作文って楽しいかも!1時間で小6の心が動いた「子どもライター講座」徹底レポート
作文は嫌いではないが、得意でもない…筆者の小6娘が、株式会社ニットの開催した「子どもライター講座」に参加したところ、作文や働くことへのイメージがポジティブになりました。この講座は、ニットが夏休みイベントとして「働く」をテーマに作品募集をしている「子どもライターコンテスト」(8月27日まで作品募集中)に合わせて開催されたもの。フリーライター兼新聞記者として活動するメンバーが講師となり、作文のワンポイントテクニックや「書く仕事」について解説しました。コンテストへの応募を検討している人だけでなく、作文に自信のない人、子どもへの作文のアドバイスに迷っている方にもおすすめできる講座の内容をご紹介します。
目次
ライター
「先生たち、南国にいるみたいでいいね!」楽しい雰囲気でツカミはOK
画面に登場した講師と司会のバーチャル背景は、夏らしい「海」。これを見た娘は、「先生たち、南国にいるみたいでいいね!」と、「楽しそう」な雰囲気を画面越しに感じ、期待が膨らんだようです。娘にとって初めてのオンラインライブ講座だったため、親としては最後まで楽しく受講できるか心配でしたが。問題なさそう…?
まずは「皆さん夏休みを楽しんでいますか?」広報を担当する小澤の明るい呼びかけからスタート。
今回の講座は、東京、北海道、カナダなど、たくさんの場所にいる人がスタッフとして参加していること、会社以外の場所でも働くことができる「リモートワーク」について説明。また、ニットでは全員がリモートワークで働いていること、「働くことを通してみんなが幸せになったらいいな」という思いで会社を運営していることを伝えました。
「一人ひとつ以上質問を考えておいてください。」
娘は、「ええー大丈夫かな?!」とやや不安を感じたものの、この「約束」のおかげで、集中して話を聞き、自分のわからないことを見つけなくては!という気持ちが強くなったようです。
▶「子どもライター講座」を視聴する。書く前に考えよう!楽しく作文を書くためのポイント
講座は、文章の作り方の基本からスタート。作文を書くうえで気をつけたいことやポイントについても、親しみやすい例文を使用して進みました。娘もうなずきながらノートをとり、講師のわかりやすい説明に娘の顔は一気に真剣に。
誰にどんなことを伝えたい?どうして書くの?を考えよう
まずは文章を書くときに考えておきたいことについての解説です。
子どもが作文を書く理由は、たいていが宿題だから。やりたくないと思いながら書いていると、作文を書く理由や目的がわからないので、楽しくないはず。楽しく取り組むためには、「目標を決めて、その目標を達成するぞ」というやる気をつくりだすことが大切だよ、と説きました。
書く前の準備は、「届ける相手(誰に)」「伝えたい内容(何をどう思って欲しい)」という2点を決めたうえで、それにそったあらすじ(内容の順序)を決めること。
文章を書く目的がはっきりすることで、何を書けば良いか迷うことは少なくなりますね。
もちろん、自分にしかない体験=自分にしか書けないオンリーワンなことがあると、より相手に伝わりやすい文章になります。しかし、特別なことがなくても、自分ならではの考え方や見方をみつけることで、思いを確実に伝えることは可能です。日ごろからいろいろな視点や興味のアンテナを意識しておくと良いかもしれません。
目標や目的をはっきりさせることで、想いが伝わる文章になりそうですね。
あらすじを考えよう!
続いては、文章の構成のしかた=あらすじについての説明です。目的→あらすじの順で決めることをすすめるのは、目的を相手に一番伝えやすい順番を考えられるためです。
文章構成の典型パターン2つを紹介します。
●起承転結型(結論を最後に伝える4コマ漫画のパターン)
- 私は、すごく泳ぐのが苦手だ。プールの授業の日はゆううつになる。(起)
- 泳げるようになったら、きっともっと夏が楽しくなる。(承)
お母さんに相談してプール教室に通うことにした。 - プール教室の先生は、元世界大会3位の山田先生だった。(話が展開=転)
教え方がおもしろくてプールが大好きになった。 - 楽しく通っているうちに50m泳げるようになったので、次のプール授業が楽しみだ。(結)
●頭括構成型(結論を先に伝える)
- この夏、50m泳げるようになった。なぜかというと、プール教室に通ったからだ。(結論)
- 私はずっと前から、プールの授業が苦手だった。
この夏こそ何とかしたいと思って、プール教室に通うことに決めた。
元世界大会3位の山田先生の教え方はとてもおもしろかった。 - 50m泳げるようになったいま、次のプール授業が楽しみだ。
プールが苦手な人は教室に通ってみてはいかがだろうか。
このほか、web記事(インターネット上の記事)で、よく使われる、最初と最後に結論を持ってくる方法もあります。(頭括構成型として出している例も、実は最後にも結論が入っています。)
Webにはたくさんの情報があり、最後まで読んでもらえる記事は、全体の約10%。そのため、頭括型で言いたいことをまず伝え、目次・タイトルなどに、最後まで読みたい!と思ってもらえるような工夫をしています。文字だけでは読む側が疲れてしまうので、写真やイラスト、グラフなどを入れるのも工夫のひとつ。壁新聞のように、紙で作品を作る場合には、全体で見た時の美しさや視線の動きを考えることも大切です。
読んだ人が「スッキリ」できるかどうか?を意識しよう
文章は、読み終わったときに読者が納得できる内容になっていることが大切です。読んでいる人の予想や想像がないと話が進まないという文章や、結論がはっきりしない文章を読んで、気持ちが悪いと感じたことはないでしょうか。
何かを伝え、納得して感動してもらおうという場合には、読者が最後まで「なぜ?どうして?」と感じないようにわかりやすく書くことを意識しましょう。ただし、わかりやすさ=細かな記述ではありません。無くてもわかる部分は削り、スッキリとわかりやすい文章を心がけると良いですね。
今日から使える!作文で気をつけたいこと
長すぎる一文に要注意!適切なのは長くても50文字?!
