2017年12月27日 更新

女性の働き方|2017年の振り返りと2018年から意識したいこと

『くらしと仕事』編集長が今年を振り返り、女性の働く環境の変化を解説します

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2017年も終わりに近づいてきました。『くらしと仕事』の今年最後の記事として、この1年の働く女性を取り巻く世間の動きを振り返り、来年からのアドバイスをお届けします。

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iStock.com/monzenmachi

2017年はこんな年でした

 

世は「働き方改革」ブーム! でも、働きやすくなった実感は?

政府の新しいポストとして「働き方改革担当大臣」が新設され、働き方改革実現会議が始まったのは、2016年後半のことでした。そして今年3月、「働き方改革実行計画」が発表されました。

昨年の時点では、トヨタ、三菱東京UFJ銀行、リクルートなど、一部の先進的な大企業が在宅勤務を導入したことがニュースになりましたが、今年はいよいよ「働き方改革ブーム到来!」という感じで、世の中の多くの会社が働き方改革を意識し始め、実際に新たな制度を導入する動きも加速しました。

その一方で、「残業するなって言われても、仕事が減らなきゃどうしようもない……」、「在宅勤務制度は導入されたけど、実際には使える雰囲気じゃない」といった不満の声も聞こえてくるように……。今年2月には、国と経団連の主導で「プレミアムフライデー」というキャンペーンも始まりましたが、「うちの会社には関係ない」という人が多数派のようです(それでも、「新語・流行語大賞」トップ10に選ばれましたね)。

そんなこんなで「働き方改革ブーム」にモヤモヤを抱えている人に向けて、『くらしと仕事』では、「私ができるという働き方改革」というシリーズを始めました。自分から働きやすい環境を作っていくためのヒントがたくさん出てきますよ。

 

「人生100年時代」の新しい働き方を模索する動き

「働き方改革」に続き、今年ブームの兆しを感じたのが「人生100年時代」というキーワード。

もともとは2016年に刊行された『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』に出てきた言葉です。この本は、100歳まで生きるのが当たり前になる時代に向け、これまでのように「1.学校で学び→2.社会人になり→3.引退後の余生を生きる」という3つのステージを順に進んでいく人生ではなく、大人なっても学び続け、自分のライフステージや時代に合わせて仕事や働き方を変えていくような生き方へのシフトが必要だと訴えています。これが多くの人の共感を得てベストセラーに。ついには日本政府も「人生100年時代構想会議」を立ち上げました。この会議には『ライフ・シフト』の著者リンダ・グラットン氏も参加しています。

民間でも、「人生100年時代」をテーマに掲げたイベントやセミナーがたくさん開かれ、次代の変化を感じ、働き方を模索する人が増えてきたと感じます。『くらしと仕事』でも、タイトルに「人生100年時代」が入った記事がたくさん登場しました。

 

国は副業・複業・兼業に前向き。でも企業は……

「人生100年時代」を生き抜くひとつの方法としても注目され、ニュースでも盛んに取り上げられたのが「副業(複業・兼業)解禁」の動きです。

副業(複業・兼業)ができれば、収入アップの他、会社に勤めていても新しいスキルや人脈などその後のキャリアの足がかりが得られる、企業から見ると社員の成長やモチベーションアップが期待できるなど、様々な面からそのメリットが語られるようになりました。

国も副業・兼業を推進していこうという立場で、これまでは「許可なく他の会社等の業務に従事しないこと。」という一文が入っていた「モデル就業規則」(企業が就業規則を作成する時の参考として厚労省が示している規則の例と解説)を変更し、新たに「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。」といった規定を入れる準備を進めています。

一方で、企業としてはまだまだ社員の副業に後ろ向きのところが多いようです。12月18日に経団連の会長が記者会見を開き、以下のように述べました。

兼業による仕事のパフォーマンスの低下、情報漏洩のリスク、総労働時間の管理方法、社会保険料や雇用保険料の負担のあり方など課題も多く、経団連としては、副業・兼業について旗を振って推進する立場ではない
副業・兼業にはプラスの面もあるが、依然として課題も多く、経団連としては旗振り役をすることはなく、個社が判断することになる。

経団連は一部上場企業を中心に1,350社が加盟する大きな団体です(2017年4月1日現在)。そこが副業・兼業を推奨しないと明言したということは、大企業のトップ層はまだまだ時代の変化を実感していないのだな、と感じました。

 

大企業の不正発覚、セクハラ告発……。会社と社員と世の中の関係が変わりはじめた

副業を認めない会社は、社員に自分の会社のことだけに集中して欲しいという考え方があるのかもしれません。でも、そういう考え方はもう成り立たなくなってきていると感じたのが、今年相次いだ大手メーカーなどの不正発覚のニュースです。

