サブカルチャーは世相を映し出す 漫画・ドラマに象徴される「働く女性」の姿とは

漫画やドラマは世相を反映する、とよくいわれます。1990年代後半以降に世に出た漫画やドラマから、時代による「働く女性像」の変化を考察してみました。

漫画やドラマが世相を反映する場合、おもに3つのパターンがあると考えられます。まず、その時代の空気感をバッチリとらえる場合。次に、その時代から半歩進んだ未来を描く場合。最後に、あえて時代の風潮に逆行したアンチテーゼ的作品をつくる場合。いずれにしてもその「時代」を反映したものが大衆に好まれる傾向があります。

 

ライター

佐々木康弘
札幌市出身、函館市在住。大手旅行情報誌やニュースサイト、就活サイトなど多数の媒体と契約するフリーランスライター。店舗・商品・人物の取材記事やニュース・芸能記事作成、広告ライティングや企業紹介など幅広いジャンルで年間100万字以上を執筆するほか、校閲も行う。「HELP YOU」ではプロフェッショナルライターとして活動。

1990年代後半

『ナースのお仕事』『ショムニ』

 

ナースのお仕事、フジテレビ、1996/7/2〜9/24、観月ありさ・松下由樹 他、2014年には12年ぶりに復活し話題となった。憧れの東京で自由気ままな一人暮らしをしたい一心で、東京の大学を受験するが失敗。それならと看護学校に進学し、すれすれの成績でやっと卒業、看護婦になった朝倉いずみ(観月ありさ)。持ち前の明るさで仕事に取り組むが、失敗、失態の連続で、尾崎翔子(松下由樹)、福山夕子(井上晴美)、桜井華子(深浦加奈子)ら先輩ナースにしごかれどおし。ファッションにも気を使い、恋にだって興味深々のいずみの年頃。同期看護婦の中原真保(小島聖)、足立美紀(椋木美羽)らが話相手だが、優しく応援するボーイフレンド三上博之(諸星和己)もいる。病院には、コワイ先輩看護婦のほか、研修医・水島龍太郎(岡田浩暉)、少々なことでは動じない婦長・根本雅子(吉行和子)、外科部長・沢田俊介(長塚京三)らがいる。彼らに見守られいずみはどんなナースに成長していくのか!?

 

 

ショムニ、フジテレビ、1998/4/15〜7/1※第1シリーズ、江角マキコ・宝生舞 他、2013年には江角マキコと升毅以外のキャストを一新して第4シリーズが放送された。“女子社員の墓場”“会社の掃き溜め”と呼ばれる総務部の庶務二課(通称/ショムニ)所属OL6人の人間関係を描いたコミック「ショムニ」のTVドラマシリーズ。

 

1990年代にヒットした働く女性を描いたドラマといえば、観月ありさがドジな新人ナースを演じた『ナースのお仕事』(1996年)や、閑職に追いやられたOLたちが会社を救う『ショムニ』(1998年)を思い浮かべる人も多いはず(放送年はいずれも1作目)。どちらも大ヒットしましたが、「女性が働くとは」といったテーマを掘り下げたわけではなく、純然たるコメディとして視聴者に受け止められました。働く女性の描き方も古典的で、特に『ショムニ』は「女性はお茶くみなどの雑用が仕事」という前時代的な価値観を誇張して描きました。女子社員の社内ヒエラルキーの最上位として描かれたのは、秘書課の職員。あくまでも上役の男性をサポートする役割として描かれました。

 

2000年代前半

『サプリ』

 

サプリ、フジテレビ、2006/7/10〜9/18、伊東美咲・亀梨和也 他。ある大手広告会社でCMプランナー(コマーシャルのプランを考える人)としてバリバリ働く藤井ミナミ(伊東美咲)。仕事に一生懸命で“15秒”というCMの世界に命をかけるが、プライベートは二の次の典型的な仕事人間。流行の服もメイクもおいしいものも必要な武器はいっぱい持っているのに、たった一つ「かわいげ」だけを持っていないミナミ。そんなミナミの職場にある日雑用係として、広告業界にまったく興味もなくちょっと不遜で生意気、でもどこか魅力的な年下のアルバイト・石田勇也(亀梨和也)がやってきた……。ミナミは、彼女を取り巻くさまざまなタイプの男たちと触れ合い、さまざまなタイプの女たちの生き方を目の当たりにし、仕事、恋愛に揺れ動く。たった15秒の出会いが一生の出会いに……。仕事という共通した価値観の中、誰もが一度は経験したことのある“仕事に透けてみえる恋”を描いていく。