文章の中で「。」が出てくるまでを「一文」と呼びます。一文で複数の内容を伝えようとすると、以下の例のように、長いだけでなく、内容がぼやけてわかりにくくなります。
私は、すごく泳ぐのが苦手だから、プールの授業の日はいつもゆううつになるので、お母さんに頼んでプール教室に通い始めたら、なんと世界大会3位をとったこともある山田先生という先生がいて、とてもおもしろいのでプールが大好きになり、50m泳げるようになったから、プール授業の日が来るのが楽しみだ。(143文字)
一文の文字数は可能なら20~25文字。長くても50文字ぐらいにしたい、と伊藤は考えているそうです。
25~50文字程度の文では、たくさんの内容を入れることはできません。結果として、一文ごとにひとつの内容を伝えることになり、わかりやすくスッキリした文章を作りやすくなりますよ。ぜひ、心がけてみましょう!
ここで娘が「50文字?! 難しい~普通に80文字くらい使っちゃうよ」と、先生から一文の長さを指摘されることが多いため、苦笑い。上記の例文を使用し、伊藤が区切る場所と理由、区切った後の文章を読んでみて、「本当だ!」と納得する一場面もありました。
また、分かりやすく伝えたいという思いによる細かな説明、文のつながりから無くてもわかる主語などは、削った方がスッキリと読みやすくなります。
特に主語については、文頭に同じ言葉(例:「私は」)が繰り返されると、くどく読みにくくなってしまうので、必要な場合のみにする、入れる場所を変えるなどの工夫をすると良いですね。
リズム感とスピード感を意識!ワンステップ上のかっこいい文にチャレンジ
ちょっと上級テクニックとして紹介されたのが、文末の処理についてです。基本は、同じ言葉や文末を繰り返さないように気をつけます。同じ文末(例「です」)が続くと一本調子なことが気になり、内容が入ってこないことも。
「です」「ます」「ました」や体言止め(「山田先生」等)を混ぜて変化をつけると、読みやすくなりますよ。
例)私はすごく泳ぐのが苦手です。プール授業の日はいつもゆううつです。なんとかしようと、母に頼み、プール教室に通い始めました。プール教室の先生は、元世界大会3位の山田先生。とても面白い山田先生のおかげで今ではプールが大好きです。
また、1ステップ上のテクニックとして、文末を揃えることでリズム感を出し、スピード感のある文章にすることもあります。
例)山田先生は、私の「水は怖いもの」という意識を変えてくれた。水中の心地よさを教えてくれた。タイムが良くなるうれしさも教えてくれた。おかげで今の私があると確信している。
これまでとほぼ同じ内容の文章が一気にかっこよくなり、「ええ~!!すごい!」と歓声をあげた娘。
出したい雰囲気に合わせて文末を整えることもテクニックのひとつであることを学び、「倒置とか文末を同じにするっていうのもありなんだね。使ったらプロっぽくてかっこいい作文になりそうだから、やってみたい!」と笑顔に。
どうやら、講座を通して今までよりも作文への興味とやる気がグンと高まったようです。
フリーライターで新聞記者 書く仕事をするために必要なことは?
