島根発!ママを元気にする環境作りにチャレンジする会社Cocoro Ribbon~前編~
くらしから始まる働き方提案メディア「くらしと仕事」では、働き方に関する先進的な企業の取り組みを紹介していきます。
今回は、島根県松江市の株式会社Cocoro Ribbon社です。
島根県でママ向けのキャリアカウンセリングを行っている「Cocoro Ribbon」は、代表の大川真美さん含め、全社員がママという会社です。ママたちを元気にするための事業を提供していますが、必ずしも再就職だけがママたちの価値観ではないといいます。そして、時間ではなく成果を求めるという、そのポリシーはどんなものなのでしょうか。
目次
ライター
保育士、保険営業・代理店を経て、Cocoro Ribbonができるまで
大川さんは島根県のご出身ですか?
大川 真美さん(以下、大川):はい、ずっと島根県松江市です。就職もここで、最初は保育士をしていました。
ご結婚されて退職されたのですか?
大川:いえ、結婚するより前に退職しました。忙しい職場だったのでそのまま結婚するイメージが湧かなくて。仕事自体は好きだったんですけど、25歳の時に損保会社の法人営業に転職しました。営業の仕事は31歳まで続けて、その後起業しましたね。
起業というのは、Cocoro Ribbonですか?
大川:いえ、最初は保険の仕事で個人事業主、代理店として独立をしました。会社員で営業をしていると、付随業務が多いんです。保育士の時もそうで、保育以外の掃除・洗濯などの業務が多すぎて残業が多かった。転職後もまた同じで。営業で成果を出していても、事務処理が膨大にあるから帰宅が遅くなってしまう。子どもとの時間も取りたかったので、考えた結果独立した形です。
その保険代理店の仕事は、今も継続しているんですか?
大川:Cocoro Ribbonを設立する時に、大型代理店の社員に転職したんですよ。そうすれば、自分が抱えているお客様の仕事が続けられますから。会社員でありつつ起業して、2つ仕事がある感じです。どちらの仕事も、長時間働けば良いというものではなく、いかに成果を出すかに焦点を当ててています。やりがいがありますね。
ご自分で決めた時間内でやるべきことができればOKということ?
大川:そうです。基本的に、社内業務は16時までと決めています。それ以降は会社を出て、子どもを迎えに行ったりしています。習い事の送迎とか、結構夕方はバタバタするんですよ。
ご出産されたのは、損保営業時代?
大川:はい、年子で2人生まれました。
産休育休は取られたんですか?
大川:2人とも産後6週ですぐ復帰しました(笑)
普段は自分で時間の調整ができたんですけど、そういう長期休みが必要な時にはデメリットがあるなと思いました。それがきっかけで今の会社をしてますね。社員がいるので、いろいろな仕事を代わってもらえますから。ひとりで全部やらなくてはいけない働き方をしてきたから、チームでの仕事に憧れていました。
保険業のお仕事をされてきて、Cocoro Ribbonはまた業種が違いますよね。変化のきっかけは?
大川:保険の仕事では、お客様はすべて法人です。頻繁に「結婚して今仕事を辞めている良い人がいないか?」という相談を受けるんですよ。最初はビジネスではなく、個人的にご紹介していたんですね。ところが、働きたいお母さんたちは企業目線に立って、自分のスキルを説明できない。企業側もお母さんたちの望んでいることが分からない。
ですから紹介してもミスマッチが続いて、これは誰かが間に入って双方に良い形でデザインしてあげたらうまくいくのでは?と。お母さんも自信を無くすし、企業側にも「やっぱりお母さんを雇うのは大変だな」という認識ができたら嫌ですし。お互いの分からない部分をそれぞれの目線で合わせていこうと思ったんです。
島根の働き事情とそれぞれに合った働き方を提供
例えば企業は労働力不足だけどなかなか人材が見つからないとか、結婚後も働いている女性が多いとか、島根の働き方事情といったものは、どういう感じなんでしょう?