 

2000年代に入り、総合職や営業企画などをバリバリこなすキャリアウーマンが一般的になってくると、それを反映した漫画が描かれるようになりました。2003~2009年に連載された『サプリ』(おかざき真理 作)は、広告代理店に勤める27歳のキャリアウーマン・ミナミを主人公とした作品。CM制作をしている彼女は残業も休日出勤も日常茶飯事で、毎日家にも帰らず会社のイスで仮眠するだけ。男性社会の中で自分の地位を確立するためにがむしゃらに働く女性の姿を描きました。

 

『働きマン』

 

働きマン、日本テレビ、2007/10/10〜12/19、菅野美穂・速水もこみち 他。主人公は、出版社に勤務する28歳の雑誌編集者・松方弘子(菅野美穂)。一度仕事モードに入ると、恋人とのデートも、趣味も、おしゃれも……私生活すべてを犠牲にしながら仕事に没頭する女性です。その仕事ぶりはまさに”男”。たくましく力強くエネルギッシュ。ゆえに彼女のニックネームは『働きマン』。しかし、そんな『働きマン』も、「いい仕事をした」という充実感だけでは要られません。「なぜ仕事をしているのか」、日々悩んでいます。恋人よりも仕事を選んでしまう自分に、「どうして?」「なぜ?」と問いかけてしまうのです。その悩みは、世の中で働く多くの人たちが一度は感じ、考えたことばかりです。人にとって、働くとは何なのか。『働きマン』は、まさにこの”働くとは何か”を問いかけるドラマです。

 

2004~2008年に連載された『働きマン』(安野モヨコ 作)も、同様に猛烈に働く女性を描いた作品。雑誌の編集部で働く29歳の松方弘子は、いったん仕事に集中すると私生活をなげうって没頭する女性。そんな彼女の決め台詞は「仕事モードオン 男スイッチ入ります」。男性には負けたくないから、男性のように働く――という、ある意味肩に力の入った強い女性像が描かれました。

 

2000年代後半

2000年代後半は日本経済がバブル崩壊の影響から少しずつ立ち直り始めたものの、相変わらず雇用情勢は厳しい状況にありました。賃金は上昇せず、非正規雇用が増加する中で、世界金融危機(2007年)とリーマン・ショック(2008年)が相次いで日本を襲います。企業も大打撃を受け、さらなる人員削減に踏み切ります。「派遣切り」が深刻な問題となったのもこの頃です。

 

『ハケンの品格』

 

ハケンの品格、日本テレビ、2007/1/10〜3/14、篠原涼子・加藤あい 他。戦うスーパー派遣OL…ここ数年、日本の会社の雇用形態は大きく変化しました。正社員がどんどん減り、そのとき必要なスキルを持ったエキスパートたちを重用するケースが増えています。特に、いまや日本では300万人に迫るといわれている「派遣」と呼ばれる人たち。労働者派遣法の施行から20年、平成11年の自由化、16年の規制緩和を受け、いまや彼女(彼?)達ナシでは企業は成り立っていきません。いま「正社員イズベスト」の時代は終わろうとしています。
働く女性を応援する新しい<お仕事エンタテイメント>「ハケンの品格」どうぞお楽しみに。

 

そんな情勢をうまくとらえたのが、2007年に放送されたドラマ『ハケンの品格』です。篠原涼子演じる派遣社員・大前春子は、ありとあらゆる資格を持ち、どんな仕事も完璧にこなす“スーパー派遣”。毎回そのスーパースキルで会社のピンチを救い、正社員たちをギャフンと言わせるスカッと感が視聴者の支持を集めました。当時は、正社員として働いていてもいつリストラに遭うかわからない時代。それならば会社に所属するよりも、自分のスキルだけを信じてあえて派遣社員として働く――。経済情勢に流されにくい、強い女性像の姿を描いたといえます。

 

『ホタルノヒカリ』

 

ホタルノヒカリ、2007/07/11〜09/12、日本テレビ、綾瀬はるか、藤木直人 他、2010年には第2シリーズ、2012年には映画が公開された。講談社発行の漫画雑誌『Kiss』に連載中の『ホタルノヒカリ』は、2007年5月現在、コミックスの売り上げ累計160万部(既刊8巻)を数える人気漫画。
一般的に、恋に仕事に華やかであろう20代の人生を、恋愛を半ば放棄してぐうたらに過ごす「干物女」・雨宮蛍(あめみや・ほたる)の恋愛を描く同作品は、蛍の性格、生活スタイルなど共感出来る部分があり、女性に高い人気を誇っています。その話題の漫画が、日本テレビの7月期、水曜10時枠でドラマ化決定!!ゆる~い「干物女」を演じるのは、家では私も干物女かも・・・と言い切る 綾瀬 はるか。新しい人種「干物女」の物語をお楽しみに!!