ここからは、企画の目的のひとつでもある「働く」将来像についてのお話へ。最初からフリーライターだったわけではないという伊藤が、現在の仕事に就くまでの経緯について説明しました。
読書好きからフリーライターへ 「なりたい」を実現するために努力したこと
子どもの頃は、読書(1日に小説を平均2~3冊)、国語(現代文)の勉強が好きだったという伊藤。先生の子ども時代に共通点(読書、国語好き)を見つけた娘は、興味津々。世の中の仕事やどんな大人になりたいかについても関心が出てきたところなので、このような生きた話を聞けることが嬉しかったようです。
ライターになるまでのステップとしては、子どもの時にたくさん読書をしたことが大きいそうです。
読めば読むほどストーリーが自分の中に入ってくる、わからない言葉を辞書で調べ、新しい言葉としてストックできる…など、メリットが山ほどある読書。
特に新しいことを知ることは自分の財産、勉強になります。将来、どのような仕事をするにしても本を読めるだけ読み、学生時代には勉強しておいて損はないと語りました。
また、大学時代には常にアンテナを張り、大学の広報誌の編集委員に立候補するなど、チャレンジする機会を見つける努力をしていたとも。大学卒業後は、それらの実績をもとにコンサートホールの広報紙編集者として仕事をスタートしました。
仕事の中で出会ったフリーライターの手伝いや仕事の方法を教えてもらうなど、着々と準備を整えて、独立、フリーライターとなったそうです。
現在も、ライターとしての力を伸ばすために、他のライターの文章やトピックを研究して刺激を受け、勉強し続けていると結びました。子どもの頃に好きだった読書から文章を書くことが好きという気持ちに発展、好きな気持ちに努力を積み重ねて今の仕事につながっているなんて、素敵な話ですね。
子どもでもライターになるチャンスがある
インターネットで仕事を見つけられる現在は、サイトによって、中学生でもプロのライターとして活躍している人がいるのだそう。やりたいと思ったら積極的に記事を書いてみる、チャンスを探して挑戦してみると良いかもしれません。実績(記事)がたまっていくと、それをきっかけに仕事のオファーが生まれる世の中になりつつあるようです。
ただし、記事を書いて載せる時には、必ず保護者(お父さん・お母さんなど)に相談すること、個人が分かる情報は載せないことを必ず守ってくださいね。
新聞記者になるために今からできることは?
伊藤はフリーライターのほかに、新聞社から頼まれたときに記事を書くスタッフ記者という仕事をしています。毎日記事を書く常駐の記者になりたいという場合には、希望する新聞社の入社する条件(年齢や学歴など)を調べておきましょう。
記者になると、新聞の規模によっては、記事に使用する写真撮影まで行う場合も。新聞で使うときは「伝わる写真」にすることがポイントです。内容に合わせて、何をどんな角度で撮影して1枚の写真で伝えるか?を考える、また、かっこいい写真の撮り方を普段から考えておくことがおすすめです。壁新聞や絵日記、レポートの写真を撮るときなどに意識してみると良さそうですね。
新聞記者になるためには、文章力よりもいろんなことに興味を持つことが必要です。
自分の得意分野だけを担当するとは限りません。スポーツの記事なら、ルールや見どころのシーンが分からないと困ってしまいます。子どもの今だからこそ、友だちや学校の勉強、本、インターネットなど、刺激を受け、興味を持つことはたくさんあるはず。
たくさんのことに興味を持ち知識を蓄えてください。そして、何でも楽しいと思えるようになれると良いですね。
自分が書きたい!ではなく「読む人」を意識することが大切
この講座を通じて、子どもたちに伊藤が伝えたかった「文章を書くときに大切にしてほしいこと」は、読む人がどう思うか、感じるかを考えることです。
文章は、読む人に伝える、気持ちを動かすことが大切。これからは、「読む人の存在」を今までの3倍くらい意識してみましょう。自分が書きたいからではなく、読む人、届けたい相手の存在を意識して文章を書いてみてくださいね。
最後に小澤より、参加のお礼とともにメッセージを伝えました。
コロナで辛いことも多いですが、夏休みの企画を通してみんなで明るく楽しくつながって、未来を自分で選んで自分らしい人生の選択をするきっかけにしてもらえると良いなと思っています。
講座終了の娘の第一声は「もう終わり?あっという間だったね、もっと聞きたかった」作文に対して少し自信の無かった娘ですが、自分の意見や体験こそがオンリーワンの文章になるという話は、大きな興味と自信につながったようです。作文は書く相手を意識して伝えるものだと考えられるようになったことで、「なんだか作文って楽しいかも」「書いてみたい」という言葉が飛び出しました。
また、大好きな読書やたくさんの好奇心が将来の仕事につながるかもしれないと知り、希望と期待で胸が膨らんだよう。画面を見ながら一生懸命にノートをとる姿には、明らかに受講前から変化したやる気と積極性を感じました。夏休みの1時間のライター講座をきっかけに、小6娘が抱く作文やキャリアへの印象はポジティブに変化、早速作文に取り組んでいました。
今回の講座で学んだこと生かし、あなたならではの文章を書いてみませんか?子どもライターコンテストは、8月27日まで作品を募集中です。「働く」ことがテーマになっていれば、作文に限らず、イラストや写真などを使用したものなど、どんなものでも構いません。たくさんのご応募をお待ちしています。
まとめ
作文を書いてみたという人は作文で!動画や写真、イラストでの応募も大歓迎です。皆さんの得意な形で表現した「働く」を「子どもライターコンテスト」にぜひ送ってください!子どもたちの考えるたくさんの「働く」に出会えることを楽しみにしています。
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