食・呼吸と密接に関係?サイレントうつを未然に防ぐには

近年、働き方が急激に変化する中で問題となりつつある「サイレントうつ」。在宅テレワークと大きく関わるこの問題を啓発すべく、株式会社ニットは2021年3月にオンラインセミナー「【サイレントうつ】の実態と未然に防ぐ方法 ~テレワーク・産業医・食・身体の専門家が語る~」を開催しました。医療テレワークの観点に続き、食生活とメンタルヘルスの関係について株式会社OKAN ​中川充康さん、健康について整体にこにこスタイル 出戸啓介さんに聞きました。

ライター

伊藤尚
函館市在住。夫と未就学児な娘の3人家族。学生時代にイベントの企画・広報にはまり、新卒で公共施設管理財団の広報課に就職。結婚を機にコワーキングスペースに転職するも、フリーランスにあこがれ退職。2015年から「HELP YOU」に所属し、現在はディレクターを務めるほか、ライター、函館新聞社スタッフ記者などとして活動中。

在宅テレワークでのメンタル不調「サイレントうつ」を「食」で防ぐには?

第2回新型コロナウイルスによる健康経営の影響に関するアンケート(株式会社ニューロスペース、株式会社バックテック、株式会社asken調べ)

企業の健康経営などの担当者を対象とした「第2回新型コロナウイルスによる健康経営の影響に関するアンケート」によると、なんと80%もの企業が従業員の健康の課題と認識している「メンタルヘルス」。メンタルヘルスの改善、というと十分な休養としての「睡眠」や、より身体を健康に保つという意味での「運動」を思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、人間の身体は食事から成り立っていますので、「食」もまた健康とは切っても切れない関係です。この、食の観点からメンタルヘルスを読み解くには、まず大きく分けて2つのポイントがあります。「欠食によるリスク」と「栄養バランス」についてです。

欠食によるリスク

「規則正しく3食を!」という内容はよく目にするかと思いますが、これは脳に定期的なエネルギーを送るためです。「若い方の欠食をよく耳にしますが、集中力や記憶力の低下につながり、イライラや不安が募ってしまう原因になる」と中川さん。

栄養バランス

また、近年「精神栄養学」という分野も注目されており「こころに効く精神栄養学(功刀浩 著・女子栄養大学出版部)」によると、うつのリスクを下げる栄養素もあるそうです。

さらに、コロナ禍の影響で、簡単にテイクアウトできるファストフードの利用が増えたり、おうち時間が長くなったことにより間食が増えたりなど、不健康・不規則な食生活が増えている、というデータもあります。

そのため、中川さんは「従業員の食生活にまで気を配るのは難しいかもしれないが、何かあってからではリカバリーが大変」と話し、下記のチェックを推奨しています。

「共食行動」はコミュニケーション増につながる

今回お話を聞いた中川さんが所属する株式会社OKANは、食生活の支援を通し働く人と企業のサポートを目的とした置き型社食サービス「オフィスおかん」などを運営する企業です。同社のサービスを利用した企業が実感している効果のひとつとして、食事を通した従業員同士のコミュニケーション増加が挙げられるといいます。共に食事をする「共食行動」は職場内ではあるのですが「半分OFF」の状態になるため、雑談のようなラフなコミュニケーションが増えやすいそうです。

さらに、「コロナ禍によるオフィスの役割の変化にも注目すべき」と中川さん。作業・業務自体は在宅でも可能となったため、オフィスはより人と人のつながりを確認し密接にする、コミュニケーションの場になっているといいます。

また、コロナ禍による在宅ワークで「孤独感」「孤立感」が問題とされている中、社員同士のコミュニケーションや関係構築は非常に重要です。そして「食を通して寄り添う姿勢が何よりも大切」と中川さん。「食」は親が赤子に与える象徴的なものでもあります。企業側が「食」を支援することで健康に良い・美味しいものが食べられる、というだけではなく、企業が気遣ってくれているということが社員に伝わり、企業と社員の心理的距離を近づけ、エンゲージメントを高めることにもつながるそうです。

メンタル不調・うつと身体

普段、中高年の慢性的な腰痛・膝痛のケアをするかたわら、企業向けに整体施術や研修も行う、整体師の出戸さん。「心身一如(しんしんいちにょ)、心と身体は分けて考えがちですが、切っても切り離すことができません」と話します。身体の不調がある時は、精神的にもイライラしたり集中が途切れたりなど心も不調になりがちです。

そして、メンタルに一番影響があるのは「肋骨」だと出戸さん。

理由として、肋骨が硬い人は肺が膨らみにくく呼吸が浅くなるためだといいます。人間は呼吸ができないと死んでしまうため、身体自体が不安に感じやすいそうです。

自分の呼吸の深さを知る!簡単にできるチェック方法

心にも重大な影響を与える呼吸。出戸さんは、深い呼吸ができているかどうか簡単にチェックできる方法を教えてくれました。それが、こちらです!

判断基準は全ての息を吐き出す際に何秒かかったかだそう。ボーダーは30秒、可能なら1分とのことだったのですが、私は12秒でした……。皆様はいかがでしたか?

ちなみに30秒を下回る人は肋骨が硬い場合が多いそうですが、出戸さんの元を訪れる人も「大半の人は30秒以下なので心配しないで」と出戸さん。

「スーパカふんわりエクササイズ」をやってみよう!

そんな肋骨が硬い人向けに、肋骨が正しい位置・形に戻り、柔らかくなりやすいエクササイズを教えてくれました。

①手を合掌する

②なるべく肘を付けたまま、スーッと手を上に持ち上げる

③「ぱか」と言いながら手と顔を開く

④手をふんわりと身体の外側に円を描くようにおへそのあたりまで降ろす

この4つの工程だけです!仕事の合間にすぐできそうなお手軽エクササイズですね。ちなみに、ポイントは頑張って動かそうとしないで、自然に無理のない範囲でこのエクササイズを行うことだそう。「全然30秒いかなかった!」「普段アップルウォッチに『呼吸をしましょう』と注意される」という株式会社ニットの小澤も「呼吸がしやすくなった気がする!」とのこと。この笑顔です。

さらに「鎖骨・胸回りをさするだけでもゆるみ、安全で効果があるのでオススメ。寝転んでやるとわかりやすい。きっちりとしたストレッチは、どこかを伸ばすために別のどこかを縮めることが多いのでやり方には気を付けて」と出戸さんはいいます。さするだけならいつでも手軽にできますので「なんだか息が吸えてないなぁ」という感覚がある人はやってみても良いかもしれません。

まとめ

「サイレントうつ」の未然防止策として、産業医から見たメンタル不調になりそう・なってしまった際の具体的な対処テレワークのプロが教えるコミュニケーションとマネジメント、食とメンタルの関係、メンタル不調を防ぐために呼吸を楽にするエクササイズという4つの切り口で行われたこのセミナー。3回に分けてお届けしましたがいかがでしたか?身の回りに「もしかして…」という方がいる、自分が「調子が悪いかもしれない…」と思った際などは、専門機関を頼るほか、各記事のチェックリスト、対策などを活用してみていただければ幸いです。