一方、同じく2007年に放送された『ホタルノヒカリ』は、会社ではそつなく仕事をこなす一方、家ではダラダラ過ごして恋愛もめんどくさがる20代のOLを主人公としたドラマ。綾瀬はるか演じる「干物女」ぶりも話題となりました。「実際こんなもんだよね」と視聴者が共感できる内容であったことから大ヒットし、続編も作られました。

 

『Around40~注文の多いオンナたち~』

 

Around40~注文の多いオンナたち~、TBS、2008/4/11〜6/20、天海祐希・藤木直人 他。主演は自身もアラフォー(Around40の略。40歳前後の世代のこと)、TBS初出演となる天海祐希。
キャラクター色の強い役柄を演じてきた天海が久々に等身大の女性役に挑戦する。共演には、藤木直人、大塚寧々、筒井道隆、松下由樹と超豪華実力派俳優が揃う。
“アラフォー”たちの苦悩と葛藤を、コミカルに、時に切なく描くのは『僕の生きる道』でおなじみの脚本家・橋部敦子。プロデューサーは『花より男子』『華麗なる一族』を手がけた瀬戸口克陽という注目のコンビだ。アラフォー世代の女性たちを通して、今を生きる女性にとって、本当の幸せは何かを問う、ウーマンライフドラマの決定版!!

 

「働く大人の女性」を描いたドラマも相次いで制作されました。『Around40~注文の多いオンナたち~』(2008年)は、40歳前後の女性たちの恋愛や結婚、仕事など等身大の姿を通して新たな「女性の幸せの形」を描いた作品。主人公の緒方聡子は優秀な精神科医で、結婚どころか彼氏もこの5年間いないけれど、おひとりさま生活を満喫している自立した女性として描かれました。

 

『BOSS』

 

BOSS、フジテレビ、2009/4/16〜6/25、天海 祐希・竹野内 豊 他、2011年には2ndシーズンが放送された。頭脳明晰、めちゃめちゃキレる、仕事もできるイイ女。日本警察史上初の女性警視総監も狙える逸材と噂される、スーパーキャリアウーマン。それが、このドラマの主人公。
だけど、中身は、普通に結婚願望の強い独り身女性。犯人の心理はわかるけど、男心はわからない。ずっと警察官僚としての出世一筋で生きてきたせいで、まともに結婚を意識した恋愛をできた試しがない。そんな、ちょっと特殊なキャリアウーマンである彼女が、犯人逮捕よりもお洒落やデートのことばっかり考えているイケメン刑事や、やる気も知識もあるけど残念なくらい社会人不適合な若手女性刑事など……
欠陥だらけの札付きの「困った刑事たち」が集まる新設部署の“BOSS:ボス”に就任することになった。(出典:https://www.fujitv.co.jp/b_hp/BOSS/)

 

2009年放送の『BOSS』も、同じ系譜の作品。ドラマのフォーマット自体は、警察内で「はみ出し者」扱いされている刑事たちが華麗に事件を解決する――という刑事ドラマの王道でしたが、「史上初の女性警視総監も狙える逸材と噂されるスーパーキャリアウーマンが新設部署のボスに就任する」との設定に新しさがありました。これらの2作品に主演した天海祐希は「バリバリ働くかっこいい大人の女性」がはまり役となり、今年新シリーズが放送された『緊急取調室』でも同様のキャラクターを演じて好評を博しています。

 

2010年代

2010年代に入ると、多様な生き方や多様な働き方を反映してか、ドラマの世界でも様々な「働く女性像」が描かれるようになりました。

 

『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』

 

私 結婚できないんじゃなくて、しないんです、TBS、2016/4/15〜6/17、中谷美紀・藤木直人 他。とある高校の同窓会で、一際注目を集める美女・橘みやび(中谷美紀)39歳。青山で美容皮フ科クリニックを営む開業医。美しさも社会的地位も手にした一流の女。高校時代から高嶺の花だったみやびに群がる同級生たち。だが、みやびが「独身」で「彼氏もいない」と知ると、場の空気は一変。口々に励まされてしまう。

