【weekly 働き方改革ニュース】室温を下げれば業務効率が上がる?
1週間のうちに起こった出来事やニュースの中から、仕事や働き方に関する話題をピックアップして紹介する「weekly 働き方改革ニュース」。庁舎内の室温を環境省が呼びかける28度より低い25度に設定した兵庫県姫路市で、室温を下げたことによって業務効率が改善されたことがわかりました。
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ライター
ローソン全国100店舗で元日休業
ローソンは9日、2020年の元日に全国100店舗規模で店舗を休業すると発表しました。セブン-イレブン・ジャパンとファミリーマートを含むコンビニ大手3社で一定規模の元日休業に踏み切るのはこれが初めてとのことで、各メディアもこの話題を大きく取り上げました。
実はコンビニ業界では、北海道内でセブン-イレブンを抑えて店舗数ナンバーワンを誇るローカルコンビニ「セイコーマート」がこの分野では先行しており、2018年から全店舗の約半数を元日休業としています。同様に大手小売チェーンの動きは鈍いものの、首都圏に展開するマルエツや京急ストアが全店の元日休業に踏み切るなど、全国各地の中堅・中小スーパーでは徐々に元日休業が導入されつつあります。
ライバルが営業している中で店を開けないことは「機会損失」である一方、元日に店を開けてもさほど利益は上がらず、むしろ従業員に優しい企業であるとのイメージを与えるほうが人材確保につながるというメリットもあるとされます。現状はスーパーもコンビニも大手が後れをとっていますが、流れが来ているとみればすかさず乗るのが大手の特徴。今後大手各社が一気に元日休業を導入し、昔ながらの「元日はどの店も休み」というスタイルが再び定着する可能性もあるのではないでしょうか。
中央省庁職員の75%が残業上限の「例外」に
時事通信は9日、中央省庁職員の約75%が残業上限の原則の「例外」とされたことを報じました。残業時間の上限は、原則として45時間、年360時間。ところが、特別の事情があってこの枠に納めるのが難しい場合には、月100時間未満、年720時間の残業が「例外」として認められます。
記事では、中央省庁の中でも特に「他律的業務」の比率が多い部署は業務量の加減が難しいことから、残業上限の「例外」とされたと説明しています。「他律的業務」は公務員の業務に関してよく用いられる言葉で、「業務の量や時期が任命権者の枠を超えて他律的に決まる業務」を指します。言い換えれば、自分たちで業務量や完了時期を決められず、他者の動向によって決まってしまう業務のことです。
「国家公務員は大変なんだ」と思わず納得してしまいそうですが、よくよく考えてみれば、民間企業の多くも日常的に他律的業務に取り組んでいるはず。「他律的業務が多いから残業上限の例外とする」という論法を持ち出してしまえば、働き方改革そのものが骨抜きになってしまいます。中央省庁自ら働き方改革に逆行するような動きには疑問を感じます。
室温25度設定で業務効率が上がる?
兵庫県姫路市は7日、この夏実施した庁舎内の室温を25度に下げる実証実験に業務効率向上の効果があったとして、来年も継続すると発表しました。
この実証実験は7月16日から8月30日にかけて実施され、環境省が呼びかける28度より低い25度に庁舎内の温度を設定。効果を測定するため、職員1500人あまりにアンケートを取りました。その結果、25度の室温を「ちょうどよかった」と答えたのは79%で、「寒かった」は14%。業務効率については「とても向上した」「少し向上した」が合わせて85%に上りました。就業意欲が高まったとする人は83%、勤務後の疲労感について「かなり軽減された」「少し軽減された」は合計83%となりました。
電気使用量が増えたことによって経費は約7万円増加したものの、残業時間は前年に比べて1人当たりの月2.9時間減少し、約4000万円の人件費削減につながったといいます。夏場に「冷房28度」をかたくなに守っている官公庁に出向くたびに、「こんな暑さの中で仕事ができるんだろうか」と常々疑問に思っていましたが、データの上でも「28度は暑すぎる」と裏付けられた格好です。
NHKのニュースでは、「仕事の能率がはかどるかどうかは発熱しやすい脳を鼻から吸う空気でどこまで冷やすかが重要なので、姫路市の取り組みは仕事の能率をあげる意味で評価でき、全国の自治体に広がってほしい」との専門家のコメントが紹介されています。毎年のように猛暑が伝えられるなかで、今後は現実に即した室温設定が必要になってきそうです。
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