例えば検査データの改ざんが発覚した神戸製鋼所では、データの改ざんを意味する「メイキング」という隠語が40年以上前から使われていたことが分かっています。不正を知っている社員は相当数にのぼり、これまでは「仕方のないこと」として秘密が守られてきたのでしょう。それが今年になって急に公表、謝罪という方向に転換したのは、世間の倫理観とズレた社内の論理を押し通すことが難しくなってきたからだと思うのです。

つい先日、作家、ブロガーのはあちゅうさんが、電通の社員だった時代に受けたセクハラ・パワハラについて詳細に証言した記事が公開されて注目を集めました。告発の内容を見ると、被害者ははあちゅうさん以外にもたくさんいて、会社の方でもこれを認識しながら放置していたようです。

昨年、電通の社員だった高橋まつりさんの過労自殺のニュースを受けて「長時間労働・パワハラが蔓延する広告業界は変わることができるのか」という記事を書きました。その中で、世間一般の常識で見れば明らかにパワハラな行為が、社内では「教育」としてまかり通ってしまうという業界の体質の問題を指摘しました。しかし今の時代、「そういう業界だから仕方ないよね。耐えられない人は辞めればいい」という考え方は通らなくなっているのです。

少し前まで、大企業の会社員というのは新卒から定年までその会社で過ごすのが一般的で、その会社の論理にどっぷり浸かって生きていました。でも、今は転職も珍しくなく、外の情報も色々入ってくる中、社員が自社の状況を客観的に見られるようになっています。組織の論理に納得できなければ出ていくことも容易になりました。「うちの会社はおかしい」と思ったら、インターネットを通じて秘密を暴露してしまうことも簡単にできるのです。会社が「これがウチのルールだ」とおかしなことを押し通すことは、むしろリスクになっているのです。

社員の考え方や行動を強制することはできないし、社会の目をもっと意識しなければいけない――、そういうことに気づいているかどうかで、今後の企業の命運は分かれていくでしょう。働く個人としては、おかしなことがあったときに「会社や業界のルールだから」と流されない姿勢が必要になってきています。

 

2018年はどうなる?

2018年、働く女性を取り巻く状況はどう変わっていくでしょう。

 

労働時間規制がますます厳しく

9月に衆議院の解散総選挙があって先延ばしになった働き方改革関連法案が、2018年には可決される見込みです。そうなると、各会社では残業時間削減にますます本気で取り組むことになるでしょう。

仕事の量ややり方が変わらず締め付けだけ厳しくなるか、効率化が進んで働きやすくなるかはそれぞれの職場次第ですが、少しでも良い方向にもっていけるといいですね!

 

育休2年、配偶者控除、無期転換……、働き方を見直す時?

実は、今年『くらしと仕事』でもっとも読まれた記事は、「育休期間が最大2年に。働く女性たちの意見は?」でした。昨年10月からの制度改定で、保育園などの預け先が見つからない場合には子どもが2歳になるまで育休を延長できることになりました。認可保育園の4月入園可否が分かるのは2月頃です。結果を受けて「育休を伸ばす」という選択をせざるをえない人も出てくるでしょう。本来は、産後どのくらい経ったら仕事復帰するか、保育園の空き具合ではなく、各自の考え方や家庭の事情によって選択できるようになることがベストですが……。

また、2018年からは配偶者控除の条件が変わります。控除を受けられる103万円という上限を意識して仕事量を抑えてきた方は、働き方を再考する機会になるでしょう。

もうひとつ、多くの人の働き方を見直すきっかけになりそうなのが、有期雇用者の「無期転換」ルールです。契約社員、派遣社員、パート・アルバイトなど、期間の定めのある契約で働いている人が5年を超えて契約を更新した場合、無期雇用への転換を申し込むことができる、というもの。このルールができたのが2013年4月なので、それから5年経つ2018年に無期転換を申し込む権利を得る人が多いのです。

しかし、会社によっては5年になるのを避けるため、その前に契約を終了するという望ましくない動きをするところも。そうでない場合でも、無期転換を申し出ることが果たして良いのかどうかはケースバイケースです。どういった働き方をしたいのか、この会社でずっとやっていきたいのかといったことを個人個人が考えていく必要があります。

 

会社員でも、自分のキャリアは自分でデザインしていく時代に

今年のニュースや無期転換ルールに対する企業の動きなどを見ていると、会社に所属し、その中で評価を得ていれば大丈夫、という状況ではなくなっていることをひしひしと感じます。と同時に、会社員以外の働き方についてのルールや保障も少しずつ整備されていく方向が見えています。

だからといってフリーランスや起業を誰にでも進めるわけではありませんが、これからは自分のキャリアや人生を会社任せにせず、自分でデザインしていくという意識が必要になります。この年末年始に、自分のこれからに思いを巡らせてみませんか?

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