 

なかでも、キャリアウーマンとしての成功に伴う落とし穴を描いた『私 結婚できないんじゃなくて、しないんです』(2016年)は異色の作品でした。「39歳・独身・容姿端麗・年収1500万の最強の恋愛弱者が、ドS毒舌恋愛スペシャリストから恋愛術を学ぶスパルタラブコメディ」とうたったこの作品は、ハイスペックな女性であることが結婚を難しくしてしまう現実を率直に描いて話題を呼びました。

 

『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』

 

地味にスゴイ! 校閲ガール・河野悦子、日本テレビ、2016/10/5〜12/7、石原さとみ・菅田 将暉 他、2017年には「地味にスゴイ!DX(デラックス) 校閲ガール・河野悦子」が放送された。おしゃれ大好き!スーパーポジティブ!河野悦子夢のファッション誌編集者を目指し、出版社に入社。なのに、配属されたのは・・・・超地味〜な校閲部。しかし、地味な仕事でも真っ向勝負‼︎小説の些細な点が気になって舞台となる北海道に直行!週刊誌が追う事件の真実を確かめに現場に潜入取材!時には、矛盾点を作家に訴え内容を大幅に変更させる!校閲の仕事を超えて大暴れ!

 

お仕事ドラマといえば華やかな業界や職種が多かったなかで、同じく2016年には地味な職種にスポットを当てた『地味にスゴイ!校閲ガール・河野悦子』が放送されました。ドラマが手の届かない世界から身近な世界に下りてきたといえるでしょう。主演の石原さとみのファッションが毎回紹介されることでも注目されたこの作品は、日々の地味な生活の中でどのように自分の気持ちを上げていくかのひとつの答えを示したものといえるかもしれません。

 

『営業部長 吉良奈津子』

 

営業部長 吉良奈津子、フジテレビ、2016/7/21〜9/22、松嶋菜々子・松田龍平 他。「吉良奈津子、ただいま戻ってまいりました!」伝説のクリエイティブディレクターが満を持して産後復帰!・・・と思ったら「え? 営業に行け? この私が!?」吉良奈津子、42歳。広告代理店の花形であるクリエイティブディレクターだった彼女。40手前で彼女は会社での地位も築き、一度出産のために産休を取得します。会社の制度通りに産休、育休を消化し、やっとカムバックしてきた奈津子。クリエイティブ局へ華々しく復帰!するはずが、君の次の勤務先は営業開発部、と上司から通告されてしまいます。ノルマをこなせばクリエイティブに戻してもらえるはず、と信じ営業部長の座に納まった奈津子でしたが・・・うまくいくはずありません。ひとくせもふたくせもある部下たちは、奈津子にまったく期待していない始末。働きはじめたことにより、家庭にもうっすらと影が・・・。息子と夫とそこそこ仲良くやってきたのに、忙しさですれ違い始め、家でもひとりぼっち。もう誰も助けてくれません。おまけに、仕事でタッグを組むことになったのは年下の超生意気な男。支えになるどころかライバルにもなりかねません。さて、奈津子はこのピンチを切り抜けられるのか!奈津子が新しく見出していく営業スタイルとは!?これは働く女の戦いと再生の物語です。

同じく2016年には、産休・育休明けで会社に復帰した42歳のバリキャリウーマンが嫌がらせのような人事を受けて仕事と家庭の両立に奮闘するドラマ『営業部長 吉良奈津子』(主演:松嶋菜々子)も放送されました。ベビーシッターが奈津子の夫に色目を使うといった余計な要素のせいか視聴率は低迷しましたが、働き方改革がスタートした今ならもう少し視聴者の共感を集めることができたかもしれません。産休・育休問題を世に問いかけた意欲作だったといえます。

 

『東京タラレバ娘』

東京タラレバ娘、日本テレビ、2017/1/18〜3/22、吉高由里子・榮倉奈々 他。「キレイになったら、もっといい男が現れる!」「好きになれば、結婚できる‼︎」そんなタラレバ言いながら、親友の香、小雪と3人で女子会ばかりやっていたが、金髪イケメン男に「タラレバ女!」と言い放たれハタと現実にブチ当たる‼︎「私たちって、もう女子じゃないの?」「本気出したら恋も仕事も手に入れられると思ってた…」「立ち上がり方が分からない」「恋に仕事にお呼びでない?」厳しい現実、だけど真実。頑張ってないわけじゃない、でも、まだ幸せにたどりつけてないタラレバ娘たちがもがきながらも、幸せ探して突き進むーーー‼︎

