2016年7月20日 更新

築100年の古民家で暮らすヒビノケイコさん流「くらしと仕事」のつくり方

高知県の山奥に移住して9年、子育てをしながらお菓子のネットショップやカフェを開業したり、田舎暮らしの様子をブログや本で発信されているヒビノケイコさんのお話を紹介します。

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「ワタシクリエイトCAMP 2016 Spring」
3月22日、女性が「生き方・暮らし方」を考えるためのイベント「ワタシクリエイトCAMP 2016 Spring」(主催:ワタシクリエイト・アトリア)に登壇されたヒビノケイコさんのお話を聞いてきました。
ヒビノケイコさん

ヒビノケイコさん

詳しいプロフィールはこちら。
http://hibinokeiko.blog.jp/archives/24604590.html

ヒビノさんは芸大生時代に京都郊外のお寺を借りたところから田舎暮らしをスタートさせ、出産を機に旦那さんの故郷の高知県嶺北地方の古民家に移り住み、現在9年目。講演では、移住後に自分ならではの仕事を作る方法や、移住して幸せな暮らしを手に入れるために必要な考え方などが、語られました。

出産を機に本当に住みたい場所を求めて田舎に移住

芸大時代、作ることや表現することはすごく好きだけど、賞をとることには興味がなく、美術館や展覧会に作品が置かれるよりも、日常の中でみんなに見てもらえるような表現をしたかったというヒビノさん。将来に関しては、アート業界を志すことには違和感を感じていて、「表現と社会と仕事を掛けあわせたらどうなるかな」ということを考えていたそう。

ヒビノさん講演
photo by Masanao Matsumoto.

その答えを見つけるため、大学の中にとどまらずいろいろなところに行くようになると、若手農家、アーティスト、起業家など、自然と一緒に暮らすカッコいい人たちに出会います。そしてヒビノさん自身もそのような暮らしを実践しようと、お寺を借り、畑を作ったりして暮らすようになったそうです。

そのお寺よりもさらに山奥の高知県嶺北地方に移住することになったきっかけは、子どもができたことでした。旦那さんの故郷であるその場所は、初めて行った時は「この先にまだ家があるの?」と驚いたくらいの田舎。でも「この先どこで過ごしたいか」を真剣に考えた結果、ここで暮らしたいという結論が出たのだそう。

親が地域で一生懸命に暮らし、仕事も自分で作っていく姿を子どもに見せたいと考えて、やっぱりここで、と思ったんです」(ヒビノさん)

住まいは、旦那さんのひいおばあちゃんの代まで住んでいて、20年くらい空き家になっていた築100年以上の古民家です。

ヒビノさん講演スライド

【田舎暮らしエッセイマンガ】山カフェ日記〜30代、移住8年。人生は自分でデザインする〜

【田舎暮らしエッセイマンガ】山カフェ日記〜30代、移住8年。人生は自分でデザインする〜
ヒビノさんの出版されたエッセイ漫画『山カフェ日記〜30代、移住8年。人生は自分でデザインする〜』には、4世代が交わって過ごす大家族の日常がとても可愛らしい漫画で描かれています。

移住先ならではの仕事を考え、お菓子工房をスタート

ぽっちり堂
「ぽっちり」とは土佐弁で「ちょうどいい」という意味です。

移住後、ヒビノさんは「ぽっちり堂」という通販のお菓子工房を始めました。でも、最初から「お菓子屋さんをやる」と決めて移住したわけではないそうです。

「元々食べることが好きで、地域の良さと、自分ができること、お客さんが喜んでくれること、それをかけあわせたらどんな形になるかなと考えていて……。でも地域に何があるかは行ってみないと分からないので、行ってから考えました。
高知県はすごく素材がいいんですよね。京都でもオーガニック系のいい野菜は売っているんですが、カボチャが千円とかするんですよ。『千円もするものを私は買うべきかどうか』と悩む(笑) 高知だとそういうものが道の駅なんかで普通に何百円で売っていて、平飼い卵なんかも特別な感じではなく普通にある。その『普通さ』がすごくいいなと思って、そういうものを活かしたくて『お菓子』というものを選びました」(ヒビノさん)

最初の3年くらいはそれでは食べていけない状態だったといいますが、もともと「人に何かを伝える」ということが好きなヒビノさんは、田舎で暮らしていることで得られる情報を伝えたいと、冊子や手紙、メルマガなどで情報発信しているうちにファンができ、「ケイコさんがやってるから」と買ってくれるお客さんが増えてきたそうです。また、お菓子作りに関しては素人だったことも逆手にとって活かしました。

パティシエじゃないというのは弱みでもあり強みでもあるんです。私はただのお母さんで、ちょっとお菓子作りが好きなというくらいの人。でもお母さんとして子どもに食べさせたいものは何かとか、そっちから発想するようにして。内祝いや結婚式のギフトを展開したり、素材もできるだけ安全で子どもさんにも優しい味、というのをやっています」(ヒビノさん)

移住後1年は寂しくて泣いた

しっかり地域に根をはって生きてきたように見えるヒビノさんですが、移住してから1年くらいは寂しくて泣いて暮らしていたそう。

「移住って物件とか地域の雰囲気とかで選ぶ人が多いですけど、見逃しがちなのが『人』なんです。私は移住してから『人って環境だ』と気付きました。世間話をできる人はいっぱいいるんですよ。でも、子育てのこととか移住して困ったこととか、世間話以上の話をしたいじゃないですか。都会って、自分と趣味の合う人とか気の合うコミュニティが見つかりやすいので、京都にいた時はそういう仲間がいた。でも、田舎はそういうものがない場合もあるので、今から移住する人は、どういうコミュニティがあるのか、どういう人が暮らしていてどんな活動しているのか調べてから行ったほうがいいですよ」(ヒビノさん)

「泣いて暮らしていても何も変わらない」と気づいたヒビノさんは、旦那さんと移住支援活動を始め、今では年間40組くらいの方がやってくる地域に。仲間が増えて暮らしやすくなったそうです。

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