フリーランスのワークスタイル 〜くらしを豊かにする自分に合った働き方〜
2019年4月より働き方改革関連法案が施行され、一人一人のライフスタイルや仕事に対する価値観を重要視した働き方が推進されるようになりました。Work as Life (ワークアズライフ)という言葉があるように、仕事を人生の一部として考えることで、自分の理想とするライフスタイルを起点に仕事を選択できる時代になってきています。その代表例として「フリーランス」がありますが、この記事では、時代の変化の中でフリーランスがどのようなワークスタイルを実践しているかについてまとめました。
目次
ライター
フリーランスのワークスタイル
在宅ワーク・テレワーク・リモートワーク
フリーランスは、働く場所にも縛られず、地方や海外で居住しながら仕事をすることができ、ライフスタイルに合わせた仕事の進め方や収入を得られます。自分の住みたい場所で好きな時間に仕事ができることは、フリーランスにとって最大のメリットだといえるでしょう。
ノマドワーク
ノマドとは、「遊牧民」という意味を持っており、遊牧民のようにひとつの場所に留まらず、移動しながら仕事を進めていくスタイルです。 この働き方は、テレワークやリモートワークと同様に、会社にいなくてもインターネットを利用できる環境さえあれば仕事ができます。 カフェや図書館、公園といった自宅以外の場所を転々としながら仕事を進めていく働き方です。 近年、「ノマドカフェ」といわれるようなWi-Fi環境や電源を完備したカフェも一般的になりつつあり、快適に仕事ができるように環境が整備された場所が増えました。複数のワークスタイルを移動することで気分がリフレッシュされ、集中力を持続させたり、良いアイデアが生まれやすいことがメリットです。
副業
副業とは、正社員として雇用されている本業で収入を得ながら、退社後の空いた時間や休日に他の仕事を行うワークスタイルです。2018年に政府は働き方改革として副業解禁の流れに舵を切り、まさに“副業元年”と呼ばれる年になりました。本業を持ちつつ、副業を実践するフリーランスにとっては、本業のみでは得られなかった経験を得ることができ、さらには副業で得た経験を本業に生かすことができるといったメリットがあります。また、本業とは違ったワークスタイルや業界業種・業務内容に触れることで、転職のきっかけを得ることもできるでしょう。いきなりフリーランスとして独立するのはリスキーだと思うかたには、副業から挑戦することをおすすめします。
複業(パラレルワーク)
複業(パラレルワーク)は、副業とは異なり、並行して複数の企業や団体・コミュニティと仕事をすることで、多くのフリーランスが実践しているワークスタイルです。複業することで収入源が分散することのほか、インプットやスキルアップ、人脈形成などにおいて相乗効果を得られるというメリットがあります。しかし、複業を行うためには、自分自身の実績と信頼がなければなりません。あなたの持っているスキルをしっかりとアピールし、仕事で成果を残し、人脈を密にすることで、仕事を維持できたり、新たな仕事を得ることができるようになります。
二拠点生活・デュアルワーク
二拠点生活やデュアルワークとは、二つ以上の拠点で働くワークスタイルをいいます。例えば、都会で暮らす人が地方にも拠点を持ち、農業などの田舎暮らしを満喫しながら、仕事がある時だけ上京して打ち合わせを行うのは、このワークスタイルの代表的な例です。二拠点生活は、1つの拠点や勤務場所に拘束されるというストレスから解放され、自分の住みたい地域で自由に生活しながら仕事も進められます。
特に、近年増加している地方移住に関しては、いきなり地方移住するといっても、完全に移住先に支点を移してしまうというのはリスクが高いと考えるかたも多いでしょう。そこで、まずは二拠点生活をしてみてから、移住先の生活が安定してきた頃を見計らって完全に移住するという方法がとれます。二拠点生活をすると家賃が二倍になったり、移動に時間を取られるようになったりするなどデメリットもありますが、都心での生活や仕事を維持しながら移住先の生活も同時に楽しむことができるメリットは大きいです。また、完全に移住してしまうといざライフスタイルが自分に合わなかったときに戻る場所がなくなってしまいます。二拠点生活をしていれば、いつでも都心に戻ることができるという安心感もあります。拠点を海外にするということも二拠点生活の方法の一つです。いまや海外でもインターネット環境さえあればいつでも日本と連絡を取ることが可能ですし、オンラインで顔を合わせながら会議を進めていくこともできます。
ワーケーション
ワーケーションとは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせて作られた言葉で、この働き方はアメリカを発端として急速に広まるようになりつつあります。フリーランスは企業に属しているわけではないので、自身で休暇を決めて、休暇先や旅行先などで仕事ができます。