 

一方、『東京タラレバ娘』(2017年)は、居酒屋に集まっては愚痴を言い、「もし○○だったら」「もしあの時○○していれば」と「たられば」ばかり口にしている30過ぎの女性たちの物語。バリキャリウーマンになり切れず、かといって恋愛にも思い切って踏み出せない。理想ばかり思い描くが現実はなかなかうまくいかない――といった描写がアラサー女子たちの共感を呼びました。

 

『義母と娘のブルース』

 

義母と娘のブルース、TBS、2018/7/10〜9/18、綾瀬はるか、竹野内豊 他
数年前に母親を亡くし、父親の 良一 (竹野内豊) と父一人子一人で生きてきた 宮本みゆき (横溝菜帆)。
そんな彼女の前にある一人のキャリアウーマンが現れる。彼女の名前は 岩木亜希子 (綾瀬はるか) 。業界トップシェアの金属会社・光友金属の営業部長を務める彼女は、みゆきの新しい義母になる女性であった。

 

綾瀬はるか演じるバリバリのキャリアウーマンが、娘を持つ男性からプロポーズされて結婚し、母親になろうとして家事や育児に奮闘する姿を描いた『義母と娘のブルース』(2018年)も新たなタイプの「働く女性像」を視聴者に提示しました。主人公の宮本亜希子は仕事にしか興味がなく、30代の若さで大手企業の部長職についた超優秀な人物。

そんな亜希子は夫の連れ子のためにあっさり仕事を辞め、自宅でデイトレードに励むように。ところがそんな姿が「お金は楽して稼げるものだ」と娘に誤解を与えていることに気付くと、今度は働く姿を娘に見せるため、つぶれかけた街のパン屋を再生するために立ち上がります。かつての仕事人間がその生真面目さをそのまま育児に向け、仕事より家族を最優先するという描写が今の時代に合っていると人々の共感を得たものと思われます。

 

『わたし、定時で帰ります。』

 

わたし、定時で帰ります。、TBS、2019/4/16~6/25、吉高由里子・向井理 他。主人公・東山結衣(吉高由里子)はWEB制作会社で働くディレクター。過去のトラウマから入社以来、残業ゼロ生活を貫いてきた。理由が無ければ帰りづらい風潮の中で、仕事中は誰よりも効率を追求し、生産性の高い仕事をし、定時になるときっぱり退社。行きつけの中華料理屋でビールを嗜み、恋人・諏訪巧(中丸雄一)との時間も大切にしている。
だが新任の部長が赴任したことをきっかけに、結衣の前に曲者社員たちが立ちはだかる。

 

働き方改革関連法が施行された今年、すかさずこのテーマを扱ったドラマが制作されました。4~6月に放送された『わたし、定時で帰ります。』です。残業ゼロ、定時で帰るがモットーのニューヒロイン・東山結衣(吉高由里子)が、ブラック上司やモンスター社員の間で奮闘しながら小さな奇跡を起こしていくこの作品は、「社畜はかっこ悪い」「ライフワークバランスを大事にしたい」「自分と自分の時間を大切にしたい」といった現代の働き手が持つ自然な思いや願望を等身大の働く女性が表現したことで多くの女性の共感を得たといえます。

 

今後の「働く女性」ドラマを大胆予想

 

働く女性を描いたドラマはこのほかにもたくさんありますが、そのなかから代表的な作品をご紹介しました。どの時代にも、漫画やドラマといった創作作品にはその時の世相が反映されていることがわかります。特に、2010年代以降は「働く女性像」が画一化されず、様々な「働く女性」が描かれるようになったのは注目に値します。

さて、今後はどんな「働く女性」のドラマが世に出るのでしょうか。ありとあらゆるパターンが作られてきたように思われますが、会社に出勤せず自宅などの遠隔地で仕事をする「リモートワーク(テレワーク)」で働く女性を中心に据えたドラマはまだ作られていないはず。創作作品は常に時代の少しだけ先を行っていることを考えると、政府が働き方改革の一環としてテレワークを推進している今なら、どこかの局が作りそうな気がします。

主人公が自宅から出ないため画面に変化がなく、当然のことながら男女の出会いも生まれにくいのが難点ですが、それを逆に活かすことで画期的な作品になりそう。どこかのテレビ局と脚本家さん、ぜひ挑戦してみませんか?