大川:島根県は共働き率がすごく高いんです、全国で2位だった時期もあるぐらい。ですが、地方なので結婚したら家庭を優先する風潮があったんですね。働くにしてもいったん辞めて、子どもが小学校に入学するぐらいから再就職するスタイル。出産や結婚を機に辞める人が6割以上いて、元々の自分のキャリアを継続しようと思うと正社員しか選択肢がない。正社員として働くより、どちらかと言えば、皆さん家庭を優先していますね。
現状、何をどうしていいのか分からない、という人もいらっしゃいます。Cocoro Ribbonで「らしさ見つけ塾」という子育てママ向けのキャリアセミナーをしているんですけど。「何がしたいか分からないけど、不安だ」という方が来ます。じゃあ仕事か、と言われるとピンとこない。ハローワークに行っても、「あなたは前職これだったから」とずっと同種の仕事を提案される。だけど時間や条件を見て、「今の状況では難しいな」と断念してしまう。あともう少し勤務時間が短ければ働けるのに、というところですよね。
当社で用意している働き方には、商標登録を取っている「プチママワーカー」という時間にとらわれずに働ける求人と、当社の社員になって企業の事務代行に行くパターンと、ママモニターに登録してもらって、本当に自分の空いた時間で企業のモニターやアイディア出しをやってもらうという、3パターンがあります。それぞれの価値観や求めるものに応じた仕事の仕方を提供しています。
時間にとらわれず、成果が出せればOK、チームCocoro Ribbonの働き方とは?
Cocoro Ribbonの設立時から、大川さん含め6名の社員の方は揃っていたんですか?
大川:Cocoro Ribbonは個人事業主で2014年にスタートして、2015年に法人化しました。現在の社員のうち2名は個人事業主の時から、残り3名は1期目からいます。
社員の方とはどんな風に出会ったんですか?
大川:1番最初の社員は、子どもの参観日に行く時に(笑)ママ友というほどの付き合いはなく、ただ「このお母さん元気が良さそうだな」と知っていて。彼女はまだどこにも就職していなかったので、「私こんなことやりたいんだ」という話をしたら、「面白そう!」と言ってくれて、それで入ってきました(笑)元々私がこの会社を設立する前に、ママを元気にする「ワクワク女子プロジェクト」というサークル活動をしていて。そのイベントに1回来てくれて、Facebookで繋がっていたんです。
そのイベントはかなり人数が集まるようなものだったんですか?
大川:都会ではないので、30人ぐらいですけど。まあまあだったと思います。子どもが小さい時は自分の時間が取れないじゃないですか。なので、ディナーに行くような素敵なレストランでお昼にヘアメイクをしてもらって、おしゃれランチ会をする。ちょっとしたお出かけ気分を味わえますよね。そういうことを、私がしたかったんですよ(笑)それこそ美容師さんも大変なお仕事なので、技術はあるけど辞めてしまった方が多い。そういう人たちの力を借りて、低料金でヘアメイクもできるという。
大川さんは、「こういうことをやったら楽しいんじゃないか、自分もやりたい」とアイディアを実現してきた感じですか?
大川:そうですね。何でも自分が主体になって、企画するのが大好きです。
社員の方たちも皆さんお子さんのいるママだとサイトに書かれていましたが、勤務時間も短かったり、それぞれなんですか?
大川:一応就業規則はベースにありますが、それぞれの働きたい条件に合わせた雇用契約をしています。Wワークも、在宅ワークも可能です。最初に見つけた社員は、夏に高校野球の島根県大会のスコアをつける2週間ほどのバイトがあるんですが、どうしてもそれがやりたくて正社員の仕事をあきらめていて。「そっちもやっていいよ」と言ったら、「じゃあ入る」と。ですから夏は2週間ぐらいいないんですけど、その前後にすごく頑張ってくれるので。うちでは時間じゃなく成果を求めます。「やることさえやってくれたら、休んでいいよ」という考え方。その社員はついこの間、4人目の出産をしたところです。
4人目のご出産の産休育休も、大川さんと社員の方で相談して決めるのですか?
大川:そうです、「別に1年取っても、もっと長くてもいいよ」と言ったら、彼女は少しずつ戻りたいと。体調を見つつ最初は週に1回ぐらいから、というのが本人の希望です。
※後編に続きます
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