近年、日本の大手企業でも公休や有給休暇、夏季休暇などの休暇を利用したワーケーションの導入が進みつつあります。リゾート地にいながらも仕事ができる仕組みや環境を企業が用意し、従業員の休暇とリフレッシュを目的とした新しい働き方として注目されています。 旅行先で仕事ができたり、マンネリ化した仕事を早期に切り上げ、残り時間を自分の時間として活用するなど、時間や場所に拘束されない仕事が選べるようになるため、 業務が効率化し、生産性が向上するという結果が期待できます。 企業側としても、労働生産性が向上し、従業員の満足度も満たせ、双方にとってメリットです。 時間や場所、人間関係に縛られてストレスを感じることが多い現代に、個人がリフレッシュする機会を自由に選べるというのは、従業員の仕事に対するモチベーション低下を予防し、 仕事への活力をつけてもらうよい働き方であるともいえるでしょう。
しかし、働く場所によっては、インターネットのセキュリティーに問題があるため、情報漏洩につながったり、システム障害の発生を招くリスクが高くなります。 パソコンやUSBといった情報機器の紛失のリスクも高くなるため、情報セキュリティについてはしっかりとした対策が必要です。
フリーランスのワークスペース
フリーランスとして独立すると働き方や働く場所、時間が自由になった分、いつどこで働くかということを迷うことも多いですが、実際に、フリーランスはどのような場所で仕事をしているのでしょうか?一般的に、フリーランスとして活動している人が多く仕事をしているワークスペースとその活用方法について紹介します。
自宅をオフィスとして活用する
フリーランスは会社や組織に属しているわけではないため、どこか決まった場所で仕事をしなければいけないというルールはありません。 受注した仕事の内容や納期などに合わせて自分のペースで仕事を進めることができるため、フリーランスとして活動している人の多くは自宅をオフィスとして活用して仕事をしています。実際に、フリーランスとしての開業届には自宅の住所を記載するかたも多いでしょう。
自宅オフィスのメリットは、交通費がかからない、朝の通勤のストレスに煩わされることもない、そして、自宅家賃の一部を経費にできることがあげられます。デメリットとしては、仕事とプライベートのメリハリをつけにくいという点でしょう。会社への出勤は、プライベートと仕事の意識の切り替えができ、やる気がなくとも仕事モードのスイッチが入ります。ところが、自宅オフィスの場合は生活空間とワークスペースが同居しているため、なかなか仕事モードへの切り替えが難しく、慣れるまでは一日がダラダラして終わってしまったり、集中力を欠いてミスが増えることもあるかもしれません。
また、自宅オフィスの場合、クライアントとの打ち合わせがしにくいのもデメリットです。特に小さな子供がいるワーキングマザーの場合、自分の思うようなスケジュールで仕事を進めることができなかったり、自宅での打ち合わせができないということがあります。そのため、普段は自宅で仕事をしながら、打ち合わせの時だけはコワーキングスペースやカフェを利用するなどといった工夫が必要です。
コワーキングスペースを活用する
自宅以外では、コワーキングスペースを活用した働き方があります。コワーキングスペースとは、オフィススペース、会議室、打ち合わせスペースなどを共有しながら独立した仕事を行う共働のワークスペースのことです。シェアオフィスやレンタルオフィスとは異なり、作業を行う場所が個室ではなく図書館のようなオープンスペースであることが特徴です。
コワーキングスペースでは、様々なフリーランス活動を行っている人たちがいたり、会議室をレンタルして会議を行ったりセミナーを開催したりしています。必要な時に、必要な時間、必要なスペースを確保することができるので、高い家賃を支払わなくてもよいというメリットがあります。プリンターやスキャナーなどのOA機器や事務用品が利用可能だったり、子連れOKスペースや保育所を設けていたりすることもあるため、フリーランスにとってはとても働きやすい恵まれた環境だと言えるでしょう。
また、同じようにフリーランス活動をしている人が集まっているので、ともに仕事を進めていく仲間のコミュニティができ、人脈を広げていく場所になる可能性があります。また、フリーランスは孤独を感じるワークスタイルでもあるので、コミュニティに所属することで、自分自身のモチベーションアップにもつながるでしょう。
シェアオフィスを契約する
シェアオフィスとは、自社のオフィスではなく、複数社で同じオフィスを共有するワークスペースです。完全個室のほか、個別ブース席(個室ではないが専用座席がある)、オープンスペースを用意しているシェアオフィスもあり、自分に合ったワークスペースを選択できます。
シェアオフィスの利点は、家賃を安くおさえ、異業界・業種間での交流が活発になることで新たなビジネスを立ち上げたり、刺激を得られることです。スモール・ビジネスからスタートしたいというかたは、おすすめのワークスペースでしょう。また、法人登記もできるため、賃貸費用を安く抑えながら、立地の良く、アドレスのブランド力があるオフィスを手に入れられます。
フリーランスライフを楽しむためには?
