とは?

「女性リーダーや役員を増やそうとしても、昇進したがらない女性が多くて困る」という話をよく聞きます。それは、女性のモチベーションが何によって上がるのかが分かっていないために起きているすれ違いかもしれません。

 

自分の可能性を信じられること

男性にも言えることですが、人は「できそうに思えないこと」に対しては、ヤル気が出ません。逆に、「ちょっと大変かもしれないけれど、頑張ればできるかもしれない。できたら面白そう!」と思えることには、ヤル気がわきます。そのことがよく分かるのが、株式会社ワーク・ライフバランスの小室淑恵さんのエピソードです。

株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役 小室淑恵さん

株式会社ワーク・ライフバランス 代表取締役 小室淑恵さん

31歳で起業し、国会に呼ばれてプレゼンをされたり、ニュース番組に出演されたりと、ビジネスウーマンとして大活躍の小室さんですが、意外にも学生時代は専業主婦志望だったそうです。その理由は、当時「育児休業を取るような女性を、企業は迷惑だと思っている。企業は雇用機会均等法があるから仕方なく女性を雇用するのであって、本気で女性を求めているのではない」と考えていたから。

「男子はいいなと。頑張ればその先には企業が両手を広げて待っていてくれる。でも、どんなに頑張っても女子は将来のトンネルが閉じている。じゃあ、なんで頑張るのか、とすごく虚しくなったんです。職業に就けなくて負けるのは嫌だから、だったら最初から仕事をしなければいいんだと考え、私は高校生くらいから『専業主婦になりたい』と周囲に言うようになりました」(小室さん)

そんな小室さんを変えたのは、大学に講演に来た猪口邦子さん(当時 上智大学法学部教授。現 参議院議員)のお話だったといいます。猪口さんは質問者から「二人の子どもを育てながらキャリアを築く大変さ」を問われ、「確かに大変だった」と認めた上で、「でも、あなたたちの世代は状況が大きく変わる」と語りかけたそうです。

「猪口さんは、次のようにおっしゃったんです。『あなたたちが社会に出る頃は、共働き家庭と片働き家庭の割合がほぼ逆転しています。そうなると、働いて子育てする家庭向けの商品やサービスがより売れるようになる。でも、企業で意思決定をしている管理職はどういう人かというと、アメリカは5割が女性だけれども日本は1割に満たない。このままでは日本は、5倍以上のアイデアの差をつけられて負けるよね』と。『だから、ぜひあなたたちは……』と続いたので、私は『外資系に入れ』って言われるのかと思ったんです。でも猪口さんは、『ぜひ日本の企業に入ってあげてください。働いて子育てする自分がどんな商品やサービスが欲しいか、アイデア満載で入社して、このままでは負けてしまうと困っているであろう企業で活躍してあげて』って言われたんですね。

私はそのとき、全身に鳥肌が立ちました。今まで、女子は企業のご迷惑だと思っていたから拗ねていたのに、 企業が本気で、同情や義理じゃなくて、本当に女性を活躍させたいと思うんだったら、私だって仕事したかったのに! と思って。まだ自分の中にそういう気持ちがあることにすらびっくりしたんですけれども、それまでは社会に出るつもりがなかったので何も準備していない、このままじゃまずいとハッとして、人生変えようと決心したんです」(小室さん)

人生を変えるため、休学してアメリカを放浪した小室さんは、現地であるシングルマザーに出会いました。それがその後就職した資生堂での新規事業提案のアイデアのきっかけになり、ワーク・ライフバランス社の起業へとつながったのです。

アクセンチュア株式会社マネジングディレクター 秦純子さん

アクセンチュア株式会社マネジングディレクター 秦純子さん

アクセンチュアの秦さんは、昇進への意欲を見せない女性を部下に持つ人へのアドバイスとして、次のように語りました。

「自信がないと言っても、よく聞いてみると、みんな昇進意欲や成長意欲はあったりするんですよね。思うに、やっぱり女性はマイノリティなんです。働いている女性の比率が世界で80位とか、管理職比率は百十何位という国で昇進しようというのは、やっぱり勇気がいると思うんです。だから、『女性は昇進意欲がない』と捉えるのではなく、『何が不安なのか』を話せるようにしてあげてもらえるといいのかなと。なかなか難しいことだとは思いますが、そういうところまで話せると、いいメンターになれるのではないでしょうか」(秦さん)

これらのお話からは、まだまだ女性がマイノリティであるという環境が女性の不安の背景にあり、そのためにモチベーションが低いと見られてしまいがちであること、自信を引き出すには、女性に対して「きっとできるよ、期待してるよ!」と表明することや、女性の置かれた状況を理解して丁寧にコミュニケーションすることがカギになることが分かります。

29 件

この記事を読んだ人におすすめ

育休復帰ママに贈る、モヤモヤを解消する両立のヒント(イベントレポート)

育休復帰ママに贈る、モヤモヤを解消する両立のヒント(イベントレポート)

育休後の職場復帰を控えているママたちのモヤモヤとは
LAXIC | 232 view
完璧なロールモデルはいない。関わる人達から素敵なカケラを集めよう〜販売女子の未来の見つけ方〜

完璧なロールモデルはいない。関わる人達から素敵なカケラを集めよう〜販売女子の未来の見つけ方〜

仕事は楽しいけれど、将来に不安を抱える「販売女子」たちが集まりました
宮本さおり | 214 view
転勤族の妻にオススメ。資格不要でどこに行っても続けられる仕事とは?

転勤族の妻にオススメ。資格不要でどこに行っても続けられる仕事とは?

夫の転勤があっても働く方法、それぞれのメリット・デメリットを紹介します
Click&Clack | 147 view

この記事のキーワード

この記事のライター

やつづか えり やつづか えり