フリーランスに限ったことではありませんが、「仕事を楽しむ」ということは、あなたのくらしを豊かにするために必要なことです。なぜなら、人生の中で、働く時間は多くの時間を占めます。つまり、働き方は、あなたの生き方そのものなのです。今、フリーランスとして第一歩を踏み出したあなたがこれからのフリーランスとしての活動していく上で、どうすれば仕事を楽しみながらの生活を作っていくためのポイントについて解説します。
興味をひかれる仕事する
まずは、自分がどうしてフリーランスという働き方を選択したのか?ということを考えてみてください。これまで述べてきたように、一言でフリーランスといってもそのワークスタイルはさまざまです。しかし、全てに共通していることは「自分のやりたいことがある」ということが核にあるのではないでしょうか。好きなこと、楽しいことを仕事にする手段のひとつがフリーランスです。もちろん、収入が安定していないうちは仕事を選べない状態が続くかもしれません。 しかし、つらい仕事をたくさん受注して一人で抱え込むことは精神的に良いことではありません。受注した仕事をて楽しむことが、フリーランスとして長期的に活動していく重要なポイントです。
完璧主義を捨てる
好きなこと、楽しいことを仕事にする手段のひとつがフリーランスですが、その道のりは決して楽ではありません、フリーランスとして成功するためには、もちろん楽しいことだけではありません。
特に駆け出しで始めたばかりの頃は、計画通りに進まないことがほとんどです。 どれほど具体的に事業計画を立てたとしても、計画とは異なる状況やトラブルが発生します。フリーランスとして事業をうまく進めていくためには、想定外の事態が発生した際にトラブルにうまく対処する必要があります。 トラブルへの対応力というのは、同様のトラブルに遭遇して乗り越えられた場数によって培われます。 もちろん一人で解決できる場合もありますが、間違った判断でさらに悪い状況に陥ってしまうということもあるので、できるだけ相談できる人脈を持っておくと良いです。 まずは、 トラブルは必ず起きるものだと認識し、完璧主義な思考を捨てて、柔軟な対応を心がけるようにしましょう。多くの経験をつむことで、トラブルを乗り越えた時に達成感を感じられる余裕が持てるようになります。
クライアントやパートナーとの信頼関係を大切にする
フリーランスは孤独を強く感じるワークスタイルです。 組織に属する会社員と違って個人で活動するため、相談できる相手もいなければ、一緒に作業をする同僚もいません。 事業の計画から仕事の実施、報酬の管理や税金の納付まで全て自己責任で行わなければならないということがフリーランスの特徴です。
しかし、さまざまなプロジェクトを通して知り合ったクライアントやパートナーと良好な関係が築けていれば、困ったことがあったときに相談ができるかもしれません。TwitterやFacebookといったSNSでも、色々なかたと気軽に繋げるようになったので、人脈作りに利用するのも良いでしょう。 人との距離感を自由に保てるというのもフリーランスのメリットです。自分の価値観にフィットするコミュニティや信頼関係を作っていくことが大切です。また、新しい人脈を通して、マンネリ化していた自分の思考を打ち破ってくれるような刺激を受けることもできます。
「ワークライフバランス」という言葉が流行してからしばらく経ちましたが、仕事と生活の調和を図るためにも重要なことだというのは変わりありません。しかし、この考え方は仕事と生活を明確に区別しするものだと認識されることが多く、どちらかを取ればどちらかが崩れるといった極端な考え持つかたも。そこで、仕事を楽しむことで生活の質を向上させ、生活を充実させることで、新しいアイデアや人脈、スキルを得られるといった仕事と生活が相互作用を生み出すことを「ワークライフシナジー」と呼ぶようになりました。ワークとライフが緊密に連携し相互に刺激し合うという考えを根底にもちつつ、フリーランスのワークスタイルを実践することで、人生の質はより高いものとなっていくでしょう。
まとめ
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